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暴君王子のおっしゃることには! (70)
2012.07.10 Tue
侑仁は今、自分の目の前で起こった出来事を、俄かには信じることは出来なかった。
だって、一伽がコウモリになった。
人間の姿をしていたはずの一伽が、突然、コウモリの姿になったのだ。
「え…、一伽…?」
具合が悪いのに無理して帰ろうとしていた一伽が、しかしなぜかフラフラと窓のほうへ向かって、侑仁は、玄関と間違えているのか? でも窓から落っこちたらどうしよう! と焦ったのだが、そう思ったのも束の間、一伽はそのままコウモリに変身して、開けた窓から飛び立った…………かと思ったら、そのままポテッと床に落っこちた。
「一伽? おい、大丈夫か!?」
吸血鬼がコウモリに変身する――――それは伝説だとか、都市伝説的な話の中だけのことだと、侑仁も思っていなかったばかりではない。
一伽が吸血鬼だということは、航平からも言われたし、何よりも自分が吸血されたこともあって、疑ってはいなかったが、まさか目の前でコウモリになろうとは。
しかも、窓から飛び立っていくのかと思いきや、そのまま床に落っこちようとは。
「一伽っ」
「うぅ…」
しかし、先ほどまでの具合の悪かった様子からして、コウモリの姿になった一伽が飛び立てなかったのは、やはりそのせいなのだろうと思ったら、のん気にボケッともしていられない。
とにかく侑仁は、床にペタンとなっているコウモリの一伽を拾い上げた。
「おい、大丈夫か? 一伽?」
コウモリの姿になっても、人間の言葉って通じるのだろうか。
とりあえず僅かながら、意識はあるようだけれど…。
「一伽、なぁ、お前そのままのカッコで血吸えんのか? おい聞こえるか? 一伽?」
「ん…」
「おわっ!?」
かすかな呻き声のようなものを発した一伽は、ピクピクと体を動かし、再び、そしていきなり、人間の姿へと戻った。
コウモリの姿だからこそ、侑仁は一伽を手の上に乗せていられたのだけれど、人間の一伽がいくら小柄とはいえ、やはり人間サイズだから、手のひらで受け止め切れるものではなくて、侑仁は一伽に思い切り伸し掛かられる状態となってしまい、後ろに引っ繰り返った。
「イッテ…」
「んー…侑仁…」
「チッ…っとに、」
侑仁は面倒くさそうに吐き捨てながらも、一伽の体を、仰向けに抱え直した。
「一伽、ホラ。血」
「へ…?」
「吸えよ」
「…………」
ぶっきらぼうに言い放ちながら、侑仁はTシャツの首元を広げた。
しかし一伽は、何も言わずに侑仁を見つめているだけだ。
「一伽、吸えって」
「だって…」
「いいから」
侑仁だって、出来れば血なんか吸われたくないけれど、血が足りなくてぶっ倒れてしまった一伽を目の当たりにしてまでなお、それを拒むことも出来ない。
この間、侑仁の家に泊まった翌朝、腹が減ったから血を飲みたいと喚いていたときより、完全に事態が深刻なのは、考えるまでもなく分かるし。
「ん…」
一伽はのっそりと体を起こすと、侑仁の首に腕を回した。
侑仁はギュッと目を閉じる。
「ッ…」
一伽の顔が首筋に近づく気配がした次、あの、クラブで初めて吸血されたときのように、一瞬の痛みが走った後は、ただ熱い感覚だけが広がっていく。
初めてのときは何が何だか分からなくて混乱していたが、吸血されていると分かった今は、怖いかと言われたらそうでもない気はするが、そんなにいい気もしない。
一伽に吸血させている女の子たちは、まぁその前にいろいろ気持ちいいことをしているとはいえ、本当に気前よくその首筋を差し出しているんだろうか。
back next
だって、一伽がコウモリになった。
人間の姿をしていたはずの一伽が、突然、コウモリの姿になったのだ。
「え…、一伽…?」
具合が悪いのに無理して帰ろうとしていた一伽が、しかしなぜかフラフラと窓のほうへ向かって、侑仁は、玄関と間違えているのか? でも窓から落っこちたらどうしよう! と焦ったのだが、そう思ったのも束の間、一伽はそのままコウモリに変身して、開けた窓から飛び立った…………かと思ったら、そのままポテッと床に落っこちた。
「一伽? おい、大丈夫か!?」
吸血鬼がコウモリに変身する――――それは伝説だとか、都市伝説的な話の中だけのことだと、侑仁も思っていなかったばかりではない。
一伽が吸血鬼だということは、航平からも言われたし、何よりも自分が吸血されたこともあって、疑ってはいなかったが、まさか目の前でコウモリになろうとは。
しかも、窓から飛び立っていくのかと思いきや、そのまま床に落っこちようとは。
「一伽っ」
