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恋と呼ぶにはまだ早い (17)
2013.01.09 Wed
「ちーちゃん、どしたー? 眉間のしわ、すごいよー?」
「だって意味が…。何で俺が気を失ったら、大和くん……一ノ瀬さんが」
「大和くんでいいよ。つかむしろ、大和て呼んで?」
「………………、大和くんが俺のことを部屋に連れてくるわけ?」
普段、遥希と喋るとき、大和くんと呼んでいるから、本人を前にしてもついそう言ってしまい、千尋は慌てて訂正したが、その本人が、何抜かしてやがる、ということを、キラキラのアイドルスマイルで提案してきたので、千尋は聞こえない振りで、『大和くん』呼びを継続した。
「だって倒れたちーちゃん、楽屋に放置しておけないじゃん。俺、そんな鬼の子じゃないよ」
「鬼の子……ラムちゃん? 『だっちゃ』て言って」
「ちーちゃんのこと、放っておけないっちゃ★」
やっぱり千尋、倒れたときに頭を打ったのかなぁ…というような、アホなお願いをしてみたら、大和は恥ずかしがることもなく、あっさりとやってくれた。
自分からねだっておいて何だが、大和て、どこまでが本気なのか、よく分からない…。
「つか、楽屋に放っておかれても困るけど、そうじゃなくて、起こしてくれたらいいじゃん! そしたら俺、ハルちゃんと一緒に帰ったのに!」
「いやぁ、それはないんじゃない?」
「何で」
選択肢は、楽屋に放置か、ホテルの大和の部屋来るか、の二択ではないはずだ。
千尋はコンサートが終わったら、FATEの楽屋に行って大和の裸を見たら、遥希と一緒に帰るつもりだったのに。でもそれを、大和があっさりと否定するから、千尋は訝るように眉を上げた。
「だってハルちゃんは今、琉の部屋だっちゃ★」
「あ…」
そうだった。
あの2人は、恋人同士なのだ。しかも今日はクリスマスイブ。たとえ明日もコンサートがあるとはいえ、ようやく出会えた2人が、顔を見ただけでバイバイなんかするはずがない。
「でしょー? だからちーちゃんは今日、ハルちゃんと一緒にお家には帰れないの」
「で…でも、ハルちゃんが水落のトコだとしても、俺、1人で帰れるしっ…」
「でももう連れてきちゃった」
「帰るっ……うわっ!」
悪びれた様子もなく言う大和に、怒るというよりは焦って、千尋はベッドから立ち上がろうとしたが、大和に手を引かれて、再びベッドに座り直してしまった。
「もう日付変わってるって。終電ないよ。タクシーで帰るより、今日ここ泊まってって、明日電車で帰ったほうがよくない?」
「グッ…、でもここに泊まる必要ないっ! 俺、別の部屋…」
「空いてないって。イブの夜だよ?」
「うぬぬ…」
千尋が何を言っても、大和にあっさり切り返されてしまう。
これが遥希や琉だったら、千尋はもっと口八丁にいろいろ言えるのに、慣れない相手と、焦る気持ちのせいで、全然うまくいかない。
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「だって意味が…。何で俺が気を失ったら、大和くん……一ノ瀬さんが」
「大和くんでいいよ。つかむしろ、大和て呼んで?」
「………………、大和くんが俺のことを部屋に連れてくるわけ?」
普段、遥希と喋るとき、大和くんと呼んでいるから、本人を前にしてもついそう言ってしまい、千尋は慌てて訂正したが、その本人が、何抜かしてやがる、ということを、キラキラのアイドルスマイルで提案してきたので、千尋は聞こえない振りで、『大和くん』呼びを継続した。
「だって倒れたちーちゃん、楽屋に放置しておけないじゃん。俺、そんな鬼の子じゃないよ」
「鬼の子……ラムちゃん? 『だっちゃ』て言って」
「ちーちゃんのこと、放っておけないっちゃ★」
やっぱり千尋、倒れたときに頭を打ったのかなぁ…というような、アホなお願いをしてみたら、大和は恥ずかしがることもなく、あっさりとやってくれた。
自分からねだっておいて何だが、大和て、どこまでが本気なのか、よく分からない…。
「つか、楽屋に放っておかれても困るけど、そうじゃなくて、起こしてくれたらいいじゃん! そしたら俺、ハルちゃんと一緒に帰ったのに!」
「いやぁ、それはないんじゃない?」
「何で」
選択肢は、楽屋に放置か、ホテルの大和の部屋来るか、の二択ではないはずだ。
千尋はコンサートが終わったら、FATEの楽屋に行って大和の裸を見たら、遥希と一緒に帰るつもりだったのに。でもそれを、大和があっさりと否定するから、千尋は訝るように眉を上げた。
「だってハルちゃんは今、琉の部屋だっちゃ★」
「あ…」
そうだった。
あの2人は、恋人同士なのだ。しかも今日はクリスマスイブ。たとえ明日もコンサートがあるとはいえ、ようやく出会えた2人が、顔を見ただけでバイバイなんかするはずがない。
「でしょー? だからちーちゃんは今日、ハルちゃんと一緒にお家には帰れないの」
「で…でも、ハルちゃんが水落のトコだとしても、俺、1人で帰れるしっ…」
「でももう連れてきちゃった」
「帰るっ……うわっ!」
悪びれた様子もなく言う大和に、怒るというよりは焦って、千尋はベッドから立ち上がろうとしたが、大和に手を引かれて、再びベッドに座り直してしまった。
「もう日付変わってるって。終電ないよ。タクシーで帰るより、今日ここ泊まってって、明日電車で帰ったほうがよくない?」
「グッ…、でもここに泊まる必要ないっ! 俺、別の部屋…」
「空いてないって。イブの夜だよ?」
「うぬぬ…」
千尋が何を言っても、大和にあっさり切り返されてしまう。
これが遥希や琉だったら、千尋はもっと口八丁にいろいろ言えるのに、慣れない相手と、焦る気持ちのせいで、全然うまくいかない。
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