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暴君王子のおっしゃることには! (23)
2012.05.24 Thu
「お前、何むちゃくちゃしてんだ」
「だってしょうがなかったんだもん。お腹空き過ぎて、死んじゃいそうだったんだもん」
猫の子のように首の後ろを捕まえられている一伽は、逆らえないけれど、そうされているのがもちろんおもしろくないので、むぅ~と唇を突き出して拗ねている。
しかし、言い方と表情はかわいいけれど、一伽のやっていることは、やはりめちゃくちゃだ。
「つか死なないでしょ、吸血鬼なんだし」
吸血鬼といえば不老不死のイメージがあったのに、腹が減ったくらいで死んでしまうなんて、ずいぶん大げさなことを言うものだと侑仁は苦笑したが、そんな侑仁とは裏腹に一伽は、「え、吸血鬼て死なないの?」と、キョトンとした。
とぼけているとかでなくて、本気で今初めて知ったみたいな表情。
「え、死なないんじゃないの? 吸血鬼て」
「そうなの? 死なないの? 俺」
侑仁があまりに当然のように思っているみたいだったから、一伽は自分自身のことだったけれど、航平に尋ねてみたら、案の定、「俺に聞くな、お前のことだろ!」と言い返されてしまった。
「いや、俺も知らないけど……何かそう言うじゃん、吸血鬼て死なないて。年もさぁ、200歳とか、300歳とか」
「え、俺まだ24ですけど」
もし吸血鬼が1000歳くらいまで生きるんだとすれば、200歳でも十分若いとは思うけれど、一伽はまだ24歳だから、200歳とか言われると、年寄みたいでちょっと心外だ。
それに、一伽は生まれてからまだ24年しか経っていないから、たとえば200歳だと言う吸血鬼に会っても、それが本当かどうか確かめてみようもない。
「そうなんだ。実は224歳とかじゃなくて?」
「違ぇよ! どこがだよ! つか航平くん離してよっ!」
からかわれていると分かっていて一伽はつい向きになるが、航平にまだ捕まえられたままだったので、パタパタと手を動かすだけになってしまい、それが余計に一伽の癇に障る。
本当に猫みたいだと、侑仁は密かに笑った。
侑仁 と 一伽
(なーんで、こんなことになっちゃったかなぁ…)
酩酊状態の一伽を自分のベッドに放り投げた侑仁は、それでも起きる気配のない一伽に、もはや呆れた気持ちで溜め息を漏らした。
吸血鬼が酔っ払うなんて話、聞いたこともない。
それ以前に、侑仁の中の吸血鬼のイメージは、『美女の生き血を吸う』で、アルコールはおろか、人間と同じものを食べるなんて、思ってもみなかった。
なのに実際は、酒も飲むし、ご飯も食べるし、一体どこが人間と違うのかと思ってしまう(一伽が言うには、コウモリなどに変身できるのと、どんなに食べても血を吸わないと腹が減ることくらいらしい)。
しかし一伽が変質者でない以上(それは友人である航平が保証した)、侑仁の首に噛み付いたのは吸血行為であり、一伽はまさしく吸血鬼ということになる。
それに…。
一伽に噛み付かれたところ……あのとき一伽が言った『すぐ治るから』の言葉どおり、想像していなかったほどあっという間に治り、今ではその傷跡すらない。
「でも、吸血鬼が酔い潰れるとか、聞いたことないんですけど」
侑仁がどんなにぼやいても、一伽はセミダブルのベッドの真ん中を占領して眠りこけている。
まったくのん気なものだ。
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「だってしょうがなかったんだもん。お腹空き過ぎて、死んじゃいそうだったんだもん」
猫の子のように首の後ろを捕まえられている一伽は、逆らえないけれど、そうされているのがもちろんおもしろくないので、むぅ~と唇を突き出して拗ねている。
しかし、言い方と表情はかわいいけれど、一伽のやっていることは、やはりめちゃくちゃだ。
「つか死なないでしょ、吸血鬼なんだし」
吸血鬼といえば不老不死のイメージがあったのに、腹が減ったくらいで死んでしまうなんて、ずいぶん大げさなことを言うものだと侑仁は苦笑したが、そんな侑仁とは裏腹に一伽は、「え、吸血鬼て死なないの?」と、キョトンとした。
