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暴君王子のおっしゃることには! (116)
2012.08.25 Sat
侑仁だけは別、とかじゃない…。
なのに何でみんなして、そんなこと言うの? これじゃまるで、昨日の志信みたいだ。
昨日、志信の家で散々な目に遭ったから、そのストレスも発散したかったのに、全然そんなふうにならない。ニナやエリーのことは好きだけれど、今日はすごく嫌だ。
一伽がそうじゃないて言っていること、どうして分かってくれないの?
「確かになぁ、女の子大好き! 男なんかヤダ! て言いながら、侑仁の血は吸うし、侑仁の家には行くもんな、コイツ」
とうとう海晴までがそんなことを言い出した。
バカ、違う。
男の血なら雪乃のだって吸ったことあるし、侑仁の家は涼しくて快適だし、志信のバカはムカつくから、他に行くトコないだけだもん。
「でもさぁ、」
やっぱり侑仁といっちゃんよね、とがんばるエリーに、ニナが口を開いた。
「でも侑仁は結局、リコと付き合うわけでしょ? 侑仁が決めたことだし、これ以上ウチラがどうこう言ったって始まらないじゃん」
「まぁそうだけど…」
そうだ。侑仁はこれからリコと付き合うんだから、一伽なんか、もう関係ないのだ。
もともとリコからはあんなこと言われていたし、侑仁の家には行けないんだから、もう侑仁と会うことだってないし、もしかしたらクラブとかで会うかもだけど、それだけだし。
周りが変なふうに言うだけで、そもそも一伽と侑仁は、ただの友だちでしかないのだ。
たまたま腹ペコで死にそうだったから、男だったけどしょうがなく侑仁の血を吸っただけだし、ゆっくり寛げる涼しい場所が侑仁の家くらいしかなかっただけだし、それだけのことだ。
…それだけの。
「侑仁といっちゃん、よさげだったけどなぁ。侑仁は結局リコのこと選んじゃったかー」
あーあ…と、エリーの落ち込む声。
なぜエリーが落ち込むのかは分からないが、とにかくエリーは少なからずショックを受けている。
でもこの場合、ショックなのは、侑仁に選んでもらえなかった一伽なのでは?
(つか、ショックて…)
別にショックなんか受けてない…と、一伽は自分自身に突っ込んだ。
何が何だか、自分でももうよく分からない。
そんなこと言ったって、侑仁はリコのこと選んじゃったもん。
だからもう、一伽は侑仁に会えないの。
(…侑仁に、会えない)
そう思ったら、急に胸が痛くなって、一伽はビックリした。
え、病気? 心臓の? それとも、もしかしてお酒飲み過ぎちゃったから、アル中的な? うぅ…死んじゃうかも…。
「ねぇ、いっちゃん大丈夫かな? めっちゃ眉間にしわ寄ってるけど」
「気持ち悪いの? おーい、いっちゃーん」
ニナとエリーの声。
違う違う違う、そんなんじゃない。全然誰も、一伽の気持ち分かってない。
侑仁のことなんか好きじゃない。気持ち悪いんじゃない。侑仁だけが特別なんじゃない。そんなんじゃないのに。
「いっちゃん?」
「うぅ~…」
「起こしたほうがいいのかな? いっちゃーん?」
悔しいような、悲しいような、寂しいような、いろんな感情が入り混じって、涙が零れそうになって、一伽は必死にそれを堪えた。
だってもう遅いじゃん。
侑仁はリコのことを選んじゃったんだもん。一伽が侑仁のこと好きでも、もう遅いもん。
一伽が、侑仁のこと好きでも。
(違うよ、侑仁のことなんか好きじゃないよ、俺、侑仁のこと好きじゃない。好きじゃない。好きじゃない、好きじゃ……………………嘘、好き)
「いっちゃん?」
「大丈夫?」
遠くに3人の声を聞きながら、一伽の意識はそのまま落ちて行った。
涙が零れ落ちたのかどうかは、知らない。
――――バカは、俺だ。
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なのに何でみんなして、そんなこと言うの? これじゃまるで、昨日の志信みたいだ。
昨日、志信の家で散々な目に遭ったから、そのストレスも発散したかったのに、全然そんなふうにならない。ニナやエリーのことは好きだけれど、今日はすごく嫌だ。
一伽がそうじゃないて言っていること、どうして分かってくれないの?
