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暴君王子のおっしゃることには! (2)
2012.05.03 Thu
「あ、ホントだ。何かちょっと欠けてる。何で?」
「知らないよ、何したの? ユキちゃん」
「え、何も…………あっ、こないだすっ転んだ! そんとき顔からベシャって行ってさぁ、めっちゃ痛かった! そんとき欠けたのかなぁ?」
「バッカじゃないの」
どこまでも鈍臭い雪乃に、一伽はほとほと呆れた顔で溜め息を零した。
どこの世界に、大事な牙を欠かす吸血鬼がいるんだろう。というか、その転んだのがいつのことか知らないが、どうして今日まで気付かないんだろう。
「歯医者さん、行ったほうがいいかなぁ?」
「知んない。歯医者さん行って、牙抜かれないように気を付けてね」
「ん。そんじゃ、いただきまぁ~す」
今度こそ雪乃は、一伽の首筋に噛み付いた。
チューチューと一伽の血を吸いながら、少しくらい牙が欠けていても、ちゃんとご飯出来るし、歯医者さんはまぁいっか、なんて、雪乃はのん気に思ってしまう。
「ん~っ! やっぱいっちゃんの血が一番おいしい」
「当たり前じゃん」
たっぷり時間を掛けて一伽の血を堪能した後、満足そうに雪乃がそう言えば、一伽はシレッとそう言い返した。
雪乃はあんまり詳しくないんだけれど、一伽は吸血鬼の中でも高貴な一族の末裔らしい。だから血もおいしいんだって、もっと味わって飲みなさいって、よく言われる。
「ふぅ、お腹いっぱいになったら眠くなった」
「ガキか」
お腹を撫でながら離れていく雪乃に、一伽は冷たく言い放った。
腹が減っては喚き散らし、満腹になれば眠くなる。タチの悪い子どもと一緒。ガキは嫌いなんだけどな。
「ねぇねぇいっちゃん、そう言えばあのね、」
一伽の白けた視線に気付かず、雪乃は笑顔のまま一伽のほうへ戻って来た。
「こないだね、超~~~すてきな人、見掛けたよ! めっちゃカッコよかった!」
「へぇ、よかったね。で?」
「ぅん?」
「いや、だから?」
「え? そんだけだけど」
雪乃が力いっぱい、幸せそうに、嬉しそうに話すものだから、何かその先の話があるのかと思えば、とってもあっさりと話が終わってしまった。
一伽は思わず、一昔前のコントみたく、カクッとズッコケそうになった。
「そんだけって……え、そんだけ? カッコいい人がいて、だから?」
「だからって?」
「いや、何か…声掛けたとか、友だちになったとか、何かないの? そういうの」
「ないよ」
「……」
どうやら本当に、ただすてきなた人を見掛けただけ、ということらしい。
たったそれだけのことで、ここまで幸せ気分に浸れるなんて、ある意味、何てハッピーな頭をしているんだろう。
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「知らないよ、何したの? ユキちゃん」
「え、何も…………あっ、こないだすっ転んだ! そんとき顔からベシャって行ってさぁ、めっちゃ痛かった! そんとき欠けたのかなぁ?」
「バッカじゃないの」
どこまでも鈍臭い雪乃に、一伽はほとほと呆れた顔で溜め息を零した。
どこの世界に、大事な牙を欠かす吸血鬼がいるんだろう。というか、その転んだのがいつのことか知らないが、どうして今日まで気付かないんだろう。
「歯医者さん、行ったほうがいいかなぁ?」
「知んない。歯医者さん行って、牙抜かれないように気を付けてね」
「ん。そんじゃ、いただきまぁ~す」
今度こそ雪乃は、一伽の首筋に噛み付いた。
チューチューと一伽の血を吸いながら、少しくらい牙が欠けていても、ちゃんとご飯出来るし、歯医者さんはまぁいっか、なんて、雪乃はのん気に思ってしまう。
「ん~っ! やっぱいっちゃんの血が一番おいしい」
「当たり前じゃん」
たっぷり時間を掛けて一伽の血を堪能した後、満足そうに雪乃がそう言えば、一伽はシレッとそう言い返した。
雪乃はあんまり詳しくないんだけれど、一伽は吸血鬼の中でも高貴な一族の末裔らしい。だから血もおいしいんだって、もっと味わって飲みなさいって、よく言われる。
「ふぅ、お腹いっぱいになったら眠くなった」
「ガキか」
お腹を撫でながら離れていく雪乃に、一伽は冷たく言い放った。
腹が減っては喚き散らし、満腹になれば眠くなる。タチの悪い子どもと一緒。ガキは嫌いなんだけどな。
「ねぇねぇいっちゃん、そう言えばあのね、」
一伽の白けた視線に気付かず、雪乃は笑顔のまま一伽のほうへ戻って来た。
「こないだね、超~~~すてきな人、見掛けたよ! めっちゃカッコよかった!」
「へぇ、よかったね。で?」
「ぅん?」
「いや、だから?」
「え? そんだけだけど」
雪乃が力いっぱい、幸せそうに、嬉しそうに話すものだから、何かその先の話があるのかと思えば、とってもあっさりと話が終わってしまった。
一伽は思わず、一昔前のコントみたく、カクッとズッコケそうになった。
「そんだけって……え、そんだけ? カッコいい人がいて、だから?」
「だからって?」
「いや、何か…声掛けたとか、友だちになったとか、何かないの? そういうの」
「ないよ」
「……」
どうやら本当に、ただすてきなた人を見掛けただけ、ということらしい。
たったそれだけのことで、ここまで幸せ気分に浸れるなんて、ある意味、何てハッピーな頭をしているんだろう。
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