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暴君王子のおっしゃることには! (103)
2012.08.12 Sun
しかし、やっぱり怯まないのが志信だ。
「だって、俺んちはヤダとか言ってたのに、わざわざ来るなんて、何かあったのかな、て思うじゃん」
「いーだろ別にっ! 涼しいトコで寛ぎたかったのっ! 俺はっ! お前んちだってエアコンあんじゃん!」
「そういうこと? 今日侑仁さんの都合が悪かったの? だったらそう言えばいいじゃ~ん…。そんなに怒んないでよぉ~」
「お前が変なこと言うからだろっ!」
「変なことて? 侑仁さんと何かあったか、てこと? え、一伽くん、侑仁さんと何かあったの?」
「ねぇよっ!」
…基本的に一伽は、嘘が下手だと思う。
傲慢で天邪鬼で傍若無人だが、意外なところで素直…というか、自分を隠せない。
今だって、同じ答えでも、もっと普通に返せば志信だって信じただろうに、これだけ大げさに反応されたら、侑仁と何かあったのがバレバレだ。
「ねぇ一伽くん。侑仁さんと何があったのか知らないけど、これからも、侑仁さんと何かあるたびに俺んちに来るとか言わないでよ~?」
「、」
それだけは切に願う…と志信は、言わなければ絶対に伝わらないであろう思いを打ち明け、ビールに口を付けた。
ビールは少しぬるくなりかけていて、志信はそんなビールに気を取られていたから、全然気が付かなかった――――一伽が、人をも殺せそうな目力で、志信を睨み付けたことに。
「………………志信、てめぇ…」
「はぇ? ――――ブッ!」
一伽の低い声に顔を上げた瞬間、ドスッ! と志信の胸に何かがぶち当たって、それが一伽の投げた缶ビール(開封済み、中身入り)だと分かったときには、もうすでに志信の着ていたシャツはビールに濡れていた。
しかも、缶はテーブルを挟んだ向かいから投げられたから、当然テーブルの上にも、床にもビールが飛び散っていて、あーもうっ! という状態だ。
しかし、確実にそれどころではない。
わりとのんびりした性格で、冷静なタチの志信ですら、この状況はヤバイ! と焦っているくらい、それどころではない。
一伽の怒りが、冗談でなく、半端でない。
「何抜かしてやがるっバカ志信!! 死ねよ、このヤロウっ!」
「一伽くんお願い落ち着いて」
「さっきから聞いてりゃ、好き勝手なこと抜かしやがってっ! 再起不能にしてやるっ!」
テーブルを殴りつけ、志信のほうに身を乗り出した一伽は、身軽だし、もともと行儀のいいほうではないから、このままテーブルを乗り越えて、志信に殴り掛かってきそうだ。
ヤバい。
さっきは2発とか言われたけれど、確実にそれよりたくさん殴られる。
志信もやっぱり殴られたくはないので、こういう場合、どうしたらいいかを考える――――と、方法は1つしかないのは、明白だった。
「ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさい」
とりあえず、謝る。
先ほどはうまく出来なかったが、一伽を鎮めるには、これに限る。
志信は、ビールでびしょびしょのままにもかかわらず、床に額を擦り付けて土下座した。
何とも安い土下座だ。
「…………。チッ、また同じこと言ったら、次はねぇかんなっ!」
どうやら志信の安い土下座作戦は成功したらしく、一伽は盛大な舌打ちをした後、志信を殴ることも蹴っ飛ばすこともせず、ドカドカトうるさく玄関に向かい、嵐のごとく去っていった。
というか、『次はない』は、志信が言おうと思っていた言葉だったのに。
「これ、訴えたら、確実に俺、勝てるよねぇ~…」
ようや体を起こした志信は、荒れ果てた室内を見渡し、遠い目をした。
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「だって、俺んちはヤダとか言ってたのに、わざわざ来るなんて、何かあったのかな、て思うじゃん」
「いーだろ別にっ! 涼しいトコで寛ぎたかったのっ! 俺はっ! お前んちだってエアコンあんじゃん!」
