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暴君王子のおっしゃることには! (73)
2012.07.13 Fri
(最初から勝ち目なんかなかったんだよ、俺なんて)
だったら初めから諦めていればよかったんだ、雪乃を好きな気持ち。
もっと早く山下さんのことを知って、さっさと雪乃への気持ちを諦めていたら、今だって雪乃と友だちのままでいられたのに。
――――今さらもう遅いけれど。
「ちょっ光宏くん、溢れてる、溢れてる!」
「…へ?」
慌てた大橋の声がして、光宏がそちらに視線を向けたら、のんびりしている光宏にしては珍しく、ひどく焦った顔をして、光宏のほうへ手を伸ばしていた。
どうして大橋がここに?
あ、今は仕事中か。
「めっちゃ零れてます!」
「は? え? うわっ!」
大橋にガシッと手首を掴まれ、何事かと思ったら、掴まれた手の先で、ジンジャーエールがグラスから溢れ返っていた。
「わっ、ちょっ、えぇっ!?」
気付いたときには目の前に大惨事が広がっていて、咄嗟のことに頭が付いていかなかった光宏は、ビンを真っ直ぐにすればいいだけなのに、それも出来ず、結局ビン1本分の自家製ジンジャーエールを床にぶちまけていた。
「あー…」
「………………」
大橋は、非難とも呆れともつかない声を上げて光宏を見るが、光宏は、あまりのことに何の反応も出来ず、空となったジンジャーエールのビンを片手に持ったまま、ただポカンと口を開けていた。
「…とりあえず拭いたほうがいいんじゃない? ママに怒られないうちに」
そんな中、的確なアドバイスをしたのは、カウンター席にいた常連客の茉莉江だった。
cafe OKAERIのママこと笠原美也子の食べ物に対する情熱たるや、もしジンジャーエールが丸々1本ダメになったことが知れたら、光宏の明日はない、と言えるほどだから。
「あ…ちょ、モップ! あ、大橋、2番さんにジンジャー…――――うわっ!?」
「光宏くん!?」
茉莉江に言われ、ようやく我に返った光宏が、慌てながらも、オーダーのあったジンジャーエールを早く出すように大橋に指示し、自分はモップを取りに奥へ戻ろうとした――――が。
「……」
もう少し落ち着いて行動すればいいだけの話だったのだ。足元は、たった今自分が零したばかりのジンジャーエールで、ビショビショに濡れているのだから。
急いでモップを取りに行こうとした光宏は、濡れた床に足を滑らせて、見事なまでのフォームで床に尻もちを突いた。
「………………」
「………………」
「………………」
この状況に、さすがに店内もシンッ…と静まり返る。
いい加減、美也子だって何かあったことに気が付いて、厨房から出てくるかもしれない。光宏は、ジンジャーエールがどんどんズボンに染み込んでいるにもかかわらず、呆然としたまま、立ち上がることすら出来なかった。
――――カチャ。
静寂に包まれた店内に、ノブの回る音。
全員の視線が、厨房へと繋がるドアに向いた。とうとう美也子が出て来るのだ。営業時間中は料理に明け暮れて、一切フロアには顔を出さない美也子が、ついに姿を現すのだ。
「ヒィッ…!」
「、」
「!?」
「おーい、一伽様のお成りだぞぉー」
大橋が神に祈りながら、デカい図体をカウンターの陰に潜めたのと同時、ドアの開く音がして、みんなが息を詰めたのに、しかし厨房のドアは開かずそのままで、何事!? と思ったら、陽気な一伽の声が店の出入り口から響いた。
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だったら初めから諦めていればよかったんだ、雪乃を好きな気持ち。
もっと早く山下さんのことを知って、さっさと雪乃への気持ちを諦めていたら、今だって雪乃と友だちのままでいられたのに。
――――今さらもう遅いけれど。
「ちょっ光宏くん、溢れてる、溢れてる!」
「…へ?」
慌てた大橋の声がして、光宏がそちらに視線を向けたら、のんびりしている光宏にしては珍しく、ひどく焦った顔をして、光宏のほうへ手を伸ばしていた。
どうして大橋がここに?
