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暴君王子のおっしゃることには! (67)
2012.07.07 Sat
「例えばね、俺は航平くんのこと好きだとするじゃん? でも航平くんは、俺の気持ちなんか全然気付いてねぇの。つかむしろ、俺の存在なんて、全然気付いてねぇの」
「え、そういう設定の例え話? 何か難しくね? 実際はお前、航平トコで働いてんだし」
「そうだけど…。あ、じゃあさ、今のはなしね。航平くんじゃなくて、まぁ誰でもいいんだけど、俺は、侑仁も知らない誰かに一目惚れしたの。それならいい?」
「はぁ…」
よく分からないけれど、どうやら一伽のこの話には、最後まで付き合わなければならなくなったようだ。
だったらいっそ、もっと飲ませて、酔い潰れてくれたほうがマシだったかな…?
「で、俺はその人と仲良くなりたくて、毎日航平くんちに行って、ご飯作ったげるの」
「いや、ちょっと待って。意味分かんねぇ、マジで。何が? 何で?」
一目惚れした相手と仲良くなりたくて、一体どうして航平の家に行ってご飯を作ってあげることになるのだ、しかも毎日。
「えっとね、その一目惚れした人が、スーパーの店員さんで、その人に会いたいから、俺、そのスーパーに通うことにしたの。で、そのスーパーに通う口実に、航平くんにご飯作ってあげることにしたわけ。そのスーパー、航平くんちに近いから」
「あー…なるほど。え、毎日?」
「うん、毎日。でもね、その人に会いに毎日スーパー行ったら、何かストーカー臭いじゃん? だからスーパーには何日か置きに行くの。でも、航平くんちには毎日行く」
一伽は起き上がって、ミネラルウォータをがぶ飲みして、ちょっと深呼吸みたいのをしてから、話を続けた。
くだらない例え話をしているわけではないことは、侑仁にも分かった。
「でもね、もう結構そのスーパーに行ってんのに、俺、未だにその人に彼女が……恋人がいるかどうかも知らねぇの。ダメダメじゃん?」
「ダメ、ていうか、まぁ…」
「そんな調子だから、友だちからも、この鈍感がっ! つって怒られて、俺、凹みながら航平くんちにご飯作りに行ったの。何で俺、鈍感て言われたんだろ、航平くん、本当は毎日俺が来るの迷惑なのに、俺がそれに気付いてないから、友だちは怒っちゃったのかな、て」
「うん」
「で、そのことを航平くんに言ったら、俺が来ること自体は迷惑じゃない、て言うわけ。まぁ実際の航平くんは、超~~~嫌がりそうだけど、今は例え話だからね?」
「分かってるってば」
航平が一伽を家に入れたくないと思っていることは、一応一伽自身も自覚しているのか。
それはちょっと、航平に教えてあげないと。
「俺が来ること自体は迷惑じゃないのに、でも航平くんは、俺にもう来るな、て言うわけ。何で? て思うじゃん? 何で迷惑じゃないのに、来ちゃいけないの? て」
「うん、まぁ…、迷惑じゃない、てのが嘘じゃないなら」
「でも俺はそんなの分かんないから、航平くんに聞くわけ。何で来ちゃダメなの? て。そしたら航平くんは言いました――――お前のことが好きだから」
「……」
例え話に登場したのが、航平と一伽だったせいか、いまいち話に真実味がないんだけれど、これが登場人物をこの2人に置き換えた実話だとしても、一伽が演じた子があまりにも鈍感で、ちょっと侑仁には信じられない。
話の中に出て来た一伽の友だち(一伽に鈍感! と怒った子)が、実際には一伽だったんだろうことは、予想は付くけれど。
「その…今の話の中の一伽は、航平が自分のこと好きだってことに、全然気付いてなかったの?」
「気付いてなかった。気付かず、毎日せっせと航平くんにご飯を作りに行ってたの」
「航平が哀れだね。でも、どんくらいそういう生活が続いてたのか知んねぇけど、俺が航平なら、こんなになる前にさっさと告っちゃうけどね」
好きになった相手に、その想いを我慢するなんて、侑仁には考えられないことだ。
例えばその人に、もう付き合っている人がいるとか、結婚しているとか、そういう状況なら手は出さないけれど、今の場合、一伽は一目惚れした相手に恋人がいるかも知らないくらい何の進展もなかったんだから、ここまで引っ張る前に、告白して自分のものにしてしまえばよかったのに。
「でもソイツは……航平くんは違うんだよ、ずっと言えなかったの」
「何で?」
「知らねぇよ。でも…だって俺は別の人が好きなのに、航平くんに告られたら困るじゃん。困らせたくなかったんじゃない? それに航平くんと付き合うってことは、俺はその一目惚れした人への気持ちを諦めなきゃじゃん? 失恋じゃん?」
「でも、航平とうまくやってくなら、それでいいんじゃね?」
「うまくやってけるかどうかなんて、分かんないじゃん。お前みたいにポジティブ能天気野郎じゃねぇんだよ、ソイツは」
「……」
侑仁だって別に、自分の考え方が万人に当て嵌まるとは思っていないし、受け入れられない場合があることだって分かっているけれど、それにしても、『ポジティブ能天気野郎』て…。
きっと一伽は侑仁に、何かしらの深刻な話をしたくて話しているだろうに、どうしていちいち癪に障るような一言を付け加えるんだろう…。
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「え、そういう設定の例え話? 何か難しくね? 実際はお前、航平トコで働いてんだし」
「そうだけど…。あ、じゃあさ、今のはなしね。航平くんじゃなくて、まぁ誰でもいいんだけど、俺は、侑仁も知らない誰かに一目惚れしたの。それならいい?」
「はぁ…」
よく分からないけれど、どうやら一伽のこの話には、最後まで付き合わなければならなくなったようだ。
だったらいっそ、もっと飲ませて、酔い潰れてくれたほうがマシだったかな…?
