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rain in my heart (3)
2012.12.21 Fri
「俺…卓と別れたんだ」
テーブルの上に置いたまま少しだけカップを傾けて、蒼衣はミルクを1口飲んだ。
「1年も付き合ってたのに。いっぱいいっぱい好きだって言ったのに。……卓は1回も言ってくれなかった。だから俺、『別れよう』って言ったんだ。きっと卓は俺のこと、好きじゃないから」
「…そっか」
「うん。でも、怜士くんは簡単に好きだって言ってくれるんだね」
「好きだから」
「好きだから、か…。卓は俺のこと好きじゃないから、言ってくれなかったのかな?」
「…さぁ」
「俺…、卓に『別れよう』って言っちゃった…」
「言っちゃったんだ」
「…うん、言っちゃった…」
蒼衣は立てた膝を抱えて、そこに顔をうずめた。
♪~~~~♪~~~~♪
不意に、蒼衣の携帯が音を立てた。
「卓だ…」
ディスプレイから顔を上げた蒼衣の視線の先には、ジッと自分を見つめる怜士の姿があった。蒼衣は怜士から視線をそらして電話に出た。
『蒼衣! 今どこにいるんだよ!?』
電話越しの卓の声は、怒りに満ちていた。
『急に別れるなんて、どういうことなんだよ! ちゃんと説明しろよ、蒼衣!!』
受話器の向こうからも、雨音がした。
卓も、雨より、晴れているほうが好きなのに。
『蒼衣っ!! 俺は認めねぇぞ、別れるなんて! 理由言えよ!!』
「別れたくないの…?」
『当ったり前だろ! ふざけんなよ! 俺がいつ、お前と別れたいだなんて言ったんだよ!?』
「卓…俺のこと、好き…?」
『言わなきゃ分かんねぇのかよっ!?』
「…………」
『蒼衣っ?』
「卓、今どこ…?」
『はぁ!? お前んちの前だよ! 行ったら留守だから!』
「そっか…。……今から帰るね」
『あ? あぁ…』
「じゃぁ…」
そして電話は切れて。
「卓は、別れたくないみたい…。好きなのかどうか、言わなきゃ分かんないのかって、怒られちゃった」
「…そっか」
「俺…、最初から、怜士くんのこと好きになればよかった」
「かもな」
「俺…。帰るね」
「服、乾いてるよ」
「ありがと…。あと…タクシー呼んでもらえると嬉しいんだけど」
「あぁ」
短い会話の後、蒼衣は乾いた自分の服に袖を通し、怜士は携帯でタクシーを呼んだ。
「雨…止まないね」
「…そうだな」
呟きも、雨音に溶けて消えた。
*END*
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テーブルの上に置いたまま少しだけカップを傾けて、蒼衣はミルクを1口飲んだ。
「1年も付き合ってたのに。いっぱいいっぱい好きだって言ったのに。……卓は1回も言ってくれなかった。だから俺、『別れよう』って言ったんだ。きっと卓は俺のこと、好きじゃないから」
「…そっか」
「うん。でも、怜士くんは簡単に好きだって言ってくれるんだね」
「好きだから」
「好きだから、か…。卓は俺のこと好きじゃないから、言ってくれなかったのかな?」
「…さぁ」
「俺…、卓に『別れよう』って言っちゃった…」
「言っちゃったんだ」
「…うん、言っちゃった…」
蒼衣は立てた膝を抱えて、そこに顔をうずめた。
♪~~~~♪~~~~♪
不意に、蒼衣の携帯が音を立てた。
「卓だ…」
ディスプレイから顔を上げた蒼衣の視線の先には、ジッと自分を見つめる怜士の姿があった。蒼衣は怜士から視線をそらして電話に出た。
『蒼衣! 今どこにいるんだよ!?』
電話越しの卓の声は、怒りに満ちていた。
『急に別れるなんて、どういうことなんだよ! ちゃんと説明しろよ、蒼衣!!』
受話器の向こうからも、雨音がした。
卓も、雨より、晴れているほうが好きなのに。
『蒼衣っ!! 俺は認めねぇぞ、別れるなんて! 理由言えよ!!』
「別れたくないの…?」
『当ったり前だろ! ふざけんなよ! 俺がいつ、お前と別れたいだなんて言ったんだよ!?』
「卓…俺のこと、好き…?」
『言わなきゃ分かんねぇのかよっ!?』
「…………」
『蒼衣っ?』
「卓、今どこ…?」
『はぁ!? お前んちの前だよ! 行ったら留守だから!』
「そっか…。……今から帰るね」
『あ? あぁ…』
「じゃぁ…」
そして電話は切れて。
「卓は、別れたくないみたい…。好きなのかどうか、言わなきゃ分かんないのかって、怒られちゃった」
「…そっか」
「俺…、最初から、怜士くんのこと好きになればよかった」
「かもな」
「俺…。帰るね」
「服、乾いてるよ」
「ありがと…。あと…タクシー呼んでもらえると嬉しいんだけど」
「あぁ」
短い会話の後、蒼衣は乾いた自分の服に袖を通し、怜士は携帯でタクシーを呼んだ。
「雨…止まないね」
「…そうだな」
呟きも、雨音に溶けて消えた。
*END*
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カテゴリー:読み切り短編
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒
ふぇ~ん。・°・(ノ∀`)・°・。
怜士くんの心はずっと雨降りだったんだろうね…
これからも、ずっと雨降りなのかな。
素直な想い、伝えられたのだから、
ゆっくりでもいいので、少しだけでもいいので、
その心が晴れますように!(´∀`)b
怜士くんの心はずっと雨降りだったんだろうね…
これからも、ずっと雨降りなのかな。
素直な想い、伝えられたのだから、
ゆっくりでもいいので、少しだけでもいいので、
その心が晴れますように!(´∀`)b