「確かになぁ、女の子大好き! 男なんかヤダ! て言いながら、侑仁の血は吸うし、侑仁の家には行くもんな、コイツ」
とうとう海晴までがそんなことを言い出した。
バカ、違う。
男の血なら雪乃のだって吸ったことあるし、侑仁の家は涼しくて快適だし、志信のバカはムカつくから、他に行くトコないだけだもん。
「でもさぁ、」
やっぱり侑仁といっちゃんよね、とがんばるエリーに、ニナが口を開いた。
「でも侑仁は結局、リコと付き合うわけでしょ? 侑仁が決めたことだし、これ以上ウチラがどうこう言ったって始まらないじゃん」
「まぁそうだけど…」
そうだ。侑仁はこれからリコと付き合うんだから、一伽なんか、もう関係ないのだ。
もともとリコからはあんなこと言われていたし、侑仁の家には行けないんだから、もう侑仁と会うことだってないし、もしかしたらクラブとかで会うかもだけど、それだけだし。
周りが変なふうに言うだけで、そもそも一伽と侑仁は、ただの友だちでしかないのだ。
たまたま腹ペコで死にそうだったから、男だったけどしょうがなく侑仁の血を吸っただけだし、ゆっくり寛げる涼しい場所が侑仁の家くらいしかなかっただけだし、それだけのことだ。
…それだけの。
「侑仁といっちゃん、よさげだったけどなぁ。侑仁は結局リコのこと選んじゃったかー」
あーあ…と、エリーの落ち込む声。
なぜエリーが落ち込むのかは分からないが、とにかくエリーは少なからずショックを受けている。
でもこの場合、ショックなのは、侑仁に選んでもらえなかった一伽なのでは?
(つか、ショックて…)
別にショックなんか受けてない…と、一伽は自分自身に突っ込んだ。
何が何だか、自分でももうよく分からない。
そんなこと言ったって、侑仁はリコのこと選んじゃったもん。
だからもう、一伽は侑仁に会えないの。
(…侑仁に、会えない)
そう思ったら、急に胸が痛くなって、一伽はビックリした。
え、病気? 心臓の? それとも、もしかしてお酒飲み過ぎちゃったから、アル中的な? うぅ…死んじゃうかも…。
「ねぇ、いっちゃん大丈夫かな? めっちゃ眉間にしわ寄ってるけど」
「気持ち悪いの? おーい、いっちゃーん」
ニナとエリーの声。
違う違う違う、そんなんじゃない。全然誰も、一伽の気持ち分かってない。
侑仁のことなんか好きじゃない。気持ち悪いんじゃない。侑仁だけが特別なんじゃない。そんなんじゃないのに。
「いっちゃん?」
「うぅ~…」
「起こしたほうがいいのかな? いっちゃーん?」
悔しいような、悲しいような、寂しいような、いろんな感情が入り混じって、涙が零れそうになって、一伽は必死にそれを堪えた。
だってもう遅いじゃん。
侑仁はリコのことを選んじゃったんだもん。一伽が侑仁のこと好きでも、もう遅いもん。
一伽が、侑仁のこと好きでも。
(違うよ、侑仁のことなんか好きじゃないよ、俺、侑仁のこと好きじゃない。好きじゃない。好きじゃない、好きじゃ……………………嘘、好き)
「いっちゃん?」
「大丈夫?」
遠くに3人の声を聞きながら、一伽の意識はそのまま落ちて行った。
涙が零れ落ちたのかどうかは、知らない。
――――バカは、俺だ。
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