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暴君王子のおっしゃることには! (25)
2012.05.26 Sat
『でも、それにしたって、何もバイバイしてくることないんじゃね?』
好みなのが血の味だけでなかったのなら、お腹がいっぱいでも、そのまま遊びに行っちゃえばいいのに。とりあえず侑仁だったら、そうしておく(いろいろもったいない気がするから)。
『別に、そういうのは何か面倒くさいからいいの。気持ちよくて、おいしくて、お腹いっぱいだったら、俺、それでいいの』
『あ、そ』
別に航平たちに気を遣ったわけではなく、単に、そこからさらに仲よくなるという発想があまりないだけらしい。
かわいい顔をして、なかなかタチの悪い男だ。
『でも侑仁はいいね』
『は? 何が?』
『だって、黙ってたって女の子が寄って来んじゃん。ご飯し放題だね』
『いや俺別に、血なんか吸わねぇし――――てオイ、ちょっ!』
そこのところを吸血鬼と一緒にされても困る……と侑仁が突っ込んだら、スッと伸びて来た一伽の手が、侑仁の飲んでいたグラスを取って、グビッと飲んでしまったのだ。
別に、人のドリンクを飲んだことに文句をつける気はないのだが、今侑仁が飲んでいたのは、結構度数の高いカクテルなのだ。そんな飲み方は、絶対にヤバイ。
『ぐふふ、あ~おいしかったっ』
それは血のこと? それともこのカクテル?
どちらしても、このまま一伽にこのカクテルを飲ませ続けるのはまずい気がして、侑仁はさりげなく一伽の手からグラスを取り上げた。
『いっちゃん、いっちゃん、これ甘くておいしいよ~、飲むっ?』
侑仁の隣にいたニナが、一伽の飲みっぷりにウケて、自分のグラスを一伽に差し出した。
大丈夫か? と侑仁は様子を窺うが、彼女が飲んでいたのはココナッツミルクのカクテルだし、今みたいな無茶な飲み方をしなければ、まぁ平気だろう。
『何かさぁ、常夏っ! て感じだね』
『キャハハハ』
ココナッツミルクの味に対する一伽の感想がよほどおかしかったのか、ニナはとうとう腹を抱えて笑い出した。
どうやらこの2人はなかなか気が合うらしい。
先ほどの吸血でお腹いっぱいになっている一伽は、間違ってもニナに襲い掛かることはないだろうし、ニナも何だか一伽を気に入っているみたいだから、一伽の相手はニナに任せることにしよう。
そう思って侑仁は、ニナに『ヨロシク』と伝えて、その場を離れた。
――――それがまずかったのだ。
次に侑仁が戻って来たときには、一伽はもうすっかり酔い潰れていたのである。
どうしてこんなことになったのかニナに聞こうとしても、酒に滅法強いはずのニナも、珍しく酩酊状態で埒が明かない。
侑仁はしばし唖然となったのだが、事情は一緒にいたエリーが教えてくれた。
それによると、侑仁がいなくなった後、一伽が他のカクテルも飲みたいと言い出し、ならば、とニナも新しいものを頼んで、いつの間にやら2人して、次から次へとドリンクを頼み続けていたらしい。
『エリーが覚えてるだけでね、軽く2ケタは行ってるよ~、2人とも』
かわいくカールのかかったキャラメルブラウンの髪を揺らしながら、エリーは完全に他人事のようにそう言って、楽しげに笑っている。
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好みなのが血の味だけでなかったのなら、お腹がいっぱいでも、そのまま遊びに行っちゃえばいいのに。とりあえず侑仁だったら、そうしておく(いろいろもったいない気がするから)。
『別に、そういうのは何か面倒くさいからいいの。気持ちよくて、おいしくて、お腹いっぱいだったら、俺、それでいいの』
『あ、そ』
別に航平たちに気を遣ったわけではなく、単に、そこからさらに仲よくなるという発想があまりないだけらしい。
かわいい顔をして、なかなかタチの悪い男だ。
『でも侑仁はいいね』
『は? 何が?』
『だって、黙ってたって女の子が寄って来んじゃん。ご飯し放題だね』
『いや俺別に、血なんか吸わねぇし――――てオイ、ちょっ!』
そこのところを吸血鬼と一緒にされても困る……と侑仁が突っ込んだら、スッと伸びて来た一伽の手が、侑仁の飲んでいたグラスを取って、グビッと飲んでしまったのだ。
別に、人のドリンクを飲んだことに文句をつける気はないのだが、今侑仁が飲んでいたのは、結構度数の高いカクテルなのだ。そんな飲み方は、絶対にヤバイ。
『ぐふふ、あ~おいしかったっ』
それは血のこと? それともこのカクテル?
どちらしても、このまま一伽にこのカクテルを飲ませ続けるのはまずい気がして、侑仁はさりげなく一伽の手からグラスを取り上げた。
『いっちゃん、いっちゃん、これ甘くておいしいよ~、飲むっ?』
侑仁の隣にいたニナが、一伽の飲みっぷりにウケて、自分のグラスを一伽に差し出した。
大丈夫か? と侑仁は様子を窺うが、彼女が飲んでいたのはココナッツミルクのカクテルだし、今みたいな無茶な飲み方をしなければ、まぁ平気だろう。
『何かさぁ、常夏っ! て感じだね』
『キャハハハ』
ココナッツミルクの味に対する一伽の感想がよほどおかしかったのか、ニナはとうとう腹を抱えて笑い出した。
どうやらこの2人はなかなか気が合うらしい。
先ほどの吸血でお腹いっぱいになっている一伽は、間違ってもニナに襲い掛かることはないだろうし、ニナも何だか一伽を気に入っているみたいだから、一伽の相手はニナに任せることにしよう。
そう思って侑仁は、ニナに『ヨロシク』と伝えて、その場を離れた。
――――それがまずかったのだ。
次に侑仁が戻って来たときには、一伽はもうすっかり酔い潰れていたのである。
どうしてこんなことになったのかニナに聞こうとしても、酒に滅法強いはずのニナも、珍しく酩酊状態で埒が明かない。
侑仁はしばし唖然となったのだが、事情は一緒にいたエリーが教えてくれた。
それによると、侑仁がいなくなった後、一伽が他のカクテルも飲みたいと言い出し、ならば、とニナも新しいものを頼んで、いつの間にやら2人して、次から次へとドリンクを頼み続けていたらしい。
『エリーが覚えてるだけでね、軽く2ケタは行ってるよ~、2人とも』
かわいくカールのかかったキャラメルブラウンの髪を揺らしながら、エリーは完全に他人事のようにそう言って、楽しげに笑っている。
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