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恋と呼ぶにはまだ早い (15)
2013.01.07 Mon
「………………え?」
ここが千尋の家でなくて、大和がいるということは、彼の部屋ということか。
でもどうして自分がこんなところに?
以前、目を覚ましたら、遥希と一緒に琉の家にいたことはあったが、あれはクラブでの一件があった後のことで、千尋も事の次第が分かっていたが、今回ばかりは意味が分からない。
「えと…、あの、えっと…?」
「大丈夫? 引っ繰り返ったとき、ギリギリ受け止めたから、頭ぶったりとかはしてないし、大丈夫だとは思うけど」
「頭…」
大和にそう言われて、千尋はベッドの上にペタンと座りながら、記憶を辿る。
そういえば、遥希と一緒にFATEのコンサートに来た千尋は、コンサート終了後、楽屋に呼ばれたんだっけ。そこにはもちろん、琉だけでなく大和もいたはずで。
でも引っ繰り返ったって…?
「え、まさかちーちゃん、何も覚えてない? 俺が誰だか分かる?」
「………………、一ノ瀬大和」
「よかったぁ、全然知らない人にホテルに連れ込まれました、とか言われたら、俺、犯罪者になっちゃう」
「……」
大和に尋ねられるがままに答えれば、冗談ともつかない口調で大和が返してくる。
千尋が大和を知っているのは、彼が超有名人であり、遥希がFATEのファンだからであって、別に、見知らぬ一室で2人きりになるほどの間柄ではない。
そういう意味では、全然『よかったぁ』ではない気がするが、大和は千尋が目を覚ましたことにホッとしているようだし、千尋も何か面倒くさいから、とりあえず黙っておく。
「てか、ここ、ホテルなんですね」
「うん。3daysのときは、都内でもホテルに泊まんの。ここは俺の部屋ー」
「そうですか。で、何で俺はここに?」
「え、ちーちゃん、マジでいろいろ覚えてないの?」
大和に目を見張られ、千尋は自分が完全には記憶を取り戻していないことに気が付いた。
記憶喪失にでもなった気分だが、自分の名前はちゃんと言えるし、遥希のことも分かるし、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、実家がどこにあるかもちゃんと分かる。
「俺らのコンサート見に来てくれたことは? 覚えてる?」
「覚えてる」
「じゃあ、終わった後、楽屋に来てくれたことは?」
「分かる」
最初は敬語で話していた千尋だったが、大和がフレンドリーなうえにタメ口なので(遥希情報から、大和のほうが年下なことは知っている)、千尋も敬語をやめて答えた。
今日彼が宿泊するために手配された部屋は、当然ながらベッドが1つしかないが、それはダブルサイズと言ってもまだ足りないくらいだから、クィーンサイズなのだろうか。
そんなベッドの上、千尋が座っている横に、大和も腰を下ろした。
「俺に会ったの、覚えてる?」
「…ような気がする」
「ちょっ…そっからは曖昧なの~? ヒドッ」
そう言われても。
仕事の上で建前を話したり、本音を隠したりすることはあるけれど、基本的に千尋は自分の気持ちに素直な人なので、今も、覚えていないものは覚えていないのだから、と嘘をつくことはしなかった。
back next
ここが千尋の家でなくて、大和がいるということは、彼の部屋ということか。
でもどうして自分がこんなところに?
以前、目を覚ましたら、遥希と一緒に琉の家にいたことはあったが、あれはクラブでの一件があった後のことで、千尋も事の次第が分かっていたが、今回ばかりは意味が分からない。
「えと…、あの、えっと…?」
「大丈夫? 引っ繰り返ったとき、ギリギリ受け止めたから、頭ぶったりとかはしてないし、大丈夫だとは思うけど」
「頭…」
大和にそう言われて、千尋はベッドの上にペタンと座りながら、記憶を辿る。
そういえば、遥希と一緒にFATEのコンサートに来た千尋は、コンサート終了後、楽屋に呼ばれたんだっけ。そこにはもちろん、琉だけでなく大和もいたはずで。
でも引っ繰り返ったって…?