「で、俺はその人と仲良くなりたくて、毎日航平くんちに行って、ご飯作ったげるの」
「いや、ちょっと待って。意味分かんねぇ、マジで。何が? 何で?」
一目惚れした相手と仲良くなりたくて、一体どうして航平の家に行ってご飯を作ってあげることになるのだ、しかも毎日。
「えっとね、その一目惚れした人が、スーパーの店員さんで、その人に会いたいから、俺、そのスーパーに通うことにしたの。で、そのスーパーに通う口実に、航平くんにご飯作ってあげることにしたわけ。そのスーパー、航平くんちに近いから」
「あー…なるほど。え、毎日?」
「うん、毎日。でもね、その人に会いに毎日スーパー行ったら、何かストーカー臭いじゃん? だからスーパーには何日か置きに行くの。でも、航平くんちには毎日行く」
一伽は起き上がって、ミネラルウォータをがぶ飲みして、ちょっと深呼吸みたいのをしてから、話を続けた。
くだらない例え話をしているわけではないことは、侑仁にも分かった。
「でもね、もう結構そのスーパーに行ってんのに、俺、未だにその人に彼女が……恋人がいるかどうかも知らねぇの。ダメダメじゃん?」
「ダメ、ていうか、まぁ…」
「そんな調子だから、友だちからも、この鈍感がっ! つって怒られて、俺、凹みながら航平くんちにご飯作りに行ったの。何で俺、鈍感て言われたんだろ、航平くん、本当は毎日俺が来るの迷惑なのに、俺がそれに気付いてないから、友だちは怒っちゃったのかな、て」
「うん」
「で、そのことを航平くんに言ったら、俺が来ること自体は迷惑じゃない、て言うわけ。まぁ実際の航平くんは、超~~~嫌がりそうだけど、今は例え話だからね?」
「分かってるってば」
航平が一伽を家に入れたくないと思っていることは、一応一伽自身も自覚しているのか。
それはちょっと、航平に教えてあげないと。
「俺が来ること自体は迷惑じゃないのに、でも航平くんは、俺にもう来るな、て言うわけ。何で? て思うじゃん? 何で迷惑じゃないのに、来ちゃいけないの? て」
「うん、まぁ…、迷惑じゃない、てのが嘘じゃないなら」
「でも俺はそんなの分かんないから、航平くんに聞くわけ。何で来ちゃダメなの? て。そしたら航平くんは言いました――――お前のことが好きだから」
「……」
例え話に登場したのが、航平と一伽だったせいか、いまいち話に真実味がないんだけれど、これが登場人物をこの2人に置き換えた実話だとしても、一伽が演じた子があまりにも鈍感で、ちょっと侑仁には信じられない。
話の中に出て来た一伽の友だち(一伽に鈍感! と怒った子)が、実際には一伽だったんだろうことは、予想は付くけれど。
「その…今の話の中の一伽は、航平が自分のこと好きだってことに、全然気付いてなかったの?」
「気付いてなかった。気付かず、毎日せっせと航平くんにご飯を作りに行ってたの」
「航平が哀れだね。でも、どんくらいそういう生活が続いてたのか知んねぇけど、俺が航平なら、こんなになる前にさっさと告っちゃうけどね」
好きになった相手に、その想いを我慢するなんて、侑仁には考えられないことだ。
例えばその人に、もう付き合っている人がいるとか、結婚しているとか、そういう状況なら手は出さないけれど、今の場合、一伽は一目惚れした相手に恋人がいるかも知らないくらい何の進展もなかったんだから、ここまで引っ張る前に、告白して自分のものにしてしまえばよかったのに。
「でもソイツは……航平くんは違うんだよ、ずっと言えなかったの」
「何で?」
「知らねぇよ。でも…だって俺は別の人が好きなのに、航平くんに告られたら困るじゃん。困らせたくなかったんじゃない? それに航平くんと付き合うってことは、俺はその一目惚れした人への気持ちを諦めなきゃじゃん? 失恋じゃん?」
「でも、航平とうまくやってくなら、それでいいんじゃね?」
「うまくやってけるかどうかなんて、分かんないじゃん。お前みたいにポジティブ能天気野郎じゃねぇんだよ、ソイツは」
「……」
侑仁だって別に、自分の考え方が万人に当て嵌まるとは思っていないし、受け入れられない場合があることだって分かっているけれど、それにしても、『ポジティブ能天気野郎』て…。
きっと一伽は侑仁に、何かしらの深刻な話をしたくて話しているだろうに、どうしていちいち癪に障るような一言を付け加えるんだろう…。
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