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暴君王子のおっしゃることには! (190)
2012.11.07 Wed
髪に触れたとき肩がピクッとなったから、顔を上げるかと思ったけど、頑なな一伽は俯いたままだから、今度はその毛先をつまんで、ツンと軽く引っ張ってみた。
「ッ、何すんだよっ!」
するとようやく一伽は顔を上げた――――鋭い睨みとともに。
泣きまくった後だから、目の周りもまつ毛も濡れていて、ブサイクだけど、でもかわいかった(だから、睨まれても怖くない)。
「やっとこっち見た」
「なっ…」
ホッとして侑仁が笑い掛ければ、一伽はきっと、侑仁のほうなんか向くもんか、て思っていたんだろう、慌てて顔を背けた。
侑仁はズリッと一伽のほうに近付く。その分、一伽も後退るけれど、背後のソファが邪魔して、思ったほど逃げられなくて。それをいいことに、侑仁は一伽との距離を詰めた。
一伽は侑仁のほうを見ないけれど、チラチラと視線だけを侑仁のほうに向けては、その存在を気にしている。
「なぁ一伽、…ゴメン、俺またお前のこと泣かしちゃうかも」
「…、は?」
一伽は警戒気味に、キュウと眉を寄せて侑仁のほうを見た。
泣くの、堪えているんだろうか。
一伽の涙はもう見たくないと思っているけれど、でもこのまま、何もなかったことにはしたくないから――――ゴメン、やっぱり言わせて。
「好きです。付き合ってください」
「、ッ、し、知らないってば!」
侑仁の言葉に、一伽は泣き出しこそはしなかったけれど、膝の上で手をグーパーさせた後、侑仁から顔を背けて、困ったようにガジガジと親指の爪を噛み始めた。
やっぱりまだ、侑仁の言葉、信じられない? 信じたくない?
今さらこんなこと言うなんて、遅すぎたのかな。でも仕方ない、侑仁だって本当に気付いたばかりなんだ、この気持ちに。
「――――でも、」
侑仁は一伽の手を取って、爪を噛むのをやめさせた。
ビクリと一伽が肩を震わせる。
「お前だって好きだろ? 俺のこと」
「、ッ、何、言って…」
侑仁の言葉に、ポーカーフェイスて何? おいしいの? という勢いで、あからさまに動揺する一伽は、耳まで真っ赤になっている。
全然出来ていないけれど、がんばって冷静さを装おうとする一伽に、「侑仁、自分から何言ってんのっ?」と言われて、侑仁自身も、本当にそうだなぁ、と思う。
自分から、好きな子に向かって、『俺のこと好きだろ』なんて言うとか、自意識過剰かよ、と突っ込みたい。
でも、気付いてしまったんだ。
泣きながら侑仁の言うことを否定する一伽の、その言葉の裏に隠された、本当の気持ち。
「一伽、言って? ホントのこと」
「ッ…」
侑仁は、掴んでいた一伽の腕を引き寄せた。
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「ッ、何すんだよっ!」
するとようやく一伽は顔を上げた――――鋭い睨みとともに。
泣きまくった後だから、目の周りもまつ毛も濡れていて、ブサイクだけど、でもかわいかった(だから、睨まれても怖くない)。
「やっとこっち見た」
「なっ…」
ホッとして侑仁が笑い掛ければ、一伽はきっと、侑仁のほうなんか向くもんか、て思っていたんだろう、慌てて顔を背けた。
侑仁はズリッと一伽のほうに近付く。その分、一伽も後退るけれど、背後のソファが邪魔して、思ったほど逃げられなくて。それをいいことに、侑仁は一伽との距離を詰めた。
一伽は侑仁のほうを見ないけれど、チラチラと視線だけを侑仁のほうに向けては、その存在を気にしている。
「なぁ一伽、…ゴメン、俺またお前のこと泣かしちゃうかも」
「…、は?」
一伽は警戒気味に、キュウと眉を寄せて侑仁のほうを見た。
泣くの、堪えているんだろうか。
一伽の涙はもう見たくないと思っているけれど、でもこのまま、何もなかったことにはしたくないから――――ゴメン、やっぱり言わせて。
「好きです。付き合ってください」
「、ッ、し、知らないってば!」
侑仁の言葉に、一伽は泣き出しこそはしなかったけれど、膝の上で手をグーパーさせた後、侑仁から顔を背けて、困ったようにガジガジと親指の爪を噛み始めた。
やっぱりまだ、侑仁の言葉、信じられない? 信じたくない?
今さらこんなこと言うなんて、遅すぎたのかな。でも仕方ない、侑仁だって本当に気付いたばかりなんだ、この気持ちに。
「――――でも、」
侑仁は一伽の手を取って、爪を噛むのをやめさせた。
ビクリと一伽が肩を震わせる。
「お前だって好きだろ? 俺のこと」
「、ッ、何、言って…」
侑仁の言葉に、ポーカーフェイスて何? おいしいの? という勢いで、あからさまに動揺する一伽は、耳まで真っ赤になっている。
全然出来ていないけれど、がんばって冷静さを装おうとする一伽に、「侑仁、自分から何言ってんのっ?」と言われて、侑仁自身も、本当にそうだなぁ、と思う。
自分から、好きな子に向かって、『俺のこと好きだろ』なんて言うとか、自意識過剰かよ、と突っ込みたい。
でも、気付いてしまったんだ。
泣きながら侑仁の言うことを否定する一伽の、その言葉の裏に隠された、本当の気持ち。
「一伽、言って? ホントのこと」
「ッ…」
侑仁は、掴んでいた一伽の腕を引き寄せた。
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ちよ ⇒
心が積極的になれば、
心の力が不可能を可能にしてくれるよ。
いっちゃん、
侑仁くんへのホントの想いを信じて、
本当の気持ちをお伝えして!!
心の力が不可能を可能にしてくれるよ。
いっちゃん、
侑仁くんへのホントの想いを信じて、
本当の気持ちをお伝えして!!
- |2012.11.07
- |Wed
- |08:34
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
> 心が積極的になれば、
> 心の力が不可能を可能にしてくれるよ。
何ていい言葉!
信じる気持ちだとか、好きな気持ちだとか、そういう気持ちが、確かにダメだと思っていたことをプラスに変えてくれることってありますよね。
前は、ダメでも無理でも突き進んでいったいっちゃんですからね。
もっと自分を信じてほしいですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
> 心の力が不可能を可能にしてくれるよ。
何ていい言葉!
信じる気持ちだとか、好きな気持ちだとか、そういう気持ちが、確かにダメだと思っていたことをプラスに変えてくれることってありますよね。
前は、ダメでも無理でも突き進んでいったいっちゃんですからね。
もっと自分を信じてほしいですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.11.08
- |Thu
- |07:02
- |URL
- |EDIT|