「え、まさかちーちゃん、何も覚えてない? 俺が誰だか分かる?」
「………………、一ノ瀬大和」
「よかったぁ、全然知らない人にホテルに連れ込まれました、とか言われたら、俺、犯罪者になっちゃう」
「……」
大和に尋ねられるがままに答えれば、冗談ともつかない口調で大和が返してくる。
千尋が大和を知っているのは、彼が超有名人であり、遥希がFATEのファンだからであって、別に、見知らぬ一室で2人きりになるほどの間柄ではない。
そういう意味では、全然『よかったぁ』ではない気がするが、大和は千尋が目を覚ましたことにホッとしているようだし、千尋も何か面倒くさいから、とりあえず黙っておく。
「てか、ここ、ホテルなんですね」
「うん。3daysのときは、都内でもホテルに泊まんの。ここは俺の部屋ー」
「そうですか。で、何で俺はここに?」
「え、ちーちゃん、マジでいろいろ覚えてないの?」
大和に目を見張られ、千尋は自分が完全には記憶を取り戻していないことに気が付いた。
記憶喪失にでもなった気分だが、自分の名前はちゃんと言えるし、遥希のことも分かるし、お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、実家がどこにあるかもちゃんと分かる。
「俺らのコンサート見に来てくれたことは? 覚えてる?」
「覚えてる」
「じゃあ、終わった後、楽屋に来てくれたことは?」
「分かる」
最初は敬語で話していた千尋だったが、大和がフレンドリーなうえにタメ口なので(遥希情報から、大和のほうが年下なことは知っている)、千尋も敬語をやめて答えた。
今日彼が宿泊するために手配された部屋は、当然ながらベッドが1つしかないが、それはダブルサイズと言ってもまだ足りないくらいだから、クィーンサイズなのだろうか。
そんなベッドの上、千尋が座っている横に、大和も腰を下ろした。
「俺に会ったの、覚えてる?」
「…ような気がする」
「ちょっ…そっからは曖昧なの~? ヒドッ」
そう言われても。
仕事の上で建前を話したり、本音を隠したりすることはあるけれど、基本的に千尋は自分の気持ちに素直な人なので、今も、覚えていないものは覚えていないのだから、と嘘をつくことはしなかった。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒
そういえば3daysの中日だった~
てっきり、大和くん宅にお持ち帰りされたと思ってましたよw(*゜o゜*)w
ま、あんまり変わらないか…
前作の時から大和くんは、ちーちゃんのことかなりお気に入りだったものね。
ちーちゃん、スバラシイ観察力で侮れないと思いきや、
鈍感さんなところもおありなので、
大和くん!ここは押せ!押せ!で~
てっきり、大和くん宅にお持ち帰りされたと思ってましたよw(*゜o゜*)w
ま、あんまり変わらないか…
前作の時から大和くんは、ちーちゃんのことかなりお気に入りだったものね。
ちーちゃん、スバラシイ観察力で侮れないと思いきや、
鈍感さんなところもおありなので、
大和くん!ここは押せ!押せ!で~
- |2013.01.07
- |Mon
- |15:28
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
お家にはお持ち帰りされてませんが、しっかり連れ込まれちゃってます(^_^;)
琉タンはちーちゃんのこと苦手ですが、大和くんはなぜかお気に入り♪ なので、抜け目がありませぬ。。。
> ちーちゃん、スバラシイ観察力で侮れないと思いきや、
> 鈍感さんなところもおありなので、
そうなんですよね…。
ちーちゃんがしっかり者に見えるのは、それ以上にぼんやりしたハルちゃんがそばにいるからで、実際は…(笑)
大和くん、どこまで押せ押せで行けるでしょうか。
通じなくても、へこまずがんばれるかが勝負ですね(^_^;)
コメントありがとうございました!
琉タンはちーちゃんのこと苦手ですが、大和くんはなぜかお気に入り♪ なので、抜け目がありませぬ。。。
> ちーちゃん、スバラシイ観察力で侮れないと思いきや、
> 鈍感さんなところもおありなので、
そうなんですよね…。
ちーちゃんがしっかり者に見えるのは、それ以上にぼんやりしたハルちゃんがそばにいるからで、実際は…(笑)
大和くん、どこまで押せ押せで行けるでしょうか。
通じなくても、へこまずがんばれるかが勝負ですね(^_^;)
コメントありがとうございました!
- |2013.01.07
- |Mon
- |21:45
- |URL
- |EDIT|