スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
死にたい三月
2011.03.22 Tue
タイトルは、lis様から。thanks!
「今どき、第2ボタンとか、流行んねーだろ。そんなの」
窓の外、卒業式を堂々とおサボりしちゃったアイツに、真っ赤な顔して告ってる女の子。
見ない顔だなぁ。1年かな。
あーあ、もう死んじゃいたい。
死 に た い 三 月
「彗(スイ)ー、帰ろうぜ」
ガラガラとうるさく開いたドアの音に、ふと意識が戻る。
ストーブも消えちゃって、誰もいない教室。結構寒い。
俺は壁に凭れて、後輩の子とかに貰った花束とかプレゼントに埋もれてる。半分は克希(カツキ)が貰ったのもの。
「彗、帰ろ?」
「んー」
手を伸ばしたら、克希が引っ張って体を起こしてくれた。
克希の片手には、またプレゼント。
さっきの子から貰ったのかな。
「俺と帰ってていいわけ?」
マフラーを巻き直しながら尋ねると、克希がきょとんとした顔で振り返った。
「何で?」
「さっきの子と帰んなくていいの?」
「あー……見られてた?」
「こっから丸見え」
あー、荷物多くてめんどくせぇ。
女じゃないんだし、花とかこんなに貰っても、困るよ。
つーか克希、貰ったばっかのプレゼント、俺に押し付けるな。
「かわいい子だったじゃん」
「だって別に好きじゃないし」
サラリと克希は言ってのける。
かわいそうに。
コイツはこういうヤツなんです。
あんな純情そうな子にはもったいない。…………ううん、あんな子に、克希はもったいない。
「でも、ボタン上げてたじゃん」
「ボタン?」
「第2ボタン」
「だって欲しいって言うから」
「他にも欲しがってた子、いたと思うけど」
そうだよ。
克希のボタン、欲しかったのは、あの子だけじゃない。
「彗も、欲しかった?」
「何で俺が、」
克希のボタンなんか、欲しがらなきゃいけないの。
「欲しくないの?」
「欲しくないよ」
欲しがらなきゃいけないの。
どうせ貰えっこないもの。
欲しくなんか、ない。
「そっか。じゃあ上げない」
「え?」
驚いて顔を上げたら、克希の右手に制服のボタン。
「何、で…?」
「彗に上げようかな、って思ってたから」
でもいーや。
克希はそう言って、教室の窓を開ける。
決してキレイとはいえない投球フォーム。
「え? え? ヤダ、待って!!」
待って待って待って!!
花束とかプレゼントを蹴散らして、克希の背中にギュッと抱き付いた。
勢い付いて克希にぶつかったから、克希は窓の縁んとこにお腹ぶつけて、「ぐぇっ」とか言ってる。
「いてぇ……何すんだよ、バカ」
「克希…」
ズルズルと2人の体が床に崩れる。
「克希、克希、克希……ふぇ…」
「泣くなよ、バカ」
克希がモゾモゾ動いて、俺のほうを向く。キュウって背中に克希の腕が回って。
あったかくて、心地良くて、涙が止まんない。
「克希、ゴメンー…」
「バーカ。俺が他のヤツにやるわけねぇじゃん」
「だってぇ…」
「もう泣くなって」
涙でグチャグチャになった顔を、克希がハンカチで拭いてくれる。
卒業式だってこんなに泣いてないのに、俺。
そっと、唇が重なって、離れる。
一瞬の、こと。
ビックリしすぎて、涙が止まった。
「あ、ゴメン、思わず…」
克希もビックリしてるみたい。
ふふ、バーカ。
「思わず、しちゃったんだ?」
「うん。好きだから」
「そっか」
「彗は?」
「好きだよ」
今度は俺のほうから、克希にキス。
「彗…好き」
「うん。好き」
あぁ、もう。
死んじゃいたいよ。
手の中にギュッと克希の第2ボタン、収めて。
*END*
昔、別ブログ(閉鎖済み)で書いたのの、焼き直し。もともと男同士で書いてて、でもそのブログでアップするために男×女に書き直してアップして、今回もっかい直しました。
てか、卒業シーズンは、微妙に終わってる…。
「今どき、第2ボタンとか、流行んねーだろ。そんなの」
