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暴君王子のおっしゃることには! (191)
2012.11.08 Thu
侑仁はそんなに力を入れたわけではなかったし、一伽だって吸血したばかりで体力は回復していたはずなのに、腕を引かれた一伽は、呆気なく侑仁の胸に飛び込んでしまった。
…別に、一伽自ら望んでそうしたわけではない。侑仁の言葉にいろいろと動揺していたら、思いがけず腕を引かれて、バランスを崩しただけのことだ。
でも結果的には、正面から侑仁に抱き付く形になってしまったし、顔面をボフッと侑仁の胸にぶつけるはめにもなった。
「っざけんな…!」
とりあえず、そんな悪態をつけるくらいの元気は取り戻した一伽は、侑仁の胸を押し返して顔を上げると、侑仁を睨み付けた。
「ワリ」
「侑仁、離してよ」
悪いと思っているなら離してくれたらいいのに、侑仁は一伽の背中に腕を回して、抱き寄せるみたいにしている。
そんなの心臓に悪いだけだから、本当にやめて。
「侑仁、」
「ヤダ」
「何で」
侑仁は一伽に、『お前だって好きだろ? 俺のこと』と言ったけれど、一伽はそれには何も答えていない。
もし一伽が侑仁のこと嫌いだったらどうするの?
「一伽がホントのこと言ったら、離してやる」
「ホントのことて何? 俺、侑仁に話すことなんか、何もない」
侑仁が離してくれないから、一伽は顔だけプイと横に向けた。
本当は、一伽が本気の力を出したら、侑仁の腕の中から逃げるなんて容易いけれど、力任せにそんなことをしたら拒絶している感がすごいし、ケガをさせかねないからやめておく。
「じゃ、質問変える。一伽、何でさっき泣いたの?」
「泣いてないもん」
「嘘つけよ」
目の周りが腫れぼったいのが、自分でも分かる。泣き過ぎた。でも、侑仁の質問に答えるつもりはないから、分かり切った嘘をつく。だって泣いた理由を話せば、一伽が侑仁のこと好きなのがバレてしまう。
…いや、バレるも何も、侑仁は一伽が泣いた理由なんて、とっくに分かっているんだろうけど。分かっていて、わざと聞いているのだ――――一伽の口から言わせたいから。
でも言わない。
「お前、いつまで黙秘権、行使するつもり?」
「…モクヒケン?」
「俺の質問に、1個も答えてないだろ?」
「………………」
言われてみれば。
侑仁からは、昨日のキスが嫌だったのかとか、俺のこと好きだろ? とか、何で泣いたのかとか聞かれたけれど、一伽は何にも答えていない。…だって、答えたくない。
一伽は顔を背けたまま、鼻をスンと啜った。
相変わらず侑仁に抱き締められたままなので、顔を横に向けていると、侑仁の胸に耳を押し当てた状態になっていて、そうすると、侑仁の心臓の音が聞こえてくるんだけれど、絶対に一伽のほうがドキドキしていると思う。
…ホラ、やっぱり一伽のほうが、侑仁のこと好きなんだ。
一伽は侑仁のことが好きだから、もちろん侑仁のキスは嫌ではなかったけれど、でも侑仁は一伽の『好き』とは違うし、それなのにキスしてくるから、それは嫌だ。
だから泣いたんだよ。一伽は侑仁のことLOVEで好きなのに、侑仁はそうじゃないから。なのに、一伽のこと好きだって言うし、キスするし。
以上が、侑仁の質問に対する、一伽の答えです。
で、そんなこと聞いて、どうするつもり?
「おい一伽、何か言えよ」
「…言わない」
侑仁が、ふにふにと一伽の頬をつついてくる。
擽ったいし、何だか子ども扱いされている気がして、一伽はその手から逃げるように、顔を正面に向けた。
back next
…別に、一伽自ら望んでそうしたわけではない。侑仁の言葉にいろいろと動揺していたら、思いがけず腕を引かれて、バランスを崩しただけのことだ。
でも結果的には、正面から侑仁に抱き付く形になってしまったし、顔面をボフッと侑仁の胸にぶつけるはめにもなった。
「っざけんな…!」
とりあえず、そんな悪態をつけるくらいの元気は取り戻した一伽は、侑仁の胸を押し返して顔を上げると、侑仁を睨み付けた。
「ワリ」
「侑仁、離してよ」
悪いと思っているなら離してくれたらいいのに、侑仁は一伽の背中に腕を回して、抱き寄せるみたいにしている。
そんなの心臓に悪いだけだから、本当にやめて。
「侑仁、」
「ヤダ」
「何で」
侑仁は一伽に、『お前だって好きだろ? 俺のこと』と言ったけれど、一伽はそれには何も答えていない。
もし一伽が侑仁のこと嫌いだったらどうするの?
