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暴君王子のおっしゃることには! (151)
2012.09.29 Sat
「ちょっ、マジで何なのっ!? 意味分かんないんだけどっ!」
スタッフルームに入ると、すぐに航平が手を放したので、一伽は再び航平のシャツを掴み上げた。
しかし航平だって、そんなことくらいでは怯まない。こちらだって、言いたいことは山ほどあるのだ。
「誰がお前のこと、朝まで働かせてんだ。言ってみろ」
「、」
航平がそう言うと、一伽は分かりやすく反応した。思い当たる節はあるようだ。
一伽の力が緩んだ隙に、航平はその手をシャツから離した。
「…ユキちゃんから、何か言われたの?」
「よく分かってんじゃねぇか」
「ッ、何言われたんだよっ! それで俺のこと殴りやがったのかよ、ふざけやがってっ! ユキちゃんのせいかよっ」
一伽はギロリと航平を睨み付けた。まだ自分の状況を分かっていないらしい。
かといって、航平までまた大きな声を出せば、先ほどまでの繰り返しになってしまうので、航平は大人になって堪えると、大きく息をついてから口を開いた。
「あのなぁ、ユキちゃんはお前のこと心配して、電話くれたんだぞ?」
「え…」
「お前が毎日、朝に帰って来ちゃあ、着替えて支度してすぐ仕事に行くから、そんなに忙しくて大丈夫なんか心配だ、て」
雪乃には、一伽に内緒にしてくれ、と言われたけれど、やはり言わずにはいられなかった。
大体それは、一伽が本当に毎日残業に明け暮れていたのなら果たせる約束だが、実際はそうでないのだから、出しに使われた航平は、黙ってはいられない。
しかし、雪乃が心配しているという事実が思いの外効いたのか、一伽は最初のように盾突いてくることはなく、僅かに視線を落とした。
雪乃が、一伽の言った嘘の言い訳を、本当にそこまで信じて、心配してくれているなんて、思ってもいなかったのだろうか。でも一伽だって、雪乃が落ち込んでいたときは、誰よりも一番心配していたのに。
「仕事の後、お前が何しようと構わねぇけどなぁ、しょーもない嘘ついて、ユキちゃんに心配掛けて。ホントに大概にしろよ」
「…だよね。ねぇ航平くん。ユキちゃんに、俺が家に帰ってないの、ホントは仕事のせいじゃない、て言っちゃった?」
「言うか。合わせといたわ」
「そっか…。ありがと」
航平に引っ叩かれたせいもあって、ただイライラしているだけだったけれど、雪乃に本当のことを知られていないと分かって、一伽はホッとしたのか、素直にお礼の言葉を口にした。
「しょうがねぇだろ。ユキちゃんは何も知らないわけだし、お前の嘘信じ切って心配してるし、合わせるしかないだろ?」
航平にしたって、一伽が仕事でなくて何をしていたのかなんて……何となく想像はつくけれど、別に本当のところは知らないし、自分の一言で、雪乃を傷つけることも有り得ると思ったら、余計なことは言えなかったのだ。
「…だってさ、ユキちゃん、俺がしばらく夜に帰んないでたらさ、『俺のこと嫌いになっちゃったから帰って来ないの?』とか言い出すんだよ? それも超深刻な顔で。そんなん言われたら、何かホントのこと言えなくて……つい、仕事が忙しいとか言っちゃった」
「アホ。そんな嘘までつかなきゃなんねぇこと、最初からすんな」
「俺もそう思う――――今は」
航平の尤もな言い分に、一伽は肩を竦めた。
今になってでも、一伽がそれに気付いてくれたのなら、航平にしたら何よりだった。
「俺だってなぁ、気にしてたんだぞ」
「何が?」
「お前に、侑仁の家に一緒に行こうて言われたの断ったとき、女の子の家に行けばいいだろ、て言ったから、それでお前が自棄になってたらどうしよう、て」
一伽のことを心配していたのを知られるのが恥ずかしくて、航平は明後日のほうを向きながら言った。
一伽にしても、まさか航平にまで心配されていたとは思わず、照れて視線を逸らした。
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スタッフルームに入ると、すぐに航平が手を放したので、一伽は再び航平のシャツを掴み上げた。
しかし航平だって、そんなことくらいでは怯まない。こちらだって、言いたいことは山ほどあるのだ。
「誰がお前のこと、朝まで働かせてんだ。言ってみろ」
「、」
航平がそう言うと、一伽は分かりやすく反応した。思い当たる節はあるようだ。
一伽の力が緩んだ隙に、航平はその手をシャツから離した。
「…ユキちゃんから、何か言われたの?」
「よく分かってんじゃねぇか」
「ッ、何言われたんだよっ! それで俺のこと殴りやがったのかよ、ふざけやがってっ! ユキちゃんのせいかよっ」
一伽はギロリと航平を睨み付けた。まだ自分の状況を分かっていないらしい。
