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暴君王子のおっしゃることには! (56)
2012.06.26 Tue
雪乃 と 一伽
「あ、いっちゃんがいる」
バイトを終えて雪乃がアパートに帰って来ると、一伽が携帯電話片手に、非常にだらけた格好で床に寝そべっていた。
この間のように、玄関を開けてすぐにあるキッチンの床まで転がってきてはいなかったが、部屋の真ん中に、まさに「大」の字になって寝転んでいる。
「…ユキちゃん、帰ってきたら、『ただいま』でしょー…」
至極まともな内容ながら、そのだらけた格好と同じくらいだらけた感じで発した一伽は、瞬きするのも億劫だと言わんばかりに、目を閉じてしまった。
「どしたの? 疲れてんの?」
「暑ぃだけ…。つか、ユキちゃん、何でぇー…?」
「何が?」
暑いのか眠いのか、ゆったりと喋る一伽の口調は、いつもと感じが違って、何だか一伽じゃないみたいだ。
というか、いきなり『何で?』とだけ言われても、何のことやらなのだが。
「いっつもこんな時間、いないじゃん。光宏んトコ…」
「ん、今日は何かみっくん、残業? だって。秋に向けてのメニュー開発会議とかつってた」
「まだこんなに暑ぃのに、何が秋だよ、コンチクショーー!!!」
「ちょっ、何急に元気になってんの、いっちゃん」
ほんの3秒くらい前までダラダラしていたくせに、何がスイッチになったのか、一伽は声を張り上げながら、勢いをつけて起き上がった(わざわざ右手で拳まで作って)。
「でも、そりゃそうでしょ。秋になってから秋メニュー考えたって、間に合わないじゃん」
「……」
1人でなぜか熱くなっている一伽に、雪乃がとっても当たり前のことを言ってのける。
一伽は拳を握ったまま雪乃の顔をしばし見ていたが、何かどうでもよくなったのか、再び床に引っ繰り返った。
「でさ、みっくん、その会議で遅くなるから、今日はご飯いいって。作って待っててあげてもよかったのにさぁ」
雪乃はむぅと唇を突き出しつつ、肩を竦めた。
光宏が嘘をつくとは思わないが、こうやって雪乃がご飯を作りに行くのを断られた日は、何となく、俺が行くの迷惑だから断ったの? 会議て口実? と雪乃はマイナスに考えてしまいがちだ。
「ねぇユキちゃん。今日はもうご飯して来たぁ?」
「ん? だからみっくんトコ行ってないから、何も作ってないし、何も食べてないよ」
「いや、ご飯……そういうことじゃなくて、血だってば。ユキちゃん、何人間みたいなこと言ってんの? 俺らのご飯は血でしょ?」
「あ、そっか。吸ってきたよ」
いくらほぼ毎日光宏にご飯を作ってあげているからと言って、普通そこ間違える? 吸血鬼として、と一伽は突っ込んでやりたかったが、面倒くさかったのでやめた。
「ねぇ、なら、ちょっと血ちょうだい?」
「は? え? いっちゃん、今日ご飯してないの?」
「してない。もう暑くて外出る気しない。面倒くさい。ユキちゃん、血吸わせろ」
「…」
今まで雪乃も散々お世話になって来たから、吸血したいと言われたら拒み切れないところはあるけれど、それにしても、人にものを頼んでいるわりに、態度が大きい気が…。
「俺の血でいいなら別にいいけど、いっちゃん、言っとくけど、俺男だよ?」
「知ってるけど」
今さら再確認されるまでもなく、一伽は雪乃が男であることなんて、分かり過ぎるくらいに分かっている。
何なんだ? と思いつつ、吸血させてくれると言うので、一伽はノロノロと起き上がった。
「だっていっちゃん、男の血なんか飲まないでしょ? 今度は飲むようにしたの?」
「飲むようにしてない」
「でも俺の血は飲むの?」
「いただきまーす」
「聞いてないし」
随分と腹ペコらしい一伽とは、まともな会話が成立しないようなので、雪乃はもう何も言わず、白い首筋を一伽に差し出した。
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「あ、いっちゃんがいる」
バイトを終えて雪乃がアパートに帰って来ると、一伽が携帯電話片手に、非常にだらけた格好で床に寝そべっていた。
この間のように、玄関を開けてすぐにあるキッチンの床まで転がってきてはいなかったが、部屋の真ん中に、まさに「大」の字になって寝転んでいる。
「…ユキちゃん、帰ってきたら、『ただいま』でしょー…」
至極まともな内容ながら、そのだらけた格好と同じくらいだらけた感じで発した一伽は、瞬きするのも億劫だと言わんばかりに、目を閉じてしまった。
「どしたの? 疲れてんの?」
「暑ぃだけ…。つか、ユキちゃん、何でぇー…?」
