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暴君王子のおっしゃることには! (71)
2012.07.11 Wed
「んっ…んー…――――ぷはっ…!」
「ッ…」
やはり無意識には早く終わってくれ、と思っていたようで、侑仁は頭の中で無駄に余計なことをいろいろ考えていたが、しばらくして、一伽がようやく侑仁の首から顔を上げた。
「ふ…はぁ…、ごちそうさまでした」
「はぁ…」
自分で飲んでいいと言った手前、文句は言えないが、本当、出来ることならこんなこと、もう絶対にしたくない!
「侑仁、ありがとう」
「どーいたしまして…」
吸血し終えた一伽は、どうやら元気を取り戻したようで、侑仁の首から腕を解いて離れた。
しかし侑仁は、立ちくらみのときのような感覚がして、立ち上がれそうもなかったので、とりあえずその場にしゃがみ込んだまま回復するのを待った。
「ったくお前、そんななのに、何で俺んち来てんだよ…。こういうときは、血吸わせてくれる子のトコ行けよな…」
「飲んで来たもん」
「は?」
別に来るなとは言わないが、血を吸わないことが大前提なのだから、こんなことにならないように、ちゃんと吸血してから侑仁の家に来てほしいものだ。
そう思って侑仁が睨めば、吸血して元気になった一伽は、ふて腐れたように唇を突き出した。
「侑仁の家来る前に、血吸って来たの。マリちゃんから」
「いや、マリちゃんとか知らねぇし。え、お前、血吸うのって、1日1回でよかったんじゃねぇの? 血吸って来たのに、そんな…ぶっ倒れるほど、て何…?」
それは純粋な疑問。
前に1日3食なのかと聞いたら、血は1日1回でいいと、一伽本人が言っていたのに。
「ホントは1日1回でいいんだけど…、…………今、ユキちゃんに毎日血飲ませてるから」
「毎日?」
確かユキちゃんは、知らない人からは血が吸えないから、知り合いからのほかに、週に1, 2回は一伽から吸血しているとかいう、鈍臭い(ゴメンなさい…)吸血鬼だということは、前に一伽から聞いた。
その彼が、友人だと思っていた男からの恋心にまったく気付かず、毎日ご飯を作りに行き続けていた鈍感な彼が、今は毎日、一伽の血を吸っているの?
「さっき言ったじゃん、ユキちゃん、今めっちゃ凹んでんの」
「それと、お前から毎日血吸うのと、何の関係があんの?」
「凹み過ぎて、引きこもってる」
「は?」
引きこもりの吸血鬼?
人間の引きこもりなら、食べ物とか、ネットでも何でも購入しようと思えば出来るけど、吸血鬼の必需品である血液ばかりは、そう簡単には手に入らないから、なかなか厄介だなぁ。
「でも吸血しないわけにはいかないから、俺が飲ませてやってんの」
「だからお前も、1日1回じゃ足んないってこと?」
「そのとき飲む量にもよるけど…ここんトコずっとユキちゃんに飲ませ続けてるから、俺自身、不足気味だったのかも…。侑仁、ゴメンなさい」
「いや、いいけど…。急にしおらしくなんなよ、気持ち悪ぃな」
初めて侑仁から血を吸ったときなんて、無理やり飛び掛かって、首に噛み付いてきたくせに。
侑仁がいいと言って吸わせたのに、そんなに申し訳なさそうな顔をされたら、それ以上言えなくなってしまう。
「だって、吸わない約束なのに吸っちゃって、それでもう家来んな、て言われたら困るもん」
「それが目的か!」
「えへへ」
悪びれたふうもなく笑った一伽は、しかしその後、キュッと立てた膝を抱え込んだ。
小柄な一伽がそういう格好をすると、本当にこじんまりとした感じになる。
「…ユキちゃんてさぁ、鈍感なくせに繊細なんだよねぇ」
「みたいだな」
「ユキちゃんがもうちょっと……今の10倍くらい敏感でさぁ、それから、俺の10分の1くらい図太い神経だったら、いろいろと楽だったのに」
「図太いって……おめぇ、自分の性格よく分かってんじゃねぇかよ」
せっかく自分の性格が図太いことを自覚しているんだから、もうちょっと控え目にするとか何とか出来ないのだろうか。
いや、何も出来ないから、今もなお、この状態なのか…。
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「ッ…」
やはり無意識には早く終わってくれ、と思っていたようで、侑仁は頭の中で無駄に余計なことをいろいろ考えていたが、しばらくして、一伽がようやく侑仁の首から顔を上げた。
「ふ…はぁ…、ごちそうさまでした」
「はぁ…」
自分で飲んでいいと言った手前、文句は言えないが、本当、出来ることならこんなこと、もう絶対にしたくない!
