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暴君王子のおっしゃることには! (83)
2012.07.23 Mon
「違う…、違うぅー!」
「えっちょっ、ユキ? え!?」
溢れた涙が零れたかと思ったら、後は次から次に雪乃の頬を伝い落ちていく。
目の前で、人にこんなに泣かれたことがなかったから、光宏はどうしたらいいのかが本当に分からなくて、え、え…と焦った声を上げながら、ハンカチで雪乃の頬を拭ってやった。
「何でっ…、何でみっくんが応援するとかっ…」
「いや、その…迷惑なら何もしないけど…」
「そ…じゃなくてっ!」
「え? あの…え? あの…俺に会うのももう嫌だった? ゴメ…ユキに何か話さなきゃ、て思って、ゴメン、俺だけがそんなふうに思ってた? ホント、ゴメン! ユキの気持ちとか全然考えないで、来ちゃっ…」
「違うってばぁ!」
焦る頭で、己の全思考回路をフル回転させながら、光宏が導き出せるすべての答えを言ってみたのだが、結局は雪乃に『違う!』と一蹴されてしまった。
きっといつもだったら、もっと冷静に考えられるんだろうし、後になって思い返せば、今の自分は蹴りを入れたいくらい鈍感なのかもしれないけれど、雪乃の涙を見てすっかり動揺してしまった光宏は、もうそれ以上、何かを考えることが出来なくなっていた。
「みっく……ホントにそう思ってるの?」
「え?」
「俺が山下さんとうまくいったらいいと思ってるの? 応援してくれるの?」
「え? あ、う…うん」
ハンカチを持った光宏の手を押しやって、雪乃は自分の手の甲で、ゴシゴシと涙を拭いた。
「俺…バカだから、みっくんがそう言うなら、本気にしちゃうよ?」
「え…うん…」
「…分かった。じゃあ応援して? 俺、がんば…」
がんばるから――――その言葉は、最後まで声にならないうちに涙に代わって、雪乃の頬を伝い落ちた。
今拭ったばかりなのに、涙がまた溢れていって、それを見られたくなくて、雪乃は光宏から体ごと顔を背けた。
「ま…まずは山下さんに彼氏とか…彼女がいないか、調べないとだよねー。それ知らなきゃなのに、俺、今まで何してたんだろね。いっちゃんがね、コウモリになって、後付いてったら? とか言うんだよ? それのがよっぽどストーカー臭いよね」
雪乃は、涙声で、早口に捲し立てる。
自分で言っているのに、胸が痛くて痛くて、どうしたらいいか分からない。
「俺、結構あのスーパー行ってたじゃん? 山下さん、ちょっとは俺のこと、覚えてくれてるかなっ? いきなり告ったらさ、やっぱ引かれちゃうよね? 何て声掛け…」
「ユキっ!」
「ッ…」
大好きな山下さんのことを話しているはずなのに、ボロボロと涙が止まらなくて、でも光宏に泣いていることを知られたくなくて、一生懸命瞬きをしたり、零れる前に指先で拭ったりしていたのに、話し終わる前に、光宏に後ろから抱き締められていた。
「な、に…みっく…。どうしたの…? 友だちはこんなことしな…」
もう友だちには戻れない、と光宏は言ったから、2人はもう友だちではないのかもだけれど、でも雪乃が山下さんと仲良くなって恋人同士になるなら、余計にこんなことしちゃダメだ。
だから雪乃は光宏の手を解いて、そちらを向き直ろうと思ったのに、光宏は雪乃のことを離してくれなかった。
「みっくん?」
「ゴメン、ユキ」
「みっくん、さっきから謝ってばっかだ…。応援してくれるんでしょ? 俺と山下さんの…」
「ゴメン、無理…。さっきはそう言ったけど、やっぱ無理。ユキが山下さんと付き合うなんて嫌だ。俺、やっぱりユキのことが好きだよ」
光宏は、雪乃を抱き締める腕に、さらに力を籠めた。
何もしなくても汗が流れてしまう、狭くて暑苦しいアパートの一室。それでも光宏は、抱き締めた雪乃のことを離したくなかった。離せば雪乃が、光宏の手の届かないところに行ってしまう気さえした。
「俺、山下さんのこと好き、てゆってるのに?」
「…うん、でも好き。だから山下さんなんかに渡したくない、ユキのこと。山下さんがまだユキの気持ちに気付いてないなら、ゴメン、ズルいかもだけど、先に俺が奪う」
光宏は、雪乃を腕の中から解放して、自分のほうを向かせた。
雪乃の肩を掴んで、その瞳を見つめたまま、もう1度言う。
