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暴君王子のおっしゃることには! (66)
2012.07.06 Fri
「侑仁もさぁ、俺のへったくそな手料理食うより、こっちのほうがいいだろ?」
「そーですね」
一伽の料理の腕前は知らないが、本人がそういう食べ物を口にしなくても生きていける種族である上に、自分自身で、謙遜でも何でもなく、『へったくそ』と言っているのだ、まともな飯にあり付けるとは、到底思えない。
それだったら、確かに缶ビールのほうが、よっぽど気は利いているかも。
(でも、お前のほうが先に飲んでるけどな)
侑仁の家のリビングで、家主の侑仁よりも寛ぎながら、侑仁より先にお礼で持って来たビールを飲んでいる一伽には、きっと何を言ったって無駄なんだろう。
「はぁ~ホンット生き返るわ~。ホントもうマジ俺んちヒドイかんね。連日連夜の熱帯夜地獄! お前にこの苦しみが分かるのか!? このセレブ野郎がっ」
「だから、そのセレブ野郎て、やめてくんね? 無駄にムカつくから」
今日で何日目かの真夏日を更新中の毎日。
一伽がぼやきたくなる気持ちも、分からないではないが。
「でもさ、意外と連絡寄越さなかったよな、お前」
ビールの缶を開けつつ、侑仁は、一伽が転がっているのとは別のソファに座る。
別に、一伽が来ないに越したことはないんだけれど、ちょっと気になったので、聞いてみた。
「んぁ? んー…いや来たかったんだけどさ、ユキちゃんが…」
後半は歯切れ悪く、ゴニョゴニョと言葉を濁しながら、一伽はビールを煽った。
ユキちゃんという名前には、侑仁も少し覚えがあった。一伽と同居している吸血鬼で、ときどき一伽からも血を吸っているとかいう、ちょっと鈍臭い子(会ったこともないのに、すみません)だ。
「いや、言いたくねぇなら、別にいいけど」
「んー…」
触れられたくないことなのか、それともただ単に話すのが面倒くさいだけなのか、気のない返事をして、一伽は缶を空にした。
「お前、素飲みしてること忘れんなよ? 酔い潰れたって、今日は泊めねぇぞ」
「ビールくらいじゃ酔わねぇよ」
一伽の、空き缶を持ったほうの手が、それを侑仁に向かって投げ付けるような動きを見せたので、侑仁は少し身構えたが、しかしその手は、数秒の後、静かにテーブルに缶を置いただけに終わった。
「侑仁ー」
「ん?」
「何かさぁ…、何か……何だろ、何つったらいいのかな」
「何が?」
「…分かんね」
一伽は、怠そうにソファの上で寝返りを打った。
侑仁は、落ちるなよ? と思いつつ、今日の一伽の雰囲気が、単に涼んで寛ぎたいだけのものではないことに気が付いた。
しかし、かといって一伽は、抱えている何かを、侑仁に積極的に話したいわけでもなさそうなので、聞き返さない。
「んー…例えばさぁ、」
あれで話は終わったのかと思っていたら、まだ続いていたらしい。
もう1本、新しい缶ビールを開けようとする一伽の手をはたいて、侑仁は冷蔵庫から持って来たミネラルウォータを一伽の手に握らせた。
「…例えば、俺が航平くんのこと、好きだとするじゃん? LOVEで」
「はぁ?」
突拍子もない話を始めた一伽に、やっぱり酔っ払ってる…と侑仁は溜め息を零した。
アルコールを摂取したのだから酔って当然なのだが、一体いきなり何の話を始めるつもりだ。
「いや、例えばの話だってば。誰がLOVEで好きになるよ、航平くんのことなんか」
「そこまで言うなよ」
侑仁は同性愛の傾向がないから、航平のことは親友とは思っても、恋愛感情を以て航平のことを好きだと思ったことはないが、航平は顔だけでなくいい男だから、そこまできっぱり言わなくても…とは思う。
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「そーですね」
一伽の料理の腕前は知らないが、本人がそういう食べ物を口にしなくても生きていける種族である上に、自分自身で、謙遜でも何でもなく、『へったくそ』と言っているのだ、まともな飯にあり付けるとは、到底思えない。
