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暴君王子のおっしゃることには! (187)
2012.11.04 Sun
というか今思うと、逆に一伽が『侑仁こそ何も連絡をくれない』とか、『他の友だちを食事に誘うように、一伽に声を掛けてくれない』とか言って来たせいで、話題がそちらに移ってしまい、結局侑仁は、一伽から理由を聞きそびれている。
侑仁が一伽をメシに誘わなかったのは、単に一伽は吸血鬼だから、声を掛けても来ないと思っていただけのことなのだが、それを言ったら一伽がひどく憤慨していたので、やはり一伽は、侑仁のことを嫌になって連絡をくれなかったわけではないようだ。
しかも、それならこれからは一伽も誘うようにする、と言えば、一伽が妙に嬉しがるから、もしかしたら、侑仁に誘われるの嬉しいんだろうか、なんて期待したくなる。
でも一伽は、いつのころからか、何かにつけてちゃんとしようと意気込んでいるから、単に侑仁のほうが先約だから気を遣って、途中で会ったあの女の子も断ったのかとも思った。
…それを言ったら、泣かれそうになったけれど。
涙は女の武器だとはよく言ったものだが、そんなことに動じないくらいの経験値なら、侑仁は持ち合わせている。なのに、一伽を前にしたら全然ダメ。
俯く一伽の頭を撫でるしか出来ないなんて。
その上、泣き出しそうな一伽に動揺している侑仁に、女の子といろいろするのをやめた、なんて打ち明けてくるから、すっかり狼狽えてしまう。
あんなに女の子大好きだったのに。まさか女の子でなく男のほうが好きになった? 侑仁にも少しは望みがある? …なんて、思わなかったばかりでもなく。
しかし、しつこく理由を尋ねる侑仁に、一伽の口から飛び出したのは『好きな人』なんて言葉で、侑仁の心は穏やかではなくなった。浅はかな自分を呪った。
一伽は、『もし好きな人が出来たときに』と言い直したけれど、それはどう見ても、『もし』の話でなく、今好きな人がいる、という態度だった。
…それなら、どうして今さら侑仁に電話してきたのかと思う。さっきのあの子を断ったのは、気を遣ったんでなく、侑仁と一緒にいたかったからだと言ったのに。
今度一緒にcafe OKAERIに行こうと言ったとき、あんなに嬉しそうな顔をしたのは何なんだ、と聞いてやろうと思ったけれど、一伽が取って付けたように話題を変えたので、何も言えなくなった。
さっきまで、久しぶりに一伽に会えたこと、あんなに嬉しかったのに。
好きな人と一緒にいても、報われない恋だと、こんなに苦しくて、しんどいものだったのか。だとしたらやっぱり、友だちとして側にいるなんて、なおさら無理だ。
ならいっそ、当たって砕けるか? ――――砕けた後の立ち直り方も知らないくせに。
付き合っていくうちに気持ちが離れていって、別れを切り出したことやその逆もあったけれど、好きだという気持ちを拒否されたことはないから、拒まれたら自分がどうなるのか分からない。
一伽と他愛のない話をしていても、頭の中はグラングランと揺れていて、それはこの気持ちのせいなのか、それとも酒のせいなのか、まだそんなに飲んでいないはずなのに、これじゃあ一伽のことを言えない。
でも一伽、外で飲むとしょっちゅう酔い潰れちゃうんだ。面倒だと思いながらも、侑仁は何度も介抱してやった。
思えば、そんなことをしたのも、一伽のことが好きだったからで、結局すべて航平の言うとおりだった。
酔いに任せて目を閉じても、浮かぶのは一伽の顔だ。
侑仁に会うと、嬉しそうな顔するの。今日だってそうだった。今度から一伽にも声を掛けると言ったときも、隠してるつもりだったんだろうけど、バレバレだった。
…なのに、好きな人がいるなんて。
好きな人いるのに、何で侑仁にそんな顔するの? 何で侑仁に電話してきたの? ダメだよ、下心あんのに、ノコノコ付いてきちゃ。それとも、男同士だから、何もないと思ってる?
