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11. 知らないでくれ (後編)
2008.07.12 Sat
「貴久…………何も聞かないの?」
俯き加減に、哲也が口を開いた。
「何が? 昨日のこと? それともずっと帰って来なかったこと?」
「……どっちも」
「んー……まぁ、急に出てくって言われたら、俺、何かしたかな? とか思うし、気になるけど、」
「違うの! 別に貴久のせいじゃないの! 貴久が何かしたとかじゃなくて、」
そして哲也は、目を潤ませて、グズッと鼻を啜った。
これじゃ、昨日の夜とおんなじだ。
俺のせいじゃないし、俺は何もしてないって言うけど、ここにはもういれないって言う哲也。
何か別の理由があるんだろうけど、そのことを思うと泣き出してしまって。
「俺に話してお前が楽になれるんだったら、話聞くけど」
「でも俺、貴久に嫌われたくないし、」
「嫌いになるなんて、別に言ってないじゃん。どういうこと?」
「……………………言えない……。ゴメン、やっぱ貴久とずっと友達でいたいから………………知られたくない、こんな……」
そこで言葉を切って、哲也は俯いた。続きを促していいものなのか分かりかねて、俺も押し黙ってしまう。
決して心地よいとは言えない沈黙が流れて。
「…………やっぱ出てく、俺」
顔を上げた哲也は、キュッと唇を噛んで、涙を堪えているような、そんな表情だった。
「別にいいけど……どうすんの? これから。啓ちゃんちにずっと泊まれんの?」
「………………」
哲也は黙ったまま、首を横に振った。
「ど…しよ、俺……」
ようやく上げた顔を再び項垂れた哲也は、かすかに肩を震わせている。
「哲也……なぁ、話せよ? 2人で考えたら、何かいい方法が浮かぶかもしれないじゃん。俺が嫌だったら、啓ちゃんに……」
「……ゴメ…」
哲也は頭を抱えてしまって。
きっと、俺に話していいものかどうか思案してるんだろう。
俺にしてみたって、何だかよく分かんない。
友達って言ったって、啓ちゃんの友達って素性が分かったのなんてごく最近だし。
出会ってからだってまだ日は浅いし、一緒にいていやすいから同居してはいるけど、別に親友って言うほど深い仲でもない。
なのに、何でこんなに親身になってんの?
本人が出て行きたいって言ってるなら、好きにさせればいいのに。
「…………あのさ、」
ため息ともつかない大きな息を吐き出して、哲也は重い口を開いた。
「貴久、マジで引くかもしれないけど、聞いて」
「うん」
「俺………………」
ジッと俺を見据える哲也の瞳が、揺れた。
俯き加減に、哲也が口を開いた。
「何が? 昨日のこと? それともずっと帰って来なかったこと?」
「……どっちも」
「んー……まぁ、急に出てくって言われたら、俺、何かしたかな? とか思うし、気になるけど、」
「違うの! 別に貴久のせいじゃないの! 貴久が何かしたとかじゃなくて、」
そして哲也は、目を潤ませて、グズッと鼻を啜った。
これじゃ、昨日の夜とおんなじだ。
俺のせいじゃないし、俺は何もしてないって言うけど、ここにはもういれないって言う哲也。
何か別の理由があるんだろうけど、そのことを思うと泣き出してしまって。
「俺に話してお前が楽になれるんだったら、話聞くけど」
「でも俺、貴久に嫌われたくないし、」
「嫌いになるなんて、別に言ってないじゃん。どういうこと?」
「……………………言えない……。ゴメン、やっぱ貴久とずっと友達でいたいから………………知られたくない、こんな……」
そこで言葉を切って、哲也は俯いた。続きを促していいものなのか分かりかねて、俺も押し黙ってしまう。
決して心地よいとは言えない沈黙が流れて。
「…………やっぱ出てく、俺」
顔を上げた哲也は、キュッと唇を噛んで、涙を堪えているような、そんな表情だった。
「別にいいけど……どうすんの? これから。啓ちゃんちにずっと泊まれんの?」
「………………」
哲也は黙ったまま、首を横に振った。
「ど…しよ、俺……」
ようやく上げた顔を再び項垂れた哲也は、かすかに肩を震わせている。
「哲也……なぁ、話せよ? 2人で考えたら、何かいい方法が浮かぶかもしれないじゃん。俺が嫌だったら、啓ちゃんに……」
「……ゴメ…」
哲也は頭を抱えてしまって。
きっと、俺に話していいものかどうか思案してるんだろう。
俺にしてみたって、何だかよく分かんない。
友達って言ったって、啓ちゃんの友達って素性が分かったのなんてごく最近だし。
出会ってからだってまだ日は浅いし、一緒にいていやすいから同居してはいるけど、別に親友って言うほど深い仲でもない。
なのに、何でこんなに親身になってんの?
本人が出て行きたいって言ってるなら、好きにさせればいいのに。
「…………あのさ、」
ため息ともつかない大きな息を吐き出して、哲也は重い口を開いた。
「貴久、マジで引くかもしれないけど、聞いて」
「うん」
「俺………………」
ジッと俺を見据える哲也の瞳が、揺れた。
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