- |2012.12.21
- |Fri
- |08:19
- |URL
- |EDIT|
凪 ⇒
きゅぅぅぅ…・°・(ノД`)・°・
玲士くん・・・・好きなんだね・・・
蒼衣くん・・・つい甘えちゃうんだね・・・・
ちよさんのコメントに
「雨は蒼衣くんの涙かも」ってあったけど
ほんとは玲士くんの涙かも・・・・
でもこの優しさと愛のどうしようもなさが
切なくて、しみちゃいますっっ( ´(ェ)`)
玲士くん・・・・好きなんだね・・・
蒼衣くん・・・つい甘えちゃうんだね・・・・
ちよさんのコメントに
「雨は蒼衣くんの涙かも」ってあったけど
ほんとは玲士くんの涙かも・・・・
でもこの優しさと愛のどうしようもなさが
切なくて、しみちゃいますっっ( ´(ェ)`)
- |2012.12.21
- |Fri
- |09:57
- |URL
- |EDIT|
けいったん ⇒ 痺れるくらい素敵な作品を(人'▽`)ありがとう☆
怜士が 淡々と 蒼衣に応える姿が 言葉が
今までも そんな事が 何度も繰り返しあったのだと 思われて 切ない
怜士は蒼衣を いつも受け止めて来たのでしょう
そして
蒼衣と 離れたくない為に
これからも きっと 繰り返される度に また受け止めるしかない
決して 恋心を流し消してはくれない 心の中の雨を降らせながら
如月さま~ 胸がシクシク締め付けられるお話し
ほんと 前回の いっちゃんのお話しとは 全く違う~~!
そんな作品を書かれる如月さまに ギャップ萌え~♡
(*ノωノ)ポッ...byebye☆
今までも そんな事が 何度も繰り返しあったのだと 思われて 切ない
怜士は蒼衣を いつも受け止めて来たのでしょう
そして
蒼衣と 離れたくない為に
これからも きっと 繰り返される度に また受け止めるしかない
決して 恋心を流し消してはくれない 心の中の雨を降らせながら
如月さま~ 胸がシクシク締め付けられるお話し
ほんと 前回の いっちゃんのお話しとは 全く違う~~!
そんな作品を書かれる如月さまに ギャップ萌え~♡
(*ノωノ)ポッ...byebye☆
- |2012.12.21
- |Fri
- |10:11
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
あわわ、ちよさんを泣かせてしまった…!
怜士さん、見送ってる場合じゃないでしょ! て感じですが、大人になってしまいました…。
ちよさんの優しい気持ちが届いて、怜士さんの心が少しでも晴れてくれたらですね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
怜士さん、見送ってる場合じゃないでしょ! て感じですが、大人になってしまいました…。
ちよさんの優しい気持ちが届いて、怜士さんの心が少しでも晴れてくれたらですね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.12.21
- |Fri
- |22:58
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >凪さん
はわわわわ、凪さんまで泣かせてしまった…(>_<)
怜士さんの大人の優しさに甘えてしまう蒼衣くんは、もしかしたらずるい人かもしれないけれど、どうしても拠り所にしてしまうんですね。
雨が止まずに、みんなの心の中に降ってます。。。
久々に切ないお話でしたが、いかがでしたでしょうか。
凪さんのコメントの、「優しさと愛のどうしようもなさ」という言葉が、私には印象的でした。
コメントありがとうございました!
怜士さんの大人の優しさに甘えてしまう蒼衣くんは、もしかしたらずるい人かもしれないけれど、どうしても拠り所にしてしまうんですね。
雨が止まずに、みんなの心の中に降ってます。。。
久々に切ないお話でしたが、いかがでしたでしょうか。
凪さんのコメントの、「優しさと愛のどうしようもなさ」という言葉が、私には印象的でした。
コメントありがとうございました!
- |2012.12.21
- |Fri
- |23:04
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
怜士さんは大人です。
でも大人すぎて、無理に行くこともしなければ、強引にもなりきれない。
そんな怜士さんを拠り所にしてしまう蒼衣くんは、無自覚だけれど、ちょっとずるい人。
でも、そんな蒼衣くんを拒まない怜士さんは、けいったんさんの仰るとおり、蒼衣くんと離れたくない気持ちがあるわけで……やっぱりズルいのかもですね。
前回までのいっちゃんが、あんまりにもハチャメチャだったので、余計にこのお話が切なく感じるかもですよね(笑)
ギャップ萌え、いただきました! 嬉しい(*^_^*)
コメントありがとうございました!
でも大人すぎて、無理に行くこともしなければ、強引にもなりきれない。
そんな怜士さんを拠り所にしてしまう蒼衣くんは、無自覚だけれど、ちょっとずるい人。
でも、そんな蒼衣くんを拒まない怜士さんは、けいったんさんの仰るとおり、蒼衣くんと離れたくない気持ちがあるわけで……やっぱりズルいのかもですね。
前回までのいっちゃんが、あんまりにもハチャメチャだったので、余計にこのお話が切なく感じるかもですよね(笑)
ギャップ萌え、いただきました! 嬉しい(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.12.21
- |Fri
- |23:09
- |URL
- |EDIT|