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暴君王子のおっしゃることには! (205)
2012.11.22 Thu
ハロウィンはもともとヨーロッパが発祥で、日本でのブームはここ最近のことだが、cafe OKAERIでも珍しく流行に便乗して、10月の店内はハロウィン仕様だ。
店長である美也子は、それほどハロウィンに興味がなかったが、自分は飾り付けの手伝いをしない、という条件付きで、ハロウィンの装飾を許したのである。
ちなみに、ハロウィンではお馴染みのジャック・オ・ランタンは本来、食用でない飾り用のかぼちゃで作るのだが、飾り付けには口を出さないはずの美也子が、くり貫いた中身を料理に使うから食用のかぼちゃで作れと言うので、cafe OKAERIの店内には、食用の深緑色をしたかぼちゃ頭が並んでいる。
というか、食用か飾り用か以前に、ジャック・オ・ランタンなんて、雑貨屋で売っている置き物とかを考えていたのに、美也子の一言で、すごく本格的なことになってしまった。
これには一応、1か月も同じかぼちゃを飾り続けるのは傷むから無理だと光宏も反論したのだが、それなら日々くり貫けばいいと美也子も譲らず、結局雪乃がかぼちゃくり貫き係に任命された。
さすがに美也子も本気ではないだろうし、雪乃も断るだろうと思ったのだが、根がお人好しなうえに、一伽によって暴君ぶりに慣れている雪乃は、文句も言わず、毎日数個のかぼちゃをくり貫いたし、美也子はくり貫いた中身と、飾り終えて傷む前のかぼちゃ頭で料理を作り、結局2人は絶妙のコンビネーションを見せたのだった。
「ーじゃあ、ユキちゃんがかぼちゃくり貫くもの、今日が最後なの?」
「はい」
cafe OKAERIの常連客である茉莉江が、カウンター席で食後のコーヒーを飲みながら、小首を傾げた。
お店がハロウィン仕様なのは10月いっぱいなので、雪乃がジャック・オ・ランタンを作るのも、今日が最後だ。今日までに、軽く100個はくり貫いている。
「最初はすごいのあったけど、今はちゃんと出来てるもんね。すごいすごい」
「えへへー」
お世辞とはいえ、褒められるとやっぱり嬉しいので、雪乃は笑顔になる。
まぁ、これだけの数をこなしたのだから、多少は上達していないと。
雪乃作のジャック・オ・ランタンも、美也子考案の期間限定ハロウィンメニューも好評で、今年のcafe OKAERIのハロウィンは、成功のまま終わりそうだ。
初めはいろいろと心配していた光宏も、ホッと胸を撫で下ろした――――のも束の間。
「ハロー! ハッピーハロウィ~ン!!」
バーン! と、入り口のドアが勢いよく開いて、相変わらずの賑やかさでやって来たのは、久しぶりの一伽だった。
片手を腰に当て、もう片方の手でピースをしている。小学生か、と突っ込んでやりたくなるようなポーズだ。
常連客は一伽のこういう登場の仕方に慣れているので、さして驚きもしないが、雪乃だけは、口をあんぐり開けたまま固まっている。
一伽とはほぼ毎日家で顔を合わせているとはいえ、雪乃が働き始めてから、一伽がcafe OKAERIに来たことはなかったので、こうしたことに免疫がないのだ。
しかし、今日の一伽が驚かせたのは、雪乃だけではなかった。
「いっちゃん、その格好…?」
笑顔でカウンター席にやって来た一伽に、茉莉江は目をパシパシさせながら尋ねた。
突拍子もない一伽に慣れているはずの茉莉江ですら、一伽に会うのは久々なのに、挨拶よりも先にその格好について聞いてしまうくらい、驚いているのだ。
何しろ今日の一伽は、黒いタキシード風の衣装に、なぜか黒いマントを羽織っており、肩の辺りにコウモリっぽい羽根を付けた、いわゆる、人間が想像する『伝説上の吸血鬼』の格好をしているのである。
「えっへっへー、今日ハロウィンだからさぁ、吸血鬼コスをしてみましたっ!」
「…………」
訝しげな茉莉江の問いに、バッとマントを翻した一伽は、満面の笑みで敬礼をしてみせる。
とりあえず、一伽がすごくご機嫌なことだけは分かった。
「吸血鬼コスて……コスプレも何も、いっちゃん、本当の吸血鬼でしょ」
「雰囲気、雰囲気~」
茉莉江の当然の突っ込みにも、一伽はヘラヘラ笑っているだけだ。
そんな一伽に、カウンター内の雪乃も光宏も呆然としているが、テーブル席にいる女の子3人組は、思い掛けずかわいい格好で登場した一伽に、いいものが見れたと喜んでいる。
back next
店長である美也子は、それほどハロウィンに興味がなかったが、自分は飾り付けの手伝いをしない、という条件付きで、ハロウィンの装飾を許したのである。
ちなみに、ハロウィンではお馴染みのジャック・オ・ランタンは本来、食用でない飾り用のかぼちゃで作るのだが、飾り付けには口を出さないはずの美也子が、くり貫いた中身を料理に使うから食用のかぼちゃで作れと言うので、cafe OKAERIの店内には、食用の深緑色をしたかぼちゃ頭が並んでいる。
というか、食用か飾り用か以前に、ジャック・オ・ランタンなんて、雑貨屋で売っている置き物とかを考えていたのに、美也子の一言で、すごく本格的なことになってしまった。
