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rain in my heart (2)
2012.12.20 Thu
「そっか…、別れたのか」
「うん、別れたんだ…」
キレイなテーブルの上に、ポトッと透明な雫が落ちた。表面張力で、丸い小さな粒になっている。けれど蒼衣はその水滴を潰すように、その上にカップを置いた。まだ少しミルクが残っている。
「雨…止まないね…」
「…そうだな」
怜士の煙草に火がついた。小さな灰皿は、いつからの吸い殻が入っているのか、もういっぱいだった。
「…初めて怜士くんちに来たときのこと、覚えてる」
蒼衣は残りのミルクを飲み干した。
「卓とケンカするたびに、怜士くんちに来たんだ。何回来たか、知ってる?」
「……18回」
「1回目は、卓に告白したって、報告しに来たんだ」
「じゃあ19回だな」
「俺、卓んち、3回しか行ったことない」
怜士は灰皿の隅で煙草を消した。
「怜士くんち来る日って、いっつも雨降ってる」
「そうだな」
「卓んち行くときは、いつも晴れてた」
「…そう」
雨音が激しくなった。
「俺、雨より、晴れてるほうが好き」
「へぇ」
「なのに、怜士くんち来るときは、いっつも雨なんだ」
「いっつもか?」
「いっつもだよ」
「…そっか」
「…俺、もう帰ろうかな」
蒼衣は壁掛けの時計に視線を向けながら、そう言った。いつかに日付は変わっていた。
怜士はもう、煙草に火をつけなかった。
「卓の家に行ったって、雨は止ねぇぞ」
「…卓の家には行かないよ」
「行かないのか」
「行かない」
ゆっくりと怜士のほうを向いた。怜士はずっと蒼衣を見ていた。
「卓も、晴れてるほうが好きだって言ってた。雨は嫌いだって、言ってた。怜士くんは?」
「…どっちも好きだよ」
「ズルイ答えだね」
「ズルイか?」
「ズルイ」
「じゃあ、こういうのは? 雨より晴れてる方が好きだけど、お前のことは好きだ」
「そっちのがズルイ」
「そうかな?」
「そうだよ」
蒼衣は空になったカップに手を伸ばした。空なことは分かっていたが、何となく手持ち無沙汰だった。
「まだ飲むか?」
「…ん。温めなくてもいい、もう寒くないから」
「あぁ」
冷蔵庫から1リットルのパックを持ってきて、空のマグカップに注いでやった。ついでに自分のにも入れる。もう1度冷蔵庫まで戻るのも面倒で、パックはそのままテーブルの上に置いておいた。
back next
「うん、別れたんだ…」
キレイなテーブルの上に、ポトッと透明な雫が落ちた。表面張力で、丸い小さな粒になっている。けれど蒼衣はその水滴を潰すように、その上にカップを置いた。まだ少しミルクが残っている。
「雨…止まないね…」
「…そうだな」
怜士の煙草に火がついた。小さな灰皿は、いつからの吸い殻が入っているのか、もういっぱいだった。
「…初めて怜士くんちに来たときのこと、覚えてる」
蒼衣は残りのミルクを飲み干した。
「卓とケンカするたびに、怜士くんちに来たんだ。何回来たか、知ってる?」
「……18回」
「1回目は、卓に告白したって、報告しに来たんだ」
「じゃあ19回だな」
「俺、卓んち、3回しか行ったことない」
怜士は灰皿の隅で煙草を消した。
「怜士くんち来る日って、いっつも雨降ってる」
「そうだな」
「卓んち行くときは、いつも晴れてた」
「…そう」
雨音が激しくなった。
「俺、雨より、晴れてるほうが好き」
「へぇ」
「なのに、怜士くんち来るときは、いっつも雨なんだ」
「いっつもか?」
「いっつもだよ」
「…そっか」
「…俺、もう帰ろうかな」
蒼衣は壁掛けの時計に視線を向けながら、そう言った。いつかに日付は変わっていた。
怜士はもう、煙草に火をつけなかった。
「卓の家に行ったって、雨は止ねぇぞ」
「…卓の家には行かないよ」
「行かないのか」
「行かない」
ゆっくりと怜士のほうを向いた。怜士はずっと蒼衣を見ていた。
「卓も、晴れてるほうが好きだって言ってた。雨は嫌いだって、言ってた。怜士くんは?」
「…どっちも好きだよ」
「ズルイ答えだね」
「ズルイか?」
「ズルイ」
「じゃあ、こういうのは? 雨より晴れてる方が好きだけど、お前のことは好きだ」
「そっちのがズルイ」
「そうかな?」
「そうだよ」
蒼衣は空になったカップに手を伸ばした。空なことは分かっていたが、何となく手持ち無沙汰だった。
「まだ飲むか?」
「…ん。温めなくてもいい、もう寒くないから」
「あぁ」
冷蔵庫から1リットルのパックを持ってきて、空のマグカップに注いでやった。ついでに自分のにも入れる。もう1度冷蔵庫まで戻るのも面倒で、パックはそのままテーブルの上に置いておいた。
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ちよ ⇒
怜士くんのお家に行くとき、いつも雨が降っているの?
蒼衣くんの心が泣いているときに雨が降っているんじゃないかな…
怜士くんは、蒼衣くんの心もお空も晴れやかがお好み?
蒼衣くんの想いは…
蒼衣くんの心が泣いているときに雨が降っているんじゃないかな…
怜士くんは、蒼衣くんの心もお空も晴れやかがお好み?
蒼衣くんの想いは…
- |2012.12.20
- |Thu
- |13:09
- |URL
- |EDIT|
凪 ⇒
とっても雰囲気のあるすとーりぃですね
18回・・・3回・・・・・
覚えている数字に想いが隠れているようで・・・
ドキドキ
またまた楽しみにしております(*^_^*)
18回・・・3回・・・・・
覚えている数字に想いが隠れているようで・・・
ドキドキ
またまた楽しみにしております(*^_^*)
- |2012.12.20
- |Thu
- |17:14
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
普段は気にならない雨も、自分の心が沈んでいると、やけに気になったりしますよね。
> 蒼衣くんの心が泣いているときに雨が降っているんじゃないかな…
そうかもですね。
でも、そのことに、蒼衣くん自身は気付いているのかいないのか。
怜士さん、蒼衣くんの心が晴れることを願っていますが。。。
しんみりしたお話に、素敵なコメントありがとうございました!
> 蒼衣くんの心が泣いているときに雨が降っているんじゃないかな…
そうかもですね。
でも、そのことに、蒼衣くん自身は気付いているのかいないのか。
怜士さん、蒼衣くんの心が晴れることを願っていますが。。。
しんみりしたお話に、素敵なコメントありがとうございました!
- |2012.12.20
- |Thu
- |22:33
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >凪さん
急に、打って変わって、しんみりしたお話…。
いきなりこんなで、みなさんを戸惑わせていないかと、ドキドキ…。
お家に来た回数、ちゃんと覚えているあたり、ただならぬ感情を抱えているとしか思えないわけですが。
果たして蒼衣くん、そこまで分かっているのかどうか。。。
短いお話ですが、お付き合いくださいませ。
コメントありがとうございました!
いきなりこんなで、みなさんを戸惑わせていないかと、ドキドキ…。
お家に来た回数、ちゃんと覚えているあたり、ただならぬ感情を抱えているとしか思えないわけですが。
果たして蒼衣くん、そこまで分かっているのかどうか。。。
短いお話ですが、お付き合いくださいませ。
コメントありがとうございました!
- |2012.12.20
- |Thu
- |22:36
- |URL
- |EDIT|