スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (88)
2010.10.31 Sun
こんな略奪愛が、許されるわけがないこと、本当は分かっていた。いけないことだというのも、十分理解していた。
でも、会うたびにどんどん瑛貴のことを好きになって、彼女がいると分かっていたけれど、このまま瑛貴の気持ちが自分のほうへ向けばいいと思っていた。
瑛貴は依織の気持ちを受け入れてはくれないけれど、拒むこともしないから、押し続ければ、いつかどうにかなると思っていた。
2人の前に真夕子が現れて、依織が頬をぶたれたとき、すぐに彼女を追い掛けず、依織のことを気に掛けてくれた瑛貴に、本当は少しだけ期待した。
女の子を傷付けたまま放っておけないし、きっと瑛貴は依織のところに戻って来てくれると、たとえ彼女と仲直りしたって帰って来ると、実は密かに自信があったから、瑛貴に彼女を追い掛けさせた。
まさか次の再会が、瑛貴が襲われ掛けているシーンだとは想像していなかったが、すぐにまた会えて、帰る術のない瑛貴をまた自分の家に呼びたかったけれど、瑛貴があまりにも居心地悪そうにしているのに気付いて、一緒にいようと、冗談でも言えなかった。
なのに瑛貴が。
依織が必死に普通を装うとしていたのに、瑛貴があんなこと言うから。彼女と別れたなんて言うから。
ねぇ、何であんなタイミングで言ったんだよ。
だから期待したんだよ?
そんなこと、鈍感のアッキーに言ったって分かんないかもだけど。
「ゴメン、アッキー…」
いっぱい傷付けて、苦しめてゴメン。彼女と別れさせてしまってゴメン。好きになってゴメン。
最初から、会わなければよかったんだよね。
でも、キャッチに絡まれているところに声を掛けてくれたアッキー、すっごく格好よかったよ。うまく男たちを追い払えなくて、全然ヒーローみたいじゃない、でもカッコよかった。
そのときから、ずっと大好きだった。
「ゴメン…」
こんなに傷付けたかったんじゃない。
ずっとずっとアッキーには笑っててほしかった。俺のモンじゃないけど、いつだってその笑顔を見ていたかったんだ。
「アッキー、やっぱ彼女のとこ、戻ってあげて?」
彼女はまだ瑛貴のことを好きだから。
まだやり直すことの出来る2人だから。
だから、お願い。
「依織の、バカ…」
ゆっくりと頭を起した瑛貴の顔は、涙でグチャグチャになっていた。
瑛貴は手の甲で、乱暴に顔を何度もこすった。
「もう…戻れるわけねぇじゃん。真夕ちゃんのこと、多分一生好きだし、絶対忘れるなんてないけど、でももう戻れるわけねぇし…。俺にはもう……戻る場所なんかないんだよ」
瑛貴ははっきりとそう言った。
けれど、瑛貴が瞳に宿していたのは、憎しみでも恨みでもなかった。
back next
でも、会うたびにどんどん瑛貴のことを好きになって、彼女がいると分かっていたけれど、このまま瑛貴の気持ちが自分のほうへ向けばいいと思っていた。
瑛貴は依織の気持ちを受け入れてはくれないけれど、拒むこともしないから、押し続ければ、いつかどうにかなると思っていた。
2人の前に真夕子が現れて、依織が頬をぶたれたとき、すぐに彼女を追い掛けず、依織のことを気に掛けてくれた瑛貴に、本当は少しだけ期待した。
女の子を傷付けたまま放っておけないし、きっと瑛貴は依織のところに戻って来てくれると、たとえ彼女と仲直りしたって帰って来ると、実は密かに自信があったから、瑛貴に彼女を追い掛けさせた。
まさか次の再会が、瑛貴が襲われ掛けているシーンだとは想像していなかったが、すぐにまた会えて、帰る術のない瑛貴をまた自分の家に呼びたかったけれど、瑛貴があまりにも居心地悪そうにしているのに気付いて、一緒にいようと、冗談でも言えなかった。
なのに瑛貴が。
依織が必死に普通を装うとしていたのに、瑛貴があんなこと言うから。彼女と別れたなんて言うから。
ねぇ、何であんなタイミングで言ったんだよ。
だから期待したんだよ?
そんなこと、鈍感のアッキーに言ったって分かんないかもだけど。
「ゴメン、アッキー…」
いっぱい傷付けて、苦しめてゴメン。彼女と別れさせてしまってゴメン。好きになってゴメン。
最初から、会わなければよかったんだよね。
でも、キャッチに絡まれているところに声を掛けてくれたアッキー、すっごく格好よかったよ。うまく男たちを追い払えなくて、全然ヒーローみたいじゃない、でもカッコよかった。
そのときから、ずっと大好きだった。
「ゴメン…」
こんなに傷付けたかったんじゃない。
ずっとずっとアッキーには笑っててほしかった。俺のモンじゃないけど、いつだってその笑顔を見ていたかったんだ。
「アッキー、やっぱ彼女のとこ、戻ってあげて?」
彼女はまだ瑛貴のことを好きだから。
まだやり直すことの出来る2人だから。
だから、お願い。
「依織の、バカ…」
ゆっくりと頭を起した瑛貴の顔は、涙でグチャグチャになっていた。
瑛貴は手の甲で、乱暴に顔を何度もこすった。
「もう…戻れるわけねぇじゃん。真夕ちゃんのこと、多分一生好きだし、絶対忘れるなんてないけど、でももう戻れるわけねぇし…。俺にはもう……戻る場所なんかないんだよ」
瑛貴ははっきりとそう言った。
けれど、瑛貴が瞳に宿していたのは、憎しみでも恨みでもなかった。
back next
- 関連記事
-
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (89) (2010/11/01)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (88) (2010/10/31)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (87) (2010/10/30)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学