「うぅ…」
しかし、先ほどまでの具合の悪かった様子からして、コウモリの姿になった一伽が飛び立てなかったのは、やはりそのせいなのだろうと思ったら、のん気にボケッともしていられない。
とにかく侑仁は、床にペタンとなっているコウモリの一伽を拾い上げた。
「おい、大丈夫か? 一伽?」
コウモリの姿になっても、人間の言葉って通じるのだろうか。
とりあえず僅かながら、意識はあるようだけれど…。
「一伽、なぁ、お前そのままのカッコで血吸えんのか? おい聞こえるか? 一伽?」
「ん…」
「おわっ!?」
かすかな呻き声のようなものを発した一伽は、ピクピクと体を動かし、再び、そしていきなり、人間の姿へと戻った。
コウモリの姿だからこそ、侑仁は一伽を手の上に乗せていられたのだけれど、人間の一伽がいくら小柄とはいえ、やはり人間サイズだから、手のひらで受け止め切れるものではなくて、侑仁は一伽に思い切り伸し掛かられる状態となってしまい、後ろに引っ繰り返った。
「イッテ…」
「んー…侑仁…」
「チッ…っとに、」
侑仁は面倒くさそうに吐き捨てながらも、一伽の体を、仰向けに抱え直した。
「一伽、ホラ。血」
「へ…?」
「吸えよ」
「…………」
ぶっきらぼうに言い放ちながら、侑仁はTシャツの首元を広げた。
しかし一伽は、何も言わずに侑仁を見つめているだけだ。
「一伽、吸えって」
「だって…」
「いいから」
侑仁だって、出来れば血なんか吸われたくないけれど、血が足りなくてぶっ倒れてしまった一伽を目の当たりにしてまでなお、それを拒むことも出来ない。
この間、侑仁の家に泊まった翌朝、腹が減ったから血を飲みたいと喚いていたときより、完全に事態が深刻なのは、考えるまでもなく分かるし。
「ん…」
一伽はのっそりと体を起こすと、侑仁の首に腕を回した。
侑仁はギュッと目を閉じる。
「ッ…」
一伽の顔が首筋に近づく気配がした次、あの、クラブで初めて吸血されたときのように、一瞬の痛みが走った後は、ただ熱い感覚だけが広がっていく。
初めてのときは何が何だか分からなくて混乱していたが、吸血されていると分かった今は、怖いかと言われたらそうでもない気はするが、そんなにいい気もしない。
一伽に吸血させている女の子たちは、まぁその前にいろいろ気持ちいいことをしているとはいえ、本当に気前よくその首筋を差し出しているんだろうか。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
侑仁、吸わせちゃったよ~!アチャー(´・ω・`)
フラフラ~で 床に落っこちた姿を見れば(コウモリだけど!)、
そんな気持ちになっても しょうがない・・・か!?
腹ペコいっちゃん、腹八分目だからね~!
「吸い過ぎには ご注意を♪」
満腹―*.゚+ヽ(○・▽・○)ノ゙ +.゚*だぁ―!!..._ノフ○ グッタリ...byebye☆
フラフラ~で 床に落っこちた姿を見れば(コウモリだけど!)、
そんな気持ちになっても しょうがない・・・か!?
腹ペコいっちゃん、腹八分目だからね~!
「吸い過ぎには ご注意を♪」
満腹―*.゚+ヽ(○・▽・○)ノ゙ +.゚*だぁ―!!..._ノフ○ グッタリ...byebye☆
- |2012.07.10
- |Tue
- |10:26
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ますます懐の広い侑仁さん…!
でも、もしこのまま見捨てちゃって、いっちゃんがどっかで行き倒れちゃってたら、後味悪いですからね…。
不謹慎ながら、ポテッと落っこちたいっちゃんコウモリは、何かかわいいなぁ、と私は密かに思ってます(笑)
> 腹ペコいっちゃん、腹八分目だからね~!
> 「吸い過ぎには ご注意を♪」
いっちゃんに聞かせてあげたい言葉ですね~。
でも一伽さんの辞書に「腹八分目」がありません!!
常に「お腹いっぱい」が彼の信念なのです(笑)
コメントありがとうございました!
でも、もしこのまま見捨てちゃって、いっちゃんがどっかで行き倒れちゃってたら、後味悪いですからね…。
不謹慎ながら、ポテッと落っこちたいっちゃんコウモリは、何かかわいいなぁ、と私は密かに思ってます(笑)
> 腹ペコいっちゃん、腹八分目だからね~!
> 「吸い過ぎには ご注意を♪」
いっちゃんに聞かせてあげたい言葉ですね~。
でも一伽さんの辞書に「腹八分目」がありません!!
常に「お腹いっぱい」が彼の信念なのです(笑)
コメントありがとうございました!
- |2012.07.10
- |Tue
- |22:47
- |URL
- |EDIT|