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暴君王子のおっしゃることには! (108)
2012.08.17 Fri
「ちゃんとあったまりなさい、てゆったでしょ?」
「だって逆上せちゃうもん」
「もぉ~風邪引いても知んないよ?」
風呂から上がったとは言っても、濡れた髪も体も拭く様子のない一伽に、仕方なく雪乃はバスタオルを取って拭いてやる。
いつもは雪乃に子ども扱いされると怒るくせに、今日はどうやら甘やかされたい気分らしい。
「後でハーブティー淹れてあげるね? リラックスできるよ」
「えー、ビールがいいー」
「ダーメ。いっちゃん、最近お酒飲み過ぎだよ。たまには飲まない日がないとダメ」
髪の毛を拭いていた雪乃に顔を覗き込まれ、一伽は思わず目を逸らした。
…今日はもう、志信のところで飲んで来ちゃった。
「いっちゃん、ちゃんと着替えて来てね。暑いからって、パンツ1枚とかダメだからね」
「あーい」
雪乃は女の子じゃないから、別にパンツ1枚の一伽を見たって、デリカシーがないとは言わないが、お風呂温まるまでちゃんと入らなかったし、そこはちゃんとさせる。
一伽の気のない返事を聞きながら、雪乃は風呂場を出て行った。
一伽がこんなに早く上がるなんて思っていなかったから、まだお湯を沸かしていなくて、雪乃は手早くやかんを火にかけた。
光宏の家でご飯を作り続けていたから、料理はわりと手際よく出来るようになったほう(残念ながら、まだまだ光宏には負ける)。
「あ、いっちゃん、Tシャツ着てない」
ポテポテと風呂場から現れた一伽は、雪乃があれほど言ったのに、結局パンツ1枚という姿だった。
しかし雪乃に咎められても、一伽は素知らぬ顔で雪乃のそばにやって来た。
「ユキちゃん、これ何?」
「ジャスミン」
冷蔵庫から出しておいたハーブの缶のふたを開け、一伽は眉を寄せて中を覗き込むと、今度はクンクンと嗅ぎ出した(猫? 犬? とにかく小動物ぽい…)。
「ちょっと匂うね」
「匂う、て…。いい匂いでしょ?」
相変わらずな一伽の口振りに、雪乃は少し苦笑しながら火を止めた。
ハーブティーなんて、cafe OKAERIで働くようになるまで、飲んだこともなかったんだけれど。…お店でやるときのように、一旦お湯で温めたポットに丁寧にハーブを入れてから、お湯を入れて素早くふたをする。
「3分待っててね」
「カップラーメンみたい」
面倒くせぇ、て言うのかと思ったら、意外にも一伽はそんなことを言って、ぐふぐふ笑っているだけだった。
さっきまでの悲しい気分、少しは晴れたんだろうか。
3分きっかり待って、お湯で温めておいたカップに、ゆっくりとジャスミンティーを注いでいく。
一伽はカウンターに手を突いて、足をパタパタさせながら、その様子を眺めている。
「ユキちゃん、お店でもお茶淹れてるの?」
「淹れてるよ。最近やっとお客さんに出してもいいことになったの」
「ユキちゃんが淹れたヤツ? ママがいいって言ったの? すごいね! 大橋なんかずっとやってっけど、1回もいいて言われたことないのに!」
大橋はバイトだけれど、cafe OKAERIでは結構長く働いているのに、実は今まで1度も、コーヒーも紅茶もお客様に提供したことがない。いや、させてもらったことがない。
cafe OKAERIのママこと笠原美也子は、バイトだろうと正社員だろうと、仕事を任せることに対して区別はないのだが、のんびり屋の大橋は、茶葉をポットに入れてお湯を注いだ後、ボンヤリして3分どころか5分経過しても放置してしまうことが多々あるので、未だにホットドリンクの部門に『よし』が出ないのだ。
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「だって逆上せちゃうもん」
「もぉ~風邪引いても知んないよ?」
風呂から上がったとは言っても、濡れた髪も体も拭く様子のない一伽に、仕方なく雪乃はバスタオルを取って拭いてやる。
いつもは雪乃に子ども扱いされると怒るくせに、今日はどうやら甘やかされたい気分らしい。
「後でハーブティー淹れてあげるね? リラックスできるよ」
「えー、ビールがいいー」
「ダーメ。いっちゃん、最近お酒飲み過ぎだよ。たまには飲まない日がないとダメ」
髪の毛を拭いていた雪乃に顔を覗き込まれ、一伽は思わず目を逸らした。
…今日はもう、志信のところで飲んで来ちゃった。
「いっちゃん、ちゃんと着替えて来てね。暑いからって、パンツ1枚とかダメだからね」
「あーい」
雪乃は女の子じゃないから、別にパンツ1枚の一伽を見たって、デリカシーがないとは言わないが、お風呂温まるまでちゃんと入らなかったし、そこはちゃんとさせる。
一伽の気のない返事を聞きながら、雪乃は風呂場を出て行った。
一伽がこんなに早く上がるなんて思っていなかったから、まだお湯を沸かしていなくて、雪乃は手早くやかんを火にかけた。
光宏の家でご飯を作り続けていたから、料理はわりと手際よく出来るようになったほう(残念ながら、まだまだ光宏には負ける)。
「あ、いっちゃん、Tシャツ着てない」
ポテポテと風呂場から現れた一伽は、雪乃があれほど言ったのに、結局パンツ1枚という姿だった。
しかし雪乃に咎められても、一伽は素知らぬ顔で雪乃のそばにやって来た。
「ユキちゃん、これ何?」
「ジャスミン」
冷蔵庫から出しておいたハーブの缶のふたを開け、一伽は眉を寄せて中を覗き込むと、今度はクンクンと嗅ぎ出した(猫? 犬? とにかく小動物ぽい…)。
「ちょっと匂うね」
「匂う、て…。いい匂いでしょ?」
相変わらずな一伽の口振りに、雪乃は少し苦笑しながら火を止めた。
ハーブティーなんて、cafe OKAERIで働くようになるまで、飲んだこともなかったんだけれど。…お店でやるときのように、一旦お湯で温めたポットに丁寧にハーブを入れてから、お湯を入れて素早くふたをする。
「3分待っててね」
「カップラーメンみたい」
面倒くせぇ、て言うのかと思ったら、意外にも一伽はそんなことを言って、ぐふぐふ笑っているだけだった。
さっきまでの悲しい気分、少しは晴れたんだろうか。
3分きっかり待って、お湯で温めておいたカップに、ゆっくりとジャスミンティーを注いでいく。
一伽はカウンターに手を突いて、足をパタパタさせながら、その様子を眺めている。
「ユキちゃん、お店でもお茶淹れてるの?」
「淹れてるよ。最近やっとお客さんに出してもいいことになったの」
「ユキちゃんが淹れたヤツ? ママがいいって言ったの? すごいね! 大橋なんかずっとやってっけど、1回もいいて言われたことないのに!」
大橋はバイトだけれど、cafe OKAERIでは結構長く働いているのに、実は今まで1度も、コーヒーも紅茶もお客様に提供したことがない。いや、させてもらったことがない。
cafe OKAERIのママこと笠原美也子は、バイトだろうと正社員だろうと、仕事を任せることに対して区別はないのだが、のんびり屋の大橋は、茶葉をポットに入れてお湯を注いだ後、ボンヤリして3分どころか5分経過しても放置してしまうことが多々あるので、未だにホットドリンクの部門に『よし』が出ないのだ。
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