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暴君王子のおっしゃることには! (1)
2012.05.02 Wed
一伽 と 雪乃
「いっちゃん、ご飯~…」
へなへなと、力のない声で縋り付いたのは、葉山雪乃(はやま ゆきの)。職業、吸血鬼。
自己紹介すると、『吸血鬼は職業じゃねぇよ!』と突っ込まれるのが、目下のところの悩みな22歳。
「もぉ~、ユキちゃん、いい加減にしてよね!」
そんな雪乃を無下にあしらうのは、庭野一伽(にわの いちか)、24歳。同じく吸血鬼。
吸血鬼の食事と言えば、ご存じ血液で、雪乃は同じ吸血鬼の一伽に『血を吸わせろ』と言っているのだ。突っ込みたくもなる。
「だって、お腹空いた~…」
「ご飯、行ってきなよっ」
「お腹空き過ぎて、飛べない~…、コウモリさんになれない~…」
雪乃は、鬱陶しそうな顔をしている一伽のもとにずり寄っていく。
「いっちゃん、ご飯~っ! 一生のお願い~!」
「あぁーっもうっ、ウザいっ! こっち来んな!」
6畳2間のアパート。
優雅とは言い難い住空間で繰り返される、不毛なやり取り。
ちなみに、吸血鬼と言えば『古めかしい洋館』が定番だが、それは人間の勝手な想像でしかなく、今の日本でそんな洋館、探すほうが難しい。
それに、たとえそんな洋館があったとしても、そこで生活できるほどの財力は持ち合わせておらず、せいぜい、家賃5万5千円を2人で折半するのが関の山だ(少なくともこの2人は)。
「いっちゃぁ~んっ!! いっちゃん、いっちゃん、いっちゃ~~~んっ!!!」
「もぉ~~~っ、分かったってば!」
完全に駄々っ子状態の雪乃に根負けし、一伽のほうが先に折れた。
あまりうるさくすると、お隣さんとかから苦情が来るのだ。
「わーい、いただきまぁすっ!」
一伽が渋々了解すると、雪乃は途端に笑顔になって、待ての出来ない犬のように、大きな口を開けて一伽に飛び付いて来た――――が。
「あ、ユキちゃん、ちょっと待って」
一伽の白い首筋に齧(かぶ)り付こうとしていた雪乃は、その直前にストップを掛けられ、口を開けたまま固まった。
「あに? いっひゃん」
「ユキちゃん、牙、どうしたの? 左っ側の」
「ん、にゃ?」
ジロジロと雪乃の口の中を覗き込んでいた一伽が、訝しげに尋ねて来る。
牙、何だっけ? それよりもご飯…と、雪乃は回らない頭で考えるが、特に何も思い出せない。
「左っ側の、ちょっと欠けてるよ? 何したの?」
「ふぇ…? ………………。……?????」
「ホラっ!」
雪乃があんまりにも呆けているから、じれったくなって、一伽は鏡を雪乃の前に突き付けた。
ちなみに『吸血鬼は鏡に映らない』というのは、吸血鬼の中でも、もう伝説になっちゃってるくらい大昔のお話で、現代を生きる吸血鬼は、鏡にくらいちゃんと映る。だってそうでないと、いろいろ不便だし。
next
新連載、タイトルは21様からです。ありがとう。
「いっちゃん、ご飯~…」
へなへなと、力のない声で縋り付いたのは、葉山雪乃(はやま ゆきの)。職業、吸血鬼。
自己紹介すると、『吸血鬼は職業じゃねぇよ!』と突っ込まれるのが、目下のところの悩みな22歳。
「もぉ~、ユキちゃん、いい加減にしてよね!」
そんな雪乃を無下にあしらうのは、庭野一伽(にわの いちか)、24歳。同じく吸血鬼。
吸血鬼の食事と言えば、ご存じ血液で、雪乃は同じ吸血鬼の一伽に『血を吸わせろ』と言っているのだ。突っ込みたくもなる。
「だって、お腹空いた~…」
「ご飯、行ってきなよっ」
「お腹空き過ぎて、飛べない~…、コウモリさんになれない~…」
雪乃は、鬱陶しそうな顔をしている一伽のもとにずり寄っていく。
「いっちゃん、ご飯~っ! 一生のお願い~!」