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「えっちょっ、ユキ? え!?」
溢れた涙が零れたかと思ったら、後は次から次に雪乃の頬を伝い落ちていく。
目の前で、人にこんなに泣かれたことがなかったから、光宏はどうしたらいいのかが本当に分からなくて、え、え…と焦った声を上げながら、ハンカチで雪乃の頬を拭ってやった。
「何でっ…、何でみっくんが応援するとかっ…」
「いや、その…迷惑なら何もしないけど…」
「そ…じゃなくてっ!」
「え? あの…え? あの…俺に会うのももう嫌だった? ゴメ…ユキに何か話さなきゃ、て思って、ゴメン、俺だけがそんなふうに思ってた? ホント、ゴメン! ユキの気持ちとか全然考えないで、来ちゃっ…」
「違うってばぁ!」
焦る頭で、己の全思考回路をフル回転させながら、光宏が導き出せるすべての答えを言ってみたのだが、結局は雪乃に『違う!』と一蹴されてしまった。
きっといつもだったら、もっと冷静に考えられるんだろうし、後になって思い返せば、今の自分は蹴りを入れたいくらい鈍感なのかもしれないけれど、雪乃の涙を見てすっかり動揺してしまった光宏は、もうそれ以上、何かを考えることが出来なくなっていた。
「みっく……ホントにそう思ってるの?」
「え?」
「俺が山下さんとうまくいったらいいと思ってるの? 応援してくれるの?」
「え? あ、う…うん」
ハンカチを持った光宏の手を押しやって、雪乃は自分の手の甲で、ゴシゴシと涙を拭いた。
「俺…バカだから、みっくんがそう言うなら、本気にしちゃうよ?」
「え…うん…」
「…分かった。じゃあ応援して? 俺、がんば…」
がんばるから――――その言葉は、最後まで声にならないうちに涙に代わって、雪乃の頬を伝い落ちた。
今拭ったばかりなのに、涙がまた溢れていって、それを見られたくなくて、雪乃は光宏から体ごと顔を背けた。
「ま…まずは山下さんに彼氏とか…彼女がいないか、調べないとだよねー。それ知らなきゃなのに、俺、今まで何してたんだろね。いっちゃんがね、コウモリになって、後付いてったら? とか言うんだよ? それのがよっぽどストーカー臭いよね」
雪乃は、涙声で、早口に捲し立てる。
自分で言っているのに、胸が痛くて痛くて、どうしたらいいか分からない。
「俺、結構あのスーパー行ってたじゃん? 山下さん、ちょっとは俺のこと、覚えてくれてるかなっ? いきなり告ったらさ、やっぱ引かれちゃうよね? 何て声掛け…」
「ユキっ!」
「ッ…」
大好きな山下さんのことを話しているはずなのに、ボロボロと涙が止まらなくて、でも光宏に泣いていることを知られたくなくて、一生懸命瞬きをしたり、零れる前に指先で拭ったりしていたのに、話し終わる前に、光宏に後ろから抱き締められていた。
「な、に…みっく…。どうしたの…? 友だちはこんなことしな…」
もう友だちには戻れない、と光宏は言ったから、2人はもう友だちではないのかもだけれど、でも雪乃が山下さんと仲良くなって恋人同士になるなら、余計にこんなことしちゃダメだ。
だから雪乃は光宏の手を解いて、そちらを向き直ろうと思ったのに、光宏は雪乃のことを離してくれなかった。
「みっくん?」
「ゴメン、ユキ」
「みっくん、さっきから謝ってばっかだ…。応援してくれるんでしょ? 俺と山下さんの…」
「ゴメン、無理…。さっきはそう言ったけど、やっぱ無理。ユキが山下さんと付き合うなんて嫌だ。俺、やっぱりユキのことが好きだよ」
光宏は、雪乃を抱き締める腕に、さらに力を籠めた。
何もしなくても汗が流れてしまう、狭くて暑苦しいアパートの一室。それでも光宏は、抱き締めた雪乃のことを離したくなかった。離せば雪乃が、光宏の手の届かないところに行ってしまう気さえした。
「俺、山下さんのこと好き、てゆってるのに?」
「…うん、でも好き。だから山下さんなんかに渡したくない、ユキのこと。山下さんがまだユキの気持ちに気付いてないなら、ゴメン、ズルいかもだけど、先に俺が奪う」
光宏は、雪乃を腕の中から解放して、自分のほうを向かせた。
雪乃の肩を掴んで、その瞳を見つめたまま、もう1度言う。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒ みっくん~
ようやく言えたね。
そして、ユキちゃんの目を見てもう一度、自分の気持ちを伝えよう!
