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暴君王子のおっしゃることには! (81)
2012.07.21 Sat
「あ、虫!? あ、じゃあこの電気もっ、あ、つか上がっても? いや、ダメならあの、帰るけどっ…」
雪乃が部屋を暗くしていた事情が分かり、光宏は慌てて電気を消し直した。
しかしよく考えたら、自分は一伽に背中を押されて、雪乃と話をする気満々で来たけれど、雪乃のほうの気持ちを全然考えていなかった。雪乃が光宏の顔を見るのも嫌なら、話をするどころではない。
一伽には、もっとしっかりしろとド突かれそうだけれど、これが光宏の性格なのだ。
「…んーん、上がって? すっごい暑いけど」
扇風機は回っているが、室内は外とほぼ同じ温度だ(一伽が侑仁の家に逃げ出したくなるのも分かる)。
それでもよければ…と、雪乃は光宏を部屋に上げた。
「…いい加減、電気点けたほうがいいよね?」
「虫入るんだろ?」
「窓閉める…」
どうせ開けていたところで、大した風が入ってくるわけではなく、本当にただの気持ちの問題でしかないから、閉めたところで、そう変わらないだろう。
雪乃は窓を閉めてカーテンを引くと、部屋の電気を点けた。
「ていうか、雪乃、血は?」
「え…」
「今日、まだ血吸ってないんだろ? 平気なの?」
「平気………………ではない」
もうこれ以上、光宏にダメなところは見せたくないのに、やはり体は正直で、答えるより先にお腹が鳴ってしまったので、仕方なく雪乃は正直に打ち明けた。
「…とりあえず、吸う?」
「は?」
「え、いや…吸ってないんでしょ? 今日。吸う? 俺のでよければ」
「いいの!? …ですか?」
「何その微妙な敬語」
今まで敬語で会話したことなんかないし、今日も今の今までタメ口だったのに、どうしていきなり敬語? しかも、1回普通に言ったのに、付け加えるようにして。
もしかして、申し訳ないと思う気持ちが、微妙に表れた?
「ホントにいいの? 俺今お腹空いてるから、いっぱい吸っちゃうかもよ?」
「だからいいってば! つか、そうやって間を置かれたほうがビビるから、やるならさっさとやって!」
畳の上に座り込んだ光宏は、ギュッと目を閉じた。自分から吸っていいとは言ったものの、やはり怖いらしい。
申し訳ないとは思いつつ、やはり雪乃は空腹には勝てずに、いつものように『いただきます』を言う間もなく、光宏の首筋に歯を立てた。
「んんーっ…」
いっぱい吸っちゃうかもよ? と言った雪乃の言葉どおり、久しぶりの吸血は、いつもよりも長いような気がした。
単に光宏が怖がりだからそう感ているだけかもしれないし、自分から吸っていいと言ったのに、途中で、やっぱもうダメ! とか言えないよな…とか、そんなことが光宏の頭をグルグル回る。
そして最終的には、何で俺ってこんなにヘタレなの…? と、吸血されながら、自己嫌悪に陥るのだ。
本当、雪乃だけでなく、光宏にも、一伽の10分の一の図太さでいいから、あればいいのに。
「ふぁっ…ごちそうさまでしたっ!」
いろいろとウダウダ悩んでいたくせに、とりあえずお腹が膨れれば一先ずは満足になるのか、雪乃は元気な声を上げた。
しかし目の前の光宏が、少し蒼褪めた顔で床に手を突いているのを見てハッとした。
「あ、みっくん大丈夫? ゴメ…つい吸い過ぎちゃった…」
「いや、大丈夫…」
「ホント? ホントに大丈夫?」
ここ最近、一伽の血ばかり吸っていたから、光宏は人間なのに、つい加減を忘れてたくさん吸ってしまった。
今さら吸った血を戻せと言われても出来ないけれど、雪乃の吸血のせいで光宏がどうにかなってしまったらどうしよう…と、雪乃は今になって焦る。
やっぱり、空腹をギリギリまで我慢してから吸血するのって、よくない。全然我慢が利かない。
back next
雪乃が部屋を暗くしていた事情が分かり、光宏は慌てて電気を消し直した。
しかしよく考えたら、自分は一伽に背中を押されて、雪乃と話をする気満々で来たけれど、雪乃のほうの気持ちを全然考えていなかった。雪乃が光宏の顔を見るのも嫌なら、話をするどころではない。
一伽には、もっとしっかりしろとド突かれそうだけれど、これが光宏の性格なのだ。
「…んーん、上がって? すっごい暑いけど」
扇風機は回っているが、室内は外とほぼ同じ温度だ(一伽が侑仁の家に逃げ出したくなるのも分かる)。
それでもよければ…と、雪乃は光宏を部屋に上げた。
「…いい加減、電気点けたほうがいいよね?」
「虫入るんだろ?」
「窓閉める…」
どうせ開けていたところで、大した風が入ってくるわけではなく、本当にただの気持ちの問題でしかないから、閉めたところで、そう変わらないだろう。
雪乃は窓を閉めてカーテンを引くと、部屋の電気を点けた。
「ていうか、雪乃、血は?」
「え…」
「今日、まだ血吸ってないんだろ? 平気なの?」
「平気………………ではない」
もうこれ以上、光宏にダメなところは見せたくないのに、やはり体は正直で、答えるより先にお腹が鳴ってしまったので、仕方なく雪乃は正直に打ち明けた。
「…とりあえず、吸う?」
「は?」
「え、いや…吸ってないんでしょ? 今日。吸う? 俺のでよければ」
「いいの!? …ですか?」
「何その微妙な敬語」
今まで敬語で会話したことなんかないし、今日も今の今までタメ口だったのに、どうしていきなり敬語? しかも、1回普通に言ったのに、付け加えるようにして。
もしかして、申し訳ないと思う気持ちが、微妙に表れた?
