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暴君王子のおっしゃることには! (68)
2012.07.08 Sun
「とにかく! ソイツはずっと言えなかったの! 言えないで、毎日ユキちゃんがご飯作りに来るのを受け入れてたの! でもユキちゃん全然気付かないし、俺が鈍感て言ったのも全然見当違いなことに思ってるし、そんなだから光宏も我慢できなくなっちゃったのっ!」
「…………」
「…………」
「…ユキちゃん?」
「え…? あっ…」
言いたいことが侑仁に伝わらないのがもどかしくて興奮してしまった一伽は、ずっと一伽と航平に置き換えて話していたのを忘れて、思わず本当の名前を出してしまった。
まぁ…、侑仁は雪乃も光宏も知らないから本名を出しても大丈夫だろうけど、だとすると、航平が一伽のことを好きだというへんてこりんな設定の作り話をした、一伽の努力は…。
「別に誰にも言わねぇから、続き、話してみ? お前だって、自分と航平に置き換えて話すんの、キモいだろ?」
「キモい」
そこは遠慮なく『キモい』と言い放った一伽は、侑仁のことを信用して、自分と航平という設定で話していた例え話を、実際の雪乃と光宏で話すことにした。
「続き…てか、今言ったとおりなんだけどさ。ユキちゃん、光宏が自分のこと好きだったなんて、本気で全然気付いてなくて……急にそんなこと言われて、すごいビックリしちゃって」
「ま、本気で全然気付いてなかったら、そりゃビビるよな。でも別にいいじゃん。ユキちゃん? は、その光宏さんじゃなくて、スーパーの店員さんが好きなんだろ? 告られたって、その気がないなら断りゃいいだけだし」
「でもそしたらもう、友だちじゃいられない」
「告られた時点で、友だちじゃいられねぇよ」
ずっと友だちだと思っていた相手から愛の告白をされて、気まずくなって、どうしたらいいか分からなくて……なんて、何てベタな少女マンガのような展開だろう。
それこそ、まったく全然気付いていなかったのだから、告白されても、ユキちゃんさんはきっと何も答えられなかったんだろうな。
「…やっぱりもう、2人は友だちに戻れないかな?」
「さぁ。一般的にはそうだろうな。だって今さら、相手のこと友だちと思えるか? お互い」
「無理だよね、やっぱ」
一伽も分かっていて聞いたので、大して期待はしていなかったのだが、やはり侑仁の答えは、一伽の考えを嬉しいほうに覆してくれるものではなかった。
「で?」
「え?」
「結局一伽は何の話がしたかったわけ? 俺にその…ユキちゃん? の恋バナ聞かせてさ。俺、そんな赤の他人に恋のアドバイス的なことする気、ねぇよ?」
「…別に、お前からアドバイス貰おうなんて思ってねぇよ」
一伽は再び、コロンとソファに寝転がった。
いちいち侑仁に突っ掛ってくる態度は相変わらずだが、一伽はまだ何か考えているようで、ソファの上でもぞもぞしている。
「俺が…」
「ん?」
「俺がユキちゃんに鈍感て言ったから?」
「何が?」
「俺がユキちゃんに鈍感て言ったから、ユキちゃん、そのこと気にして光宏に話して、だから光宏、ユキちゃんにもう来ないでとか言って、告って、そんで、」
「おい、ちょっと待てよ、一伽」
想像の中でどんどんと話を進めていく一伽に、侑仁は慌ててストップを掛けた。
まさか一伽は、その雪乃と光宏の2人がこうなったことの責任が、自分にあると思い込んでいるのだろうか。
「いや、だってお前、鈍感つっただけなんだろ? そんくらい言ったところで…」
一伽の性格からして、雪乃に鈍感と言ったのが、今回初めてだとは思えない。
なのにどうして一伽は、今に限ってそんなに責任を感じているのだ。
「…その前に、ユキちゃんが好きなのは光宏じゃなくて、山下さん…そのスーパーの店員さんなんでしょ、とも言った。でもユキちゃん、それでも全然分かってなくて、何でそこに光宏が出てくんの? みたいなこと言ってさ、だから俺もカッとなって、鈍感! つっちゃった」
「それは確かに、鈍感だなぁ…」
「でも俺がそんなこと言ったから、ユキちゃんが気にして、光宏に話しちゃったんだもん…」
一伽は側にあったクッションを胸に抱えて、侑仁とは反対のほうを向いて丸くなった。
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「…………」
「…………」
「…ユキちゃん?」
「え…? あっ…」
言いたいことが侑仁に伝わらないのがもどかしくて興奮してしまった一伽は、ずっと一伽と航平に置き換えて話していたのを忘れて、思わず本当の名前を出してしまった。
まぁ…、侑仁は雪乃も光宏も知らないから本名を出しても大丈夫だろうけど、だとすると、航平が一伽のことを好きだというへんてこりんな設定の作り話をした、一伽の努力は…。
「別に誰にも言わねぇから、続き、話してみ? お前だって、自分と航平に置き換えて話すんの、キモいだろ?」
「キモい」
そこは遠慮なく『キモい』と言い放った一伽は、侑仁のことを信用して、自分と航平という設定で話していた例え話を、実際の雪乃と光宏で話すことにした。
