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暴君王子のおっしゃることには! (4)
2012.05.05 Sat
一伽は彼女の後を付いて行き、声を掛けようとした――――が。
「1人? 一緒に踊らね?」
一伽より先に、彼女に声を掛ける男がいた。
イケメンだが、遊び慣れた、いかにも軽そうな感じの男。
「ちょっ…!」
一伽は慌てて背後から彼女の腕を掴んだ。
せっかく見つけたご飯だ、横取りされてたまるか。
「え、何アンタ」
男は訝しげに、女の後ろから現れた一伽に視線を向けた。
「先に声掛けようとしたの、俺だし」
「は? 知らねぇし」
一伽の主張は、あっさり一蹴された。声を掛けようとしたのは一伽が先かもしれないが、実際に声を掛けたのは男のほうが先なのだから、『は?』と言われても仕方はない。
彼女も、キョトンとしている。
だが、ご飯に逃げられたくない一伽も必死だ。
血を吸うのなんて高々数分のことだから、その後いくらでも好きなだけ踊ってくれていいから、先にちょっとだけ吸血させてくれまいか。
「えっとー…3分!」
「は?」
「3分経ったら、また来てよ!」
「ラーメンかよ」
雪乃のように、見ず知らずの人間をいきなり襲うのを恥知らずだとは思わないが、ギャラリーの前で、事情を知らない子に襲いかかろうとするのは、どうかなぁ…とは思う。
だから3分だけ時間をくれと言ったのに、男はますます不審そうな顔をしやがった。
「えっとー…」
女は、そぉーっと一伽の手を引き剥がした。
そして。
「よく分かんないけど、またねっ」
彼女はダッシュで、2人のもとから去って行ってしまった。
「あぁー! ちょっ!」
逃げられた!
ご飯に逃げられた!!
「お前のせいだぞっ!」
「は? お前が割り込んで来たんだろうが」
せっかくの獲物を逃がしてしまったショックで、一伽はプクッとして、目の前の男に八つ当たりした(雪乃のことを子どもだと言う一伽だって、実際のところ、一般的な24歳の人間と比べたら十分にお子ちゃまなのである)。
でもだって、コイツが現れさえしなければ、今ごろはもう、腹も満たされていたはずだと思ったら、悔しくて堪らないのだ。
「ったく、何なんだよ」
男はおもしろくなさそうに頭を掻いて、一伽に背を向けた。
先ほどの彼女は、今宵限りの相手にしか思っていなかったようで、追い掛けるつもりはないらしい。
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「1人? 一緒に踊らね?」
一伽より先に、彼女に声を掛ける男がいた。
イケメンだが、遊び慣れた、いかにも軽そうな感じの男。
「ちょっ…!」
一伽は慌てて背後から彼女の腕を掴んだ。
せっかく見つけたご飯だ、横取りされてたまるか。
「え、何アンタ」
男は訝しげに、女の後ろから現れた一伽に視線を向けた。
「先に声掛けようとしたの、俺だし」
「は? 知らねぇし」
一伽の主張は、あっさり一蹴された。声を掛けようとしたのは一伽が先かもしれないが、実際に声を掛けたのは男のほうが先なのだから、『は?』と言われても仕方はない。
彼女も、キョトンとしている。
だが、ご飯に逃げられたくない一伽も必死だ。
血を吸うのなんて高々数分のことだから、その後いくらでも好きなだけ踊ってくれていいから、先にちょっとだけ吸血させてくれまいか。
「えっとー…3分!」
「は?」
「3分経ったら、また来てよ!」
「ラーメンかよ」
雪乃のように、見ず知らずの人間をいきなり襲うのを恥知らずだとは思わないが、ギャラリーの前で、事情を知らない子に襲いかかろうとするのは、どうかなぁ…とは思う。
だから3分だけ時間をくれと言ったのに、男はますます不審そうな顔をしやがった。
「えっとー…」
女は、そぉーっと一伽の手を引き剥がした。
そして。
「よく分かんないけど、またねっ」
彼女はダッシュで、2人のもとから去って行ってしまった。
「あぁー! ちょっ!」
逃げられた!
ご飯に逃げられた!!
「お前のせいだぞっ!」
「は? お前が割り込んで来たんだろうが」
せっかくの獲物を逃がしてしまったショックで、一伽はプクッとして、目の前の男に八つ当たりした(雪乃のことを子どもだと言う一伽だって、実際のところ、一般的な24歳の人間と比べたら十分にお子ちゃまなのである)。
でもだって、コイツが現れさえしなければ、今ごろはもう、腹も満たされていたはずだと思ったら、悔しくて堪らないのだ。
「ったく、何なんだよ」
男はおもしろくなさそうに頭を掻いて、一伽に背を向けた。
先ほどの彼女は、今宵限りの相手にしか思っていなかったようで、追い掛けるつもりはないらしい。
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