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暴君王子のおっしゃることには! (207)
2012.11.24 Sat
「ねぇ、ていうか、光宏さん!」
「…『さん』?」
一伽が一気にグラスの水を飲み干して、氷をガリガリ噛み砕いていたから、注ぎ足してやろうとしていたら(いくら一伽が迷惑でも、お客はお客だから、そこはちゃんとするのが光宏だ)、急にさん付けで呼ばれて、光宏は眉を寄せた。
つい今まで自分と話していたのに…と、雪乃もちょっと驚いている。
「俺、ちょっとユキちゃんと話があんだけど! ユキちゃんのこと借りてもいーい?」
「借りる、て…」
「大橋もいんだし、いいでしょ? あっちでユキちゃんとお話したいの。ねっ?」
はぁ? という顔をする光宏に、一伽は片手で雪乃の腕を掴みつつ、反対の手で奥のテーブル席を指差した。
確かに昼の混雑のピークは過ぎたし、ボンヤリはしているが大橋もいる。けれど、雪乃はまだ仕事中なわけで…。
「いっちゃん、話なら今じゃなくても、家に帰ってから…」
「だってユキちゃん、今日どうせ光宏んち行くんでしょ? 話なんて出来ないじゃん」
「あ、ぅ…、えと…」
雪乃が尤もなことを言えば、一伽も負けじと言い返して。その言葉に、つい頬を赤らめてしまった雪乃は、うまく言葉を続けられない。
店内にお客はもう、先の3人組の女の子と、カップルが1組しかおらず、一伽の声も小さめだったから、聞こえてはいないと思うが、やっぱりちょっと恥ずかしい。
「大体ユキちゃん、休憩時間とかないの? まさか飲まず食わずで、光宏に働かされてるんじゃないよね!?」
「人聞き悪いこと言うなっ。…ユキ、もういいから、コイツに付き合ってやって」
いくら雪乃が吸血鬼で、人間のように食べ物で食事をしなくてもいいのだとしても、昼の休憩を取らせないわけはないし、これ以上一伽に何か言ったところで埒が明かないので、光宏は雪乃にそう伝えた。
「もう、いっちゃんてば…」
仕方なく雪乃はエプロンを外して、すでに奥のテーブル席で待っている一伽のもとに行った。
「いっちゃん、話って?」
「俺ね、ユキちゃんに聞きたいことあって。昨日聞くの忘れちゃったからさぁ。あ、ユキちゃんも何か食べる? 奢るよ?」
「……」
タダより高いものはないというか、まさか一伽に限って、人に奢るなんてことを自分から言い出すのはあり得ないというか、とにかくそんなだから、雪乃は一伽の言葉に警戒した。
絶対に、ロクなことを言わないに決まっている。
「いっちゃん、俺やっぱ、仕事に戻…」
「ダメー!」
「ちょっ」
立ち上がろうとした雪乃の腕を捕まえて、一伽は雪乃を椅子に戻した。
「だっていっちゃんがご飯奢るとか、絶対怪しいもん」
「じゃあ奢んない。だから、話聞いて?」
「…………」
そういう問題でもないのだけれど、これは話を聞くまで長くなりそうだ…と観念して、雪乃は椅子に座り直した。
小さめのテーブルを挟んで、2人で向かい合っている状態。しかし一伽が身を乗り出して手招きするので、雪乃も少し腰を浮かせて、一伽のほうに顔を寄せた。
「何、いっちゃん」
「ちょっと耳貸してよ」
「え、そんな内緒話、今するの?」
いくら雪乃が今日の夜帰らないとはいえ、そんなコッソリしたい話を、今こんな場所でするなんて。
気になって雪乃が視線だけで周囲を見れば、カップルは自分たちの世界だからいいとして、少し離れた席にいる女の子3人組のうち1人と目が合ってしまった。気まずい…。
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「…『さん』?」
一伽が一気にグラスの水を飲み干して、氷をガリガリ噛み砕いていたから、注ぎ足してやろうとしていたら(いくら一伽が迷惑でも、お客はお客だから、そこはちゃんとするのが光宏だ)、急にさん付けで呼ばれて、光宏は眉を寄せた。
つい今まで自分と話していたのに…と、雪乃もちょっと驚いている。
「俺、ちょっとユキちゃんと話があんだけど! ユキちゃんのこと借りてもいーい?」
「借りる、て…」
「大橋もいんだし、いいでしょ? あっちでユキちゃんとお話したいの。ねっ?」
はぁ? という顔をする光宏に、一伽は片手で雪乃の腕を掴みつつ、反対の手で奥のテーブル席を指差した。
確かに昼の混雑のピークは過ぎたし、ボンヤリはしているが大橋もいる。けれど、雪乃はまだ仕事中なわけで…。
「いっちゃん、話なら今じゃなくても、家に帰ってから…」