「そういうこと? 今日侑仁さんの都合が悪かったの? だったらそう言えばいいじゃ~ん…。そんなに怒んないでよぉ~」
「お前が変なこと言うからだろっ!」
「変なことて? 侑仁さんと何かあったか、てこと? え、一伽くん、侑仁さんと何かあったの?」
「ねぇよっ!」
…基本的に一伽は、嘘が下手だと思う。
傲慢で天邪鬼で傍若無人だが、意外なところで素直…というか、自分を隠せない。
今だって、同じ答えでも、もっと普通に返せば志信だって信じただろうに、これだけ大げさに反応されたら、侑仁と何かあったのがバレバレだ。
「ねぇ一伽くん。侑仁さんと何があったのか知らないけど、これからも、侑仁さんと何かあるたびに俺んちに来るとか言わないでよ~?」
「、」
それだけは切に願う…と志信は、言わなければ絶対に伝わらないであろう思いを打ち明け、ビールに口を付けた。
ビールは少しぬるくなりかけていて、志信はそんなビールに気を取られていたから、全然気が付かなかった――――一伽が、人をも殺せそうな目力で、志信を睨み付けたことに。
「………………志信、てめぇ…」
「はぇ? ――――ブッ!」
一伽の低い声に顔を上げた瞬間、ドスッ! と志信の胸に何かがぶち当たって、それが一伽の投げた缶ビール(開封済み、中身入り)だと分かったときには、もうすでに志信の着ていたシャツはビールに濡れていた。
しかも、缶はテーブルを挟んだ向かいから投げられたから、当然テーブルの上にも、床にもビールが飛び散っていて、あーもうっ! という状態だ。
しかし、確実にそれどころではない。
わりとのんびりした性格で、冷静なタチの志信ですら、この状況はヤバイ! と焦っているくらい、それどころではない。
一伽の怒りが、冗談でなく、半端でない。
「何抜かしてやがるっバカ志信!! 死ねよ、このヤロウっ!」
「一伽くんお願い落ち着いて」
「さっきから聞いてりゃ、好き勝手なこと抜かしやがってっ! 再起不能にしてやるっ!」
テーブルを殴りつけ、志信のほうに身を乗り出した一伽は、身軽だし、もともと行儀のいいほうではないから、このままテーブルを乗り越えて、志信に殴り掛かってきそうだ。
ヤバい。
さっきは2発とか言われたけれど、確実にそれよりたくさん殴られる。
志信もやっぱり殴られたくはないので、こういう場合、どうしたらいいかを考える――――と、方法は1つしかないのは、明白だった。
「ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさい」
とりあえず、謝る。
先ほどはうまく出来なかったが、一伽を鎮めるには、これに限る。
志信は、ビールでびしょびしょのままにもかかわらず、床に額を擦り付けて土下座した。
何とも安い土下座だ。
「…………。チッ、また同じこと言ったら、次はねぇかんなっ!」
どうやら志信の安い土下座作戦は成功したらしく、一伽は盛大な舌打ちをした後、志信を殴ることも蹴っ飛ばすこともせず、ドカドカトうるさく玄関に向かい、嵐のごとく去っていった。
というか、『次はない』は、志信が言おうと思っていた言葉だったのに。
「これ、訴えたら、確実に俺、勝てるよねぇ~…」
ようや体を起こした志信は、荒れ果てた室内を見渡し、遠い目をした。
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けいったん ⇒
゚+。゚(ノ`・Д・)ノオォオォ゚。+゚
すっげぇ怒ってるよ~いっちゃん!(笑)
志信が言った全部が、的を得ているからって 暴力を振るってはいけません!アカンデェ~!ヾ(´囗`。)ノ
それで 怒ったいっちゃんは、何所へ?
エアコン無しの自分の部屋、それとも‥(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪...byebye☆
すっげぇ怒ってるよ~いっちゃん!(笑)
志信が言った全部が、的を得ているからって 暴力を振るってはいけません!アカンデェ~!ヾ(´囗`。)ノ
それで 怒ったいっちゃんは、何所へ?