「続き…てか、今言ったとおりなんだけどさ。ユキちゃん、光宏が自分のこと好きだったなんて、本気で全然気付いてなくて……急にそんなこと言われて、すごいビックリしちゃって」
「ま、本気で全然気付いてなかったら、そりゃビビるよな。でも別にいいじゃん。ユキちゃん? は、その光宏さんじゃなくて、スーパーの店員さんが好きなんだろ? 告られたって、その気がないなら断りゃいいだけだし」
「でもそしたらもう、友だちじゃいられない」
「告られた時点で、友だちじゃいられねぇよ」
ずっと友だちだと思っていた相手から愛の告白をされて、気まずくなって、どうしたらいいか分からなくて……なんて、何てベタな少女マンガのような展開だろう。
それこそ、まったく全然気付いていなかったのだから、告白されても、ユキちゃんさんはきっと何も答えられなかったんだろうな。
「…やっぱりもう、2人は友だちに戻れないかな?」
「さぁ。一般的にはそうだろうな。だって今さら、相手のこと友だちと思えるか? お互い」
「無理だよね、やっぱ」
一伽も分かっていて聞いたので、大して期待はしていなかったのだが、やはり侑仁の答えは、一伽の考えを嬉しいほうに覆してくれるものではなかった。
「で?」
「え?」
「結局一伽は何の話がしたかったわけ? 俺にその…ユキちゃん? の恋バナ聞かせてさ。俺、そんな赤の他人に恋のアドバイス的なことする気、ねぇよ?」
「…別に、お前からアドバイス貰おうなんて思ってねぇよ」
一伽は再び、コロンとソファに寝転がった。
いちいち侑仁に突っ掛ってくる態度は相変わらずだが、一伽はまだ何か考えているようで、ソファの上でもぞもぞしている。
「俺が…」
「ん?」
「俺がユキちゃんに鈍感て言ったから?」
「何が?」
「俺がユキちゃんに鈍感て言ったから、ユキちゃん、そのこと気にして光宏に話して、だから光宏、ユキちゃんにもう来ないでとか言って、告って、そんで、」
「おい、ちょっと待てよ、一伽」
想像の中でどんどんと話を進めていく一伽に、侑仁は慌ててストップを掛けた。
まさか一伽は、その雪乃と光宏の2人がこうなったことの責任が、自分にあると思い込んでいるのだろうか。
「いや、だってお前、鈍感つっただけなんだろ? そんくらい言ったところで…」
一伽の性格からして、雪乃に鈍感と言ったのが、今回初めてだとは思えない。
なのにどうして一伽は、今に限ってそんなに責任を感じているのだ。
「…その前に、ユキちゃんが好きなのは光宏じゃなくて、山下さん…そのスーパーの店員さんなんでしょ、とも言った。でもユキちゃん、それでも全然分かってなくて、何でそこに光宏が出てくんの? みたいなこと言ってさ、だから俺もカッとなって、鈍感! つっちゃった」
「それは確かに、鈍感だなぁ…」
「でも俺がそんなこと言ったから、ユキちゃんが気にして、光宏に話しちゃったんだもん…」
一伽は側にあったクッションを胸に抱えて、侑仁とは反対のほうを向いて丸くなった。
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COMMENT-FORM
粟津原栗子 ⇒
私の中ですごい勢いで侑仁さんのオトコマエっぷりが上がっていく…! 「友だちじゃいられねぇよ」と言い切ってしまうあたり、お、オトコ…!!
ユキちゃんが切ないなぁと思っていたら、いっちゃんも気にしてたんですね。オトコマエに話してすっきりすればいいんですが。。
ユキちゃんが切ないなぁと思っていたら、いっちゃんも気にしてたんですね。オトコマエに話してすっきりすればいいんですが。。
- |2012.07.08
- |Sun
- |07:54
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >粟津原さん
よかった、侑仁さんが、ただの懐が広いだけの男に成り下がってなくて…(笑)
男前とか言ってくださって、ホント嬉しいです~!!
侑仁さんは、いっちゃんの女の子遊びほどかるいおつきあいはしてないでしょうが、それなりに恋愛経験豊富そうなので、恋のお悩み相談室にはもってこいの先生かもです(*^_^*)
で、一伽さんですが…。
一応、ユキちゃんのこと、気にはしてました(笑)
まぁガツンと言いたくなっちゃういっちゃんの気持ちも分からないではないんですが…。
ちょっとしおしお状態の一伽さん、オトコマエさんからパワーを貰えるでしょうか。
コメントありがとうございました!
男前とか言ってくださって、ホント嬉しいです~!!
侑仁さんは、いっちゃんの女の子遊びほどかるいおつきあいはしてないでしょうが、それなりに恋愛経験豊富そうなので、恋のお悩み相談室にはもってこいの先生かもです(*^_^*)
で、一伽さんですが…。
一応、ユキちゃんのこと、気にはしてました(笑)
まぁガツンと言いたくなっちゃういっちゃんの気持ちも分からないではないんですが…。
ちょっとしおしお状態の一伽さん、オトコマエさんからパワーを貰えるでしょうか。
コメントありがとうございました!
- |2012.07.08
- |Sun
- |22:12
- |URL
- |EDIT|