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暴君王子のおっしゃることには! (139)
2012.09.17 Mon
「ゴメン、航平くん…。ね、リコちゃん、ちょっとこっち…」
「え!?」
もう1度謝った一伽は、戸惑うリコの手を引いて歩き出した。
伝わるかどうかわからなかったけれど、航平には、『大丈夫』と目で合図をした。
「ちょっ…何?」
別に一伽は、リコをどこかに連れ込んで、どうこうしようなどという気はなかった。
ただ、話をするのに、店の前では航平もいるし、人も多すぎるから、1つ先の路地を曲がって、誰もいないことを確認して足を止めた。
「何よ、何なの?」
「だって…、あそこじゃ話出来ないじゃん」
「話なんて…」
リコはキッと一伽を睨んだけれど、睨もうとしたけれど、それはうまくはいかなかった。ただ、涙が零れないように、堪えているだけの表情だった。
けれど一伽は、それに気付かない振りをしてやった。
「侑仁は…、侑仁はリコちゃんの告白、断ったかもだけど、俺のことも、他の友だちとおんなじふうにしか思ってないみたいだから」
「は!? えっ…」
思いがけず一伽がそう打ち明けたものだから、リコはポカンと口を開けたまま固まった。
先ほど、店の前で一伽に声を掛けたときほどのテンションはなかったが、一伽に何か言われたら、怯まず返すつもりだったのに。
「…直接侑仁から言われたわけじゃないけど、航平くんには、そんな感じのこと言ったみたい」
「侑仁が? 嘘でしょ?」
「ホント」
「…じゃあ、アタシがフラれんのも、しょうがないね」
リコは、溜め息混じりに肩を竦めた。
それから2人して、何となく、植込みのコンクリートのところに腰を下ろした。
お互い、別にすごく話したいことがあるというわけでもないし、一緒にいるのが楽しいという雰囲気でもないのに、このまま話さずに別れる気にはならなかったから。
「しょうがない、て?」
「だって、そりゃそうでしょ? 侑仁、アンタの……あ、ゴメン、名前何だっけ?」
「一伽」
「…侑仁、一伽くんのこと、超好きそうにしてるじゃない? なのに友だちとしか思ってないんだとしたら、アタシなんて全然ダメじゃん?」
リコは、大きく息を吐き出した。
一伽はチラリと様子を窺う。
「リコちゃん、いつから侑仁のこと好きなの?」
「…忘れた。ずっと前。会ってすぐかも」
「一目惚れ?」
「かもね」
なぜかリコは、一伽の質問に嫌がりもせずに答えてくれる。
その姿は、今まで一伽が感じていたリコの印象とは、随分と掛け離れているような気がした。
「一伽くんは? いつから? 好きなんでしょ? 侑仁のこと」
「…言ったらリコちゃんが怒るから、言いたくない」
「今さら怒んない」
「ホントに?」
「ホント」
「絶対ね?」
「分かったってば」
念入りに、しつこく確認してくる一伽に、リコは別に怒るでもなく、逆に吹き出した。
一伽の中でリコは、当たり前かもしれないが、相当怒りっぽいキャラが出来上がっているようで、それがおかしかったのだ。
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「え!?」
もう1度謝った一伽は、戸惑うリコの手を引いて歩き出した。
伝わるかどうかわからなかったけれど、航平には、『大丈夫』と目で合図をした。
「ちょっ…何?」
別に一伽は、リコをどこかに連れ込んで、どうこうしようなどという気はなかった。
ただ、話をするのに、店の前では航平もいるし、人も多すぎるから、1つ先の路地を曲がって、誰もいないことを確認して足を止めた。
「何よ、何なの?」
「だって…、あそこじゃ話出来ないじゃん」
「話なんて…」
リコはキッと一伽を睨んだけれど、睨もうとしたけれど、それはうまくはいかなかった。ただ、涙が零れないように、堪えているだけの表情だった。
けれど一伽は、それに気付かない振りをしてやった。
「侑仁は…、侑仁はリコちゃんの告白、断ったかもだけど、俺のことも、他の友だちとおんなじふうにしか思ってないみたいだから」
「は!? えっ…」
思いがけず一伽がそう打ち明けたものだから、リコはポカンと口を開けたまま固まった。
先ほど、店の前で一伽に声を掛けたときほどのテンションはなかったが、一伽に何か言われたら、怯まず返すつもりだったのに。
「…直接侑仁から言われたわけじゃないけど、航平くんには、そんな感じのこと言ったみたい」
「侑仁が? 嘘でしょ?」
「ホント」
「…じゃあ、アタシがフラれんのも、しょうがないね」
リコは、溜め息混じりに肩を竦めた。
それから2人して、何となく、植込みのコンクリートのところに腰を下ろした。
お互い、別にすごく話したいことがあるというわけでもないし、一緒にいるのが楽しいという雰囲気でもないのに、このまま話さずに別れる気にはならなかったから。
「しょうがない、て?」
「だって、そりゃそうでしょ? 侑仁、アンタの……あ、ゴメン、名前何だっけ?」
「一伽」
「…侑仁、一伽くんのこと、超好きそうにしてるじゃない? なのに友だちとしか思ってないんだとしたら、アタシなんて全然ダメじゃん?」
リコは、大きく息を吐き出した。
一伽はチラリと様子を窺う。
「リコちゃん、いつから侑仁のこと好きなの?」
「…忘れた。ずっと前。会ってすぐかも」
「一目惚れ?」
「かもね」
なぜかリコは、一伽の質問に嫌がりもせずに答えてくれる。
その姿は、今まで一伽が感じていたリコの印象とは、随分と掛け離れているような気がした。
「一伽くんは? いつから? 好きなんでしょ? 侑仁のこと」
「…言ったらリコちゃんが怒るから、言いたくない」
「今さら怒んない」
「ホントに?」
「ホント」
「絶対ね?」
「分かったってば」
念入りに、しつこく確認してくる一伽に、リコは別に怒るでもなく、逆に吹き出した。
一伽の中でリコは、当たり前かもしれないが、相当怒りっぽいキャラが出来上がっているようで、それがおかしかったのだ。
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