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暴君王子のおっしゃることには! (206)
2012.11.23 Fri
「ねぇいっちゃん…、その服いつ着替えたの? 朝出てくとき、普通の格好してたよね??」
ようやく我に返った雪乃は、席に着いた一伽に尋ねてみる。
もし家で、一伽が仕事に行くのにこの格好に着替えようとしていたら絶対に止めたのに、一体いつの間に。
「店で着替えたんだよー。今日俺、この格好でお仕事してるの!」
「マジで?」
「かわいかろ?」
一伽からまさかの答えが返って来て、雪乃は目を丸くする。だって一伽が働いているのは、メンズファッションのショップで、コスプレで接客をするような店ではない。
しかし一伽は、自分の格好に大変満足しているらしく、その点を疑問としては思っていないようだ。
「いっちゃん、その格好で仕事してんの? ウケる~。何、航平の趣味?」
「んーん、志信の趣味」
しかし、唖然とする雪乃と違って、茉莉江は大層ウケて、手を叩きながら大笑いしている。
志信がオタクなのは別にどうでもいいけれど、普通にコスプレの衣装を持っていて、それを自分の同僚に着せるべく持参し、本当に着せているあたり、趣味を疑う。
「でも、いっちゃんが志信くんの言うこと素直に聞くなんて、珍しいね」
「うん。俺、素直ないい子になったの」
「そっかそっか、いー子、いー子」
本当に、小さい子どもにそうするように、茉莉江は一伽の頭を撫でてやる。
それにしても、どうせ素直でいい子になるなら、もっと別な場面でなればいいのに、と光宏は密かに思ったが。
「茉莉江さんトコだって、ハロウィン、何かしてるんでしょ?」
「んー、ハロウィン関係の商品揃えたり、お店飾ったりしただけね。さすがにコスプレはしてない」
「由美ちゃん、コスプレしないかな?」
「しないでしょうねぇー。して、て言ったら殴られそうだから、してほしかったら、いっちゃん自分でお願いしてね」
茉莉江の経営する輸入雑貨ショップで働く、生真面目な店員の由美にとって、コスプレは一生縁のない世界だろう(キビキビ・ハキハキ・ビシッがモットーの彼女は、オーナーである茉莉江を平気で叱れる人だ)。
茉莉江の言うとおり、コスプレなどお願いしようものなら(どうせ一伽が来てほしいと頼むのは、エロい格好だろうから)、1発くらいは殴られるかもしれない。
「てことで、由美ちゃんに怒られないうちに帰るわね。バーイ」
吸血鬼のコスプレをした吸血鬼にまだウケながら、茉莉江は会計を済ませて店を出ていった。
「で、いっちゃん、注文は? てか、ホントにご飯食べに来たの??」
「そうに決まってんじゃん。わざわざ、目の前で繰り広げられるバカップルのいちゃつきを、見学しに来たとでも思ってんの?」
「そうじゃなくて…」
席に着いたきり、注文しないどころか、メニューも見ていない一伽に尋ねれば、シレッと意地悪く返された。
別に雪乃は、そういうことを言いたかったわけではないのに…。
「…お客様、ご注文は?」
「うわっ、光宏、愛想悪ぃ! 店員失格だ!」
「注文しないなら、営業妨害で追い出すぞっ」
「もぉ~、するってば! バーカバーカ!」
「…………」
光宏に言われて、一伽は小学生並みの悪口を言ってから、ようやくメニューを手に取った。
確かに今の光宏の態度は、普通のお客に対しては問題ありだが、相手は一伽なのだ。このくらいしたって、全然悪いことはない。
「じゃあ、かぼちゃのグラタンにする。つか、あのかぼちゃのって、ユキちゃんが作ったヤツ?」
「そう! 俺ね、毎日くり貫きまくったんだよ?」
「昨日家でも見たけど、結構うまいじゃん」
期間限定の一番人気のメニューを注文した一伽は、店内に飾られているジャック・オ・ランタンを指差した。
ようやくそれについて触れてもらえて、しかも一伽からめったになく褒められて、雪乃は嬉しそうに笑った。