「侑仁、ありがとう」
「どーいたしまして…」
吸血し終えた一伽は、どうやら元気を取り戻したようで、侑仁の首から腕を解いて離れた。
しかし侑仁は、立ちくらみのときのような感覚がして、立ち上がれそうもなかったので、とりあえずその場にしゃがみ込んだまま回復するのを待った。
「ったくお前、そんななのに、何で俺んち来てんだよ…。こういうときは、血吸わせてくれる子のトコ行けよな…」
「飲んで来たもん」
「は?」
別に来るなとは言わないが、血を吸わないことが大前提なのだから、こんなことにならないように、ちゃんと吸血してから侑仁の家に来てほしいものだ。
そう思って侑仁が睨めば、吸血して元気になった一伽は、ふて腐れたように唇を突き出した。
「侑仁の家来る前に、血吸って来たの。マリちゃんから」
「いや、マリちゃんとか知らねぇし。え、お前、血吸うのって、1日1回でよかったんじゃねぇの? 血吸って来たのに、そんな…ぶっ倒れるほど、て何…?」
それは純粋な疑問。
前に1日3食なのかと聞いたら、血は1日1回でいいと、一伽本人が言っていたのに。
「ホントは1日1回でいいんだけど…、…………今、ユキちゃんに毎日血飲ませてるから」
「毎日?」
確かユキちゃんは、知らない人からは血が吸えないから、知り合いからのほかに、週に1, 2回は一伽から吸血しているとかいう、鈍臭い(ゴメンなさい…)吸血鬼だということは、前に一伽から聞いた。
その彼が、友人だと思っていた男からの恋心にまったく気付かず、毎日ご飯を作りに行き続けていた鈍感な彼が、今は毎日、一伽の血を吸っているの?
「さっき言ったじゃん、ユキちゃん、今めっちゃ凹んでんの」
「それと、お前から毎日血吸うのと、何の関係があんの?」
「凹み過ぎて、引きこもってる」
「は?」
引きこもりの吸血鬼?
人間の引きこもりなら、食べ物とか、ネットでも何でも購入しようと思えば出来るけど、吸血鬼の必需品である血液ばかりは、そう簡単には手に入らないから、なかなか厄介だなぁ。
「でも吸血しないわけにはいかないから、俺が飲ませてやってんの」
「だからお前も、1日1回じゃ足んないってこと?」
「そのとき飲む量にもよるけど…ここんトコずっとユキちゃんに飲ませ続けてるから、俺自身、不足気味だったのかも…。侑仁、ゴメンなさい」
「いや、いいけど…。急にしおらしくなんなよ、気持ち悪ぃな」
初めて侑仁から血を吸ったときなんて、無理やり飛び掛かって、首に噛み付いてきたくせに。
侑仁がいいと言って吸わせたのに、そんなに申し訳なさそうな顔をされたら、それ以上言えなくなってしまう。
「だって、吸わない約束なのに吸っちゃって、それでもう家来んな、て言われたら困るもん」
「それが目的か!」
「えへへ」
悪びれたふうもなく笑った一伽は、しかしその後、キュッと立てた膝を抱え込んだ。
小柄な一伽がそういう格好をすると、本当にこじんまりとした感じになる。
「…ユキちゃんてさぁ、鈍感なくせに繊細なんだよねぇ」
「みたいだな」
「ユキちゃんがもうちょっと……今の10倍くらい敏感でさぁ、それから、俺の10分の1くらい図太い神経だったら、いろいろと楽だったのに」
「図太いって……おめぇ、自分の性格よく分かってんじゃねぇかよ」
せっかく自分の性格が図太いことを自覚しているんだから、もうちょっと控え目にするとか何とか出来ないのだろうか。
いや、何も出来ないから、今もなお、この状態なのか…。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
いっちゃん、自他共に認める神経の「図太さ」!(笑)
ヾ(^|神経|^)ノ←って、こんな感じかな?・:*ゞ(∇≦* )ガハッ
ユキちゃんには 早く引き篭もりから抜け出して貰わねば、
この悪循環は、続くのね~~!
ドキ───Σ(゚Д゚;)───ン!...byebye☆
ヾ(^|神経|^)ノ←って、こんな感じかな?・:*ゞ(∇≦* )ガハッ
ユキちゃんには 早く引き篭もりから抜け出して貰わねば、
この悪循環は、続くのね~~!
ドキ───Σ(゚Д゚;)───ン!...byebye☆
- |2012.07.11
- |Wed
- |13:38
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
一伽さん、実は自覚しておりました!
自分の図太い性格…。
> ヾ(^|神経|^)ノ←って、こんな感じかな?・:*ゞ(∇≦* )ガハッ
いやいや、もっと太いかもしれませんよぉ~!!
一応、しおらしい部分も持ち合わせてはいるようですが…(笑)
ユキちゃんには、この10分の1の図太さすらないわけで…(^_^;)
早く脱・引きこもりをしないと、被害は拡大するばかりです(>_<)
コメントありがとうございました!
自分の図太い性格…。
> ヾ(^|神経|^)ノ←って、こんな感じかな?・:*ゞ(∇≦* )ガハッ
いやいや、もっと太いかもしれませんよぉ~!!
一応、しおらしい部分も持ち合わせてはいるようですが…(笑)
ユキちゃんには、この10分の1の図太さすらないわけで…(^_^;)
早く脱・引きこもりをしないと、被害は拡大するばかりです(>_<)
コメントありがとうございました!
- |2012.07.11
- |Wed
- |22:52
- |URL
- |EDIT|