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暴君王子のおっしゃることには! (128)
2012.09.06 Thu
「…俺、変?」
「変つーか、いつもと何か違うとは思うけど。またユキちゃんが引きこもったか?」
「んーん、ユキちゃんは元気。ウザいくらいに」
「そこまで言うなよ」
ちょっとだけいつもの調子になった一伽に侑仁が笑えば、一伽も「うへへ」と変な笑い方をした。
「で、何があったんだ?」
「…………、だってさぁ、航平くんがそうしたほうがいい、て言うんだもん」
「航平?」
拗ねた顔でレンゲを放り出した一伽を見ながら、侑仁は、一伽が働く店の店長であり、先日、侑仁と一伽のことを一方的に決め付けていった、友人である航平の顔を思い出した。
一体航平が一伽に何を言ったのか知らないが、まさか、この間のやり取りのことが、その入れ知恵に関係しているとか?
「航平に何言われたんだよ」
「…何か、ちゃんと行儀よくしなさい、みたいな、そういうこと。あんまりこう…ダラ~てしてちゃダメとか。ちゃんとしないと、侑仁に愛想尽かされるぞ、て言うから」
「何やってんだよ、航平…」
お店ではなかなか航平の言うことを聞かないらしい一伽に、航平が懸命に教え込んでいる姿が、目に浮かぶ。
突然そんなことを言われた一伽は、きっと『何で? 何で?』としつこかったに違いない。そして航平が『何でもや!』とキレかかって、強制終了……そんなところだろう。
「つか、そんなの今さらだろ。今まで散々やって来といて……愛想尽かすなら、とっくに尽かしてるっつの」
「俺もそう思ったんだけど…、でもやっぱ、それでもちゃんとしてたほうがいいかな、て思って。侑仁もそのほうがいいでしょ?」
「そのほうが、つーか……お前、それで疲れねぇの?」
確か一伽は、涼しいところで寛ぎたくて侑仁の家に来ていたはずでは?
これからの人生のために礼儀を身に着けるべく、ちゃんとする路線に変更したのなら、それでもいいけれど…。
「疲れ……ん、でも大丈夫! 俺、これからはちゃんとする!」
「え? あ、そう? まぁどっちでもいいけど」
「…………。侑仁、どっちでもいいの?」
コブシを握って気合を知れていた一伽は、侑仁の答えに、拍子抜けしたような顔をした。
「俺んち来るのに、そんな…ちゃんとお行儀よくするぞ! て感じのヤツいないから、おもしろそう気はするけど、あんまりかしこまられると、俺のが落ち着かない」
「じゃあ、今までのがいい?」
「どっちでもいいって、俺んちは」
侑仁は友人を家に呼ぶことが多いし、来てくれた人はみんな、自分の家のように寛いでもらって構わない…という性格の人だから、そこは一伽も同じように、自分の好きなようにすればいいと思う。
がんばってちゃんとしようとしている一伽を見るのも、何だかおもしろそうだから、それはそれでいい気もするが。
「でもお前、俺んちでちゃんとするようになって、その分、他で発散し過ぎんなよ?」
「え、どういうこと?」
「だって、いきなり性格とか変えんのって難しいじゃん? 今まで俺んちでダラァ~てしてたの、ちゃんとするようになったら、ストレス溜まらね? で、それを発散するために、よそでさらに傍若無人ぶりを発揮するようになったら大変なことに…」
「ほ…他でも、ちゃんとするもん…」
「マジかよ」
それが出来そうもないことは、一伽自身が一番よく分かっているのか、全然自信がなさそうな声で、ボソッとそう言った。
「でも! 少なくても、侑仁の前ではちゃんとする!」
「いや、俺の前でちゃんとするなら、誰の前でもちゃんとしろよ」
「え?」
「俺の前だけとか、それじゃお前、リコと同じだろ」
「あ…」
侑仁に言われて、自分の宣言がそういうことなのだと気が付いたのか、一伽はハッとした顔をした後、視線を落とした。
友だちの前と、仕事や社会的な立場とで態度が違うのは誰しもそうだけれど、友だちの中で、人によって態度を変えるのは、やっぱりいいこととは言えない。
少なくとも侑仁は、そういう人間を好きになれない。だからこそ、リコからの告白も断ったのだし。
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「変つーか、いつもと何か違うとは思うけど。またユキちゃんが引きこもったか?」
「んーん、ユキちゃんは元気。ウザいくらいに」
「そこまで言うなよ」
ちょっとだけいつもの調子になった一伽に侑仁が笑えば、一伽も「うへへ」と変な笑い方をした。
「で、何があったんだ?」
「…………、だってさぁ、航平くんがそうしたほうがいい、て言うんだもん」
「航平?」
拗ねた顔でレンゲを放り出した一伽を見ながら、侑仁は、一伽が働く店の店長であり、先日、侑仁と一伽のことを一方的に決め付けていった、友人である航平の顔を思い出した。
一体航平が一伽に何を言ったのか知らないが、まさか、この間のやり取りのことが、その入れ知恵に関係しているとか?
