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暴君王子のおっしゃることには! (138)
2012.09.16 Sun
「ねぇ、どうして…?」
「え?」
「どうしてアンタなの? 何で?」
「な…何が?」
一伽は聞き返したけれど、リコが言いたいのが侑仁のことだというのは、何となく分かっていた。
侑仁は、リコの告白を断ったというか、リコにそれを保留させられたのだという。あれからどのくらい経っただろうか、もしかしたらリコは今日、侑仁に2度目の返事を聞きに行ったのかもしれない。
「どうして…! あたしだって、こんなに侑仁のこと好きなのにっ…」
リコの言葉が、一伽の胸に刺さる。
知っている。リコがどんなに侑仁のことを好きか。
最初は、ただ何となく、がんばっているリコのことを、冷やかすような気持ちで見ていただけだったけれど、自分も侑仁のことが好きだと分かった今は、リコの気持ちがよく分かる。
「何でっ…? 何でアンタなの…?」
「違う…、違うよ、リコちゃん…」
一伽だって、侑仁に選ばれたわけじゃない。
侑仁を好きな気持ちは同じだし、侑仁に好きになってもらえない状況も同じ。みんなリコと同じだ。
「でも侑仁はっ…!」
涙を浮かべたリコが、一伽の胸倉を掴んだから、何も身構えていなかった一伽は、そのままガクッとなったが、何とか持ち堪えた。
通り過ぎていく人たちが、2人に不躾な視線を送る。別れ話の縺れか、三角関係か……ドラマのような修羅場に興味はあれど、巻き込まれたくはない、といったところか。
「おいお前、何してんだっ!」
いくら一伽が普段より体調が悪くても、男だし、吸血鬼だから、人間の女の子であるリコに力で負けるわけがないので、ちょっとくらいこういう態度に出られても、怖くはない。
それに、いくら相手が先に手を出して来たとしても、女の子に対して同じように返せるわけもないから、ここはリコが落ち着くまで待とう…と思っていたら、それより先に、別の声が2人の間に割って入った。
航平だ。
「航平…」
リコがハッとしたように、一伽から手を離した。
一伽は一瞬、どうして航平がここにいるのか分からなかったが、一伽が店を出た後、戸締りなどをしてから出てくれば、ちょうど今くらいになるのだと気が付いた。
「リコ、お前、」
「航平くん、そんな怒んないで」
航平が、静かながら怒りに火を点けているのが分かった一伽は、航平がリコに詰め寄る前に、そう言って止めた。
航平も、侑仁とリコの間に起ったことは知っている。一伽がその事実を知っているということも。
それを踏まえたうえで、今ここにリコがいて、一伽に問い詰めている姿を見たら、想像できることは1つしかなかった。
しかし一伽は航平に助けを求めるわけでもなく、リコを責めるのでもなく、ただ静かに声を掛けた。
「何でもないから、大丈夫だから、航平くん、お願い、そんなに怒んないで?」
「別に…怒ってるわけじゃないけど…」
本当は、怒っていないと言ったら、嘘になるけれど。
でも一伽本人にそう言われたら、航平は黙るしかない。
「航平くん、ゴメンなさい、店の前で」
「あ…いや、それはいいけど…」
一伽にそんなに素直に謝られると、調子が狂う。
航平は、一伽とリコを交互に見た。リコは突然現れた航平に驚いて、怒気を失ってからは、ただ困ったような、泣きそうな顔で立ち竦んでいるだけだった。
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「え?」
「どうしてアンタなの? 何で?」
「な…何が?」
一伽は聞き返したけれど、リコが言いたいのが侑仁のことだというのは、何となく分かっていた。
侑仁は、リコの告白を断ったというか、リコにそれを保留させられたのだという。あれからどのくらい経っただろうか、もしかしたらリコは今日、侑仁に2度目の返事を聞きに行ったのかもしれない。
「どうして…! あたしだって、こんなに侑仁のこと好きなのにっ…」
リコの言葉が、一伽の胸に刺さる。
知っている。リコがどんなに侑仁のことを好きか。
最初は、ただ何となく、がんばっているリコのことを、冷やかすような気持ちで見ていただけだったけれど、自分も侑仁のことが好きだと分かった今は、リコの気持ちがよく分かる。
