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暴君王子のおっしゃることには! (40)
2012.06.10 Sun
「でも…何かいつもと違う感じ…」
「そんなことないって。そう見えるなら……分かんない、ちょっと疲れてるからかな」
「…そう? そんなときに血なんか吸っちゃってごめんね?」
光宏の言った理由が本当かどうかは雪乃には分からなかったけれど、何となく光宏はこの話を終わらせたいんだな、と思って、雪乃はそれ以上言うのはやめた。
「えと…ご飯、何がいい? 疲れてるなら、あっさりしたのがいい? それとも元気出るように、栄養いっぱいのヤツ!?」
「…………、ふはっ、ユキに任せる」
「ぅ? え、何がおかしいの?」
雪乃なりに一生懸命考えて言ったのに、なぜか光宏に笑われてしまった。
光宏に、先ほどまでのような怒った雰囲気がなくなったので、少しホッとしたけれど、雪乃としては、ちゃんとご飯で光宏に元気を取り戻してもらいたいのに。
「じゃ、今日豚肉買って来たし、冷しゃぶにしよっかな」
疲れてるなら、最初に言ってくれたら、今日は光宏から吸血しなかったのにな、と思いながらも、雪乃は台所に行って夕食の準備に取り掛かった。
「はぁ…」
光宏はいつもだったら、雪乃に手伝わなくてもいいと言われながらも、一緒に手伝ってやるのだが、今日は何だかそんな気にはなれなくて、ソファから立ち上がれない。
別に、先ほど雪乃に言ったように、疲れているから、というわけではない。
いや、何となくいろんな意味で疲れはしたけれど、そういうことでなくて。
「あー…、サイアクだ、俺…」
あんまりにも雪乃が、山下と話が出来たことを嬉しそうに話すから。光宏のおかげだとか、光宏にしたらまったく不本意なことを、その気持ちに気付いていないからとはいえ、平気で言うから。
イライラして、つい、あんな態度になってしまった…。
今さらながらに光宏は自己嫌悪する。
そんな態度を取れば、どうせこんな気持ちになるのは分かっているのに、でも急加速した不機嫌さを止めることが出来なかった。心配げに、不安げに見つめてくる雪乃に、余計に苛立ちが募ってしまった。
こんなことで苛付いたって、ましてや雪乃に当たったところで、何がどうなるわけでもないのに。
『中丸も、大変な子を好きになっちゃったよねぇ』
ソファに寝転んだ光宏の脳裏に、先日の一伽のセリフが思い起こされた。
光宏をからかいたいがためだけに、食べなくても平気なランチをしに、わざわざcafe OKAERIまでやって来た一伽が、言い残したセリフ。しみじみと言ったのは、別に同情しているからではなくて、光宏をからかうことに余念がないからだ。
しかし、一伽の言葉は的確だ。たとえおもしろがっているだけとはいえ、ちゃんと的を射ていると、光宏ですら思ってしまう。
「はぁ…」
いっそ、雪乃のことを好きでなくなってしまったら楽なのになぁ、と思う。
そうすれば、こんなに苦しまなくても、こんなに苛付かなくても済むのに。
雪乃は(一伽や光宏だけでなく、おそらく本人以外の誰もが気付いているだろうことだが)相当な鈍感なので、光宏が言わない限り、絶対にこの想いは伝わらない。
一方で光宏は、聡くて物分かりのいい大人だから。
…だから、言えない。伝えられない。想いを伝えたところで、雪乃の気持ちが自分に向くわけではないことも、彼を困らせることも、みんな分かっているから。
もし光宏のこの恋が叶うときが来るのだとすれば、それは雪乃の今の一途な想いが終わりを迎えたときだ。
そんなこと、光宏が自らの手で出来るわけがない。好きな人の悲しむ姿なんか、見たくない。
だから、言えない。
「みっくーん、ご飯出来たよー」
のん気な雪乃の声がする。
光宏は、雪乃がこちらに顔を覗かせるより先に、体を起こした。
…何でもない振りをするのは、得意だ。
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「そんなことないって。そう見えるなら……分かんない、ちょっと疲れてるからかな」
「…そう? そんなときに血なんか吸っちゃってごめんね?」
光宏の言った理由が本当かどうかは雪乃には分からなかったけれど、何となく光宏はこの話を終わらせたいんだな、と思って、雪乃はそれ以上言うのはやめた。
「えと…ご飯、何がいい? 疲れてるなら、あっさりしたのがいい? それとも元気出るように、栄養いっぱいのヤツ!?」
「…………、ふはっ、ユキに任せる」
「ぅ? え、何がおかしいの?」
雪乃なりに一生懸命考えて言ったのに、なぜか光宏に笑われてしまった。
光宏に、先ほどまでのような怒った雰囲気がなくなったので、少しホッとしたけれど、雪乃としては、ちゃんとご飯で光宏に元気を取り戻してもらいたいのに。
「じゃ、今日豚肉買って来たし、冷しゃぶにしよっかな」
疲れてるなら、最初に言ってくれたら、今日は光宏から吸血しなかったのにな、と思いながらも、雪乃は台所に行って夕食の準備に取り掛かった。
「はぁ…」
光宏はいつもだったら、雪乃に手伝わなくてもいいと言われながらも、一緒に手伝ってやるのだが、今日は何だかそんな気にはなれなくて、ソファから立ち上がれない。
別に、先ほど雪乃に言ったように、疲れているから、というわけではない。
いや、何となくいろんな意味で疲れはしたけれど、そういうことでなくて。
「あー…、サイアクだ、俺…」