「一伽がホントのこと言ったら、離してやる」
「ホントのことて何? 俺、侑仁に話すことなんか、何もない」
侑仁が離してくれないから、一伽は顔だけプイと横に向けた。
本当は、一伽が本気の力を出したら、侑仁の腕の中から逃げるなんて容易いけれど、力任せにそんなことをしたら拒絶している感がすごいし、ケガをさせかねないからやめておく。
「じゃ、質問変える。一伽、何でさっき泣いたの?」
「泣いてないもん」
「嘘つけよ」
目の周りが腫れぼったいのが、自分でも分かる。泣き過ぎた。でも、侑仁の質問に答えるつもりはないから、分かり切った嘘をつく。だって泣いた理由を話せば、一伽が侑仁のこと好きなのがバレてしまう。
…いや、バレるも何も、侑仁は一伽が泣いた理由なんて、とっくに分かっているんだろうけど。分かっていて、わざと聞いているのだ――――一伽の口から言わせたいから。
でも言わない。
「お前、いつまで黙秘権、行使するつもり?」
「…モクヒケン?」
「俺の質問に、1個も答えてないだろ?」
「………………」
言われてみれば。
侑仁からは、昨日のキスが嫌だったのかとか、俺のこと好きだろ? とか、何で泣いたのかとか聞かれたけれど、一伽は何にも答えていない。…だって、答えたくない。
一伽は顔を背けたまま、鼻をスンと啜った。
相変わらず侑仁に抱き締められたままなので、顔を横に向けていると、侑仁の胸に耳を押し当てた状態になっていて、そうすると、侑仁の心臓の音が聞こえてくるんだけれど、絶対に一伽のほうがドキドキしていると思う。
…ホラ、やっぱり一伽のほうが、侑仁のこと好きなんだ。
一伽は侑仁のことが好きだから、もちろん侑仁のキスは嫌ではなかったけれど、でも侑仁は一伽の『好き』とは違うし、それなのにキスしてくるから、それは嫌だ。
だから泣いたんだよ。一伽は侑仁のことLOVEで好きなのに、侑仁はそうじゃないから。なのに、一伽のこと好きだって言うし、キスするし。
以上が、侑仁の質問に対する、一伽の答えです。
で、そんなこと聞いて、どうするつもり?
「おい一伽、何か言えよ」
「…言わない」
侑仁が、ふにふにと一伽の頬をつついてくる。
擽ったいし、何だか子ども扱いされている気がして、一伽はその手から逃げるように、顔を正面に向けた。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
いっちゃん、吸血鬼じゃなくて 天邪鬼に変身?
もう ほんと 如何してこうも 素直じゃないんでしょ。
お母さんは、そんな子に育てた覚えはありません!(笑)
誰が お母さんだって?
それは 如月さまだよ~ん♪
でもね 素直じゃない いっちゃんも可愛いよ。
ね、侑仁~♡
(へ* ̄ー ̄)へ ヨセヤイ テレルゼ...byebye☆
もう ほんと 如何してこうも 素直じゃないんでしょ。
お母さんは、そんな子に育てた覚えはありません!(笑)
誰が お母さんだって?
それは 如月さまだよ~ん♪
でもね 素直じゃない いっちゃんも可愛いよ。
ね、侑仁~♡
(へ* ̄ー ̄)へ ヨセヤイ テレルゼ...byebye☆
- |2012.11.08
- |Thu
- |11:05
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
> いっちゃん、吸血鬼じゃなくて 天邪鬼に変身?
同じ『鬼』でも、天邪鬼のほうですね!
確かに…。
何でこんな素直じゃない子に育っちゃったんでしょう。
お母さん、悲しい…。
> でもね 素直じゃない いっちゃんも可愛いよ。
そう言っていただけると、ホッとします~。
この期に及んで、いっちゃん、全然素直じゃないから、みんな焦れちゃってるんじゃないかと、心配していたのです。
でも、何につけても一筋縄でいかないのがいっちゃんなのです!! (笑)
コメントありがとうございました!
同じ『鬼』でも、天邪鬼のほうですね!
確かに…。
何でこんな素直じゃない子に育っちゃったんでしょう。
お母さん、悲しい…。
> でもね 素直じゃない いっちゃんも可愛いよ。
そう言っていただけると、ホッとします~。
この期に及んで、いっちゃん、全然素直じゃないから、みんな焦れちゃってるんじゃないかと、心配していたのです。
でも、何につけても一筋縄でいかないのがいっちゃんなのです!! (笑)
コメントありがとうございました!
- |2012.11.08
- |Thu
- |22:42
- |URL
- |EDIT|