窓の外、卒業式を堂々とおサボりしちゃったアイツに、真っ赤な顔して告ってる女の子。
見ない顔だなぁ。1年かな。
あーあ、もう死んじゃいたい。
死 に た い 三 月
「彗(スイ)ー、帰ろうぜ」
ガラガラとうるさく開いたドアの音に、ふと意識が戻る。
ストーブも消えちゃって、誰もいない教室。結構寒い。
俺は壁に凭れて、後輩の子とかに貰った花束とかプレゼントに埋もれてる。半分は克希(カツキ)が貰ったのもの。
「彗、帰ろ?」
「んー」
手を伸ばしたら、克希が引っ張って体を起こしてくれた。
克希の片手には、またプレゼント。
さっきの子から貰ったのかな。
「俺と帰ってていいわけ?」
マフラーを巻き直しながら尋ねると、克希がきょとんとした顔で振り返った。
「何で?」
「さっきの子と帰んなくていいの?」
「あー……見られてた?」
「こっから丸見え」
あー、荷物多くてめんどくせぇ。
女じゃないんだし、花とかこんなに貰っても、困るよ。
つーか克希、貰ったばっかのプレゼント、俺に押し付けるな。
「かわいい子だったじゃん」
「だって別に好きじゃないし」
サラリと克希は言ってのける。
かわいそうに。
コイツはこういうヤツなんです。
あんな純情そうな子にはもったいない。…………ううん、あんな子に、克希はもったいない。
「でも、ボタン上げてたじゃん」
「ボタン?」
「第2ボタン」
「だって欲しいって言うから」
「他にも欲しがってた子、いたと思うけど」
そうだよ。
克希のボタン、欲しかったのは、あの子だけじゃない。
「彗も、欲しかった?」
「何で俺が、」
克希のボタンなんか、欲しがらなきゃいけないの。
「欲しくないの?」
「欲しくないよ」
欲しがらなきゃいけないの。
どうせ貰えっこないもの。
欲しくなんか、ない。
「そっか。じゃあ上げない」
「え?」
驚いて顔を上げたら、克希の右手に制服のボタン。
「何、で…?」
「彗に上げようかな、って思ってたから」
でもいーや。
克希はそう言って、教室の窓を開ける。
決してキレイとはいえない投球フォーム。
「え? え? ヤダ、待って!!」
待って待って待って!!
花束とかプレゼントを蹴散らして、克希の背中にギュッと抱き付いた。
勢い付いて克希にぶつかったから、克希は窓の縁んとこにお腹ぶつけて、「ぐぇっ」とか言ってる。
「いてぇ……何すんだよ、バカ」
「克希…」
ズルズルと2人の体が床に崩れる。
「克希、克希、克希……ふぇ…」
「泣くなよ、バカ」
克希がモゾモゾ動いて、俺のほうを向く。キュウって背中に克希の腕が回って。
あったかくて、心地良くて、涙が止まんない。
「克希、ゴメンー…」
「バーカ。俺が他のヤツにやるわけねぇじゃん」
「だってぇ…」
「もう泣くなって」
涙でグチャグチャになった顔を、克希がハンカチで拭いてくれる。
卒業式だってこんなに泣いてないのに、俺。
そっと、唇が重なって、離れる。
一瞬の、こと。
ビックリしすぎて、涙が止まった。
「あ、ゴメン、思わず…」
克希もビックリしてるみたい。
ふふ、バーカ。
「思わず、しちゃったんだ?」
「うん。好きだから」
「そっか」
「彗は?」
「好きだよ」
今度は俺のほうから、克希にキス。
「彗…好き」
「うん。好き」
あぁ、もう。
死んじゃいたいよ。
手の中にギュッと克希の第2ボタン、収めて。
*END*
昔、別ブログ(閉鎖済み)で書いたのの、焼き直し。もともと男同士で書いてて、でもそのブログでアップするために男×女に書き直してアップして、今回もっかい直しました。
てか、卒業シーズンは、微妙に終わってる…。
- 関連記事
-
- 死にたい三月 (2011/03/22)
- ふしだらな男 (2009/09/10)
- 君がニャンと鳴いたから (2008/12/17)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。