あ、今は仕事中か。
「めっちゃ零れてます!」
「は? え? うわっ!」
大橋にガシッと手首を掴まれ、何事かと思ったら、掴まれた手の先で、ジンジャーエールがグラスから溢れ返っていた。
「わっ、ちょっ、えぇっ!?」
気付いたときには目の前に大惨事が広がっていて、咄嗟のことに頭が付いていかなかった光宏は、ビンを真っ直ぐにすればいいだけなのに、それも出来ず、結局ビン1本分の自家製ジンジャーエールを床にぶちまけていた。
「あー…」
「………………」
大橋は、非難とも呆れともつかない声を上げて光宏を見るが、光宏は、あまりのことに何の反応も出来ず、空となったジンジャーエールのビンを片手に持ったまま、ただポカンと口を開けていた。
「…とりあえず拭いたほうがいいんじゃない? ママに怒られないうちに」
そんな中、的確なアドバイスをしたのは、カウンター席にいた常連客の茉莉江だった。
cafe OKAERIのママこと笠原美也子の食べ物に対する情熱たるや、もしジンジャーエールが丸々1本ダメになったことが知れたら、光宏の明日はない、と言えるほどだから。
「あ…ちょ、モップ! あ、大橋、2番さんにジンジャー…――――うわっ!?」
「光宏くん!?」
茉莉江に言われ、ようやく我に返った光宏が、慌てながらも、オーダーのあったジンジャーエールを早く出すように大橋に指示し、自分はモップを取りに奥へ戻ろうとした――――が。
「……」
もう少し落ち着いて行動すればいいだけの話だったのだ。足元は、たった今自分が零したばかりのジンジャーエールで、ビショビショに濡れているのだから。
急いでモップを取りに行こうとした光宏は、濡れた床に足を滑らせて、見事なまでのフォームで床に尻もちを突いた。
「………………」
「………………」
「………………」
この状況に、さすがに店内もシンッ…と静まり返る。
いい加減、美也子だって何かあったことに気が付いて、厨房から出てくるかもしれない。光宏は、ジンジャーエールがどんどんズボンに染み込んでいるにもかかわらず、呆然としたまま、立ち上がることすら出来なかった。
――――カチャ。
静寂に包まれた店内に、ノブの回る音。
全員の視線が、厨房へと繋がるドアに向いた。とうとう美也子が出て来るのだ。営業時間中は料理に明け暮れて、一切フロアには顔を出さない美也子が、ついに姿を現すのだ。
「ヒィッ…!」
「、」
「!?」
「おーい、一伽様のお成りだぞぉー」
大橋が神に祈りながら、デカい図体をカウンターの陰に潜めたのと同時、ドアの開く音がして、みんなが息を詰めたのに、しかし厨房のドアは開かずそのままで、何事!? と思ったら、陽気な一伽の声が店の出入り口から響いた。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
引き篭もっているユキちゃんもだけど、
みっくん、君もか・・・ヤレヤレ ┐( ´-ェ-`:)┌ マイッタネ
2人の こんな姿を ずっと見せられたら
何の罪も無い山下さん(原因ではあるけど)に ひと言 言いたくなっちゃうよ~!
KYいっちゃんの登場!
でも今回の いっちゃんは、ひと味違うかも~♪
と、期待していいの、如月さま?
任せなさいっ!<(`^´)> エッヘン...byebye☆
みっくん、君もか・・・ヤレヤレ ┐( ´-ェ-`:)┌ マイッタネ
2人の こんな姿を ずっと見せられたら
何の罪も無い山下さん(原因ではあるけど)に ひと言 言いたくなっちゃうよ~!
KYいっちゃんの登場!
でも今回の いっちゃんは、ひと味違うかも~♪
と、期待していいの、如月さま?
任せなさいっ!<(`^´)> エッヘン...byebye☆
- |2012.07.13
- |Fri
- |09:05
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
実はどっちもどっち~(笑) な2人でした!
山下さんには何の罪もないんですけどね。。。
そしてそして。
まさかのKYいっちゃん登場です~!
もちろん本人に、自覚はなしです(笑)
今度のいっちゃんは、一味違う……かも!?
<(`^´)> エッヘンいっちゃん、彼はいつでもこんな感じかも~!
コメントありがとうございました!
山下さんには何の罪もないんですけどね。。。
そしてそして。
まさかのKYいっちゃん登場です~!
もちろん本人に、自覚はなしです(笑)
今度のいっちゃんは、一味違う……かも!?
<(`^´)> エッヘンいっちゃん、彼はいつでもこんな感じかも~!
コメントありがとうございました!
- |2012.07.13
- |Fri
- |22:02
- |URL
- |EDIT|