あんまりにも雪乃が、山下と話が出来たことを嬉しそうに話すから。光宏のおかげだとか、光宏にしたらまったく不本意なことを、その気持ちに気付いていないからとはいえ、平気で言うから。
イライラして、つい、あんな態度になってしまった…。
今さらながらに光宏は自己嫌悪する。
そんな態度を取れば、どうせこんな気持ちになるのは分かっているのに、でも急加速した不機嫌さを止めることが出来なかった。心配げに、不安げに見つめてくる雪乃に、余計に苛立ちが募ってしまった。
こんなことで苛付いたって、ましてや雪乃に当たったところで、何がどうなるわけでもないのに。
『中丸も、大変な子を好きになっちゃったよねぇ』
ソファに寝転んだ光宏の脳裏に、先日の一伽のセリフが思い起こされた。
光宏をからかいたいがためだけに、食べなくても平気なランチをしに、わざわざcafe OKAERIまでやって来た一伽が、言い残したセリフ。しみじみと言ったのは、別に同情しているからではなくて、光宏をからかうことに余念がないからだ。
しかし、一伽の言葉は的確だ。たとえおもしろがっているだけとはいえ、ちゃんと的を射ていると、光宏ですら思ってしまう。
「はぁ…」
いっそ、雪乃のことを好きでなくなってしまったら楽なのになぁ、と思う。
そうすれば、こんなに苦しまなくても、こんなに苛付かなくても済むのに。
雪乃は(一伽や光宏だけでなく、おそらく本人以外の誰もが気付いているだろうことだが)相当な鈍感なので、光宏が言わない限り、絶対にこの想いは伝わらない。
一方で光宏は、聡くて物分かりのいい大人だから。
…だから、言えない。伝えられない。想いを伝えたところで、雪乃の気持ちが自分に向くわけではないことも、彼を困らせることも、みんな分かっているから。
もし光宏のこの恋が叶うときが来るのだとすれば、それは雪乃の今の一途な想いが終わりを迎えたときだ。
そんなこと、光宏が自らの手で出来るわけがない。好きな人の悲しむ姿なんか、見たくない。
だから、言えない。
「みっくーん、ご飯出来たよー」
のん気な雪乃の声がする。
光宏は、雪乃がこちらに顔を覗かせるより先に、体を起こした。
…何でもない振りをするのは、得意だ。
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COMMENT-FORM
けいったん ⇒
そうなんだぁ~みっくんは、大人なんだね。
ユキちゃんが、子供の様だから 尚更 そんな風を装って 今まで来ちゃったんだね...
だけどね、みっくん♪
恋には そんな装いはムダ!
好きだったら 色んなモノを取っ払って 行かなきゃ!!
それに 相手は、”あの”ユキちゃんなんだから~~(笑)
( *  ̄)ポッ----→(@∇@)へ?...byebye☆
ユキちゃんが、子供の様だから 尚更 そんな風を装って 今まで来ちゃったんだね...
だけどね、みっくん♪
恋には そんな装いはムダ!
好きだったら 色んなモノを取っ払って 行かなきゃ!!
それに 相手は、”あの”ユキちゃんなんだから~~(笑)
( *  ̄)ポッ----→(@∇@)へ?...byebye☆
- |2012.06.10
- |Sun
- |09:44
- |URL
- |EDIT|
音夜 ⇒ 切なっ(涙)
昨日に引き続きコメしてます;
だってもーみっくんが切なくてっд゜)っ
物分り良過ぎだよみっくんっ。
恋もある意味共存競争だ! 山下にもってかれちまうよ、ガンバレみっくん!!
だってもーみっくんが切なくてっд゜)っ
物分り良過ぎだよみっくんっ。
恋もある意味共存競争だ! 山下にもってかれちまうよ、ガンバレみっくん!!
- |2012.06.10
- |Sun
- |11:54
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >けいったんさん
みっくんは確かに大人です。
でも年齢以上に大人かと言ったら、そうではなくて……ユキちゃんがあんまりにもお子様だから、そんな風に見えるというか…。
けどたぶん、同年代の男子より、苦労はしてるでしょうね…(笑)
けいったんさんのお言葉、みっくんに分からせてやりたいですよ、ホント!
何しろ相手は『あの』ユキちゃんですからね~(^_^;)
コメントありがとうございました!
でも年齢以上に大人かと言ったら、そうではなくて……ユキちゃんがあんまりにもお子様だから、そんな風に見えるというか…。
けどたぶん、同年代の男子より、苦労はしてるでしょうね…(笑)
けいったんさんのお言葉、みっくんに分からせてやりたいですよ、ホント!
何しろ相手は『あの』ユキちゃんですからね~(^_^;)
コメントありがとうございました!
- |2012.06.10
- |Sun
- |21:38
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
もうホントに!
雪乃さんの鈍感さは、もう罪ですね。
ユキちゃんがこんなだから、みっくんも大人にならざるを得ないんでしょう…。
物分かりが良すぎるのも、恋においては、困りものですね(>_<)
コメントありがとうございました!
雪乃さんの鈍感さは、もう罪ですね。
ユキちゃんがこんなだから、みっくんも大人にならざるを得ないんでしょう…。
物分かりが良すぎるのも、恋においては、困りものですね(>_<)
コメントありがとうございました!
- |2012.06.10
- |Sun
- |21:42
- |URL
- |EDIT|