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暴君王子のおっしゃることには! (5)
2012.05.06 Sun
しかし一伽にしたら、おもしろくないどころの騒ぎではない。男は単に快楽目的かもしれないが、こちらはせっかくのご飯を逃がしてしまったのだ。
本当は男なんて趣味じゃないけれど、この際、背に腹は代えられない。一伽は、ブツブツ言いながら歩き出した男の背後に忍び寄る。
「ご飯っ!」
「うぉっ!? 何だっ…」
一伽は後ろから、男の背中に飛び付いた。
男は当然何も身構えていなかったから、その勢いに負けて、バランスを崩した。
「ちょっ、何だよ、お前っ!」
おんぶをせがむ子どものように、首っ玉に縋り付いてくる一伽に、男は大いに慌てた。
先ほどの女に、そこまで未練があったのだろうか。ナンパの失の言い掛かりを付けるにしても、手荒すぎる――――一伽の思惑を知らない男は、このまま刺されたりするんだろうかと、嫌な想像をした。
「ちょっ、もぉ、暴れんなよっ…」
しかし一伽に、そんなつもりはない。ただ、ご飯が食べたいだけだ。
一伽は男の首にしがみ付きながら、その襟足に掛かる髪を掻き上げた。
男の血って、うまいんだろうか。汗臭くないのかな? と思って、クンクンと鼻を寄せてみると、香水の匂いがした。セクシー系? 女の子、好きそうだな、こういうの。
肉は硬そうだが思ったほどまずそうでもない、と一伽は、口を大きく開けた。
「いただきまーす」
「は? え? ちょっ…、イダダダダ! 何すんだ、このヤロ!」
「うわっ!」
一伽がその首筋に歯を立てた瞬間、思い掛けない力が一伽をその体から引き剥がし、床へと弾き飛ばした。
「イッテー…。何すんだよ、バカッ!」
「それはこっちのセリフだっつの! 何なんだよ、お前! ゲッ、血が出てる! ふっざけんなよっ!」
男は、一伽に噛み付かれた首筋を手で押さえながら、忌々しそうに一伽を睨んだが、一伽にしたら、事態はもっと深刻だ。
くそぅ、あとちょっとでご飯にあり付けたのに。
その指先に付いた血だって、今は惜しいのに。
「侑仁(ゆうじん)、いつまでベンジョ行ってんの? 女の子、待ってんだけど」
「あ、海晴(みはる)」
怯まず一伽が男に突撃しようとしたところで、別の声が2人の間に割って入った。
『侑仁』と呼ばれた男よりも、少しワイルドな感じの男。『海晴』というらしい。でもやっぱりこういうところが好きそうな、遊ぶのが好きそうな、そんな感じがする。
「え、何ソイツ」
現れた男、海晴は、尻もちをついた状態から起き上がろうとしていた一伽に気が付き、目を眇めた。
一伽は、新たに登場した獲物が、やっぱり男だったことに多少ガッカリしつつ、もうこうなったら、どっちでもいいから血を吸ってやろう! と手当たり次第の気分になっていた。
「知らねぇよ。つか、何かちょっとヤバイ感じだから、行こうぜ」
侑仁はコソコソと海晴に耳打ちして、その腕を引く。
しかしそれは小さな声だったけれど、ばっちりと一伽の耳に届いていた(吸血鬼の能力、舐めんなよっ!)