でも、もし相手が女の子でさ、あんな顔されちゃったら、あんな雰囲気出されちゃったら、オッケーなのかな、て思っちゃう。俺のこと好きなのかな、て。
…なぁ、一伽の好きな人がさ、俺、てことはねぇの?
あんな嬉しそうな顔して俺のこと見るくせに。
苦しい思いで体中がいっぱいになって、もうホント、夢なら覚めて――――そんな願いが通じたのか、肩を揺さぶられて、現実の世界に引き戻される。
けれど、その現実こそ、侑仁が夢であってほしいと願うもの。
一伽は懸命に侑仁を起こそうとしていた。
翌日も仕事があるし、こんなところで寝かせられないと思ったのだろう。いつもは侑仁がそういうことしてあげるのに、今日は逆だ。本当は優しいんだね。
…その優しさが侑仁だけのものだったらいいのに……なんて思ったら、つい一伽に腕を伸ばして、抱き締めていた。
back next
侑仁が一伽をメシに誘わなかったのは、単に一伽は吸血鬼だから、声を掛けても来ないと思っていただけのことなのだが、それを言ったら一伽がひどく憤慨していたので、やはり一伽は、侑仁のことを嫌になって連絡をくれなかったわけではないようだ。
しかも、それならこれからは一伽も誘うようにする、と言えば、一伽が妙に嬉しがるから、もしかしたら、侑仁に誘われるの嬉しいんだろうか、なんて期待したくなる。
でも一伽は、いつのころからか、何かにつけてちゃんとしようと意気込んでいるから、単に侑仁のほうが先約だから気を遣って、途中で会ったあの女の子も断ったのかとも思った。
…それを言ったら、泣かれそうになったけれど。
涙は女の武器だとはよく言ったものだが、そんなことに動じないくらいの経験値なら、侑仁は持ち合わせている。なのに、一伽を前にしたら全然ダメ。
俯く一伽の頭を撫でるしか出来ないなんて。
その上、泣き出しそうな一伽に動揺している侑仁に、女の子といろいろするのをやめた、なんて打ち明けてくるから、すっかり狼狽えてしまう。
あんなに女の子大好きだったのに。まさか女の子でなく男のほうが好きになった? 侑仁にも少しは望みがある? …なんて、思わなかったばかりでもなく。
しかし、しつこく理由を尋ねる侑仁に、一伽の口から飛び出したのは『好きな人』なんて言葉で、侑仁の心は穏やかではなくなった。浅はかな自分を呪った。
一伽は、『もし好きな人が出来たときに』と言い直したけれど、それはどう見ても、『もし』の話でなく、今好きな人がいる、という態度だった。
…それなら、どうして今さら侑仁に電話してきたのかと思う。さっきのあの子を断ったのは、気を遣ったんでなく、侑仁と一緒にいたかったからだと言ったのに。
今度一緒にcafe OKAERIに行こうと言ったとき、あんなに嬉しそうな顔をしたのは何なんだ、と聞いてやろうと思ったけれど、一伽が取って付けたように話題を変えたので、何も言えなくなった。
さっきまで、久しぶりに一伽に会えたこと、あんなに嬉しかったのに。
好きな人と一緒にいても、報われない恋だと、こんなに苦しくて、しんどいものだったのか。だとしたらやっぱり、友だちとして側にいるなんて、なおさら無理だ。
ならいっそ、当たって砕けるか? ――――砕けた後の立ち直り方も知らないくせに。
付き合っていくうちに気持ちが離れていって、別れを切り出したことやその逆もあったけれど、好きだという気持ちを拒否されたことはないから、拒まれたら自分がどうなるのか分からない。
一伽と他愛のない話をしていても、頭の中はグラングランと揺れていて、それはこの気持ちのせいなのか、それとも酒のせいなのか、まだそんなに飲んでいないはずなのに、これじゃあ一伽のことを言えない。
でも一伽、外で飲むとしょっちゅう酔い潰れちゃうんだ。面倒だと思いながらも、侑仁は何度も介抱してやった。
思えば、そんなことをしたのも、一伽のことが好きだったからで、結局すべて航平の言うとおりだった。
酔いに任せて目を閉じても、浮かぶのは一伽の顔だ。
侑仁に会うと、嬉しそうな顔するの。今日だってそうだった。今度から一伽にも声を掛けると言ったときも、隠してるつもりだったんだろうけど、バレバレだった。
…なのに、好きな人がいるなんて。
好きな人いるのに、何で侑仁にそんな顔するの? 何で侑仁に電話してきたの? ダメだよ、下心あんのに、ノコノコ付いてきちゃ。それとも、男同士だから、何もないと思ってる?