エアコン無しの自分の部屋、それとも‥(o ̄∇ ̄o)ヘヘッ♪...byebye☆
- |2012.08.12
- |Sun
- |10:27
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
まだ自分の気持ちに気付いてませんので、この子…。
自分じゃそうだと思っていないのに、勝手に決め付けられるから、おもしろくなくて仕方ないんです(^_^;)
でも、部屋をめちゃくちゃにされても、まだなお怒らない志信さん。
大人なんだか、単にぼんやりしてるだけなんだか…。
怒りに任せて、志信さんちを出てきてしまったいっちゃん。
行くあてはあるんでしょうか!?
でもとにかく、暴力はいけません(>_<)
コメントありがとうございました!
自分じゃそうだと思っていないのに、勝手に決め付けられるから、おもしろくなくて仕方ないんです(^_^;)
でも、部屋をめちゃくちゃにされても、まだなお怒らない志信さん。
大人なんだか、単にぼんやりしてるだけなんだか…。
怒りに任せて、志信さんちを出てきてしまったいっちゃん。
行くあてはあるんでしょうか!?
でもとにかく、暴力はいけません(>_<)
コメントありがとうございました!
- |2012.08.12
- |Sun
- |22:39
- |URL
- |EDIT|
音夜 ⇒
志信くんといっちゃんは水と油みたいだけど結構合ってるるのではないでしょうかね?
キレたいっちゃんを良い具合にかわしているというのか。だって真面に受けてたら大喧嘩でしょうしww
「好き」という言葉に凄く敏感になってるいっちゃんは、どうなんかなぁ?
友達でも特別って言葉あるだろうし。親友って意味の。
いっちゃんドコへ行ったのかなー
まだまだ暑い日が続いておりますが、夏バテしないようご自愛してくださいませ。
キレたいっちゃんを良い具合にかわしているというのか。だって真面に受けてたら大喧嘩でしょうしww
「好き」という言葉に凄く敏感になってるいっちゃんは、どうなんかなぁ?
友達でも特別って言葉あるだろうし。親友って意味の。
いっちゃんドコへ行ったのかなー
まだまだ暑い日が続いておりますが、夏バテしないようご自愛してくださいませ。
- |2012.08.12
- |Sun
- |23:03
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
> 志信くんといっちゃんは水と油みたいだけど結構合ってるるのではないでしょうかね?
> キレたいっちゃんを良い具合にかわしているというのか。だって真面に受けてたら大喧嘩でしょうしww
確かに…。
真っ向勝負で受けていたら、大ゲンカですよね。
そうならないのも、ひとえに志信さんが大人だからではないでしょうか…(笑)
大人ていうか、怒りの沸点が高いので、キレないんですよね。でもそれが、逆にいっちゃんの怒りを買ってしまうという…(^_^;)
好き、と言われると頭に来ちゃういっちゃん。
音夜さんの言うとおり、敏感になりすぎてますよね。
果たしてどこへ飛んでいくのか!?
> まだまだ暑い日が続いておりますが、夏バテしないようご自愛してくださいませ。
優しいお言葉、ありがとうございます。
まだまだ暑いですね。
音夜さんも、お気を付けて!
コメントありがとうございました!
> キレたいっちゃんを良い具合にかわしているというのか。だって真面に受けてたら大喧嘩でしょうしww
確かに…。
真っ向勝負で受けていたら、大ゲンカですよね。
そうならないのも、ひとえに志信さんが大人だからではないでしょうか…(笑)
大人ていうか、怒りの沸点が高いので、キレないんですよね。でもそれが、逆にいっちゃんの怒りを買ってしまうという…(^_^;)
好き、と言われると頭に来ちゃういっちゃん。
音夜さんの言うとおり、敏感になりすぎてますよね。
果たしてどこへ飛んでいくのか!?
> まだまだ暑い日が続いておりますが、夏バテしないようご自愛してくださいませ。
優しいお言葉、ありがとうございます。
まだまだ暑いですね。
音夜さんも、お気を付けて!
コメントありがとうございました!
- |2012.08.13
- |Mon
- |07:02
- |URL
- |EDIT|