「あぁーっもうっ、ウザいっ! こっち来んな!」
6畳2間のアパート。
優雅とは言い難い住空間で繰り返される、不毛なやり取り。
ちなみに、吸血鬼と言えば『古めかしい洋館』が定番だが、それは人間の勝手な想像でしかなく、今の日本でそんな洋館、探すほうが難しい。
それに、たとえそんな洋館があったとしても、そこで生活できるほどの財力は持ち合わせておらず、せいぜい、家賃5万5千円を2人で折半するのが関の山だ(少なくともこの2人は)。
「いっちゃぁ~んっ!! いっちゃん、いっちゃん、いっちゃ~~~んっ!!!」
「もぉ~~~っ、分かったってば!」
完全に駄々っ子状態の雪乃に根負けし、一伽のほうが先に折れた。
あまりうるさくすると、お隣さんとかから苦情が来るのだ。
「わーい、いただきまぁすっ!」
一伽が渋々了解すると、雪乃は途端に笑顔になって、待ての出来ない犬のように、大きな口を開けて一伽に飛び付いて来た――――が。
「あ、ユキちゃん、ちょっと待って」
一伽の白い首筋に齧(かぶ)り付こうとしていた雪乃は、その直前にストップを掛けられ、口を開けたまま固まった。
「あに? いっひゃん」
「ユキちゃん、牙、どうしたの? 左っ側の」
「ん、にゃ?」
ジロジロと雪乃の口の中を覗き込んでいた一伽が、訝しげに尋ねて来る。
牙、何だっけ? それよりもご飯…と、雪乃は回らない頭で考えるが、特に何も思い出せない。
「左っ側の、ちょっと欠けてるよ? 何したの?」
「ふぇ…? ………………。……?????」
「ホラっ!」
雪乃があんまりにも呆けているから、じれったくなって、一伽は鏡を雪乃の前に突き付けた。
ちなみに『吸血鬼は鏡に映らない』というのは、吸血鬼の中でも、もう伝説になっちゃってるくらい大昔のお話で、現代を生きる吸血鬼は、鏡にくらいちゃんと映る。だってそうでないと、いろいろ不便だし。
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新連載、タイトルは21様からです。ありがとう。
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COMMENT-FORM
ちよ ⇒ なにやら…
如月久美子 ⇒ >拍手コメ→Kさん
どこが人間と違うんだ、ていうね(笑)
もちろん日光にも強いです。でないと、就職もままならないんで(^_^;)
まだまだ始まったばかりですが、お楽しみいただければです。
拍手&コメントありがとうございました!
もちろん日光にも強いです。でないと、就職もままならないんで(^_^;)
まだまだ始まったばかりですが、お楽しみいただければです。
拍手&コメントありがとうございました!
- |2012.05.02
- |Wed
- |23:36
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >ちよさん
ついついかわいくなってしまう男の子たち…(笑)
しかも駄々捏ねてますしね。。。
誰が暴君なのかは、間もなく判明します…ヽ(^o^)丿
あと、昨日の過ち……もちろん自分の力で気付いたわけではなく、人様から教えていただいて…(涙)
もっと慎重に生きたい…!!
ちよさんも、教えてくださってありがとうございました。
コメントありがとうございました!
しかも駄々捏ねてますしね。。。
誰が暴君なのかは、間もなく判明します…ヽ(^o^)丿
あと、昨日の過ち……もちろん自分の力で気付いたわけではなく、人様から教えていただいて…(涙)
もっと慎重に生きたい…!!
ちよさんも、教えてくださってありがとうございました。
コメントありがとうございました!
- |2012.05.02
- |Wed
- |23:39
- |URL
- |EDIT|