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暴君王子のおっしゃることには! (69)
2012.07.09 Mon
「お前、それで責任感じてんの? そりゃお前の言葉が切っ掛けだったかもだけど、お前が何もしなくても、ユキちゃんの鈍感さに光宏さんの我慢の限界が来て、同じことになってたかもじゃん?」
一体一伽に何を言ったらいいか分からず、侑仁はフォローにもならない言葉を掛けてしまった。
一伽は、ピクリとも動かない。
そんな一伽の後ろ姿を見つめながら、侑仁は、今日ここに来たばかりのときの一伽のテンションが、ただの空元気だったことに、ようやく気が付いた。
こんなことがあったから、無理にテンションを上げていたのかもしれない。
「一伽?」
「…俺のせいじゃないかもしんないけど、でもユキちゃんが、めっちゃ落ち込んでる」
「……」
「自分が光宏の気持ちに気付いてなかったせいで、光宏のこと、ずっと傷付けてたんだ、て思ってる」
それは……確かに雪乃が鈍感で、光宏の気持ちに全然気付けなかったのも悪いかもしれないが、かといって、こんなことになったすべてが雪乃のせいかといえば、それも違うだろう。
もし光宏が、もっと早く自分の気持ちを伝えていたら、それこそこんな展開にはならなかったのかもしれないし。
だから、誰が悪いなんてこと、ないと思う。
「でもユキちゃん、めっちゃ落ち込んで、引きこもっててっ…」
今家に1人でいる雪乃のことを思ったら、急に切なくなって、一伽はガバッとソファから起き上がり、侑仁のほうを振り返った。
しかし、その次の瞬間。
「おいっ!」
振り返った一伽の目元が濡れていると侑仁が思ったのは一瞬で、一伽の体はそのままグラッと傾いて、ソファから転がり落ちた。
「おい大丈夫かよっ! 一伽!?」
「イテ…」
侑仁は慌ててソファから飛び降り、床に落ちた一伽を抱き起した。
素飲みとはいえ、ビールは350ml缶1本しか飲んでいないし、その後に水も飲ませたから、酔っ払ってふら付くとは思えなかったのに。
「大丈夫かっ? おい!」
「へーき…。ゴメ…俺、帰る…」
「はぁっ? バカ、無理だろ」
とりあえず侑仁は、一伽をソファに引っ張り上げて、寝かせてやった。
一伽を泊める気などさらさらなかったが、見れば一伽の顔色は悪く、単に酔いが回ったのではないことは明白で、具合が悪いのなら、このまま帰らせるわけにはいかない。
「ヤ…帰る…」
「だから、無理だっつの!」
連日の猛暑に、自分の家がいかに最悪かを熱弁していた一伽が、今は頑なに帰りたがっていることを侑仁は訝しく思ったが、とにかくこんな状態で1人外に出したら、行き倒れるのがオチだから、侑仁は何とか一伽を止める。
本当は、一伽にそこまで義理を尽くす必要なんてないんだろうけど、ここで無理に帰して、もし一伽の身に何かあったら、絶対に後味が悪いから。
「侑仁、離して…」
「バーカ、自力で起き上がれねぇヤツが、何言ってんだ」
もしかして、雪乃のことが心配で、どうしても帰りたいのだろうか。
そうだとしても、今の自分の体調を考えて言ってくれ。
「違う、侑仁…」
「あぁっ?」
「血が飲みたい…」
「え…」
「だから侑仁、お願…離して…、気持ち悪ぃ…」
すっかり蒼褪めた顔で、一伽は驚いて固まった侑仁の手を解く。
侑仁には、『自力で起き上がれねぇヤツ』と言われたけれど、そのくらいの気力なら、まだある。今ならまだ、間に合う。
人間の前でコウモリの姿になるのはちょっと気が引けたが、今はそれどころではないし、侑仁は何だかそういう部分に理解があるようなので、構わないだろう。
一伽はフラフラと、カーテンの引かれた窓のほうへと向かう。
「おいっ、ちょっ一伽!」
焦ったような侑仁の声を背後に聞きながら、一伽は窓を開けると、コウモリへと変身した。
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一体一伽に何を言ったらいいか分からず、侑仁はフォローにもならない言葉を掛けてしまった。
