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暴君王子のおっしゃることには! (72)
2012.07.12 Thu
「…今日はもう帰ろっかな、ユキちゃん待ってるし」
「あっそ」
「それだけかよ」
「引き止めてほしいのかよ」
「期待してねぇし」
一伽は膝に顔をうずめて、鼻先をグリグリと膝にこすり付けている。一体何がやりたいのやら。
でももしかしたら、あのとき一瞬だけ見えたような気がした涙がまた出て来て、それをごまかしたいのかな。
「一伽、」
「あーあ、何で光宏、ユキちゃんのことなんか好きなんだよ、超ややこしいじゃん。つか、山下さん何でそんなイケメンなんだよ、会ったことねぇけど。ユキちゃんが惚れなきゃ、こんなことなんなかったのに」
めちゃくちゃなことを喚きながら、一伽はゴロンと床に大の字になった(帰るんじゃないんですか)。
「なっちまったもんはしょうがねぇじゃん。今さらどうにもなんねぇよ」
「…まぁまぁそうだけどさ。つか、侑仁くんカッコイー」
「ウザ」
一伽は、顔だけは侑仁から背けたまま、手足をパタパタさせている。
何だかむずかる子どものようだ。
「…もしさぁ、山下さんに彼女とかいなかったら、俺はやっぱり、ユキちゃんの一目惚れの恋を応援したほうがいいのかな?」
「そんなん、ユキちゃんがどうするかじゃねぇの? 今でもソイツに行く気あんなら、応援でも何でもしてやりゃいいじゃん?」
光宏という、雪乃のことが好きな彼の存在もあるけれど、結局は雪乃の気持ちがどうなのか、というところだと思う。
例えばその山下さんに恋人がいるのなら、雪乃は光宏と恋人として付き合うのかといえば、雪乃が光宏のことを友だち以上には見れないのなら、やっぱり恋人同士にはなれないのだから。
「でも光宏…」
「ん?」
「…何でもない」
侑仁に背を向けるようにして起き上がった一伽は、「帰る」と一言言って、今度こそ侑仁の家を出て行った。
光宏 と 一伽
光宏が、勢い余って雪乃に想いを告げたその翌日以降、さすがに雪乃は光宏の家に来なくなった。
それが自分の告白のせいだということは分かっていたが、光宏は自分から連絡を取る勇気がなくて、結局あれ以来、雪乃とは音信不通だ。
1人の夕食も久し振りで、何だか落ち着かない。
けれどそれよりも、雪乃が今ちゃんと食事できているのか心配になる。
食事とはもちろん吸血のことで、見知らぬ人から吸血できない雪乃は、もともと週に1回くらいは光宏の血を吸いに来ていたのに、もう10日も来ていないから。
(今さら俺の血吸いになんか、来ないだろうけど…)
でも、こんなことになっても、やはり光宏は雪乃のことが好きだから、心配にはなる。
ただ…もしかしたら光宏が知らないだけで、雪乃はそんなこと光宏が心配しなくてもいい環境なのかもしれないけれど。
(だって、めっちゃイケメンだったし…)
光宏は、昨日の帰りに寄ったスーパーで見掛けた、店員の山下さんのことを思い出した。
料理の出来る光宏は、雪乃が来なくなっても食べることには困らないけれど、買い物は雪乃に任せ切りだったので、久々にスーパーに寄ったのだが、そうしたら、レジにいたのが例の山下さんだったのだ。
男である雪乃を好きな時点で、同性愛の気がまったくないとは言えないが、それでも雪乃以外の男にときめくかと言えばそうではない光宏が、山下のことは普通にイケメンだと思った。
あれなら雪乃が一目惚れするのも無理はない。
というか、光宏なんて、同じ土俵に乗れるレベルではないと、はっきり自覚した。
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「あっそ」
「それだけかよ」
「引き止めてほしいのかよ」
「期待してねぇし」
一伽は膝に顔をうずめて、鼻先をグリグリと膝にこすり付けている。一体何がやりたいのやら。
でももしかしたら、あのとき一瞬だけ見えたような気がした涙がまた出て来て、それをごまかしたいのかな。
「一伽、」
「あーあ、何で光宏、ユキちゃんのことなんか好きなんだよ、超ややこしいじゃん。つか、山下さん何でそんなイケメンなんだよ、会ったことねぇけど。ユキちゃんが惚れなきゃ、こんなことなんなかったのに」
めちゃくちゃなことを喚きながら、一伽はゴロンと床に大の字になった(帰るんじゃないんですか)。
「なっちまったもんはしょうがねぇじゃん。今さらどうにもなんねぇよ」
「…まぁまぁそうだけどさ。つか、侑仁くんカッコイー」
「ウザ」
一伽は、顔だけは侑仁から背けたまま、手足をパタパタさせている。
何だかむずかる子どものようだ。
「…もしさぁ、山下さんに彼女とかいなかったら、俺はやっぱり、ユキちゃんの一目惚れの恋を応援したほうがいいのかな?」
「そんなん、ユキちゃんがどうするかじゃねぇの? 今でもソイツに行く気あんなら、応援でも何でもしてやりゃいいじゃん?」
光宏という、雪乃のことが好きな彼の存在もあるけれど、結局は雪乃の気持ちがどうなのか、というところだと思う。
例えばその山下さんに恋人がいるのなら、雪乃は光宏と恋人として付き合うのかといえば、雪乃が光宏のことを友だち以上には見れないのなら、やっぱり恋人同士にはなれないのだから。
「でも光宏…」
「ん?」
「…何でもない」
侑仁に背を向けるようにして起き上がった一伽は、「帰る」と一言言って、今度こそ侑仁の家を出て行った。
光宏 と 一伽
光宏が、勢い余って雪乃に想いを告げたその翌日以降、さすがに雪乃は光宏の家に来なくなった。
それが自分の告白のせいだということは分かっていたが、光宏は自分から連絡を取る勇気がなくて、結局あれ以来、雪乃とは音信不通だ。
1人の夕食も久し振りで、何だか落ち着かない。
けれどそれよりも、雪乃が今ちゃんと食事できているのか心配になる。
食事とはもちろん吸血のことで、見知らぬ人から吸血できない雪乃は、もともと週に1回くらいは光宏の血を吸いに来ていたのに、もう10日も来ていないから。
(今さら俺の血吸いになんか、来ないだろうけど…)
でも、こんなことになっても、やはり光宏は雪乃のことが好きだから、心配にはなる。
ただ…もしかしたら光宏が知らないだけで、雪乃はそんなこと光宏が心配しなくてもいい環境なのかもしれないけれど。
(だって、めっちゃイケメンだったし…)
光宏は、昨日の帰りに寄ったスーパーで見掛けた、店員の山下さんのことを思い出した。
料理の出来る光宏は、雪乃が来なくなっても食べることには困らないけれど、買い物は雪乃に任せ切りだったので、久々にスーパーに寄ったのだが、そうしたら、レジにいたのが例の山下さんだったのだ。
男である雪乃を好きな時点で、同性愛の気がまったくないとは言えないが、それでも雪乃以外の男にときめくかと言えばそうではない光宏が、山下のことは普通にイケメンだと思った。
あれなら雪乃が一目惚れするのも無理はない。
というか、光宏なんて、同じ土俵に乗れるレベルではないと、はっきり自覚した。
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