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ようやく我に返った雪乃は、席に着いた一伽に尋ねてみる。
もし家で、一伽が仕事に行くのにこの格好に着替えようとしていたら絶対に止めたのに、一体いつの間に。
「店で着替えたんだよー。今日俺、この格好でお仕事してるの!」
「マジで?」
「かわいかろ?」
一伽からまさかの答えが返って来て、雪乃は目を丸くする。だって一伽が働いているのは、メンズファッションのショップで、コスプレで接客をするような店ではない。
しかし一伽は、自分の格好に大変満足しているらしく、その点を疑問としては思っていないようだ。
「いっちゃん、その格好で仕事してんの? ウケる~。何、航平の趣味?」
「んーん、志信の趣味」
しかし、唖然とする雪乃と違って、茉莉江は大層ウケて、手を叩きながら大笑いしている。
志信がオタクなのは別にどうでもいいけれど、普通にコスプレの衣装を持っていて、それを自分の同僚に着せるべく持参し、本当に着せているあたり、趣味を疑う。
「でも、いっちゃんが志信くんの言うこと素直に聞くなんて、珍しいね」
「うん。俺、素直ないい子になったの」
「そっかそっか、いー子、いー子」
本当に、小さい子どもにそうするように、茉莉江は一伽の頭を撫でてやる。
それにしても、どうせ素直でいい子になるなら、もっと別な場面でなればいいのに、と光宏は密かに思ったが。
「茉莉江さんトコだって、ハロウィン、何かしてるんでしょ?」
「んー、ハロウィン関係の商品揃えたり、お店飾ったりしただけね。さすがにコスプレはしてない」
「由美ちゃん、コスプレしないかな?」
「しないでしょうねぇー。して、て言ったら殴られそうだから、してほしかったら、いっちゃん自分でお願いしてね」
茉莉江の経営する輸入雑貨ショップで働く、生真面目な店員の由美にとって、コスプレは一生縁のない世界だろう(キビキビ・ハキハキ・ビシッがモットーの彼女は、オーナーである茉莉江を平気で叱れる人だ)。
茉莉江の言うとおり、コスプレなどお願いしようものなら(どうせ一伽が来てほしいと頼むのは、エロい格好だろうから)、1発くらいは殴られるかもしれない。
「てことで、由美ちゃんに怒られないうちに帰るわね。バーイ」
吸血鬼のコスプレをした吸血鬼にまだウケながら、茉莉江は会計を済ませて店を出ていった。
「で、いっちゃん、注文は? てか、ホントにご飯食べに来たの??」
「そうに決まってんじゃん。わざわざ、目の前で繰り広げられるバカップルのいちゃつきを、見学しに来たとでも思ってんの?」
「そうじゃなくて…」
席に着いたきり、注文しないどころか、メニューも見ていない一伽に尋ねれば、シレッと意地悪く返された。
別に雪乃は、そういうことを言いたかったわけではないのに…。
「…お客様、ご注文は?」
「うわっ、光宏、愛想悪ぃ! 店員失格だ!」
「注文しないなら、営業妨害で追い出すぞっ」
「もぉ~、するってば! バーカバーカ!」
「…………」
光宏に言われて、一伽は小学生並みの悪口を言ってから、ようやくメニューを手に取った。
確かに今の光宏の態度は、普通のお客に対しては問題ありだが、相手は一伽なのだ。このくらいしたって、全然悪いことはない。
「じゃあ、かぼちゃのグラタンにする。つか、あのかぼちゃのって、ユキちゃんが作ったヤツ?」
「そう! 俺ね、毎日くり貫きまくったんだよ?」
「昨日家でも見たけど、結構うまいじゃん」
期間限定の一番人気のメニューを注文した一伽は、店内に飾られているジャック・オ・ランタンを指差した。
ようやくそれについて触れてもらえて、しかも一伽からめったになく褒められて、雪乃は嬉しそうに笑った。
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