「何が?」
暑いのか眠いのか、ゆったりと喋る一伽の口調は、いつもと感じが違って、何だか一伽じゃないみたいだ。
というか、いきなり『何で?』とだけ言われても、何のことやらなのだが。
「いっつもこんな時間、いないじゃん。光宏んトコ…」
「ん、今日は何かみっくん、残業? だって。秋に向けてのメニュー開発会議とかつってた」
「まだこんなに暑ぃのに、何が秋だよ、コンチクショーー!!!」
「ちょっ、何急に元気になってんの、いっちゃん」
ほんの3秒くらい前までダラダラしていたくせに、何がスイッチになったのか、一伽は声を張り上げながら、勢いをつけて起き上がった(わざわざ右手で拳まで作って)。
「でも、そりゃそうでしょ。秋になってから秋メニュー考えたって、間に合わないじゃん」
「……」
1人でなぜか熱くなっている一伽に、雪乃がとっても当たり前のことを言ってのける。
一伽は拳を握ったまま雪乃の顔をしばし見ていたが、何かどうでもよくなったのか、再び床に引っ繰り返った。
「でさ、みっくん、その会議で遅くなるから、今日はご飯いいって。作って待っててあげてもよかったのにさぁ」
雪乃はむぅと唇を突き出しつつ、肩を竦めた。
光宏が嘘をつくとは思わないが、こうやって雪乃がご飯を作りに行くのを断られた日は、何となく、俺が行くの迷惑だから断ったの? 会議て口実? と雪乃はマイナスに考えてしまいがちだ。
「ねぇユキちゃん。今日はもうご飯して来たぁ?」
「ん? だからみっくんトコ行ってないから、何も作ってないし、何も食べてないよ」
「いや、ご飯……そういうことじゃなくて、血だってば。ユキちゃん、何人間みたいなこと言ってんの? 俺らのご飯は血でしょ?」
「あ、そっか。吸ってきたよ」
いくらほぼ毎日光宏にご飯を作ってあげているからと言って、普通そこ間違える? 吸血鬼として、と一伽は突っ込んでやりたかったが、面倒くさかったのでやめた。
「ねぇ、なら、ちょっと血ちょうだい?」
「は? え? いっちゃん、今日ご飯してないの?」
「してない。もう暑くて外出る気しない。面倒くさい。ユキちゃん、血吸わせろ」
「…」
今まで雪乃も散々お世話になって来たから、吸血したいと言われたら拒み切れないところはあるけれど、それにしても、人にものを頼んでいるわりに、態度が大きい気が…。
「俺の血でいいなら別にいいけど、いっちゃん、言っとくけど、俺男だよ?」
「知ってるけど」
今さら再確認されるまでもなく、一伽は雪乃が男であることなんて、分かり過ぎるくらいに分かっている。
何なんだ? と思いつつ、吸血させてくれると言うので、一伽はノロノロと起き上がった。
「だっていっちゃん、男の血なんか飲まないでしょ? 今度は飲むようにしたの?」
「飲むようにしてない」
「でも俺の血は飲むの?」
「いただきまーす」
「聞いてないし」
随分と腹ペコらしい一伽とは、まともな会話が成立しないようなので、雪乃はもう何も言わず、白い首筋を一伽に差し出した。
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けいったん ⇒
いっちゃんの怠惰さが 増々 酷くなって~!(苦笑)
分かる!分かるよ!!
私だって 暑いのは苦手で 必要最低限の家事しかしなくなるもん!
でもね 冷蔵庫の中身が スッカラカンになれば 炎天下の中 エッチラオッチラと自転車で 買い物には行くんだからねぇ~!(*・ε・*)ムー
如月さま、冷風扇は 良くないの?
今年 10~15%の節電の関西在住の私、毎年 夜は、アイスノン&冷感敷きパッド等で過ごしているのですが、日中が・・・
で、冷風扇を買おうか 如何しようか 悩んでいるんです。
(:´・ω・`)ゞ...どうしよう?...byebye☆
分かる!分かるよ!!
私だって 暑いのは苦手で 必要最低限の家事しかしなくなるもん!
でもね 冷蔵庫の中身が スッカラカンになれば 炎天下の中 エッチラオッチラと自転車で 買い物には行くんだからねぇ~!(*・ε・*)ムー
如月さま、冷風扇は 良くないの?
今年 10~15%の節電の関西在住の私、毎年 夜は、アイスノン&冷感敷きパッド等で過ごしているのですが、日中が・・・
で、冷風扇を買おうか 如何しようか 悩んでいるんです。
(:´・ω・`)ゞ...どうしよう?...byebye☆
- |2012.06.26
- |Tue
- |09:38
- |URL
- |EDIT|
ちよ ⇒ とうとう、ユキちゃんにまで…
吸血のおねだりですかw(*゜o゜*)w
でも、ユキちゃんにも「男なのに…」なんて言われている~!
