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12. 過ぎた事はなくならないのに。 (後編)
2008.07.14 Mon
「…で、ここ出てくって言うのは、そのせい?」
でも、そんなカミングアウトしなかったら、別に気付かれないままここにいれたのに。
何でわざわざそんなこと告白したわけ?
隠し通すのが、難しいと思ったから? 秘密を作るのが、悪いとでも思った?
「…ん、あの、この間、エレヴェータ…」
数少ない哲也の単語の中からでも、何とか意味を探そうとする。
エレヴェータというキーワード。
思い当たるのは、あの男。
「あの、」
「……ん、"あの"」
"あの"男。
「元カレ」
「………………。元、カレ…」
エレヴェータに乗る乗らないの、ギリギリのラインでかわわしたあの男。
哲也の、元カレ。
そうか、そうだな。そうなんだ。確かに元カノじゃないわな。
「何か…変な話、気付かなかったっていうか、」
「え?」
「おんなしアパートに住んでんだから、別んトコ住んでるよりずっと会う確率高いのに、何でだろ、会うわけがないって、勝手に思い込んでた」
「………………」
「こないだみたいにエレヴェータとかで鉢合わせしたら…。あんときな、エレヴェータのドア開いたら、中にあの人が乗ってて、もう頭ん中、真っ白になって…」
あのときの、取り乱した哲也の姿を思い出す。
「もしかしたらまた会うかもしれないって思ったら、…………貴久がいいって言ってくれても、怖くてここにはいれない…」
「で、どうすんの? これから」
「…………分かんない。何とかお金貯めて、アパートとか借りれたらいいけど…」
「実家帰ったらいいじゃん」
前に実家はダメだって聞いてたけど、行く当てないんだったら、最終的に頼るのって、家族じゃないのかな?
「……俺、勘当されての、お父さんに」
「………………………………は?」
「溜めすぎ、貴久。しかもそんだけ溜めて、『は?』って」
「いや、は? 何? 勘当? 江戸時代!?」
何それ!?
勘当って、つまりだから、親子の縁切られたってことだろ!?
そんなの今どきあんの!?
「親にゲイだってこと打ち明けたら、すごい剣幕で怒られて、お父さんに『勘当だぁ~~~!!』って」
「極端すぎる!」
そりゃ親としては、息子にゲイやってカミングアウトされるよりは、普通に女の子を好きでいてくれたほうが嬉しいかもしれないけど、何も勘当て…。
「そんでしょうがないから、家出たんだけど……前もちょっと行くトコなくなってどうにもならなくなったとき、実家に帰ったんだよ。どうにかなるかなって思って。そしたらやっぱダメで」
「許してくれないの?」
「おもっきり平手」
「マジでか!?」
怖っ!
何そのオヤジ!
「もともと、ホラ、俺、こんなカッコしてんじゃんか。こういうチャラチャラしたカッコしてんのも嫌みたいで…」
「それで帰れないんだ?」
「帰るたんびにビンタされてたら、堪んないもん」
そう言って哲也は苦笑した。
でも、そんなカミングアウトしなかったら、別に気付かれないままここにいれたのに。
何でわざわざそんなこと告白したわけ?
隠し通すのが、難しいと思ったから? 秘密を作るのが、悪いとでも思った?
「…ん、あの、この間、エレヴェータ…」
数少ない哲也の単語の中からでも、何とか意味を探そうとする。
エレヴェータというキーワード。
思い当たるのは、あの男。
「あの、」
「……ん、"あの"」
"あの"男。
「元カレ」
「………………。元、カレ…」
エレヴェータに乗る乗らないの、ギリギリのラインでかわわしたあの男。
哲也の、元カレ。
そうか、そうだな。そうなんだ。確かに元カノじゃないわな。
「何か…変な話、気付かなかったっていうか、」
「え?」
「おんなしアパートに住んでんだから、別んトコ住んでるよりずっと会う確率高いのに、何でだろ、会うわけがないって、勝手に思い込んでた」
「………………」
「こないだみたいにエレヴェータとかで鉢合わせしたら…。あんときな、エレヴェータのドア開いたら、中にあの人が乗ってて、もう頭ん中、真っ白になって…」
あのときの、取り乱した哲也の姿を思い出す。
「もしかしたらまた会うかもしれないって思ったら、…………貴久がいいって言ってくれても、怖くてここにはいれない…」
「で、どうすんの? これから」
「…………分かんない。何とかお金貯めて、アパートとか借りれたらいいけど…」
「実家帰ったらいいじゃん」
前に実家はダメだって聞いてたけど、行く当てないんだったら、最終的に頼るのって、家族じゃないのかな?
「……俺、勘当されての、お父さんに」
「………………………………は?」
「溜めすぎ、貴久。しかもそんだけ溜めて、『は?』って」
「いや、は? 何? 勘当? 江戸時代!?」
何それ!?
勘当って、つまりだから、親子の縁切られたってことだろ!?
そんなの今どきあんの!?
「親にゲイだってこと打ち明けたら、すごい剣幕で怒られて、お父さんに『勘当だぁ~~~!!』って」
「極端すぎる!」
そりゃ親としては、息子にゲイやってカミングアウトされるよりは、普通に女の子を好きでいてくれたほうが嬉しいかもしれないけど、何も勘当て…。
「そんでしょうがないから、家出たんだけど……前もちょっと行くトコなくなってどうにもならなくなったとき、実家に帰ったんだよ。どうにかなるかなって思って。そしたらやっぱダメで」
「許してくれないの?」
「おもっきり平手」
「マジでか!?」
怖っ!
何そのオヤジ!
「もともと、ホラ、俺、こんなカッコしてんじゃんか。こういうチャラチャラしたカッコしてんのも嫌みたいで…」
「それで帰れないんだ?」
「帰るたんびにビンタされてたら、堪んないもん」
そう言って哲也は苦笑した。
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