でも、もし相手が女の子でさ、あんな顔されちゃったら、あんな雰囲気出されちゃったら、オッケーなのかな、て思っちゃう。俺のこと好きなのかな、て。
…なぁ、一伽の好きな人がさ、俺、てことはねぇの?
あんな嬉しそうな顔して俺のこと見るくせに。
苦しい思いで体中がいっぱいになって、もうホント、夢なら覚めて――――そんな願いが通じたのか、肩を揺さぶられて、現実の世界に引き戻される。
けれど、その現実こそ、侑仁が夢であってほしいと願うもの。
一伽は懸命に侑仁を起こそうとしていた。
翌日も仕事があるし、こんなところで寝かせられないと思ったのだろう。いつもは侑仁がそういうことしてあげるのに、今日は逆だ。本当は優しいんだね。
…その優しさが侑仁だけのものだったらいいのに……なんて思ったら、つい一伽に腕を伸ばして、抱き締めていた。
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けいったん ⇒
恋する乙女 いっちゃん
恋する青年 侑仁
今 両視点から読めば…
この時は そうだったのか!
あの時は あーだったのか!
と、一人PCの前で 頷いております私。(≧∇≦)ノ ハーイ♪
「侑仁の恋」の前編、中編も終わったようで
さぁさぁ 侑仁も ひと息いれて ( *´∇`)_旦~~お茶どうぞ♪
お茶だけでは淋しいので 御菓子も 用意したしね♪
後編も バッチコ━━━щ(゚Д゚щ)━━━ィ...byebye☆
恋する青年 侑仁
今 両視点から読めば…
この時は そうだったのか!
あの時は あーだったのか!
と、一人PCの前で 頷いております私。(≧∇≦)ノ ハーイ♪
「侑仁の恋」の前編、中編も終わったようで
さぁさぁ 侑仁も ひと息いれて ( *´∇`)_旦~~お茶どうぞ♪
お茶だけでは淋しいので 御菓子も 用意したしね♪
後編も バッチコ━━━щ(゚Д゚щ)━━━ィ...byebye☆
- |2012.11.04
- |Sun
- |10:24
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
> 今 両視点から読めば…
> この時は そうだったのか!
> あの時は あーだったのか!
> と、一人PCの前で 頷いております私。(≧∇≦)ノ ハーイ♪
いっちゃんと侑仁さんを交互に出していけば、いろいろ分かりやすかったんですが、いっちゃん編を一区切りつけるまでは我慢…! と思って、侑仁さん編が今ごろになったわけですが。
こんなふうに、いっちゃん編と照らし合わせて読んでもらえると、嬉しいです(*^_^*)
何でいっちゃんの気持ちに気付いてないのっ! と読んでるみなさんが思っていたころ、侑仁さんは侑仁さんで、いろいろ考えていたのでした。
思いが通じ合えた2人。
今度こそすんなりと行くのでしょうか!?
コメントありがとうございました!
> この時は そうだったのか!
> あの時は あーだったのか!
> と、一人PCの前で 頷いております私。(≧∇≦)ノ ハーイ♪
いっちゃんと侑仁さんを交互に出していけば、いろいろ分かりやすかったんですが、いっちゃん編を一区切りつけるまでは我慢…! と思って、侑仁さん編が今ごろになったわけですが。
こんなふうに、いっちゃん編と照らし合わせて読んでもらえると、嬉しいです(*^_^*)
何でいっちゃんの気持ちに気付いてないのっ! と読んでるみなさんが思っていたころ、侑仁さんは侑仁さんで、いろいろ考えていたのでした。
思いが通じ合えた2人。
今度こそすんなりと行くのでしょうか!?
コメントありがとうございました!
- |2012.11.04
- |Sun
- |23:00
- |URL
- |EDIT|