スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
暴君王子のおっしゃることには! (80)
2012.07.20 Fri
窓は全開、扇風機はフル稼働でも、やっぱりこの熱帯夜、部屋の中は凄まじい暑さで、しかも雪乃はふとんになんか潜り込んでいたものだから、結構汗だくだ。
今は汗なんか気にしている場合ではないけれど、あんまり汗まみれだと、血を吸わせてもらう以前に、近づいていっただけで嫌がられそうだ。
「お…お風呂…」
とりあえずシャワーを被って、汗だけでも流して、ご飯に行こう。
あぁそれより先に、血を吸わせてくれそうな人に連絡……でも、ずっとバイト休んでるのに、バイト先の人には連絡しづらいし、や…やっぱりいっちゃん…。
これ以上迷惑は掛けられないと思いつつ、今はそんなこと気にしていられないくらい切羽詰っているので、仕方がない、やっぱりここは一伽に頼ろう…と、雪乃は携帯電話に手を伸ばした。
一伽は今どこにいるんだろう。連絡したら、すぐに来てくれるかな。…というか、連絡は付くんだろうか。電話を掛けても、出てくれなかったら、何にもならない…。
「ぅー…」
扇風機の前に正座して、雪乃は携帯電話の発信履歴から、一伽の電話番号を呼び出す。
そういえば、このところ電話もメールも、一伽ばかりだ。すっかり社会との繋がりを失ってしまっている。
「いっちゃん…」
カチャン。
「!?」
一伽の携帯電話を1コール鳴らしたところで、部屋のドアの鍵が開く音がして、雪乃はパッとドアのほうを振り返った。
チャイムでなく、鍵を開けるということは、雪乃以外にこの部屋の鍵を持っている一伽が帰って来たということだ。雪乃はホッとして、電話を切った。
やっぱり一伽は、雪乃のこと、見捨ててなんかいなかったんだ。
「いっちゃん、お帰…」
「うわっ、暗っ!」
「へ…?」
お帰り~! と、一伽に飛び付こうとした雪乃は、聞こえた声に驚いて、その場にへたり込んだ。
ドアを開けた声の主も、室内の暗さに驚いているようだ。
いや実は、窓を開けているので、電気を点けていると虫が入って来てしまうから、部屋の明かりをすべて消しているのだ。
「え、何で電気…。ユキ、いないの…?」
「いる…」
「何だ、いるのかよ。電気点けるよ?」
声の主は光宏で、壁にある電気のスイッチを探っているようだ。
雪乃はノロノロと立ち上がると、玄関へと向かった。
「みっく…」
パチッ…と音がして、玄関の明かりが灯る。
廊下の電気も消えていたようで、ここだけがぽっかりと明るい。
「何でみっくん…」
まさか光宏がこんなところに来るなんて思ってもみなかったし、先ほど光宏が、『ユキ、いないの?』と言ったことからも、雪乃に用事があるんだろうけど、そんなのますます意味が分からなくて、雪乃はただ呆然としてしまった。
だって光宏は雪乃に、『もう来ないで』と言ったのに。
「ゴメン…、やっぱユキとちゃんと話がしたくて…」
「話…?」
「ダメ…かな? あ、出掛けるとこだった? 電気…」
「ちが…、虫入ってヤダから、消してただけ…。出掛ける、ていうか…」
血を吸いに行かなきゃ、とは思っていたけれど、わざわざ光宏が会いに来てくれたのに、それを差し置いて吸血に行くのも悪いし、ましてや今さら光宏から血を吸わせてもらうわけにも…。
というか、話って?
自分が悪いのに、雪乃がこんなダメダメ状態だから、怒りに来たんだろうか。
back next
今は汗なんか気にしている場合ではないけれど、あんまり汗まみれだと、血を吸わせてもらう以前に、近づいていっただけで嫌がられそうだ。
「お…お風呂…」
とりあえずシャワーを被って、汗だけでも流して、ご飯に行こう。
あぁそれより先に、血を吸わせてくれそうな人に連絡……でも、ずっとバイト休んでるのに、バイト先の人には連絡しづらいし、や…やっぱりいっちゃん…。
これ以上迷惑は掛けられないと思いつつ、今はそんなこと気にしていられないくらい切羽詰っているので、仕方がない、やっぱりここは一伽に頼ろう…と、雪乃は携帯電話に手を伸ばした。
一伽は今どこにいるんだろう。連絡したら、すぐに来てくれるかな。…というか、連絡は付くんだろうか。電話を掛けても、出てくれなかったら、何にもならない…。
「ぅー…」
扇風機の前に正座して、雪乃は携帯電話の発信履歴から、一伽の電話番号を呼び出す。
そういえば、このところ電話もメールも、一伽ばかりだ。すっかり社会との繋がりを失ってしまっている。
「いっちゃん…」
カチャン。
「!?」
一伽の携帯電話を1コール鳴らしたところで、部屋のドアの鍵が開く音がして、雪乃はパッとドアのほうを振り返った。
チャイムでなく、鍵を開けるということは、雪乃以外にこの部屋の鍵を持っている一伽が帰って来たということだ。雪乃はホッとして、電話を切った。
やっぱり一伽は、雪乃のこと、見捨ててなんかいなかったんだ。
「いっちゃん、お帰…」
「うわっ、暗っ!」
「へ…?」
お帰り~! と、一伽に飛び付こうとした雪乃は、聞こえた声に驚いて、その場にへたり込んだ。
ドアを開けた声の主も、室内の暗さに驚いているようだ。
いや実は、窓を開けているので、電気を点けていると虫が入って来てしまうから、部屋の明かりをすべて消しているのだ。
「え、何で電気…。ユキ、いないの…?」
「いる…」
「何だ、いるのかよ。電気点けるよ?」
声の主は光宏で、壁にある電気のスイッチを探っているようだ。
雪乃はノロノロと立ち上がると、玄関へと向かった。
「みっく…」
パチッ…と音がして、玄関の明かりが灯る。
廊下の電気も消えていたようで、ここだけがぽっかりと明るい。
「何でみっくん…」
まさか光宏がこんなところに来るなんて思ってもみなかったし、先ほど光宏が、『ユキ、いないの?』と言ったことからも、雪乃に用事があるんだろうけど、そんなのますます意味が分からなくて、雪乃はただ呆然としてしまった。
だって光宏は雪乃に、『もう来ないで』と言ったのに。
「ゴメン…、やっぱユキとちゃんと話がしたくて…」
「話…?」
「ダメ…かな? あ、出掛けるとこだった? 電気…」
「ちが…、虫入ってヤダから、消してただけ…。出掛ける、ていうか…」
血を吸いに行かなきゃ、とは思っていたけれど、わざわざ光宏が会いに来てくれたのに、それを差し置いて吸血に行くのも悪いし、ましてや今さら光宏から血を吸わせてもらうわけにも…。
というか、話って?
自分が悪いのに、雪乃がこんなダメダメ状態だから、怒りに来たんだろうか。
back next
- 関連記事
-
- 暴君王子のおっしゃることには! (81) (2012/07/21)
- 暴君王子のおっしゃることには! (80) (2012/07/20)
- 暴君王子のおっしゃることには! (79) (2012/07/19)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:暴君王子のおっしゃることには!