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暴君王子のおっしゃることには! (185)
2012.11.02 Fri
結局、一伽が泣き止んだのは、吸血していないせいで空腹が頂点に達し、派手な腹の音とともに一伽がズルズルと侑仁の腕の中を滑り落ちたことによってだった。
侑仁が一伽のことを好きだと知って、嫌なのか、悲しいのか、嬉しいのか、苦しいのか、そのどれでもないのか、それともその全部なのか、一伽はずっと泣きじゃくっていて、侑仁は、そんな一伽を抱き締めるしか出来ない自分を呪いたかったが、そんな場合でもなくて、とにかくただ途方に暮れていたら、急に一伽がピタッと泣き止んで、侑仁が顔を覗き込もうと腕を緩めた次の瞬間、一伽の体が力なく滑り落ちたのだ。
「ちょっ、おまっ…!」
「お腹…減った…」
「はぁっ!?」
侑仁は、一伽がまだ吸血していなかったなんて知らなかったから、何事かと本当に焦ったのに、一伽は涙で顔をグチャグチャにしたまま、ポツリとそう言ったのだ。
このセリフと光景を見るの、一体何度目だろう…。
「…ホラ、」
吸血は怖くて苦手なんだけれど、腹を空かせて弱っている一伽を前にすると、放っておけないのだから、仕方がない。侑仁は躊躇いながらも、首筋を一伽に差し出した。
…そういえば、さっき散々侑仁の肩で泣いていたとき、よく吸血しなかったなぁ。前は、侑仁がちょっと指先を切って血を流しただけで、我慢できずに吸い付いていたのに。
「でも…」
「いいから早くしてくんね!? 間を置かれるほうがっ…!」
怖い、とはさすがに恥ずかしくて言えないけれど(いや、言わなくても、その態度で十分分かるのだが)、やっぱりどんなに一伽のことが好きでも、吸血は怖い。
「…」
一伽はズリズリと侑仁に近付くと、今度は自分から抱き付いて(今は体に力が入らないので、そうしていないと自分の体を支えられないのだ)、侑仁の首筋に噛み付いた。
ピリッとした感覚が走って、侑仁はギュッと目を閉じる。
一伽は以前、女の子から血を吸うのに、その後まぁいろいろしてる、とか言っていたけれど、後から最高の快楽が待っているのだとしても、そのためには吸血もされなければならないんだとしたら、侑仁は絶対にゴメンだ。
「ぷはっ……ごちそうさまでした」
…普段は挨拶とかいい加減なくせに、吸血の後に『ごちそうさま』を言うことだけは欠かしたことがないな、と侑仁は思う。
まさか女の子の前でも、そうなんだろうか。
相手も分かっていて吸血させているのだからいいけれど、女の子の場合、これから事に及ぼうとするわけで…………ムードとかは? 女の子は、そういうの好きでしょ?
(――――女の子…)
そのキーワードに、侑仁は小さく溜め息を零した。
自ら『女の子大好き!』と公言する一伽からは、いつも女の子の気配と匂いがした。
そんな一伽に恋心を抱いていると気付いた瞬間、侑仁はこの世の終わりが来たのと同じくらいの絶望感に襲われた。
だって、侑仁だって女の子が好きだ。甘くて、かわいくて、気持ちいい。愛おしい。
侑仁にはゲイやビアンの友人もいて、同性愛への偏見はないけれど、自分が恋愛するなら、やっぱり女の子がいい。たとえ、軽い気持ちで付き合うんだとしても。
なのに、男である一伽のことを好きになるなんて、この世の終わりが来たほうがマシだと思った。
…侑仁が自分の気持ちに気付いたのは、そんなに前の話ではない。
それまで散々侑仁の家に来ては、好き放題にしていた一伽が、急に何の連絡も寄越さなくなったときでさえ、最初は全然気に留めていなかったくらいだ。
侑仁には、深い付き合いをする友だちから、広く浅くの知人まで、たくさんの知り合いがいるから、一伽が来ないからといって、寂しいとかいうことがなかったので。
でもあるときふと、そういえば最近一伽に会ってないな、て思って、そういえばメールすら来てないな、と気が付いたときには、もう遅かった。
一伽から連絡が来ないことを不思議に思う気持ちが広がって、心がモヤモヤして、急に夜がつまらなくなった。キレイな女の子も、華やかなネオンも、賑やかな音楽も、急速に色をなくした。
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侑仁が一伽のことを好きだと知って、嫌なのか、悲しいのか、嬉しいのか、苦しいのか、そのどれでもないのか、それともその全部なのか、一伽はずっと泣きじゃくっていて、侑仁は、そんな一伽を抱き締めるしか出来ない自分を呪いたかったが、そんな場合でもなくて、とにかくただ途方に暮れていたら、急に一伽がピタッと泣き止んで、侑仁が顔を覗き込もうと腕を緩めた次の瞬間、一伽の体が力なく滑り落ちたのだ。