散散、女の子の吸血をしてきたんだろうね。
ユキちゃんだって、数少ない吸血OKお友達から、
貴重な吸血をさせてもらったんじゃないの~?
それを、熊手の如く掻っ攫うのはさすが、いっちゃんですね(;^ω^)
ひゃ~Σ((°Д°;;;)))
щ(°д°щ)吸血サセロ~
でも、ユキちゃんにも「男なのに…」なんて言われている~!
散散、女の子の吸血をしてきたんだろうね。
ユキちゃんだって、数少ない吸血OKお友達から、
貴重な吸血をさせてもらったんじゃないの~?
それを、熊手の如く掻っ攫うのはさすが、いっちゃんですね(;^ω^)
ひゃ~Σ((°Д°;;;)))
щ(°д°щ)吸血サセロ~
- |2012.06.26
- |Tue
- |13:31
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
だらけることに関しては、天下一品の一伽さんです(笑)
でも暑いと、ホントに体力を奪われますよね。。。いっちゃんのだらけっぷりは、他人事とはとても思えません!!
冷風扇、私が持ってるのが、そんなによくないヤツだったんでしょうか…? それとも私の部屋が暑すぎるだけ?(窓が南向きと西向きにあって、1日中、日が差し込んでます…)
とても部屋の中を涼しくするなんて出来なくて、冷風扇に近づいて直に風を受けてないとちっとも涼しくないし(でもだんだん冷たい風が出なくなってくる…)、冷風扇自体が熱を持ってるし、音は大きいし、デカいから邪魔だし……私にとっては、何のいい思い出もありません(涙)
貰いものだったので、貰った年は我慢して使いましたが、2年目からは…(゜.゜)
電気屋さんで冷風扇が涼しく感じるのは、お店の中の温度が低くて、冷風扇自体が熱を持たないからだと聞いたことも…。
でも、いいものだったら涼しくなるのかも~!
節電の夏ですからねぇ。
いろいろ考えちゃいますよね(>_<)
どうか暑さに負けないよう、がんばりましょう!!
コメントありがとうございました!
でも暑いと、ホントに体力を奪われますよね。。。いっちゃんのだらけっぷりは、他人事とはとても思えません!!
冷風扇、私が持ってるのが、そんなによくないヤツだったんでしょうか…? それとも私の部屋が暑すぎるだけ?(窓が南向きと西向きにあって、1日中、日が差し込んでます…)
とても部屋の中を涼しくするなんて出来なくて、冷風扇に近づいて直に風を受けてないとちっとも涼しくないし(でもだんだん冷たい風が出なくなってくる…)、冷風扇自体が熱を持ってるし、音は大きいし、デカいから邪魔だし……私にとっては、何のいい思い出もありません(涙)
貰いものだったので、貰った年は我慢して使いましたが、2年目からは…(゜.゜)
電気屋さんで冷風扇が涼しく感じるのは、お店の中の温度が低くて、冷風扇自体が熱を持たないからだと聞いたことも…。
でも、いいものだったら涼しくなるのかも~!
節電の夏ですからねぇ。
いろいろ考えちゃいますよね(>_<)
どうか暑さに負けないよう、がんばりましょう!!
コメントありがとうございました!
- |2012.06.26
- |Tue
- |22:39
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
いっちゃんは、吸血といえば女の子……てことで、男なんてさっぱり眼中にないわけです。
でもさすがにこの暑さに負けて、男であるユキちゃんから吸血です。
> ユキちゃんだって、数少ない吸血OKお友達から、
> 貴重な吸血をさせてもらったんじゃないの~?
> それを、熊手の如く掻っ攫うのはさすが、いっちゃんですね(;^ω^)
ですよね…。
知っていながら、当たり前のように吸血をおねだり…。
断らないユキちゃんもユキちゃんですが、いっちゃんも、断られるとも思ってないでしょう(笑)
> щ(°д°щ)吸血サセロ~
↑この一伽…。ホントにこんな感じで追っかけてきそう!!
しぶとそうですね(笑)
コメントありがとうございました!
でもさすがにこの暑さに負けて、男であるユキちゃんから吸血です。
> ユキちゃんだって、数少ない吸血OKお友達から、
> 貴重な吸血をさせてもらったんじゃないの~?
> それを、熊手の如く掻っ攫うのはさすが、いっちゃんですね(;^ω^)
ですよね…。
知っていながら、当たり前のように吸血をおねだり…。
断らないユキちゃんもユキちゃんですが、いっちゃんも、断られるとも思ってないでしょう(笑)
> щ(°д°щ)吸血サセロ~
↑この一伽…。ホントにこんな感じで追っかけてきそう!!
しぶとそうですね(笑)
コメントありがとうございました!
- |2012.06.26
- |Tue
- |22:44
- |URL
- |EDIT|