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本当は男なんて趣味じゃないけれど、この際、背に腹は代えられない。一伽は、ブツブツ言いながら歩き出した男の背後に忍び寄る。
「ご飯っ!」
「うぉっ!? 何だっ…」
一伽は後ろから、男の背中に飛び付いた。
男は当然何も身構えていなかったから、その勢いに負けて、バランスを崩した。
「ちょっ、何だよ、お前っ!」
おんぶをせがむ子どものように、首っ玉に縋り付いてくる一伽に、男は大いに慌てた。
先ほどの女に、そこまで未練があったのだろうか。ナンパの失の言い掛かりを付けるにしても、手荒すぎる――――一伽の思惑を知らない男は、このまま刺されたりするんだろうかと、嫌な想像をした。
「ちょっ、もぉ、暴れんなよっ…」
しかし一伽に、そんなつもりはない。ただ、ご飯が食べたいだけだ。
一伽は男の首にしがみ付きながら、その襟足に掛かる髪を掻き上げた。
男の血って、うまいんだろうか。汗臭くないのかな? と思って、クンクンと鼻を寄せてみると、香水の匂いがした。セクシー系? 女の子、好きそうだな、こういうの。
肉は硬そうだが思ったほどまずそうでもない、と一伽は、口を大きく開けた。
「いただきまーす」
「は? え? ちょっ…、イダダダダ! 何すんだ、このヤロ!」
「うわっ!」
一伽がその首筋に歯を立てた瞬間、思い掛けない力が一伽をその体から引き剥がし、床へと弾き飛ばした。
「イッテー…。何すんだよ、バカッ!」
「それはこっちのセリフだっつの! 何なんだよ、お前! ゲッ、血が出てる! ふっざけんなよっ!」
男は、一伽に噛み付かれた首筋を手で押さえながら、忌々しそうに一伽を睨んだが、一伽にしたら、事態はもっと深刻だ。
くそぅ、あとちょっとでご飯にあり付けたのに。
その指先に付いた血だって、今は惜しいのに。
「侑仁(ゆうじん)、いつまでベンジョ行ってんの? 女の子、待ってんだけど」
「あ、海晴(みはる)」
怯まず一伽が男に突撃しようとしたところで、別の声が2人の間に割って入った。
『侑仁』と呼ばれた男よりも、少しワイルドな感じの男。『海晴』というらしい。でもやっぱりこういうところが好きそうな、遊ぶのが好きそうな、そんな感じがする。
「え、何ソイツ」
現れた男、海晴は、尻もちをついた状態から起き上がろうとしていた一伽に気が付き、目を眇めた。
一伽は、新たに登場した獲物が、やっぱり男だったことに多少ガッカリしつつ、もうこうなったら、どっちでもいいから血を吸ってやろう! と手当たり次第の気分になっていた。
「知らねぇよ。つか、何かちょっとヤバイ感じだから、行こうぜ」
侑仁はコソコソと海晴に耳打ちして、その腕を引く。
しかしそれは小さな声だったけれど、ばっちりと一伽の耳に届いていた(吸血鬼の能力、舐めんなよっ!)
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COMMENT-FORM
音夜 ⇒ 新手のバンパイア?
ファンタジーですね。楽しく読まさせて頂いてます♪
侑仁くんの一言がどうやら一伽くんを煽ってしまったようでw
ご飯も食い損ねてしまった一伽くんだし、腹が減ってれば尚更キレやすくなりますからね(;´Д`)
二人がメインなのかな? 続きを楽しみにしてます。
侑仁くんの一言がどうやら一伽くんを煽ってしまったようでw
ご飯も食い損ねてしまった一伽くんだし、腹が減ってれば尚更キレやすくなりますからね(;´Д`)
二人がメインなのかな? 続きを楽しみにしてます。
- |2012.05.06
- |Sun
- |20:57
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
ファンタジーのわりに、妙に人間臭い吸血鬼さんですが(^_^;)
お腹減ってキレてるあたり、ユキちゃんのことガキとか言えないですよね(笑)
出会いも最悪な2人が、今後どうなっていくか、お楽しみにです!
コメントありがとうございました!
お腹減ってキレてるあたり、ユキちゃんのことガキとか言えないですよね(笑)
出会いも最悪な2人が、今後どうなっていくか、お楽しみにです!
コメントありがとうございました!
- |2012.05.06
- |Sun
- |21:06
- |URL
- |EDIT|