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暴君王子のおっしゃることには! (48)
2012.06.18 Mon
え、何? と一伽が焦ってしゃがみ込めば、侑仁はまたも嫌そうな顔をしている。けれどそれは、一伽に向けられたものではなかった。
侑仁の人差し指の先、血が滲んでいる。どうやら最後の最後に、破片で指先を切ったらしい。
「チッ」
一伽に気を付けるように言ったばかりなのに、自分でケガをしてしまってバツが悪いのか、侑仁は舌打ちをした。
まぁこのくらい、大した傷でもない。とりあえず傷口を洗って、絆創膏でも貼っておけば…
「え、何?」
立ち上がろうとした侑仁の手首を、一伽が掴んだ。
血の滲む、右手。
「何? いち…ちょっ、おいっ! ッ…」
一伽は何も答えず、その手を自分のほうへと引き寄せると、何を思ったのか、血の滲んだ侑仁の指先を口に含んだ。
侑仁はとっさに抵抗したが、敵わなかった。華奢な見た目と違って、一伽の力は強かった。一伽の舌が、傷口を這う。
「何してっ…」
いや、例えばこれがコントとか、ベタなホームドラマの新婚さんなら分かるけれど、侑仁と一伽だ。一体どうしてケガをした指先をパクッとかされないといけないわけ?
あまりの状況に、侑仁に思考は少しも働かない。
だが、一伽がチュウと音を立てて指を吸い上げたとき、侑仁はすぐに気が付いた――――一伽は吸血しているのだ。
この間のように、首筋に噛み付いたわけではない、しかし彼は確実に侑仁の血を吸っている。
「ん…、はぁ…」
しばらくして、一伽はようやく侑仁の指から口を話した。
傷は浅かったのか、血はもう殆ど滲んでいない。
「一伽っ…」
「あ、」
侑仁に憎々しげに名前を呼ばれ、一伽はハッと我に返った。
小さな傷口、わずかな出血ながら、一伽は気付いたら唇を寄せていて、思わず気が済むまで血を吸ってしまった。
「あ、えとー……あのー……侑仁、ゴメン…」
「テメッ…っ、」
「あぶなっ!」
怒りに任せて立ち上がろうとした侑仁は、しかし吸血直後で若干の貧血気味だったから(一伽は、雪乃のように気を遣って血を吸うタイプではないので)、クラッとなって、危うくまだ細かい破片の残る床に手を突きそうになっのでて、一伽は慌ててその体を支えた。
「侑仁、だいじょぶ?」
「…おめーが言うな…」
「ですよねー…」
とりあえず侑仁を危なくない位置に座らせて、一伽が不器用そうな手付きで、残りの破片を雑巾で拭き取った。
その様子を、侑仁は冷や冷やしながら見守る。自分もケガをしてしまった以上、人のことはあまり言えないが、その手付きはかなり危なっかしい。
「ふぅ…。これで大丈夫かな?」
「…とりあえずその雑巾も、こん中入れて」
「ん」
侑仁に言われたとおり、一伽は破片を拭き取った雑巾を、大きめの破片を入れていたビニル袋に入れた。洗ってもう1度使うなんて、危ないから。
「侑仁、ゴメンね。えと、手…」
侑仁は、ケガをした手を思わず引っ込めた。
まだ出血をしているのだ、また血を吸われるかもしれない。
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侑仁の人差し指の先、血が滲んでいる。どうやら最後の最後に、破片で指先を切ったらしい。
「チッ」
一伽に気を付けるように言ったばかりなのに、自分でケガをしてしまってバツが悪いのか、侑仁は舌打ちをした。
まぁこのくらい、大した傷でもない。とりあえず傷口を洗って、絆創膏でも貼っておけば…
「え、何?」
立ち上がろうとした侑仁の手首を、一伽が掴んだ。
血の滲む、右手。
「何? いち…ちょっ、おいっ! ッ…」
一伽は何も答えず、その手を自分のほうへと引き寄せると、何を思ったのか、血の滲んだ侑仁の指先を口に含んだ。
侑仁はとっさに抵抗したが、敵わなかった。華奢な見た目と違って、一伽の力は強かった。一伽の舌が、傷口を這う。
「何してっ…」
いや、例えばこれがコントとか、ベタなホームドラマの新婚さんなら分かるけれど、侑仁と一伽だ。一体どうしてケガをした指先をパクッとかされないといけないわけ?