かといって、航平までまた大きな声を出せば、先ほどまでの繰り返しになってしまうので、航平は大人になって堪えると、大きく息をついてから口を開いた。
「あのなぁ、ユキちゃんはお前のこと心配して、電話くれたんだぞ?」
「え…」
「お前が毎日、朝に帰って来ちゃあ、着替えて支度してすぐ仕事に行くから、そんなに忙しくて大丈夫なんか心配だ、て」
雪乃には、一伽に内緒にしてくれ、と言われたけれど、やはり言わずにはいられなかった。
大体それは、一伽が本当に毎日残業に明け暮れていたのなら果たせる約束だが、実際はそうでないのだから、出しに使われた航平は、黙ってはいられない。
しかし、雪乃が心配しているという事実が思いの外効いたのか、一伽は最初のように盾突いてくることはなく、僅かに視線を落とした。
雪乃が、一伽の言った嘘の言い訳を、本当にそこまで信じて、心配してくれているなんて、思ってもいなかったのだろうか。でも一伽だって、雪乃が落ち込んでいたときは、誰よりも一番心配していたのに。
「仕事の後、お前が何しようと構わねぇけどなぁ、しょーもない嘘ついて、ユキちゃんに心配掛けて。ホントに大概にしろよ」
「…だよね。ねぇ航平くん。ユキちゃんに、俺が家に帰ってないの、ホントは仕事のせいじゃない、て言っちゃった?」
「言うか。合わせといたわ」
「そっか…。ありがと」
航平に引っ叩かれたせいもあって、ただイライラしているだけだったけれど、雪乃に本当のことを知られていないと分かって、一伽はホッとしたのか、素直にお礼の言葉を口にした。
「しょうがねぇだろ。ユキちゃんは何も知らないわけだし、お前の嘘信じ切って心配してるし、合わせるしかないだろ?」
航平にしたって、一伽が仕事でなくて何をしていたのかなんて……何となく想像はつくけれど、別に本当のところは知らないし、自分の一言で、雪乃を傷つけることも有り得ると思ったら、余計なことは言えなかったのだ。
「…だってさ、ユキちゃん、俺がしばらく夜に帰んないでたらさ、『俺のこと嫌いになっちゃったから帰って来ないの?』とか言い出すんだよ? それも超深刻な顔で。そんなん言われたら、何かホントのこと言えなくて……つい、仕事が忙しいとか言っちゃった」
「アホ。そんな嘘までつかなきゃなんねぇこと、最初からすんな」
「俺もそう思う――――今は」
航平の尤もな言い分に、一伽は肩を竦めた。
今になってでも、一伽がそれに気付いてくれたのなら、航平にしたら何よりだった。
「俺だってなぁ、気にしてたんだぞ」
「何が?」
「お前に、侑仁の家に一緒に行こうて言われたの断ったとき、女の子の家に行けばいいだろ、て言ったから、それでお前が自棄になってたらどうしよう、て」
一伽のことを心配していたのを知られるのが恥ずかしくて、航平は明後日のほうを向きながら言った。
一伽にしても、まさか航平にまで心配されていたとは思わず、照れて視線を逸らした。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒
さすが!航平くん、大人な人でよかった。
たくさんの人に心配されちゃうくらい
いっちゃんのお悩み事は未解決中。
スッキリ解消してくれるのは誰でしょう…f(^ω^;ウーン!?
やっぱり、侑仁くんとか、侑仁くんとか、侑仁くんとか…?
たくさんの人に心配されちゃうくらい
いっちゃんのお悩み事は未解決中。
スッキリ解消してくれるのは誰でしょう…f(^ω^;ウーン!?
やっぱり、侑仁くんとか、侑仁くんとか、侑仁くんとか…?
- |2012.09.29
- |Sat
- |16:07
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
いきなりブチ切れた航平さんですが、一応大人の人でした。
何だかんだ言ってこの人も、いっちゃんのことが心配なのです(*^_^*)
でも、ずっといっちゃんモヤモヤさせっぱなしでスミマセン(>_<)
ユキちゃんに心配され、航平さんに心配され、でもいっちゃんのお悩みを解決してくれるのは…? ですよね。
肝心の人は今…?? 状態で、ちよさんまでモヤモヤさせっぱなしでスミマセン!
コメントありがとうございました!
何だかんだ言ってこの人も、いっちゃんのことが心配なのです(*^_^*)
でも、ずっといっちゃんモヤモヤさせっぱなしでスミマセン(>_<)
ユキちゃんに心配され、航平さんに心配され、でもいっちゃんのお悩みを解決してくれるのは…? ですよね。
肝心の人は今…?? 状態で、ちよさんまでモヤモヤさせっぱなしでスミマセン!
コメントありがとうございました!
- |2012.09.29
- |Sat
- |22:34
- |URL
- |EDIT|