とぼけているとかでなくて、本気で今初めて知ったみたいな表情。
「え、死なないんじゃないの? 吸血鬼て」
「そうなの? 死なないの? 俺」
侑仁があまりに当然のように思っているみたいだったから、一伽は自分自身のことだったけれど、航平に尋ねてみたら、案の定、「俺に聞くな、お前のことだろ!」と言い返されてしまった。
「いや、俺も知らないけど……何かそう言うじゃん、吸血鬼て死なないて。年もさぁ、200歳とか、300歳とか」
「え、俺まだ24ですけど」
もし吸血鬼が1000歳くらいまで生きるんだとすれば、200歳でも十分若いとは思うけれど、一伽はまだ24歳だから、200歳とか言われると、年寄みたいでちょっと心外だ。
それに、一伽は生まれてからまだ24年しか経っていないから、たとえば200歳だと言う吸血鬼に会っても、それが本当かどうか確かめてみようもない。
「そうなんだ。実は224歳とかじゃなくて?」
「違ぇよ! どこがだよ! つか航平くん離してよっ!」
からかわれていると分かっていて一伽はつい向きになるが、航平にまだ捕まえられたままだったので、パタパタと手を動かすだけになってしまい、それが余計に一伽の癇に障る。
本当に猫みたいだと、侑仁は密かに笑った。
侑仁 と 一伽
(なーんで、こんなことになっちゃったかなぁ…)
酩酊状態の一伽を自分のベッドに放り投げた侑仁は、それでも起きる気配のない一伽に、もはや呆れた気持ちで溜め息を漏らした。
吸血鬼が酔っ払うなんて話、聞いたこともない。
それ以前に、侑仁の中の吸血鬼のイメージは、『美女の生き血を吸う』で、アルコールはおろか、人間と同じものを食べるなんて、思ってもみなかった。
なのに実際は、酒も飲むし、ご飯も食べるし、一体どこが人間と違うのかと思ってしまう(一伽が言うには、コウモリなどに変身できるのと、どんなに食べても血を吸わないと腹が減ることくらいらしい)。
しかし一伽が変質者でない以上(それは友人である航平が保証した)、侑仁の首に噛み付いたのは吸血行為であり、一伽はまさしく吸血鬼ということになる。
それに…。
一伽に噛み付かれたところ……あのとき一伽が言った『すぐ治るから』の言葉どおり、想像していなかったほどあっという間に治り、今ではその傷跡すらない。
「でも、吸血鬼が酔い潰れるとか、聞いたことないんですけど」
侑仁がどんなにぼやいても、一伽はセミダブルのベッドの真ん中を占領して眠りこけている。
まったくのん気なものだ。
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ちよ ⇒ お互いに…
本意じゃないのに(?)、侑仁くんのお部屋に居ますね~
いっちゃんがお目覚めの際には、どんな会話になることやら…
柱|・ω-;)チラッ
みんなが見ているよ~
いっちゃんがお目覚めの際には、どんな会話になることやら…
柱|・ω-;)チラッ
みんなが見ているよ~
- |2012.05.24
- |Thu
- |13:03
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
不本意ながら侑仁さんのお家にお泊りのいっちゃんです。
目が覚めたら、侑仁さんに大変迷惑かけたのも気にせず、男の家に泊まるなんて~!! と大いにショックを受けそうです(笑)
あぁ~私も 柱|・ω-;)チラッ したいです!
ドSのいっちゃんに目を付けられたら、いろいろ大変そうですが、傍から見る分には、すっごい楽しそう(*^_^*)
コメントありがとうございました!
目が覚めたら、侑仁さんに大変迷惑かけたのも気にせず、男の家に泊まるなんて~!! と大いにショックを受けそうです(笑)
あぁ~私も 柱|・ω-;)チラッ したいです!
ドSのいっちゃんに目を付けられたら、いろいろ大変そうですが、傍から見る分には、すっごい楽しそう(*^_^*)
コメントありがとうございました!
- |2012.05.24
- |Thu
- |22:34
- |URL
- |EDIT|