あまりの状況に、侑仁に思考は少しも働かない。
だが、一伽がチュウと音を立てて指を吸い上げたとき、侑仁はすぐに気が付いた――――一伽は吸血しているのだ。
この間のように、首筋に噛み付いたわけではない、しかし彼は確実に侑仁の血を吸っている。
「ん…、はぁ…」
しばらくして、一伽はようやく侑仁の指から口を話した。
傷は浅かったのか、血はもう殆ど滲んでいない。
「一伽っ…」
「あ、」
侑仁に憎々しげに名前を呼ばれ、一伽はハッと我に返った。
小さな傷口、わずかな出血ながら、一伽は気付いたら唇を寄せていて、思わず気が済むまで血を吸ってしまった。
「あ、えとー……あのー……侑仁、ゴメン…」
「テメッ…っ、」
「あぶなっ!」
怒りに任せて立ち上がろうとした侑仁は、しかし吸血直後で若干の貧血気味だったから(一伽は、雪乃のように気を遣って血を吸うタイプではないので)、クラッとなって、危うくまだ細かい破片の残る床に手を突きそうになっのでて、一伽は慌ててその体を支えた。
「侑仁、だいじょぶ?」
「…おめーが言うな…」
「ですよねー…」
とりあえず侑仁を危なくない位置に座らせて、一伽が不器用そうな手付きで、残りの破片を雑巾で拭き取った。
その様子を、侑仁は冷や冷やしながら見守る。自分もケガをしてしまった以上、人のことはあまり言えないが、その手付きはかなり危なっかしい。
「ふぅ…。これで大丈夫かな?」
「…とりあえずその雑巾も、こん中入れて」
「ん」
侑仁に言われたとおり、一伽は破片を拭き取った雑巾を、大きめの破片を入れていたビニル袋に入れた。洗ってもう1度使うなんて、危ないから。
「侑仁、ゴメンね。えと、手…」
侑仁は、ケガをした手を思わず引っ込めた。
まだ出血をしているのだ、また血を吸われるかもしれない。
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けいったん ⇒
いっちゃんが、侑仁の指を口に含んだ時
私ったら キャッ♪(*ノдノ)って、思っちゃったんだけど...
はぁ~そうだったわぁ~
いっちゃんは、吸血鬼だったんだ。**(///▽///)**オハズカシ
侑仁がふらつくって!
いっちゃん、指先の ほんのちょっとの傷口から どんだけの量を吸ったのぉ~
いい加減にしなきゃ 追い出されるって!
o(*≧□≦)o メェッ!!...byebye☆
私ったら キャッ♪(*ノдノ)って、思っちゃったんだけど...
はぁ~そうだったわぁ~
いっちゃんは、吸血鬼だったんだ。**(///▽///)**オハズカシ
侑仁がふらつくって!
いっちゃん、指先の ほんのちょっとの傷口から どんだけの量を吸ったのぉ~
いい加減にしなきゃ 追い出されるって!
o(*≧□≦)o メェッ!!...byebye☆
- |2012.06.18
- |Mon
- |14:15
- |URL
- |EDIT|
ちよ ⇒ いっちゃん…
侑仁くんの傷のお手当てじゃなくって、吸血でしたか…
きっと我慢できなかったんだろうね。
流血=据え膳=吸血OK~!、なのかな?(;^ω^)
イヤイヤ…侑仁くんは、「吸血、どうぞ~!」なんて
思っていないだろうし…。
いっちゃんの言い訳が楽しみだよ~
きっと我慢できなかったんだろうね。
流血=据え膳=吸血OK~!、なのかな?(;^ω^)
イヤイヤ…侑仁くんは、「吸血、どうぞ~!」なんて
思っていないだろうし…。
いっちゃんの言い訳が楽しみだよ~
- |2012.06.18
- |Mon
- |18:21
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
いっちゃんの場合、腐女子を喜ばせるよりも、自分の欲望に忠実…(笑)
まぁ吸血鬼なので、血を吸って何ぼなのですが、大の大人の男をふらつかせるくらい吸血しちゃうのだから、ホント、手におえない子です(^_^;)
> o(*≧□≦)o メェッ
いっちゃんてホント、↑こんな感じに、「メッ!」て叱るのがピッタリな子ですよね。
一応24歳ですが、3歳児だと思って、広い心で見守るのが一番かも…(笑)
コメントありがとうございました!
まぁ吸血鬼なので、血を吸って何ぼなのですが、大の大人の男をふらつかせるくらい吸血しちゃうのだから、ホント、手におえない子です(^_^;)
> o(*≧□≦)o メェッ
いっちゃんてホント、↑こんな感じに、「メッ!」て叱るのがピッタリな子ですよね。
一応24歳ですが、3歳児だと思って、広い心で見守るのが一番かも…(笑)
コメントありがとうございました!
- |2012.06.18
- |Mon
- |23:10
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
まったく、欲望のままに生きる一伽さんです。
これで、人のケガの手当てでもできる子になったら、大きな進歩なんですが…(笑)
いっちゃんの前では、うっかりケガも出来ません(>_<)
こればっかりは、言い訳のしようがないですが、すんなり謝るだけじゃないのがいっちゃんなんで(^_^;)、果たして何を言うのでしょうか(笑)
お楽しみにです。
コメントありがとうございました!
これで、人のケガの手当てでもできる子になったら、大きな進歩なんですが…(笑)
いっちゃんの前では、うっかりケガも出来ません(>_<)
こればっかりは、言い訳のしようがないですが、すんなり謝るだけじゃないのがいっちゃんなんで(^_^;)、果たして何を言うのでしょうか(笑)
お楽しみにです。
コメントありがとうございました!
- |2012.06.18
- |Mon
- |23:13
- |URL
- |EDIT|