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暴君王子のおっしゃることには! (53)
2012.06.23 Sat
「…てかさ、一伽くん、何でその人にそこまで拘んの? そんな必死に尽くそうとしなくたって、簡単にそういう…いざってときのための人になってくれる人、いるんじゃないの?」
大体、ここまで『人のために尽くす』という言葉の似合わない人もいないのに。もしかして一伽本人が気付いていないだけで、侑仁に対して何かしら特別な思いでも抱き始めているのだろうか。
志信の問い掛けに、航平も食い入るように一伽を見つめる。
しかし、一伽の答えは非常にシンプルなものだった。
「だって、アイツんち、エアコンあんだもん」
…………。
………………。
「………………はい?」
聞き返したのは、志信だった。
航平は、せっかく閉じた口を、またポカンと開けていた。
「アイツんち、エアコンあって涼しいから」
しかし一伽は、平然と同じ言葉を繰り返した。
本気だ。
「え…一伽くん、そういう理由で、その人の血吸おうとしてんの?」
「ぅん? まぁ血もうまいし。うまくて涼しかったら、最高じゃない?」
「…………。…そーだねぇ~…」
いや、それは確かに最高だけれども。
それはそうなんだけれど。
(何か間違ってる…!)
その限りなく自己中心的な発想は、一伽の中ではOKなの? 吸血鬼界では、それは常識?
まぁ普段いくら了承を得ているとはいえ、人の血を吸おうかという種族なのだから、そのくらいの強引さは必要なのかもしれないけれど。
「えー…っと、一伽くん、あの、それって、どうしてもその人じゃないとダメなの? 今既に血を吸わせてくれてる人んちは、エアコンないんだ?」
志信は侑仁のことを知らないし、彼を庇う理由もないのだが、何だか非常に不憫に思えてきて、思わずそう尋ねてしまった。だって、家にエアコンがあるというだけで、『いざというとき要員』にされてしまうなんて…!
志信も航平も、家にエアコンはあるけれど、一伽の前では絶対に言えない、と思った。
「あるけどー、女の子の家行ったら、だって絶対ヤッちゃうし。そういうんじゃなくて、ただゆっくり寛ぎたいの。涼しい場所で」
「……」
自己中も、ここまでくれば、大したものだ。
しかも一伽自身は、自分がそうだということを、まったく自覚していないし。
「おま…それもう血吸うとか、関係ねぇじゃんっ! ただ涼みたいだけじゃんっ!!」
ようやく航平は我に返ったのか、いつもの調子で激しく一伽に突っ込んだ。
それはまさにそのとおりで、志信も同じことを思っていたのだが、言い出す勇気がなかっただけだ。
「まぁでも、そうだとしても! 何かしなきゃでしょ? 血はともかく、何もないのに侑仁の家行けないじゃん!」
「そこまでして行こうとすんなよ」
「なら、代わりに航平くんち行く」
「ダメッ!」
侑仁をかわいそうとは思うが、血は吸わないとしても、一伽がこの調子で家まで来られては堪らない。航平は即行でNOの返事をした。
「何で? 俺、尽くすよ? 航平くん、何してほしい?」
「何もしなくていいわ。てか、来ないでほしい」
『何をしてほしいか』と聞かれれば、答えは『来ないでほしい』、それしかない。
人の家で我が物顔で寛ぐ一伽の姿を想像して、航平は蒼褪めかけた。今家には、買ったばかりの、最高に心地よいソファがあるのだ。それに座られた日には、何日でも居座られそう。
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大体、ここまで『人のために尽くす』という言葉の似合わない人もいないのに。もしかして一伽本人が気付いていないだけで、侑仁に対して何かしら特別な思いでも抱き始めているのだろうか。
志信の問い掛けに、航平も食い入るように一伽を見つめる。
しかし、一伽の答えは非常にシンプルなものだった。
「だって、アイツんち、エアコンあんだもん」
…………。
………………。
「………………はい?」
聞き返したのは、志信だった。
航平は、せっかく閉じた口を、またポカンと開けていた。
「アイツんち、エアコンあって涼しいから」
しかし一伽は、平然と同じ言葉を繰り返した。
本気だ。
「え…一伽くん、そういう理由で、その人の血吸おうとしてんの?」
「ぅん? まぁ血もうまいし。うまくて涼しかったら、最高じゃない?」
「…………。…そーだねぇ~…」
いや、それは確かに最高だけれども。
それはそうなんだけれど。
(何か間違ってる…!)
その限りなく自己中心的な発想は、一伽の中ではOKなの? 吸血鬼界では、それは常識?
まぁ普段いくら了承を得ているとはいえ、人の血を吸おうかという種族なのだから、そのくらいの強引さは必要なのかもしれないけれど。
「えー…っと、一伽くん、あの、それって、どうしてもその人じゃないとダメなの? 今既に血を吸わせてくれてる人んちは、エアコンないんだ?」
志信は侑仁のことを知らないし、彼を庇う理由もないのだが、何だか非常に不憫に思えてきて、思わずそう尋ねてしまった。だって、家にエアコンがあるというだけで、『いざというとき要員』にされてしまうなんて…!
志信も航平も、家にエアコンはあるけれど、一伽の前では絶対に言えない、と思った。
「あるけどー、女の子の家行ったら、だって絶対ヤッちゃうし。そういうんじゃなくて、ただゆっくり寛ぎたいの。涼しい場所で」
「……」
自己中も、ここまでくれば、大したものだ。
しかも一伽自身は、自分がそうだということを、まったく自覚していないし。
「おま…それもう血吸うとか、関係ねぇじゃんっ! ただ涼みたいだけじゃんっ!!」
ようやく航平は我に返ったのか、いつもの調子で激しく一伽に突っ込んだ。
それはまさにそのとおりで、志信も同じことを思っていたのだが、言い出す勇気がなかっただけだ。
「まぁでも、そうだとしても! 何かしなきゃでしょ? 血はともかく、何もないのに侑仁の家行けないじゃん!」
「そこまでして行こうとすんなよ」
「なら、代わりに航平くんち行く」
「ダメッ!」
侑仁をかわいそうとは思うが、血は吸わないとしても、一伽がこの調子で家まで来られては堪らない。航平は即行でNOの返事をした。
「何で? 俺、尽くすよ? 航平くん、何してほしい?」
「何もしなくていいわ。てか、来ないでほしい」
『何をしてほしいか』と聞かれれば、答えは『来ないでほしい』、それしかない。
人の家で我が物顔で寛ぐ一伽の姿を想像して、航平は蒼褪めかけた。今家には、買ったばかりの、最高に心地よいソファがあるのだ。それに座られた日には、何日でも居座られそう。
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