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暴君王子のおっしゃることには! (74)
2012.07.14 Sat
「え…、いっちゃん…?」
光宏は床に尻もちを突いたまま、大橋は隠れ切れていないがカウンターの陰に隠れたままだったので、出入り口のほうを向き、声を上げたのは、これまた茉莉江だった。
美也子ではなかったのだ。一伽が、お客様として来店したのである。
「あれ? 光宏とか大橋いないの?」
一伽は店内をぐるんと見回すと、何とものん気なことを言っている。
今この店で起こった惨事を知らない一伽は、光宏と大橋を除く全員の視線を受けながら、ズカズカと定位置であるカウンター席に着いた。
「あ、いんじゃん大橋。はみ出してんぞ」
やはり大橋は、全然身を隠し切れていなかったので、早々に一伽に見つかってしまった。
みんなよりもだいぶ遅れて、やって来たのが一伽だと知った大橋は、のそのそと立ち上がった。
「で、光宏は? いないの?」
「いや、いることはいるんだけど…」
絶妙のタイミングの悪さでやって来た一伽に、さすがに茉莉江も口元を引き攣らせながら、視線を一伽からカウンターのほうへ向けた。
それにつられて一伽もカウンターのほうを向いたが、椅子に座った一伽の目の高さでは、いつもと変わらぬ景色しか広がっていない。
「光宏くん…いい加減、立ったら…?」
「はい…」
茉莉江に声を掛けられ、光宏は居た堪れない気持ちになりながら、何とか立ち上がった。
「うわっ、何だよ、いたのかよ、光宏」
一伽にしたら思いも寄らない場所からいきなり光宏が登場したので、怪訝そうに眉を寄せた。
何かしらのことで屈んでいたとしても、いつもだったら光宏は、お客が来れば(それがたとえ一伽でも)、挨拶くらいするのに。でも、あれ? 大橋も何か隠れてたな。
「…何なの、お前ら。今日は何かそういうサービスの日?」
「違ぇよ。つか大橋、ジンジャーエール、2番さん」
店員がカウンターにかくれんぼする、て一体どんなサービスだよ…と光宏は一伽を軽くあしらって、大橋に、今度こそジンジャーエールを持っていくよう指示した。
「とりあえずモップ……いや着替え…、いや、やっぱモップ…」
ズボンをビチョビチョに濡らしたまま、光宏が右往左往している。一伽がいない間に何があったのかは知らないが、こんな光宏を見ることはめったにないので、何だかおもしろい。
でも、一応真剣な話をしようと思って来たのに、そんな間抜けな格好でウロウロされても。
「ねぇねぇ茉莉江さん、何があったの? ジンジャーエール祭り?」
「ブッ、何その祭り! 超ウケるんだけど!」
光宏がジンジャーエールをぶちまけてからずっと、何だかシリアスな空気が漂っていたのに、一伽が来た途端、いつもの調子に戻ってしまい、茉莉江は手を叩きながら笑いこけている。
「…光宏くん、ここ俺が拭くんで、早く着替えて来てください」
「う…うん」
大橋にまで呆れ顔でそんなことを言われ、光宏は大人しく奥に引っ込んだ。
「何アイツ、いっつも着替えのおパンツ持って仕事来てんの?」
出された水をがぶがぶと一気に飲み干して、氷もガリガリと全部食べて、一伽はボケたのか本気で呆れたのか、そんなことを言いながら、大橋にグラスを突き出した。
その様子に、大橋はのっそり首を傾げる。
「水だよ、みーず。おかわり!」
「水…。え、注文は?」
「ランチプレートー」
メニューを見ることもなく、一伽はそう注文して、大橋から2杯目の水を受け取った。
大橋は一伽からの注文を厨房に伝えると、モップを持って来て、光宏が零したジンジャーエールを拭き取っていく。
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光宏は床に尻もちを突いたまま、大橋は隠れ切れていないがカウンターの陰に隠れたままだったので、出入り口のほうを向き、声を上げたのは、これまた茉莉江だった。
美也子ではなかったのだ。一伽が、お客様として来店したのである。
「あれ? 光宏とか大橋いないの?」
一伽は店内をぐるんと見回すと、何とものん気なことを言っている。
今この店で起こった惨事を知らない一伽は、光宏と大橋を除く全員の視線を受けながら、ズカズカと定位置であるカウンター席に着いた。
「あ、いんじゃん大橋。はみ出してんぞ」
やはり大橋は、全然身を隠し切れていなかったので、早々に一伽に見つかってしまった。
みんなよりもだいぶ遅れて、やって来たのが一伽だと知った大橋は、のそのそと立ち上がった。
「で、光宏は? いないの?」
「いや、いることはいるんだけど…」
絶妙のタイミングの悪さでやって来た一伽に、さすがに茉莉江も口元を引き攣らせながら、視線を一伽からカウンターのほうへ向けた。
それにつられて一伽もカウンターのほうを向いたが、椅子に座った一伽の目の高さでは、いつもと変わらぬ景色しか広がっていない。
「光宏くん…いい加減、立ったら…?」
「はい…」
茉莉江に声を掛けられ、光宏は居た堪れない気持ちになりながら、何とか立ち上がった。
「うわっ、何だよ、いたのかよ、光宏」
一伽にしたら思いも寄らない場所からいきなり光宏が登場したので、怪訝そうに眉を寄せた。
何かしらのことで屈んでいたとしても、いつもだったら光宏は、お客が来れば(それがたとえ一伽でも)、挨拶くらいするのに。でも、あれ? 大橋も何か隠れてたな。
「…何なの、お前ら。今日は何かそういうサービスの日?」
「違ぇよ。つか大橋、ジンジャーエール、2番さん」
店員がカウンターにかくれんぼする、て一体どんなサービスだよ…と光宏は一伽を軽くあしらって、大橋に、今度こそジンジャーエールを持っていくよう指示した。
「とりあえずモップ……いや着替え…、いや、やっぱモップ…」
ズボンをビチョビチョに濡らしたまま、光宏が右往左往している。一伽がいない間に何があったのかは知らないが、こんな光宏を見ることはめったにないので、何だかおもしろい。
でも、一応真剣な話をしようと思って来たのに、そんな間抜けな格好でウロウロされても。
「ねぇねぇ茉莉江さん、何があったの? ジンジャーエール祭り?」
「ブッ、何その祭り! 超ウケるんだけど!」
光宏がジンジャーエールをぶちまけてからずっと、何だかシリアスな空気が漂っていたのに、一伽が来た途端、いつもの調子に戻ってしまい、茉莉江は手を叩きながら笑いこけている。
「…光宏くん、ここ俺が拭くんで、早く着替えて来てください」
「う…うん」
大橋にまで呆れ顔でそんなことを言われ、光宏は大人しく奥に引っ込んだ。
「何アイツ、いっつも着替えのおパンツ持って仕事来てんの?」
出された水をがぶがぶと一気に飲み干して、氷もガリガリと全部食べて、一伽はボケたのか本気で呆れたのか、そんなことを言いながら、大橋にグラスを突き出した。
その様子に、大橋はのっそり首を傾げる。
「水だよ、みーず。おかわり!」
「水…。え、注文は?」
「ランチプレートー」
メニューを見ることもなく、一伽はそう注文して、大橋から2杯目の水を受け取った。
大橋は一伽からの注文を厨房に伝えると、モップを持って来て、光宏が零したジンジャーエールを拭き取っていく。
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