「ホントにいいの? 俺今お腹空いてるから、いっぱい吸っちゃうかもよ?」
「だからいいってば! つか、そうやって間を置かれたほうがビビるから、やるならさっさとやって!」
畳の上に座り込んだ光宏は、ギュッと目を閉じた。自分から吸っていいとは言ったものの、やはり怖いらしい。
申し訳ないとは思いつつ、やはり雪乃は空腹には勝てずに、いつものように『いただきます』を言う間もなく、光宏の首筋に歯を立てた。
「んんーっ…」
いっぱい吸っちゃうかもよ? と言った雪乃の言葉どおり、久しぶりの吸血は、いつもよりも長いような気がした。
単に光宏が怖がりだからそう感ているだけかもしれないし、自分から吸っていいと言ったのに、途中で、やっぱもうダメ! とか言えないよな…とか、そんなことが光宏の頭をグルグル回る。
そして最終的には、何で俺ってこんなにヘタレなの…? と、吸血されながら、自己嫌悪に陥るのだ。
本当、雪乃だけでなく、光宏にも、一伽の10分の一の図太さでいいから、あればいいのに。
「ふぁっ…ごちそうさまでしたっ!」
いろいろとウダウダ悩んでいたくせに、とりあえずお腹が膨れれば一先ずは満足になるのか、雪乃は元気な声を上げた。
しかし目の前の光宏が、少し蒼褪めた顔で床に手を突いているのを見てハッとした。
「あ、みっくん大丈夫? ゴメ…つい吸い過ぎちゃった…」
「いや、大丈夫…」
「ホント? ホントに大丈夫?」
ここ最近、一伽の血ばかり吸っていたから、光宏は人間なのに、つい加減を忘れてたくさん吸ってしまった。
今さら吸った血を戻せと言われても出来ないけれど、雪乃の吸血のせいで光宏がどうにかなってしまったらどうしよう…と、雪乃は今になって焦る。
やっぱり、空腹をギリギリまで我慢してから吸血するのって、よくない。全然我慢が利かない。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
みっくん・・・
ユキちゃんが、超空腹だから 血を吸わせる事が、第一番になった事は仕方は無いけどさぁーε~( ̄、 ̄;)ゞフー
今まで ユキちゃんの気持ちばかり考えた結果が、”この状況”なんだからさぁーヾ(´ε`;)ゝ フゥー
何があろうと!
今は、自分の気持ちを 第一番に優先して行くんだよ~~!
私からの 愛情いっぱいのプレゼントをあげるね♪
闘魂注入パ~ンチ!!o(  ̄∇ ̄)-=≡○☆)゚o゚:)/...byebye☆
ユキちゃんが、超空腹だから 血を吸わせる事が、第一番になった事は仕方は無いけどさぁーε~( ̄、 ̄;)ゞフー
今まで ユキちゃんの気持ちばかり考えた結果が、”この状況”なんだからさぁーヾ(´ε`;)ゝ フゥー
何があろうと!
今は、自分の気持ちを 第一番に優先して行くんだよ~~!
私からの 愛情いっぱいのプレゼントをあげるね♪
闘魂注入パ~ンチ!!o(  ̄∇ ̄)-=≡○☆)゚o゚:)/...byebye☆
- |2012.07.21
- |Sat
- |10:26
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
今度はみっくんが、ただの「いい人」に成り下がってる…(笑)
相変わらず自分を最優先できないみっくんです。
ホント、いっちゃんの10分の1でいいから、その図太い神経を分けてあげられたら。。。
けいったんさんからの、愛のプレゼント、しっかり受け止めて、突き進んでくれないと!!
ここで男を見せなかったら、もういっちゃんすら見放しちゃうよ~(>_<)
コメントありがとうございました!
相変わらず自分を最優先できないみっくんです。
ホント、いっちゃんの10分の1でいいから、その図太い神経を分けてあげられたら。。。
けいったんさんからの、愛のプレゼント、しっかり受け止めて、突き進んでくれないと!!
ここで男を見せなかったら、もういっちゃんすら見放しちゃうよ~(>_<)
コメントありがとうございました!
- |2012.07.21
- |Sat
- |22:52
- |URL
- |EDIT|