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暴君王子のおっしゃることには! (49)
2012.06.19 Tue
「大丈夫、もう絶対吸わないから! 絆創膏……どこ? 持って来る!」
「いや、いい…」
「でも…」
「場所説明すんの、メンドイだけだから」
分かりやすくシュンとする一伽にそう言って、侑仁はシンクの縁に掴まりながら立ち上がった。
絆創膏なんて貼るほどの傷ではないかもしれないが、たとえわずかでも、出血したままだと、いくら大丈夫と言われても、また一伽に血を吸われそうで怖いのだ。
「つかお前、自分の欲求をこう…抑え付ける術とか持ってねぇわけ?」
リビングで絆創膏を貼りながら、侑仁は一伽に視線を向けた。
大体、初対面のときだって、一伽はかなり無理やり侑仁から血を吸ったのだ。あのときは、もう耐えられないほど空腹だったと後で聞かされたが、今はただ単に吸いたいから吸っただけだ。
「いや、何か血を見ると、もったいない気が…」
「おめぇに飲ませるためにケガしたんじゃねぇよ! つか、お前がグラス割るから、こんなことになんだろっ!」
「すみません…」
今ばかりは全面的に一伽が悪いので、謝るしかない。
でも、空腹でなくとも、血を見ると飲みたくなってしまうのは、吸血鬼のサガだ。さすがに見ず知らずのケガ人にまで手を出すことはしないが、今は相手が侑仁だったので、つい気が緩んでしまった。
「だって、侑仁の血……おいしかったから…」
「知らねぇよ」
「ちょっ、言っとくけど、吸血鬼が血うまいって言うの、超褒め言葉なんだかんなっ!」
「何逆ギレしてんだよ」
「…あい」
侑仁にぶっきら棒に返された一伽は、声を大きくしてしまったけれど、すぐに侑仁に突っ込まれた。
まぁ、確かにそりゃそうだ。
「でも、あの、ホント……侑仁の血はうまかったよ? じゃなきゃ俺、男の血なんてお代わりしないから」
「何だよ、お代わり、て。つかお前さぁ…、もうちょっといろいろ気を付けて生きたほうがいいんじゃねぇの? こんな無理やりやってて、よく今まで捕まんなかったな」
「無理やりなんてしてないもん。いっつも、ちゃんとしてるもん」
「いや、おもっきり無理やり吸ってんだろ、俺からは。2回とも」
「まぁ、それは…」
初めての吸血もビックリするくらい無理やりだったけれど、今だって相当無理やりだ。こちらの了承なんて少しも得ていないどころか、血を吸うとも言わないうちに、吸血し始めたし。
たとえ吸血鬼界で最高の褒め言葉だとしても、無理やり吸血する理由を、『おいしかった』で済ませないでほしい。
というか、これだけやっておいて、『無理やりなんてしてない』だなんて、よく言えたものだ。
「ねぇ、じゃあさ。無理やりじゃなかったら、吸わせてくれる?」
「は?」
ソファに身を投げた侑仁の横にチョコチョコとやって来た一伽は、なぜか、それほど広くもないソファに割り込んできて、小首を傾げながら侑仁に尋ねてきた。
あ、これは計算だな、と侑仁はすぐにピンと来た。
女の子の計算か天然かは、すぐに見抜ける(…一伽は女の子ではないけれど。まぁかわいいけれど)。
「侑仁、血飲ませて?」
「はい? え、お前、今俺から無理やり血吸っといて、まだ飲み足りないわけ? ぶっ飛ばすよ?」
先ほどまでのしおらしい態度は、どこへ行ったのだ。
あれだけの傍若無人ぶりを発揮しておいて、まだ血を飲ませろだなんて言うとは。
「違う違う、今じゃなくて! 今度! 今度お腹空いたとき!」
「はぁ?」
「前も言ったじゃん。狩りがうまく行かない日とか、連絡して血吸わせてくれる人がいる、て。やっぱ、侑仁もそういう人になってよぉ」
「いや、『やっぱ』の意味分かんねぇし」
侑仁に睨まれて一伽は慌てて首を振ったが、今でないとしたって、意味が分からない。
今日の一連の出来事の中で、どうしてそんなことが言えるんだろう(普通だったら、もっと全力で遠慮する気がするのだが…)。
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「いや、いい…」
「でも…」
「場所説明すんの、メンドイだけだから」
分かりやすくシュンとする一伽にそう言って、侑仁はシンクの縁に掴まりながら立ち上がった。
絆創膏なんて貼るほどの傷ではないかもしれないが、たとえわずかでも、出血したままだと、いくら大丈夫と言われても、また一伽に血を吸われそうで怖いのだ。
「つかお前、自分の欲求をこう…抑え付ける術とか持ってねぇわけ?」
リビングで絆創膏を貼りながら、侑仁は一伽に視線を向けた。
大体、初対面のときだって、一伽はかなり無理やり侑仁から血を吸ったのだ。あのときは、もう耐えられないほど空腹だったと後で聞かされたが、今はただ単に吸いたいから吸っただけだ。
「いや、何か血を見ると、もったいない気が…」
「おめぇに飲ませるためにケガしたんじゃねぇよ! つか、お前がグラス割るから、こんなことになんだろっ!」
「すみません…」
今ばかりは全面的に一伽が悪いので、謝るしかない。