「ちょっ、おまっ…!」
「お腹…減った…」
「はぁっ!?」
侑仁は、一伽がまだ吸血していなかったなんて知らなかったから、何事かと本当に焦ったのに、一伽は涙で顔をグチャグチャにしたまま、ポツリとそう言ったのだ。
このセリフと光景を見るの、一体何度目だろう…。
「…ホラ、」
吸血は怖くて苦手なんだけれど、腹を空かせて弱っている一伽を前にすると、放っておけないのだから、仕方がない。侑仁は躊躇いながらも、首筋を一伽に差し出した。
…そういえば、さっき散々侑仁の肩で泣いていたとき、よく吸血しなかったなぁ。前は、侑仁がちょっと指先を切って血を流しただけで、我慢できずに吸い付いていたのに。
「でも…」
「いいから早くしてくんね!? 間を置かれるほうがっ…!」
怖い、とはさすがに恥ずかしくて言えないけれど(いや、言わなくても、その態度で十分分かるのだが)、やっぱりどんなに一伽のことが好きでも、吸血は怖い。
「…」
一伽はズリズリと侑仁に近付くと、今度は自分から抱き付いて(今は体に力が入らないので、そうしていないと自分の体を支えられないのだ)、侑仁の首筋に噛み付いた。
ピリッとした感覚が走って、侑仁はギュッと目を閉じる。
一伽は以前、女の子から血を吸うのに、その後まぁいろいろしてる、とか言っていたけれど、後から最高の快楽が待っているのだとしても、そのためには吸血もされなければならないんだとしたら、侑仁は絶対にゴメンだ。
「ぷはっ……ごちそうさまでした」
…普段は挨拶とかいい加減なくせに、吸血の後に『ごちそうさま』を言うことだけは欠かしたことがないな、と侑仁は思う。
まさか女の子の前でも、そうなんだろうか。
相手も分かっていて吸血させているのだからいいけれど、女の子の場合、これから事に及ぼうとするわけで…………ムードとかは? 女の子は、そういうの好きでしょ?
(――――女の子…)
そのキーワードに、侑仁は小さく溜め息を零した。
自ら『女の子大好き!』と公言する一伽からは、いつも女の子の気配と匂いがした。
そんな一伽に恋心を抱いていると気付いた瞬間、侑仁はこの世の終わりが来たのと同じくらいの絶望感に襲われた。
だって、侑仁だって女の子が好きだ。甘くて、かわいくて、気持ちいい。愛おしい。
侑仁にはゲイやビアンの友人もいて、同性愛への偏見はないけれど、自分が恋愛するなら、やっぱり女の子がいい。たとえ、軽い気持ちで付き合うんだとしても。
なのに、男である一伽のことを好きになるなんて、この世の終わりが来たほうがマシだと思った。
…侑仁が自分の気持ちに気付いたのは、そんなに前の話ではない。
それまで散々侑仁の家に来ては、好き放題にしていた一伽が、急に何の連絡も寄越さなくなったときでさえ、最初は全然気に留めていなかったくらいだ。
侑仁には、深い付き合いをする友だちから、広く浅くの知人まで、たくさんの知り合いがいるから、一伽が来ないからといって、寂しいとかいうことがなかったので。
でもあるときふと、そういえば最近一伽に会ってないな、て思って、そういえばメールすら来てないな、と気が付いたときには、もう遅かった。
一伽から連絡が来ないことを不思議に思う気持ちが広がって、心がモヤモヤして、急に夜がつまらなくなった。キレイな女の子も、華やかなネオンも、賑やかな音楽も、急速に色をなくした。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
ここで 甘い雰囲気に”ならない&させない”のが いっちゃん!
空腹で倒れるなんて~(笑)
まぁ 乙女だって お腹は減るもんね♪
大好きな侑仁の血を吸えたし これって得した気分?
それとも 大好きなだけに 申し訳ない気分かな?
散々 鈍いだの、難攻不落だの、動かざる事~だの、と 色々言われてきたけど 侑仁は 侑仁なりに悩んでいたのね。
ごめんね、侑仁(o*。_。)oペコリ
不束な いっちゃんですが、
((*'∇'*)ヨロ((*・v・)シク( _ _)デス♪...byebye☆
P.S.如月さま宅の息子ちゃん達は、何故か 心配で見守りたくなるんだよね~
それだけ 放っておけない可愛らしさがあるってことです♪(*^-')b
空腹で倒れるなんて~(笑)
まぁ 乙女だって お腹は減るもんね♪
大好きな侑仁の血を吸えたし これって得した気分?
それとも 大好きなだけに 申し訳ない気分かな?