一伽は、ピクリとも動かない。
そんな一伽の後ろ姿を見つめながら、侑仁は、今日ここに来たばかりのときの一伽のテンションが、ただの空元気だったことに、ようやく気が付いた。
こんなことがあったから、無理にテンションを上げていたのかもしれない。
「一伽?」
「…俺のせいじゃないかもしんないけど、でもユキちゃんが、めっちゃ落ち込んでる」
「……」
「自分が光宏の気持ちに気付いてなかったせいで、光宏のこと、ずっと傷付けてたんだ、て思ってる」
それは……確かに雪乃が鈍感で、光宏の気持ちに全然気付けなかったのも悪いかもしれないが、かといって、こんなことになったすべてが雪乃のせいかといえば、それも違うだろう。
もし光宏が、もっと早く自分の気持ちを伝えていたら、それこそこんな展開にはならなかったのかもしれないし。
だから、誰が悪いなんてこと、ないと思う。
「でもユキちゃん、めっちゃ落ち込んで、引きこもっててっ…」
今家に1人でいる雪乃のことを思ったら、急に切なくなって、一伽はガバッとソファから起き上がり、侑仁のほうを振り返った。
しかし、その次の瞬間。
「おいっ!」
振り返った一伽の目元が濡れていると侑仁が思ったのは一瞬で、一伽の体はそのままグラッと傾いて、ソファから転がり落ちた。
「おい大丈夫かよっ! 一伽!?」
「イテ…」
侑仁は慌ててソファから飛び降り、床に落ちた一伽を抱き起した。
素飲みとはいえ、ビールは350ml缶1本しか飲んでいないし、その後に水も飲ませたから、酔っ払ってふら付くとは思えなかったのに。
「大丈夫かっ? おい!」
「へーき…。ゴメ…俺、帰る…」
「はぁっ? バカ、無理だろ」
とりあえず侑仁は、一伽をソファに引っ張り上げて、寝かせてやった。
一伽を泊める気などさらさらなかったが、見れば一伽の顔色は悪く、単に酔いが回ったのではないことは明白で、具合が悪いのなら、このまま帰らせるわけにはいかない。
「ヤ…帰る…」
「だから、無理だっつの!」
連日の猛暑に、自分の家がいかに最悪かを熱弁していた一伽が、今は頑なに帰りたがっていることを侑仁は訝しく思ったが、とにかくこんな状態で1人外に出したら、行き倒れるのがオチだから、侑仁は何とか一伽を止める。
本当は、一伽にそこまで義理を尽くす必要なんてないんだろうけど、ここで無理に帰して、もし一伽の身に何かあったら、絶対に後味が悪いから。
「侑仁、離して…」
「バーカ、自力で起き上がれねぇヤツが、何言ってんだ」
もしかして、雪乃のことが心配で、どうしても帰りたいのだろうか。
そうだとしても、今の自分の体調を考えて言ってくれ。
「違う、侑仁…」
「あぁっ?」
「血が飲みたい…」
「え…」
「だから侑仁、お願…離して…、気持ち悪ぃ…」
すっかり蒼褪めた顔で、一伽は驚いて固まった侑仁の手を解く。
侑仁には、『自力で起き上がれねぇヤツ』と言われたけれど、そのくらいの気力なら、まだある。今ならまだ、間に合う。
人間の前でコウモリの姿になるのはちょっと気が引けたが、今はそれどころではないし、侑仁は何だかそういう部分に理解があるようなので、構わないだろう。
一伽はフラフラと、カーテンの引かれた窓のほうへと向かう。
「おいっ、ちょっ一伽!」
焦ったような侑仁の声を背後に聞きながら、一伽は窓を開けると、コウモリへと変身した。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒ 恋のお悩み事に、
正しい回答なんて、あるようで、ないようで…
ま、解決策が見つからなくても、侑仁くんがお話聞いてくれたから、
いっちゃん、少しは気楽になれたかな?
最後は、腹ぺこになっちゃって、
とうとう、コウモリさんになって行ってしまった。
ありのままのいっちゃんを見て、侑仁くんはどんなふうに思ったのかな?
ま、解決策が見つからなくても、侑仁くんがお話聞いてくれたから、
いっちゃん、少しは気楽になれたかな?
最後は、腹ぺこになっちゃって、
とうとう、コウモリさんになって行ってしまった。
ありのままのいっちゃんを見て、侑仁くんはどんなふうに思ったのかな?