それだったら、確かに缶ビールのほうが、よっぽど気は利いているかも。
(でも、お前のほうが先に飲んでるけどな)
侑仁の家のリビングで、家主の侑仁よりも寛ぎながら、侑仁より先にお礼で持って来たビールを飲んでいる一伽には、きっと何を言ったって無駄なんだろう。
「はぁ~ホンット生き返るわ~。ホントもうマジ俺んちヒドイかんね。連日連夜の熱帯夜地獄! お前にこの苦しみが分かるのか!? このセレブ野郎がっ」
「だから、そのセレブ野郎て、やめてくんね? 無駄にムカつくから」
今日で何日目かの真夏日を更新中の毎日。
一伽がぼやきたくなる気持ちも、分からないではないが。
「でもさ、意外と連絡寄越さなかったよな、お前」
ビールの缶を開けつつ、侑仁は、一伽が転がっているのとは別のソファに座る。
別に、一伽が来ないに越したことはないんだけれど、ちょっと気になったので、聞いてみた。
「んぁ? んー…いや来たかったんだけどさ、ユキちゃんが…」
後半は歯切れ悪く、ゴニョゴニョと言葉を濁しながら、一伽はビールを煽った。
ユキちゃんという名前には、侑仁も少し覚えがあった。一伽と同居している吸血鬼で、ときどき一伽からも血を吸っているとかいう、ちょっと鈍臭い子(会ったこともないのに、すみません)だ。
「いや、言いたくねぇなら、別にいいけど」
「んー…」
触れられたくないことなのか、それともただ単に話すのが面倒くさいだけなのか、気のない返事をして、一伽は缶を空にした。
「お前、素飲みしてること忘れんなよ? 酔い潰れたって、今日は泊めねぇぞ」
「ビールくらいじゃ酔わねぇよ」
一伽の、空き缶を持ったほうの手が、それを侑仁に向かって投げ付けるような動きを見せたので、侑仁は少し身構えたが、しかしその手は、数秒の後、静かにテーブルに缶を置いただけに終わった。
「侑仁ー」
「ん?」
「何かさぁ…、何か……何だろ、何つったらいいのかな」
「何が?」
「…分かんね」
一伽は、怠そうにソファの上で寝返りを打った。
侑仁は、落ちるなよ? と思いつつ、今日の一伽の雰囲気が、単に涼んで寛ぎたいだけのものではないことに気が付いた。
しかし、かといって一伽は、抱えている何かを、侑仁に積極的に話したいわけでもなさそうなので、聞き返さない。
「んー…例えばさぁ、」
あれで話は終わったのかと思っていたら、まだ続いていたらしい。
もう1本、新しい缶ビールを開けようとする一伽の手をはたいて、侑仁は冷蔵庫から持って来たミネラルウォータを一伽の手に握らせた。
「…例えば、俺が航平くんのこと、好きだとするじゃん? LOVEで」
「はぁ?」
突拍子もない話を始めた一伽に、やっぱり酔っ払ってる…と侑仁は溜め息を零した。
アルコールを摂取したのだから酔って当然なのだが、一体いきなり何の話を始めるつもりだ。
「いや、例えばの話だってば。誰がLOVEで好きになるよ、航平くんのことなんか」
「そこまで言うなよ」
侑仁は同性愛の傾向がないから、航平のことは親友とは思っても、恋愛感情を以て航平のことを好きだと思ったことはないが、航平は顔だけでなくいい男だから、そこまできっぱり言わなくても…とは思う。
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ちよ ⇒ 恋のお悩み相談室?
如月久美子 ⇒ >ちよさん
いっちゃん、侑仁先生に恋のお悩み相談です~。
まぁもちろん、本当にいっちゃんが航平くんのことを好きなわけではないのですが…(^_^;)
ただ大殿様なだけでないいっちゃんにご期待を~!!
コメントありがとうございました!
まぁもちろん、本当にいっちゃんが航平くんのことを好きなわけではないのですが…(^_^;)
ただ大殿様なだけでないいっちゃんにご期待を~!!
コメントありがとうございました!
- |2012.07.06
- |Fri
- |23:36
- |URL
- |EDIT|