散々 鈍いだの、難攻不落だの、動かざる事~だの、と 色々言われてきたけど 侑仁は 侑仁なりに悩んでいたのね。
ごめんね、侑仁(o*。_。)oペコリ
不束な いっちゃんですが、
((*'∇'*)ヨロ((*・v・)シク( _ _)デス♪...byebye☆
P.S.如月さま宅の息子ちゃん達は、何故か 心配で見守りたくなるんだよね~
それだけ 放っておけない可愛らしさがあるってことです♪(*^-')b
- |2012.11.02
- |Fri
- |10:26
- |URL
- |EDIT|
ちよ ⇒
いつの間にか侑仁くんのこころの中に潜り込んでいたいっちゃん。
当たり前のように隣に居たいっちゃんが傍に居ないと…
侑仁くんもいっちゃんへの気持ちに気づいてからは苦しんだんだね。
でも、侑仁くんも深刻になるのではなく
真剣にいっちゃんと向き合ってね。
一人で思い悩んでも考えはまとまらないよ~
見届け業務、続行中~
|д°)ドウナルノカナ~?
当たり前のように隣に居たいっちゃんが傍に居ないと…
侑仁くんもいっちゃんへの気持ちに気づいてからは苦しんだんだね。
でも、侑仁くんも深刻になるのではなく
真剣にいっちゃんと向き合ってね。
一人で思い悩んでも考えはまとまらないよ~
見届け業務、続行中~
|д°)ドウナルノカナ~?
- |2012.11.02
- |Fri
- |21:47
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
恋する乙女にも、ご飯は必要です!!
ただでさえいっちゃんは、パワーダウン気味ですから、ちゃんと吸血はしておかないと。
でも相手が、好きだと言ってくれた相手からじゃ、さすがのいっちゃんも、ちょっとは申し訳ない気分になるんでしょうかね(^_^;)
> 散々 鈍いだの、難攻不落だの、動かざる事~だの、と 色々言われてきたけど 侑仁は 侑仁なりに悩んでいたのね。
> ごめんね、侑仁(o*。_。)oペコリ
侑仁さん、なかなか気持ちを表に出さなかったので、みなさまには、何て鈍い男!? と思われていたかもしれませんが、実はいろいろ考えてました。
でもいっちゃんの気持ちに全然気付いていなかったわけだし、やっぱり鈍い男かしら??
> P.S.如月さま宅の息子ちゃん達は、何故か 心配で見守りたくなるんだよね~
> それだけ 放っておけない可愛らしさがあるってことです♪(*^-')b
うちの子は、どうも自分では自分のことをしっかり者だと思っているけれど、周りからしたら、心配で放っておけない…というタイプが多いですね。
これからも温かく見守ってあげてください(*^_^*)
コメントありがとうございました!
ただでさえいっちゃんは、パワーダウン気味ですから、ちゃんと吸血はしておかないと。
でも相手が、好きだと言ってくれた相手からじゃ、さすがのいっちゃんも、ちょっとは申し訳ない気分になるんでしょうかね(^_^;)
> 散々 鈍いだの、難攻不落だの、動かざる事~だの、と 色々言われてきたけど 侑仁は 侑仁なりに悩んでいたのね。
> ごめんね、侑仁(o*。_。)oペコリ
侑仁さん、なかなか気持ちを表に出さなかったので、みなさまには、何て鈍い男!? と思われていたかもしれませんが、実はいろいろ考えてました。
でもいっちゃんの気持ちに全然気付いていなかったわけだし、やっぱり鈍い男かしら??
> P.S.如月さま宅の息子ちゃん達は、何故か 心配で見守りたくなるんだよね~
> それだけ 放っておけない可愛らしさがあるってことです♪(*^-')b
うちの子は、どうも自分では自分のことをしっかり者だと思っているけれど、周りからしたら、心配で放っておけない…というタイプが多いですね。
これからも温かく見守ってあげてください(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.11.02
- |Fri
- |22:31
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
昨日は寝オチしてしまい、レス出来ませんでした。
ごめんなさいっ!!
2人ともそばにいすぎて、その気持ちに気付けずにいましたが、ようやくお互いの気持ちを知ることが出来ました。
でもこの2人、想いを通じ合わせたのに、なかなかすんなりいきませんね。
ちよさんの仰るとおり、悩んでても先には進めないんですけどね。
恋は難しいです(>_<)
コメントありがとうございました!!
ごめんなさいっ!!
2人ともそばにいすぎて、その気持ちに気付けずにいましたが、ようやくお互いの気持ちを知ることが出来ました。
でもこの2人、想いを通じ合わせたのに、なかなかすんなりいきませんね。
ちよさんの仰るとおり、悩んでても先には進めないんですけどね。
恋は難しいです(>_<)
コメントありがとうございました!!
- |2012.11.03
- |Sat
- |09:45
- |URL
- |EDIT|