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pray (4)
2008.05.12 Mon
side:真琴
もう何度目になるか分からない真琴の溜め息に、拓海は読んでいた雑誌を閉じた。
久々に真琴が遊びに来た休日。
以前はしょっちゅう遊びに来ていたのだけれど、拓海に恋人が出来てからは、気を遣ってか、殆ど来なくなっていた。
「真琴、少し疲れてる?」
「―――え…?」
声を掛けられて、初めてそこに拓海がいることに気が付いたように、真琴はゆっくりと拓海のほうを見た。
「何か考え込みすぎて、寝てないんじゃない?」
「…大丈夫」
―――遥斗くんとケンカした?
拓海は心当たりのある原因を聞こうとしたけれど、しかし言い出せなかった。真琴が拓海のいるソファに腰を下ろし、甘えるように膝枕をしてきたから。
こんなところを悠也に見られたら、どれほど怒られるか分かったものではないが。
「へへっ」
拓海を見上げてきた真琴は、悪戯っ子のような笑顔で笑っていて、いつもの真琴に戻っていた。
……というより、いつもどおりに振舞って、先ほどまでの話に終止符を打とうとしているのが分かって、拓海は何も言えなくなってしまったのだ。
「少しだけだよ」
そして自分もいつもどおりに真琴を甘やかす。
いつもどおりに。
「……拓海…」
「ん?」
名前を呼ばれて真琴を見ると、目を閉じていた真琴は「ゴメン、やっぱいい」と首を横に振った。
「そう?」
拓海はそれ以上聞き返さずに、雑誌を広げた。
様子がおかしいことを分かっていながら、そっとしておいてくれる拓海が有り難かった。今はとにかく自己嫌悪でいっぱいで、うまく話せそうもない。
あの日、どうして遥斗にあんなことをしてしまったのか。それだけが真琴の頭の中を、嫌と言うほど繰り返している。
遥斗の仕事が押すなんてこと、ざらにあるし、そんなこと承知で付き合っている。
それにほかのスタッフに誘われたのならまだしも、会社の偉い人に食事に誘われて、次に仕事もないのに、断るなんてそう出来ることじゃない。
分かってる。
分かってるのに。
でも、遥斗を責めた。
深夜。
疲れているのにわざわざ謝罪の電話をくれた遥斗を、ひどい言葉で責めて、電話を切った。
その後、何度も掛け直してくれたのに、出なかった。
しなくてもいいケンカをして、そしてまだ、仲直りも出来ていない。
「もうすぐ遥斗くん、誕生日だね」
不意に漏らした拓海の言葉に、真琴はギョッとして顔を上げた。
「それまでに仲直りしないとな」
優しく頭を撫でる拓海に、真琴は不覚にも涙を零しそうになった。
「……分かってる…」
もう何度目になるか分からない真琴の溜め息に、拓海は読んでいた雑誌を閉じた。
久々に真琴が遊びに来た休日。
以前はしょっちゅう遊びに来ていたのだけれど、拓海に恋人が出来てからは、気を遣ってか、殆ど来なくなっていた。
「真琴、少し疲れてる?」
「―――え…?」
声を掛けられて、初めてそこに拓海がいることに気が付いたように、真琴はゆっくりと拓海のほうを見た。
「何か考え込みすぎて、寝てないんじゃない?」
「…大丈夫」
―――遥斗くんとケンカした?
拓海は心当たりのある原因を聞こうとしたけれど、しかし言い出せなかった。真琴が拓海のいるソファに腰を下ろし、甘えるように膝枕をしてきたから。
こんなところを悠也に見られたら、どれほど怒られるか分かったものではないが。
「へへっ」
拓海を見上げてきた真琴は、悪戯っ子のような笑顔で笑っていて、いつもの真琴に戻っていた。
……というより、いつもどおりに振舞って、先ほどまでの話に終止符を打とうとしているのが分かって、拓海は何も言えなくなってしまったのだ。
「少しだけだよ」
そして自分もいつもどおりに真琴を甘やかす。
いつもどおりに。
「……拓海…」
「ん?」
名前を呼ばれて真琴を見ると、目を閉じていた真琴は「ゴメン、やっぱいい」と首を横に振った。
「そう?」
拓海はそれ以上聞き返さずに、雑誌を広げた。
様子がおかしいことを分かっていながら、そっとしておいてくれる拓海が有り難かった。今はとにかく自己嫌悪でいっぱいで、うまく話せそうもない。
あの日、どうして遥斗にあんなことをしてしまったのか。それだけが真琴の頭の中を、嫌と言うほど繰り返している。
遥斗の仕事が押すなんてこと、ざらにあるし、そんなこと承知で付き合っている。
それにほかのスタッフに誘われたのならまだしも、会社の偉い人に食事に誘われて、次に仕事もないのに、断るなんてそう出来ることじゃない。
分かってる。
分かってるのに。
でも、遥斗を責めた。
深夜。
疲れているのにわざわざ謝罪の電話をくれた遥斗を、ひどい言葉で責めて、電話を切った。
その後、何度も掛け直してくれたのに、出なかった。
しなくてもいいケンカをして、そしてまだ、仲直りも出来ていない。
「もうすぐ遥斗くん、誕生日だね」
不意に漏らした拓海の言葉に、真琴はギョッとして顔を上げた。
「それまでに仲直りしないとな」
優しく頭を撫でる拓海に、真琴は不覚にも涙を零しそうになった。
「……分かってる…」
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