「だってユキちゃん、今日どうせ光宏んち行くんでしょ? 話なんて出来ないじゃん」
「あ、ぅ…、えと…」
雪乃が尤もなことを言えば、一伽も負けじと言い返して。その言葉に、つい頬を赤らめてしまった雪乃は、うまく言葉を続けられない。
店内にお客はもう、先の3人組の女の子と、カップルが1組しかおらず、一伽の声も小さめだったから、聞こえてはいないと思うが、やっぱりちょっと恥ずかしい。
「大体ユキちゃん、休憩時間とかないの? まさか飲まず食わずで、光宏に働かされてるんじゃないよね!?」
「人聞き悪いこと言うなっ。…ユキ、もういいから、コイツに付き合ってやって」
いくら雪乃が吸血鬼で、人間のように食べ物で食事をしなくてもいいのだとしても、昼の休憩を取らせないわけはないし、これ以上一伽に何か言ったところで埒が明かないので、光宏は雪乃にそう伝えた。
「もう、いっちゃんてば…」
仕方なく雪乃はエプロンを外して、すでに奥のテーブル席で待っている一伽のもとに行った。
「いっちゃん、話って?」
「俺ね、ユキちゃんに聞きたいことあって。昨日聞くの忘れちゃったからさぁ。あ、ユキちゃんも何か食べる? 奢るよ?」
「……」
タダより高いものはないというか、まさか一伽に限って、人に奢るなんてことを自分から言い出すのはあり得ないというか、とにかくそんなだから、雪乃は一伽の言葉に警戒した。
絶対に、ロクなことを言わないに決まっている。
「いっちゃん、俺やっぱ、仕事に戻…」
「ダメー!」
「ちょっ」
立ち上がろうとした雪乃の腕を捕まえて、一伽は雪乃を椅子に戻した。
「だっていっちゃんがご飯奢るとか、絶対怪しいもん」
「じゃあ奢んない。だから、話聞いて?」
「…………」
そういう問題でもないのだけれど、これは話を聞くまで長くなりそうだ…と観念して、雪乃は椅子に座り直した。
小さめのテーブルを挟んで、2人で向かい合っている状態。しかし一伽が身を乗り出して手招きするので、雪乃も少し腰を浮かせて、一伽のほうに顔を寄せた。
「何、いっちゃん」
「ちょっと耳貸してよ」
「え、そんな内緒話、今するの?」
いくら雪乃が今日の夜帰らないとはいえ、そんなコッソリしたい話を、今こんな場所でするなんて。
気になって雪乃が視線だけで周囲を見れば、カップルは自分たちの世界だからいいとして、少し離れた席にいる女の子3人組のうち1人と目が合ってしまった。気まずい…。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒
知りたがりいっちゃんの質問攻めが始まるのかな~!?
ユキちゃん先生、無理のない範囲でご指導お願いいたします…
ま、大方無理なお願いかと思われますが…(*´σー`)
かわいこちゃんズが内緒話だなんて…
そりゃあ、チラ見しちゃうギャラリーはいますよ~
ユキちゃんと目があったのは読者様代表で私かも~( *´艸`)
じ、じ、じゃぁ、あとのお二人は…?
ユキちゃん先生、無理のない範囲でご指導お願いいたします…
ま、大方無理なお願いかと思われますが…(*´σー`)
かわいこちゃんズが内緒話だなんて…
そりゃあ、チラ見しちゃうギャラリーはいますよ~
ユキちゃんと目があったのは読者様代表で私かも~( *´艸`)
じ、じ、じゃぁ、あとのお二人は…?
- |2012.11.24
- |Sat
- |10:39
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
知りたがりのいっちゃんにつかまって、ユキちゃん、とんだ災難です~(^_^;)
ちよさんの仰るとおり、ユキちゃんが無理のない範囲で答えたくとも、それをいっちゃんが許さないのですっ!
今日のcafe OKAERIのお客様はラッキーですね(*^_^*)
ちよさんと、残りの2人はやっぱり…!!
というか、私が思うに、こういうの目当てのお客様で、cafe OKAERIはいつでも大繁盛してそう(笑)
コメントありがとうございました!
ちよさんの仰るとおり、ユキちゃんが無理のない範囲で答えたくとも、それをいっちゃんが許さないのですっ!
今日のcafe OKAERIのお客様はラッキーですね(*^_^*)
ちよさんと、残りの2人はやっぱり…!!
というか、私が思うに、こういうの目当てのお客様で、cafe OKAERIはいつでも大繁盛してそう(笑)
コメントありがとうございました!
- |2012.11.24
- |Sat
- |21:58
- |URL
- |EDIT|