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暴君王子のおっしゃることには! (179)
2012.10.27 Sat
「一伽、ホラ、荷物」
「…ん」
航平との話が終わったのか、侑仁が一伽のほうにやって来る。相変わらず侑仁はスーツ姿ではなくて、でもやっぱりカッコいいなぁ、て思って、一伽はドキドキしながら荷物を受け取った。
朝の、一伽と航平のやり取りを聞いていたので、志信も一伽が荷物を忘れて来たことは知っていて、だから何となくしおらしい一伽に笑ってしまう(その後の報復は知っているくせに)。
「お前、全部忘れてくとか、ねぇだろ」
「そんなのだって侑仁がっ…」
侑仁に笑われて、一伽はムキになって答えようとしたが、『侑仁がキスしたから』なんて言えるわけもなくて、慌てて口を噤んだ。
「俺が何だよ」
「な何でもないよっ、荷物置いてくるっ…!」
追及されたくなくて、一伽は逃げるようにスタッフルームへと向かった(そのとき、志信の足を踏んでいくことも忘れずに)。
「はぁ~…」
スタッフルームに逃げ込んだ一伽は、閉めたドアに寄り掛かって、大きく息をついた。
本当に侑仁は、いちいち心臓に悪い。
でも、今一伽に会った侑仁の様子を見ても、昨日侑仁の会社や家に行った一伽に嫌気が差して、一伽に会社とかに来てほしくないから自分から店に来た、という感じはしない。
ということは、やっぱり買い物がしたいのと、久しぶりに航平に会いたかったからなんだろうか。
どちらにしても、航平に渡して一伽に返すという方法を取らない侑仁は、昨日の今日で一伽に会うのが気まずくないのだから、やはり、一伽にキスしたことを覚えていないのだろう。
(…じゃなきゃ、あんなに普通のはずない)
侑仁がキスのこと覚えていなくて、一伽に今までどおりに接してくれるのなら、一伽も気まずいとか思わず、何もなかったように普通にしていればいいのだ。
そうすれば、丸く収まる。
雪乃には、これからもっとがんばると言ったけれど、このキスは一伽にとっては何のプラスにもなりそうにないから、なかったことにして、今日からがんばることにしよう。
「うしっ」
一伽はカバンを雑にソファに投げると(いつものこと)、頬をパンッと叩いてから店内に戻った。
*****
侑仁はそれから閉店間際まで店にいて、商品を見たり航平と話をしたりして、結局服とアクセサリーを購入した。
その間、侑仁は時々一伽のほうに視線を向けるので、好きな人に見られるドキドキと、俺ちゃんと仕事出来てる!? というドキドキの、二重のドキドキで、終わるころにはグッタリと疲れてしまった。
「ねぇ航平、仕事終わったらメシ行こうよ~、久々じゃん」
「あん?」
店内に侑仁以外の客がいなくなり、会計を済ませた侑仁が、気軽に航平に声を掛けた。
後片付け用のモップを出そうとしていた一伽は、ピクリと聞き耳を立てる。
(…何だよ、侑仁。今度から俺にも声掛ける、て言ったじゃん、昨日。なのに何で航平くん誘ってんの?)
キスだけでなく、その約束も忘れてしまったんだろうか。そんなのヒドイ。
でも一伽も、昨日のことはなかったことにして、今日からがんばることにしたんだから、同じことなのかな。
それに、一伽が侑仁と会わないでいた間、仕事が忙しかった侑仁は、航平にだってずっと会っていなかったわけで、昨日会った一伽より、航平を誘いたがるのも分かるんだけど。
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「…ん」
航平との話が終わったのか、侑仁が一伽のほうにやって来る。相変わらず侑仁はスーツ姿ではなくて、でもやっぱりカッコいいなぁ、て思って、一伽はドキドキしながら荷物を受け取った。
朝の、一伽と航平のやり取りを聞いていたので、志信も一伽が荷物を忘れて来たことは知っていて、だから何となくしおらしい一伽に笑ってしまう(その後の報復は知っているくせに)。
「お前、全部忘れてくとか、ねぇだろ」
「そんなのだって侑仁がっ…」
侑仁に笑われて、一伽はムキになって答えようとしたが、『侑仁がキスしたから』なんて言えるわけもなくて、慌てて口を噤んだ。
「俺が何だよ」
「な何でもないよっ、荷物置いてくるっ…!」
追及されたくなくて、一伽は逃げるようにスタッフルームへと向かった(そのとき、志信の足を踏んでいくことも忘れずに)。
「はぁ~…」
スタッフルームに逃げ込んだ一伽は、閉めたドアに寄り掛かって、大きく息をついた。
本当に侑仁は、いちいち心臓に悪い。
でも、今一伽に会った侑仁の様子を見ても、昨日侑仁の会社や家に行った一伽に嫌気が差して、一伽に会社とかに来てほしくないから自分から店に来た、という感じはしない。
ということは、やっぱり買い物がしたいのと、久しぶりに航平に会いたかったからなんだろうか。
どちらにしても、航平に渡して一伽に返すという方法を取らない侑仁は、昨日の今日で一伽に会うのが気まずくないのだから、やはり、一伽にキスしたことを覚えていないのだろう。
(…じゃなきゃ、あんなに普通のはずない)
侑仁がキスのこと覚えていなくて、一伽に今までどおりに接してくれるのなら、一伽も気まずいとか思わず、何もなかったように普通にしていればいいのだ。
そうすれば、丸く収まる。
雪乃には、これからもっとがんばると言ったけれど、このキスは一伽にとっては何のプラスにもなりそうにないから、なかったことにして、今日からがんばることにしよう。
「うしっ」
一伽はカバンを雑にソファに投げると(いつものこと)、頬をパンッと叩いてから店内に戻った。
*****
侑仁はそれから閉店間際まで店にいて、商品を見たり航平と話をしたりして、結局服とアクセサリーを購入した。
その間、侑仁は時々一伽のほうに視線を向けるので、好きな人に見られるドキドキと、俺ちゃんと仕事出来てる!? というドキドキの、二重のドキドキで、終わるころにはグッタリと疲れてしまった。
「ねぇ航平、仕事終わったらメシ行こうよ~、久々じゃん」
「あん?」
店内に侑仁以外の客がいなくなり、会計を済ませた侑仁が、気軽に航平に声を掛けた。
後片付け用のモップを出そうとしていた一伽は、ピクリと聞き耳を立てる。
(…何だよ、侑仁。今度から俺にも声掛ける、て言ったじゃん、昨日。なのに何で航平くん誘ってんの?)
キスだけでなく、その約束も忘れてしまったんだろうか。そんなのヒドイ。
でも一伽も、昨日のことはなかったことにして、今日からがんばることにしたんだから、同じことなのかな。
それに、一伽が侑仁と会わないでいた間、仕事が忙しかった侑仁は、航平にだってずっと会っていなかったわけで、昨日会った一伽より、航平を誘いたがるのも分かるんだけど。
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