- |2012.07.09
- |Mon
- |08:22
- |URL
- |EDIT|
けいったん ⇒
えぇ~ユキちゃんは、引き篭もるほど悩んでいるの!
(:´・∀・`)アラマァ...それは、それは...
自分の体調が悪くなるくらい ユキちゃんの事を気にしていたの?と、吃驚したのに~!
あーそういうーことですかー・・・腹ペコなのねー・・・ε~( ̄、 ̄;)ゞフー
でも いっちゃん、
引き篭もるほど落ち込んでるユキちゃんから 血を吸っちゃう気なの?
コレッテ...d(´・ω・`)...ドウナノ?...
夏風邪で 胃腸はやられ、熱は39度超え、久々のダウン!
特に 家族が一日中いる土日曜日のダウンは、ゆっくり寝る事も出来ず辛い~(泣)
峠を越え、今は 微熱と頭痛のみ!
如月さま、ちよさんも 気をつけてね♪
夏風邪、恐るべし~~ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ...byebye☆
(:´・∀・`)アラマァ...それは、それは...
自分の体調が悪くなるくらい ユキちゃんの事を気にしていたの?と、吃驚したのに~!
あーそういうーことですかー・・・腹ペコなのねー・・・ε~( ̄、 ̄;)ゞフー
でも いっちゃん、
引き篭もるほど落ち込んでるユキちゃんから 血を吸っちゃう気なの?
コレッテ...d(´・ω・`)...ドウナノ?...
夏風邪で 胃腸はやられ、熱は39度超え、久々のダウン!
特に 家族が一日中いる土日曜日のダウンは、ゆっくり寝る事も出来ず辛い~(泣)
峠を越え、今は 微熱と頭痛のみ!
如月さま、ちよさんも 気をつけてね♪
夏風邪、恐るべし~~ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ...byebye☆
- |2012.07.09
- |Mon
- |10:56
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
珍しくしおしおのいっちゃん…。
つい全部侑仁さんに打ち明けてしまいました。
こういうお話は、ちよさんの言うとおり、正しい答えなんてあるようでないものですから、打ち明けることが出来ただけでも、だいぶ違うかと。
そして腹ペコ一伽さん。
とうとう侑仁さんの前でコウモリさんになっちゃいました。
頭では分かってても、実際に目の前で人間がコウモリになったらビビりますよね。
懐の広い侑仁さんは、果たしてどんな反応をするのでしょうか。次回をお楽しみにです!
コメントありがとうございました!
つい全部侑仁さんに打ち明けてしまいました。
こういうお話は、ちよさんの言うとおり、正しい答えなんてあるようでないものですから、打ち明けることが出来ただけでも、だいぶ違うかと。
そして腹ペコ一伽さん。
とうとう侑仁さんの前でコウモリさんになっちゃいました。
頭では分かってても、実際に目の前で人間がコウモリになったらビビりますよね。
懐の広い侑仁さんは、果たしてどんな反応をするのでしょうか。次回をお楽しみにです!
コメントありがとうございました!
- |2012.07.09
- |Mon
- |20:54
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
ユキちゃんでも悩むんです!
へこむんです!
引きこもっちゃうんです~!!
そして暴君一伽さんは、引きこもりのユキチャンからをも血を吸う気なんでしょうか
それよりもけいったんさん! 夏風邪、大丈夫ですか~~!!
ご家族いらっしゃると、かえって土日にダウンしたほうが辛いんですね…。
私も季節外れのインフルエンザになった人ですが、夏風邪も辛いですね(>_<)
峠は越えたみたいですが、どうか無理なさらずに!! とにかく休養が一番です!
コメントありがとうございました!
へこむんです!
引きこもっちゃうんです~!!
そして暴君一伽さんは、引きこもりのユキチャンからをも血を吸う気なんでしょうか
それよりもけいったんさん! 夏風邪、大丈夫ですか~~!!
ご家族いらっしゃると、かえって土日にダウンしたほうが辛いんですね…。
私も季節外れのインフルエンザになった人ですが、夏風邪も辛いですね(>_<)
峠は越えたみたいですが、どうか無理なさらずに!! とにかく休養が一番です!
コメントありがとうございました!
- |2012.07.09
- |Mon
- |21:11
- |URL
- |EDIT|