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暴君王子のおっしゃることには! (166)
2012.10.14 Sun
「ったく、中入ってろ、て言ったろ? お前がなかなか来ねぇから、下でずっと待ってたのに」
「だって…、何か勝手に入ったら怒られそうだったから…」
「いや、誰が怒るんだよ…。1階はエントランスホールだし、誰でも入れるから」
地上30階建てのこのオフィスビルは、何も各階に入っている会社の社員だけが出入りするわけではなく、それぞれの会社に来客もあるし、何かしらの業者も来るから、そんなに怯えることなどないのだが…。
「でも、侑仁がこんなすごいトコで働いてるなんて、知らなかった…。嘘つき、やっぱりセレブなんじゃん」
「いや…別に俺がセレブなわけじゃないし」
この立地場所にして、この高層ビルの23階にオフィスを構えていれば、その家賃だけでもバカにならないとは思うが、侑仁は一社員でしかないから、詳しいことは分からない。
高校時代の先輩であり、この会社の代表である滝沢の話では、こういうところに所在があれば、小さな会社でも、それなりに信用してもらえるのだという。
とりあえず侑仁は、好きなことを仕事にしてメシに有り付いていられればいい…という、この時代に生きるにしてはのん気なスタンスなので、オフィスの所在地も、窓からの眺望も、どうでもいいのだ。
ただ侑仁は、『セレブ』と言われる人たちに肩を並べるほどではないが、同年代のサラリーマンに比べたら、かなり羨ましがられるだけの額は貰っているのだが…。
「ねぇ侑仁、どこ行くの?」
「とりあえず車出すから、こっち」
「は? 車? 車で行くの? タクシー??」
どういうことなのか分からず、一伽は小首を傾げつつ、侑仁の後を付いていく。
一伽の移動は、徒歩以外は大体コウモリの姿で飛んで行くのだが、人間の友人に合わせて、電車に乗ることだってあるから、切符の買い方とか、改札の通り方は、知っているのに。
「いや、自分のだけど」
「えっ侑仁、自分の車があるの!?」
はうぅ~…やっぱりセレブ…。
大体からして、セレブの基準が低い一伽は、またそんなことを思ってしまう。
「いや、今日も帰りが遅くなるかも、て思ったから乗って来ただけで、結構電車も乗るよ? つか、何食う? 飲むなら、車置いてかないとだな」
「んー…」
一伽は車の運転が出来ないから、侑仁がお酒を飲みたいなら、そういうことになるだろう。
でもちょっと、侑仁の車、乗ってみたいな。
「何にする?」
「ん、俺は何でも…」
人間のような食事を必要としない一伽は、特に夜ご飯となると、誰かに誘われたり、クラブに遊びに行ったりでもなければ、食べることがないので、店もあまり知らない。
それに今は、侑仁と一緒なのが嬉しいだけだから、何を食べるか自体は、わりとどうでもいいんだけど、でもこういうときは、『何でもいい』て言うより、何か答えたほうがいいのかな。
「んと…、……て、え?」
侑仁の食べたいものでいいけどなぁ…と思っていた一伽の横を、女の子2人組が通り過ぎていく。
街は賑やかだし、周りにいる他の人たちの声も結構大きいから、その子たちが特別目立ったわけではないんだけれど、通り過ぎ際、何となく視線を向けたら、見覚えのある顔だった。
「んぁ…? あー、いっちゃんら~」
「ちょっ、美亜! 重いっ」
2人のうち1人は知らない顔だったが、もう1人は、一伽の、吸血したり気持ちいいことをしたりするお友だちの、美亜だった。
「あ…美亜ちゃん…。え、どうし…」
まだそんなに遅い時間ではないのに、一緒にいる友だちの女の子が支えるのもやっとなくらいに、美亜はすでにかなり酔っ払っていて、足元も覚束ない様子だ。
侑仁と一緒のときに、あんまり関わりたくないなぁ…なんて勝手なことを思ったが、さすがに美亜の様子が心配で、声を掛けた。