でも、空腹でなくとも、血を見ると飲みたくなってしまうのは、吸血鬼のサガだ。さすがに見ず知らずのケガ人にまで手を出すことはしないが、今は相手が侑仁だったので、つい気が緩んでしまった。
「だって、侑仁の血……おいしかったから…」
「知らねぇよ」
「ちょっ、言っとくけど、吸血鬼が血うまいって言うの、超褒め言葉なんだかんなっ!」
「何逆ギレしてんだよ」
「…あい」
侑仁にぶっきら棒に返された一伽は、声を大きくしてしまったけれど、すぐに侑仁に突っ込まれた。
まぁ、確かにそりゃそうだ。
「でも、あの、ホント……侑仁の血はうまかったよ? じゃなきゃ俺、男の血なんてお代わりしないから」
「何だよ、お代わり、て。つかお前さぁ…、もうちょっといろいろ気を付けて生きたほうがいいんじゃねぇの? こんな無理やりやってて、よく今まで捕まんなかったな」
「無理やりなんてしてないもん。いっつも、ちゃんとしてるもん」
「いや、おもっきり無理やり吸ってんだろ、俺からは。2回とも」
「まぁ、それは…」
初めての吸血もビックリするくらい無理やりだったけれど、今だって相当無理やりだ。こちらの了承なんて少しも得ていないどころか、血を吸うとも言わないうちに、吸血し始めたし。
たとえ吸血鬼界で最高の褒め言葉だとしても、無理やり吸血する理由を、『おいしかった』で済ませないでほしい。
というか、これだけやっておいて、『無理やりなんてしてない』だなんて、よく言えたものだ。
「ねぇ、じゃあさ。無理やりじゃなかったら、吸わせてくれる?」
「は?」
ソファに身を投げた侑仁の横にチョコチョコとやって来た一伽は、なぜか、それほど広くもないソファに割り込んできて、小首を傾げながら侑仁に尋ねてきた。
あ、これは計算だな、と侑仁はすぐにピンと来た。
女の子の計算か天然かは、すぐに見抜ける(…一伽は女の子ではないけれど。まぁかわいいけれど)。
「侑仁、血飲ませて?」
「はい? え、お前、今俺から無理やり血吸っといて、まだ飲み足りないわけ? ぶっ飛ばすよ?」
先ほどまでのしおらしい態度は、どこへ行ったのだ。
あれだけの傍若無人ぶりを発揮しておいて、まだ血を飲ませろだなんて言うとは。
「違う違う、今じゃなくて! 今度! 今度お腹空いたとき!」
「はぁ?」
「前も言ったじゃん。狩りがうまく行かない日とか、連絡して血吸わせてくれる人がいる、て。やっぱ、侑仁もそういう人になってよぉ」
「いや、『やっぱ』の意味分かんねぇし」
侑仁に睨まれて一伽は慌てて首を振ったが、今でないとしたって、意味が分からない。
今日の一連の出来事の中で、どうしてそんなことが言えるんだろう(普通だったら、もっと全力で遠慮する気がするのだが…)。
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COMMENT-FORM
音夜 ⇒ さすが暴君王子一伽さまw
一伽くんの、侑仁くんの血を見てふらふら~となって吸ってしまったのはただの吸血鬼のサガだけなのかな。
まだ友達関係って感じだけど恋への発展はあるんかな?
血を吸うだけの便利屋さんだけの存在にはなって欲しくないんやけど。
どっちにしてもやっぱ侑仁くんは一伽王子様に振り回されそうなw
それにしてもコウモリに変身してどこへでも行けるの能力は便利でいいなあ。
けど、雨とか台風とかだったら大変そうですけどねw
まだ友達関係って感じだけど恋への発展はあるんかな?
血を吸うだけの便利屋さんだけの存在にはなって欲しくないんやけど。
どっちにしてもやっぱ侑仁くんは一伽王子様に振り回されそうなw
それにしてもコウモリに変身してどこへでも行けるの能力は便利でいいなあ。
けど、雨とか台風とかだったら大変そうですけどねw
- |2012.06.19
- |Tue
- |23:58
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
侑仁のこと、今はまだ、完全に都合のいいごはんとしか見てない一伽さんですが…(^_^;)、でも男の血は侑仁さんしか吸わないので、果たして一伽さん、心境の変化はあるんでしょうか。
でもこのままじゃ侑仁さん、ただの便利屋さんに成り下がりそう…(笑)
> それにしてもコウモリに変身してどこへでも行けるの能力は便利でいいなあ。
> けど、雨とか台風とかだったら大変そうですけどねw
そうなんですよ!
便利なだけじゃないんです(>_<)
でもお空を飛べるのはいいですよね~(*^_^*)
コメントありがとうございました!
でもこのままじゃ侑仁さん、ただの便利屋さんに成り下がりそう…(笑)
> それにしてもコウモリに変身してどこへでも行けるの能力は便利でいいなあ。
> けど、雨とか台風とかだったら大変そうですけどねw
そうなんですよ!
便利なだけじゃないんです(>_<)
でもお空を飛べるのはいいですよね~(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.06.20
- |Wed
- |22:17
- |URL
- |EDIT|