「航平に何言われたんだよ」
「…何か、ちゃんと行儀よくしなさい、みたいな、そういうこと。あんまりこう…ダラ~てしてちゃダメとか。ちゃんとしないと、侑仁に愛想尽かされるぞ、て言うから」
「何やってんだよ、航平…」
お店ではなかなか航平の言うことを聞かないらしい一伽に、航平が懸命に教え込んでいる姿が、目に浮かぶ。
突然そんなことを言われた一伽は、きっと『何で? 何で?』としつこかったに違いない。そして航平が『何でもや!』とキレかかって、強制終了……そんなところだろう。
「つか、そんなの今さらだろ。今まで散々やって来といて……愛想尽かすなら、とっくに尽かしてるっつの」
「俺もそう思ったんだけど…、でもやっぱ、それでもちゃんとしてたほうがいいかな、て思って。侑仁もそのほうがいいでしょ?」
「そのほうが、つーか……お前、それで疲れねぇの?」
確か一伽は、涼しいところで寛ぎたくて侑仁の家に来ていたはずでは?
これからの人生のために礼儀を身に着けるべく、ちゃんとする路線に変更したのなら、それでもいいけれど…。
「疲れ……ん、でも大丈夫! 俺、これからはちゃんとする!」
「え? あ、そう? まぁどっちでもいいけど」
「…………。侑仁、どっちでもいいの?」
コブシを握って気合を知れていた一伽は、侑仁の答えに、拍子抜けしたような顔をした。
「俺んち来るのに、そんな…ちゃんとお行儀よくするぞ! て感じのヤツいないから、おもしろそう気はするけど、あんまりかしこまられると、俺のが落ち着かない」
「じゃあ、今までのがいい?」
「どっちでもいいって、俺んちは」
侑仁は友人を家に呼ぶことが多いし、来てくれた人はみんな、自分の家のように寛いでもらって構わない…という性格の人だから、そこは一伽も同じように、自分の好きなようにすればいいと思う。
がんばってちゃんとしようとしている一伽を見るのも、何だかおもしろそうだから、それはそれでいい気もするが。
「でもお前、俺んちでちゃんとするようになって、その分、他で発散し過ぎんなよ?」
「え、どういうこと?」
「だって、いきなり性格とか変えんのって難しいじゃん? 今まで俺んちでダラァ~てしてたの、ちゃんとするようになったら、ストレス溜まらね? で、それを発散するために、よそでさらに傍若無人ぶりを発揮するようになったら大変なことに…」
「ほ…他でも、ちゃんとするもん…」
「マジかよ」
それが出来そうもないことは、一伽自身が一番よく分かっているのか、全然自信がなさそうな声で、ボソッとそう言った。
「でも! 少なくても、侑仁の前ではちゃんとする!」
「いや、俺の前でちゃんとするなら、誰の前でもちゃんとしろよ」
「え?」
「俺の前だけとか、それじゃお前、リコと同じだろ」
「あ…」
侑仁に言われて、自分の宣言がそういうことなのだと気が付いたのか、一伽はハッとした顔をした後、視線を落とした。
友だちの前と、仕事や社会的な立場とで態度が違うのは誰しもそうだけれど、友だちの中で、人によって態度を変えるのは、やっぱりいいこととは言えない。
少なくとも侑仁は、そういう人間を好きになれない。だからこそ、リコからの告白も断ったのだし。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒ 侑仁くん…
ホントはいつも通りのいっちゃんが好きなんだよ。
ま、お行儀よくしてみよう!って、
一生懸命ないっちゃんのことは応援してくれると思うけど、
無理しちゃういっちゃんは見たくないだろうし…
侑仁くん、こんなに遠慮なくお話しが出来るお知り合いって他に居ますか?
友人、友人って、いっちゃんは、友人のうちの一人に過ぎないの?
無自覚というか、無邪気というか…
はう~(´Д`)=3
侑仁くん、自覚するのはいつになるんだろう…
ま、お行儀よくしてみよう!って、
一生懸命ないっちゃんのことは応援してくれると思うけど、
無理しちゃういっちゃんは見たくないだろうし…
侑仁くん、こんなに遠慮なくお話しが出来るお知り合いって他に居ますか?
友人、友人って、いっちゃんは、友人のうちの一人に過ぎないの?
無自覚というか、無邪気というか…
はう~(´Д`)=3
侑仁くん、自覚するのはいつになるんだろう…
- |2012.09.06
- |Thu
- |08:39
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
どうかちよさん、呆れずに侑仁さんのことを見守ってあげてくださいっ(>_<)
いや、ホントに…(笑)
しかし、いっちゃんのお行儀よく作戦、侑仁さんにはいまいちでしたね。
まぁ、もともとの、『あの』いっちゃんを気に入っていたと思えば、それも仕方がないかと…(^_^;)
やっぱりいっちゃんは、傍若無人な王子様でないとですよね!
コメントありがとうございました!
いや、ホントに…(笑)
しかし、いっちゃんのお行儀よく作戦、侑仁さんにはいまいちでしたね。
まぁ、もともとの、『あの』いっちゃんを気に入っていたと思えば、それも仕方がないかと…(^_^;)
やっぱりいっちゃんは、傍若無人な王子様でないとですよね!
コメントありがとうございました!
- |2012.09.06
- |Thu
- |22:25
- |URL
- |EDIT|