「何でっ…? 何でアンタなの…?」
「違う…、違うよ、リコちゃん…」
一伽だって、侑仁に選ばれたわけじゃない。
侑仁を好きな気持ちは同じだし、侑仁に好きになってもらえない状況も同じ。みんなリコと同じだ。
「でも侑仁はっ…!」
涙を浮かべたリコが、一伽の胸倉を掴んだから、何も身構えていなかった一伽は、そのままガクッとなったが、何とか持ち堪えた。
通り過ぎていく人たちが、2人に不躾な視線を送る。別れ話の縺れか、三角関係か……ドラマのような修羅場に興味はあれど、巻き込まれたくはない、といったところか。
「おいお前、何してんだっ!」
いくら一伽が普段より体調が悪くても、男だし、吸血鬼だから、人間の女の子であるリコに力で負けるわけがないので、ちょっとくらいこういう態度に出られても、怖くはない。
それに、いくら相手が先に手を出して来たとしても、女の子に対して同じように返せるわけもないから、ここはリコが落ち着くまで待とう…と思っていたら、それより先に、別の声が2人の間に割って入った。
航平だ。
「航平…」
リコがハッとしたように、一伽から手を離した。
一伽は一瞬、どうして航平がここにいるのか分からなかったが、一伽が店を出た後、戸締りなどをしてから出てくれば、ちょうど今くらいになるのだと気が付いた。
「リコ、お前、」
「航平くん、そんな怒んないで」
航平が、静かながら怒りに火を点けているのが分かった一伽は、航平がリコに詰め寄る前に、そう言って止めた。
航平も、侑仁とリコの間に起ったことは知っている。一伽がその事実を知っているということも。
それを踏まえたうえで、今ここにリコがいて、一伽に問い詰めている姿を見たら、想像できることは1つしかなかった。
しかし一伽は航平に助けを求めるわけでもなく、リコを責めるのでもなく、ただ静かに声を掛けた。
「何でもないから、大丈夫だから、航平くん、お願い、そんなに怒んないで?」
「別に…怒ってるわけじゃないけど…」
本当は、怒っていないと言ったら、嘘になるけれど。
でも一伽本人にそう言われたら、航平は黙るしかない。
「航平くん、ゴメンなさい、店の前で」
「あ…いや、それはいいけど…」
一伽にそんなに素直に謝られると、調子が狂う。
航平は、一伽とリコを交互に見た。リコは突然現れた航平に驚いて、怒気を失ってからは、ただ困ったような、泣きそうな顔で立ち竦んでいるだけだった。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
ここで登場したのが、侑仁じゃなくて航平!
ちょっと 期待してたんだけど 侑仁が現れる訳ないよね
でも 正義のヒーローって感じで 航平 カッコイイよ~ヽ(*^▽^*)ノ
それはそうと リコが いっちゃんを詰め寄る様な行動をさせた原因は、侑仁の返事でしょ!
侑仁は 何て言って 断ったの?
∑(*'0')*'0')/ アレハナンダ!~~~〓■●~~~スーパーマン...byebye☆
ちょっと 期待してたんだけど 侑仁が現れる訳ないよね
でも 正義のヒーローって感じで 航平 カッコイイよ~ヽ(*^▽^*)ノ
それはそうと リコが いっちゃんを詰め寄る様な行動をさせた原因は、侑仁の返事でしょ!
侑仁は 何て言って 断ったの?
∑(*'0')*'0')/ アレハナンダ!~~~〓■●~~~スーパーマン...byebye☆
- |2012.09.16
- |Sun
- |08:17
- |URL
- |EDIT|
如月久美子@携帯電話 ⇒ >けいったんさん
お店の前で、突如として始まったケンカに、航平くん、颯爽と登場です!
そして、肝心の侑仁さんといえば、リコちゃんのこと、こんなに怒らせちゃって…!
侑仁さん、もっと男を見せてくれないとですよね(^-^;)
いっちゃん、このピンチから逃れられるでしょうか!?
お楽しみにです!
コメントありがとうございました!!
そして、肝心の侑仁さんといえば、リコちゃんのこと、こんなに怒らせちゃって…!
侑仁さん、もっと男を見せてくれないとですよね(^-^;)
いっちゃん、このピンチから逃れられるでしょうか!?
お楽しみにです!
コメントありがとうございました!!
- |2012.09.16
- |Sun
- |23:02
- |URL
- |EDIT|