これには一応、1か月も同じかぼちゃを飾り続けるのは傷むから無理だと光宏も反論したのだが、それなら日々くり貫けばいいと美也子も譲らず、結局雪乃がかぼちゃくり貫き係に任命された。
さすがに美也子も本気ではないだろうし、雪乃も断るだろうと思ったのだが、根がお人好しなうえに、一伽によって暴君ぶりに慣れている雪乃は、文句も言わず、毎日数個のかぼちゃをくり貫いたし、美也子はくり貫いた中身と、飾り終えて傷む前のかぼちゃ頭で料理を作り、結局2人は絶妙のコンビネーションを見せたのだった。
「ーじゃあ、ユキちゃんがかぼちゃくり貫くもの、今日が最後なの?」
「はい」
cafe OKAERIの常連客である茉莉江が、カウンター席で食後のコーヒーを飲みながら、小首を傾げた。
お店がハロウィン仕様なのは10月いっぱいなので、雪乃がジャック・オ・ランタンを作るのも、今日が最後だ。今日までに、軽く100個はくり貫いている。
「最初はすごいのあったけど、今はちゃんと出来てるもんね。すごいすごい」
「えへへー」
お世辞とはいえ、褒められるとやっぱり嬉しいので、雪乃は笑顔になる。
まぁ、これだけの数をこなしたのだから、多少は上達していないと。
雪乃作のジャック・オ・ランタンも、美也子考案の期間限定ハロウィンメニューも好評で、今年のcafe OKAERIのハロウィンは、成功のまま終わりそうだ。
初めはいろいろと心配していた光宏も、ホッと胸を撫で下ろした――――のも束の間。
「ハロー! ハッピーハロウィ~ン!!」
バーン! と、入り口のドアが勢いよく開いて、相変わらずの賑やかさでやって来たのは、久しぶりの一伽だった。
片手を腰に当て、もう片方の手でピースをしている。小学生か、と突っ込んでやりたくなるようなポーズだ。
常連客は一伽のこういう登場の仕方に慣れているので、さして驚きもしないが、雪乃だけは、口をあんぐり開けたまま固まっている。
一伽とはほぼ毎日家で顔を合わせているとはいえ、雪乃が働き始めてから、一伽がcafe OKAERIに来たことはなかったので、こうしたことに免疫がないのだ。
しかし、今日の一伽が驚かせたのは、雪乃だけではなかった。
「いっちゃん、その格好…?」
笑顔でカウンター席にやって来た一伽に、茉莉江は目をパシパシさせながら尋ねた。
突拍子もない一伽に慣れているはずの茉莉江ですら、一伽に会うのは久々なのに、挨拶よりも先にその格好について聞いてしまうくらい、驚いているのだ。
何しろ今日の一伽は、黒いタキシード風の衣装に、なぜか黒いマントを羽織っており、肩の辺りにコウモリっぽい羽根を付けた、いわゆる、人間が想像する『伝説上の吸血鬼』の格好をしているのである。
「えっへっへー、今日ハロウィンだからさぁ、吸血鬼コスをしてみましたっ!」
「…………」
訝しげな茉莉江の問いに、バッとマントを翻した一伽は、満面の笑みで敬礼をしてみせる。
とりあえず、一伽がすごくご機嫌なことだけは分かった。
「吸血鬼コスて……コスプレも何も、いっちゃん、本当の吸血鬼でしょ」
「雰囲気、雰囲気~」
茉莉江の当然の突っ込みにも、一伽はヘラヘラ笑っているだけだ。
そんな一伽に、カウンター内の雪乃も光宏も呆然としているが、テーブル席にいる女の子3人組は、思い掛けずかわいい格好で登場した一伽に、いいものが見れたと喜んでいる。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
何が何だか分からないけど(笑)
ユキちゃんも 生き生き仕事をして 楽しそうだし
いっちゃんも 本家本元の吸血鬼コスプレで 愉しそうだし
2人が 幸せそうで 良かった、良かった~♪
㌧㌧||ю ||ヾψ(Φ∀Φ★)ψ ウキョキョキョキョ。o○【オヵシ プリーズ♪】...byebye☆
ユキちゃんも 生き生き仕事をして 楽しそうだし
いっちゃんも 本家本元の吸血鬼コスプレで 愉しそうだし
2人が 幸せそうで 良かった、良かった~♪
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- |2012.11.22
- |Thu
- |11:17
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
吸血鬼コスで喜ぶいっちゃんの図。
cafe OKAERIにいたみなさんは、さぞ驚かれたことかと…(笑)
そんないっちゃんには、飽きもせずにかぼちゃをくり抜きまくるユキちゃんが、ちょうど合ってるのかも(*^_^*)
こういうやり取りが見たくて、cafe OKAERIの常連さんの中には、腐女子も多そう…(笑)
コメントありがとうございました!
cafe OKAERIにいたみなさんは、さぞ驚かれたことかと…(笑)
そんないっちゃんには、飽きもせずにかぼちゃをくり抜きまくるユキちゃんが、ちょうど合ってるのかも(*^_^*)
こういうやり取りが見たくて、cafe OKAERIの常連さんの中には、腐女子も多そう…(笑)
コメントありがとうございました!
- |2012.11.22
- |Thu
- |23:00
- |URL
- |EDIT|