ユキちゃんは、自分の気持ち、もう気づいた…よね?
人の目は心を映します。
自分の本心を知ってもらうのも、相手の心を知るのも、
お互いの目を見つめ合わなくてはわからないよ。
ユキちゃんも自分の本心、みっくんに伝えようね。
そして、ユキちゃんの目を見てもう一度、自分の気持ちを伝えよう!
ユキちゃんは、自分の気持ち、もう気づいた…よね?
人の目は心を映します。
自分の本心を知ってもらうのも、相手の心を知るのも、
お互いの目を見つめ合わなくてはわからないよ。
ユキちゃんも自分の本心、みっくんに伝えようね。
- |2012.07.23
- |Mon
- |08:19
- |URL
- |EDIT|
けいったん ⇒
や・やっと~言ったかぁ~(。´_`。)=3
ユキちゃんが言った事に 何ひとつ反論しないで
みっくんが このまま帰る様だったら パンチの一つでも喰らわしてやろうかと、待ってたけどね♪(▼∀▼)ニヤリッ
ちよさんの仰る通り
ちゃんと真正面から 目を見て もう一度 PLEASE~!
ゥ‥(* T-)♡~スキッ~♡ヾ(・ω・*)ノ...byebye☆
ユキちゃんが言った事に 何ひとつ反論しないで
みっくんが このまま帰る様だったら パンチの一つでも喰らわしてやろうかと、待ってたけどね♪(▼∀▼)ニヤリッ
ちよさんの仰る通り
ちゃんと真正面から 目を見て もう一度 PLEASE~!
ゥ‥(* T-)♡~スキッ~♡ヾ(・ω・*)ノ...byebye☆
- |2012.07.23
- |Mon
- |10:25
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
長い道のりでした…。
みっくん、ようやく自分の気持ちを優先できましたね。
自分の気持ちばっかりじゃダメだけれど、時には自分の気持ちをしっかり伝えることだって、やっぱり大切です。
> 人の目は心を映します。
> 自分の本心を知ってもらうのも、相手の心を知るのも、
> お互いの目を見つめ合わなくてはわからないよ。
何ていい言葉…!
前にテレビで見たのですが、人間、嘘をつくとき、やっぱり目が泳ぐというか……その人の目を見てると分かるんだそうです。
目を見て話せば、ちゃんと本心て伝わるんですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
みっくん、ようやく自分の気持ちを優先できましたね。
自分の気持ちばっかりじゃダメだけれど、時には自分の気持ちをしっかり伝えることだって、やっぱり大切です。
> 人の目は心を映します。
> 自分の本心を知ってもらうのも、相手の心を知るのも、
> お互いの目を見つめ合わなくてはわからないよ。
何ていい言葉…!
前にテレビで見たのですが、人間、嘘をつくとき、やっぱり目が泳ぐというか……その人の目を見てると分かるんだそうです。
目を見て話せば、ちゃんと本心て伝わるんですよね(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.07.23
- |Mon
- |22:46
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ようやくけいったんさんに一息ついてもらうことが出来ました…!(^^)!
そしてみっくん、パンチを食らわされずに済んでよかったです。。。けいったんさんから1発、いっちゃんから3発くらい…(笑)
> ちよさんの仰る通り
> ちゃんと真正面から 目を見て もう一度 PLEASE~!
やっぱり目を見て話すことが大切ですよね。
良くも悪くも、やっぱりそれで気持ちが伝わります。
コメントありがとうございました!
そしてみっくん、パンチを食らわされずに済んでよかったです。。。けいったんさんから1発、いっちゃんから3発くらい…(笑)
> ちよさんの仰る通り
> ちゃんと真正面から 目を見て もう一度 PLEASE~!
やっぱり目を見て話すことが大切ですよね。
良くも悪くも、やっぱりそれで気持ちが伝わります。
コメントありがとうございました!
- |2012.07.23
- |Mon
- |22:49
- |URL
- |EDIT|