スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
暴君王子のおっしゃることには! (109)
2012.08.18 Sat
というか、いつも腹ペコの大橋は、人が食べている姿を物欲しそうに見ていることがよくあるし(しかし実際は、ただボーッとなっているだけで、何も考えてはいない)、一番混雑するランチタイムに、早くお昼食べたい…という表情を隠しもせずに仕事をしている。
そんな大橋は、もしかしたらカフェでの仕事には向いてないんじゃないかなぁ…と一伽は時々思うが、大橋には大橋なりのいいところがあるはずなのだと思うことにしている。
「はい、お待たせ」
お店で出すみたいにソーサーはないけれど、ちゃんとティーカップに注いだジャスミンティーを一伽に差し出す。
「…熱い」
「ホットだもん。今、お湯注いで作ってたの、見てたでしょ?」
カップを受け取って、とっても今さらなことを言う一伽に、雪乃もごく当たり前のことを返す。
一伽はそれ以上文句を言うことなく、台所で、立ったままコクコクとジャスミンティーを飲んでいる。額には、うっすらと汗が浮かんでいた。
「…雨、止まないね」
「でも、あんま涼しくないね」
雨がまだ、うるさく屋根を叩いている。
けれど一伽の言うとおり、それほど気温が下がったようにも感じない。蒸し暑い、熱帯夜。
「今度引っ越すときは、クーラーのあるところにしようね、いっちゃん」
以前にも聞いたことのある雪乃のセリフに、一伽は少し笑っただけで、返事をしなかった。
クーラーのある部屋に住むことは、一伽にとっても魅力的な生活だった。それはきっと雪乃も同じことで。
でも。
(何でユキちゃん、引っ越した後も、俺と一緒に暮らす気なの?)
今は金銭的な都合で一緒に暮らしてはいるけれど。
雪乃には、光宏という恋人が出来たのだ。今度引っ越したら、雪乃は一伽とでなく、光宏と暮らすんじゃないの?
そんな発想が少しもない雪乃を、一伽はからかうでもなく、ただ何となく見つめていた。
一伽 と 海晴
翌日、一伽は仕事に行きたくない気分に、激しく襲われていた。
それはもちろん志信に会いたくないからで、でもそれで仕事を休むのは何か志信に負けた気がするから、やっぱり休まないことにした(別に一伽が勤勉な性格をしているからではない)。
職場で志信は、一伽が拍子抜けするくらい普通で、だから一伽もいつもどおりにしていた(何かムカつくから)。
営業後の後片付けも、いつもどおり。
「ふぅ、やっと終わった」
「あのなぁ…、お前、やれば出来る子だろ? 昨日はあんなに早く掃除できただろ? なのに何で今日はこんななんだよ」
「何でだろう」
普段と同じく、つまりは昨日の倍くらいの時間を掛けて掃除を終わらせた一伽に、航平は呆れたように突っ込むが、一伽にはやはり通用しなかった。
ちなみに志信はもういない。相変わらず、自分の仕事が終わるとさっさと帰るのだ。別に一伽は、もう志信の家に行く気なんかないから、そんなに急いで逃げなくてもいいのに。
「大体なぁ、ホントは昨日のペースが当たり前で…」
「あ、メール」
「おい、ゴルァ!」
航平のお説教など聞く気のない一伽は、携帯電話がメールを受信したのをいいことに、サッと航平に背を向けた。
鬼のような顔で航平が凄んでみても、一伽はまったくへっちゃらなのだ。
back next
そんな大橋は、もしかしたらカフェでの仕事には向いてないんじゃないかなぁ…と一伽は時々思うが、大橋には大橋なりのいいところがあるはずなのだと思うことにしている。
「はい、お待たせ」
お店で出すみたいにソーサーはないけれど、ちゃんとティーカップに注いだジャスミンティーを一伽に差し出す。
「…熱い」
「ホットだもん。今、お湯注いで作ってたの、見てたでしょ?」
カップを受け取って、とっても今さらなことを言う一伽に、雪乃もごく当たり前のことを返す。
一伽はそれ以上文句を言うことなく、台所で、立ったままコクコクとジャスミンティーを飲んでいる。額には、うっすらと汗が浮かんでいた。
「…雨、止まないね」
「でも、あんま涼しくないね」
雨がまだ、うるさく屋根を叩いている。
けれど一伽の言うとおり、それほど気温が下がったようにも感じない。蒸し暑い、熱帯夜。
「今度引っ越すときは、クーラーのあるところにしようね、いっちゃん」
以前にも聞いたことのある雪乃のセリフに、一伽は少し笑っただけで、返事をしなかった。
クーラーのある部屋に住むことは、一伽にとっても魅力的な生活だった。それはきっと雪乃も同じことで。
でも。
(何でユキちゃん、引っ越した後も、俺と一緒に暮らす気なの?)
今は金銭的な都合で一緒に暮らしてはいるけれど。
雪乃には、光宏という恋人が出来たのだ。今度引っ越したら、雪乃は一伽とでなく、光宏と暮らすんじゃないの?
そんな発想が少しもない雪乃を、一伽はからかうでもなく、ただ何となく見つめていた。
一伽 と 海晴
翌日、一伽は仕事に行きたくない気分に、激しく襲われていた。
それはもちろん志信に会いたくないからで、でもそれで仕事を休むのは何か志信に負けた気がするから、やっぱり休まないことにした(別に一伽が勤勉な性格をしているからではない)。
職場で志信は、一伽が拍子抜けするくらい普通で、だから一伽もいつもどおりにしていた(何かムカつくから)。
営業後の後片付けも、いつもどおり。
「ふぅ、やっと終わった」
「あのなぁ…、お前、やれば出来る子だろ? 昨日はあんなに早く掃除できただろ? なのに何で今日はこんななんだよ」
「何でだろう」
普段と同じく、つまりは昨日の倍くらいの時間を掛けて掃除を終わらせた一伽に、航平は呆れたように突っ込むが、一伽にはやはり通用しなかった。
ちなみに志信はもういない。相変わらず、自分の仕事が終わるとさっさと帰るのだ。別に一伽は、もう志信の家に行く気なんかないから、そんなに急いで逃げなくてもいいのに。
「大体なぁ、ホントは昨日のペースが当たり前で…」
「あ、メール」
「おい、ゴルァ!」
航平のお説教など聞く気のない一伽は、携帯電話がメールを受信したのをいいことに、サッと航平に背を向けた。
鬼のような顔で航平が凄んでみても、一伽はまったくへっちゃらなのだ。
back next
- 関連記事
-
- 暴君王子のおっしゃることには! (110) (2012/08/19)
- 暴君王子のおっしゃることには! (109) (2012/08/18)
- 暴君王子のおっしゃることには! (108) (2012/08/17)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:暴君王子のおっしゃることには!