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「だって…、何か勝手に入ったら怒られそうだったから…」
「いや、誰が怒るんだよ…。1階はエントランスホールだし、誰でも入れるから」
地上30階建てのこのオフィスビルは、何も各階に入っている会社の社員だけが出入りするわけではなく、それぞれの会社に来客もあるし、何かしらの業者も来るから、そんなに怯えることなどないのだが…。
「でも、侑仁がこんなすごいトコで働いてるなんて、知らなかった…。嘘つき、やっぱりセレブなんじゃん」
「いや…別に俺がセレブなわけじゃないし」
この立地場所にして、この高層ビルの23階にオフィスを構えていれば、その家賃だけでもバカにならないとは思うが、侑仁は一社員でしかないから、詳しいことは分からない。
高校時代の先輩であり、この会社の代表である滝沢の話では、こういうところに所在があれば、小さな会社でも、それなりに信用してもらえるのだという。
とりあえず侑仁は、好きなことを仕事にしてメシに有り付いていられればいい…という、この時代に生きるにしてはのん気なスタンスなので、オフィスの所在地も、窓からの眺望も、どうでもいいのだ。
ただ侑仁は、『セレブ』と言われる人たちに肩を並べるほどではないが、同年代のサラリーマンに比べたら、かなり羨ましがられるだけの額は貰っているのだが…。
「ねぇ侑仁、どこ行くの?」
「とりあえず車出すから、こっち」
「は? 車? 車で行くの? タクシー??」
どういうことなのか分からず、一伽は小首を傾げつつ、侑仁の後を付いていく。
一伽の移動は、徒歩以外は大体コウモリの姿で飛んで行くのだが、人間の友人に合わせて、電車に乗ることだってあるから、切符の買い方とか、改札の通り方は、知っているのに。
「いや、自分のだけど」
「えっ侑仁、自分の車があるの!?」
はうぅ~…やっぱりセレブ…。
大体からして、セレブの基準が低い一伽は、またそんなことを思ってしまう。
「いや、今日も帰りが遅くなるかも、て思ったから乗って来ただけで、結構電車も乗るよ? つか、何食う? 飲むなら、車置いてかないとだな」
「んー…」
一伽は車の運転が出来ないから、侑仁がお酒を飲みたいなら、そういうことになるだろう。
でもちょっと、侑仁の車、乗ってみたいな。
「何にする?」
「ん、俺は何でも…」
人間のような食事を必要としない一伽は、特に夜ご飯となると、誰かに誘われたり、クラブに遊びに行ったりでもなければ、食べることがないので、店もあまり知らない。
それに今は、侑仁と一緒なのが嬉しいだけだから、何を食べるか自体は、わりとどうでもいいんだけど、でもこういうときは、『何でもいい』て言うより、何か答えたほうがいいのかな。
「んと…、……て、え?」
侑仁の食べたいものでいいけどなぁ…と思っていた一伽の横を、女の子2人組が通り過ぎていく。
街は賑やかだし、周りにいる他の人たちの声も結構大きいから、その子たちが特別目立ったわけではないんだけれど、通り過ぎ際、何となく視線を向けたら、見覚えのある顔だった。
「んぁ…? あー、いっちゃんら~」
「ちょっ、美亜! 重いっ」
2人のうち1人は知らない顔だったが、もう1人は、一伽の、吸血したり気持ちいいことをしたりするお友だちの、美亜だった。
「あ…美亜ちゃん…。え、どうし…」
まだそんなに遅い時間ではないのに、一緒にいる友だちの女の子が支えるのもやっとなくらいに、美亜はすでにかなり酔っ払っていて、足元も覚束ない様子だ。
侑仁と一緒のときに、あんまり関わりたくないなぁ…なんて勝手なことを思ったが、さすがに美亜の様子が心配で、声を掛けた。
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