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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (89)
2010.11.01 Mon
恥も外聞もプライドも捨てて、別れたくないと縋り付いたって、真夕子の心は取り戻せない。真夕子はきっとまだ瑛貴のことを好きだけれど、そんな行為は無意味で、ただただ真夕子を惨めな気持ちにさせるだけだ。
瑛貴が真夕子のもとに戻れば、また2人、傷付くだけだから。
だからもう、戻れない。戻る場所なんて、瑛貴にはないのだ。
「アッキー、ゴメ…」
「もう謝んなよ。依織だけのせいじゃないよ」
こんなことになってしまった原因の一端なら、もちろん依織にもあるけれど、何もかもすべて、依織が悪いわけではない。
瑛貴は真夕子の寂しさに気付いてあげられなかったし、真夕子も分かっていながら何も言い出せずにいた、大人すぎた。
誰が悪いわけではなくて、どこかでボタンを掛け違え、正しくない歯車が噛み合ってしまった。
「だからもう謝んな」
瑛貴の手が伸びて、依織の頬に触れた。
そこでようやく依織は、自分が泣いているのだと気が付いた。今度はその涙を、瑛貴が拭ってやる。
瑛貴も人のこと言えないけれど、依織ももう髪も顔もグチャグチャになっているから、あやすように瑛貴はその頭を撫でながら、髪を直してあげた。
「優しくしないで、よ、アッキーのバカ…」
好きになってくれないなら、2人、愛し合うことが出来ないなら、こんなことしないでほしい。
依織でなくたって、勘違いする。
「…俺、依織のこと、好きだよ?」
「嘘っ…、さっき彼女のこと好き、て言った…!」
「…うん、好き。さっきも言ったけど、多分一生忘れない。でもさっき、お前から謝られてんの聞きながら、真夕ちゃんに言われたこととか、思い出してた」
会えない間、寂しかったのは、頭に思い浮かべていたのは誰だったのか。
依織が他の男と歩いている姿を見て、何でこんなにイラついた気持ちになるのか。
そして何より、真夕子に罪悪感を持ちながらも、依織との関係を断ち切れなかったのか。
それがやっと分かったんだ。
「依織のことが好き、て」
「『真夕ちゃん』より?」
「…多分」
「多分かよ」
瑛貴に『好き』と言われて嬉しいはずなのに、涙が止まらなくて、『多分て何だよ』と突っ込んでみても、泣き笑いになってしまう。
「依織、」
「な、に……、ン…!」
瑛貴は、零れ落ちる涙を拭っている依織の手首を掴み、自分のほうへと引き寄せる。
うんと顔が近付いて、依織が戸惑う間もなく、唇が重なった。
初めての、瑛貴からのキス。
ビックリし過ぎて、依織の涙も止まった。
「まだ分かんない、けど……もっと好きになる……依織のこと」
全然うまいセリフでもない、不器用な告白の言葉。
依織は何度か瞬きをして、口元を緩ませた。そんなところが瑛貴らしくて、…だから好き。
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瑛貴が真夕子のもとに戻れば、また2人、傷付くだけだから。
だからもう、戻れない。戻る場所なんて、瑛貴にはないのだ。
「アッキー、ゴメ…」
「もう謝んなよ。依織だけのせいじゃないよ」
こんなことになってしまった原因の一端なら、もちろん依織にもあるけれど、何もかもすべて、依織が悪いわけではない。
瑛貴は真夕子の寂しさに気付いてあげられなかったし、真夕子も分かっていながら何も言い出せずにいた、大人すぎた。
誰が悪いわけではなくて、どこかでボタンを掛け違え、正しくない歯車が噛み合ってしまった。
「だからもう謝んな」
瑛貴の手が伸びて、依織の頬に触れた。
そこでようやく依織は、自分が泣いているのだと気が付いた。今度はその涙を、瑛貴が拭ってやる。
瑛貴も人のこと言えないけれど、依織ももう髪も顔もグチャグチャになっているから、あやすように瑛貴はその頭を撫でながら、髪を直してあげた。
「優しくしないで、よ、アッキーのバカ…」
好きになってくれないなら、2人、愛し合うことが出来ないなら、こんなことしないでほしい。
依織でなくたって、勘違いする。
「…俺、依織のこと、好きだよ?」
「嘘っ…、さっき彼女のこと好き、て言った…!」
「…うん、好き。さっきも言ったけど、多分一生忘れない。でもさっき、お前から謝られてんの聞きながら、真夕ちゃんに言われたこととか、思い出してた」
会えない間、寂しかったのは、頭に思い浮かべていたのは誰だったのか。
依織が他の男と歩いている姿を見て、何でこんなにイラついた気持ちになるのか。
そして何より、真夕子に罪悪感を持ちながらも、依織との関係を断ち切れなかったのか。
それがやっと分かったんだ。
「依織のことが好き、て」
「『真夕ちゃん』より?」
「…多分」
「多分かよ」
瑛貴に『好き』と言われて嬉しいはずなのに、涙が止まらなくて、『多分て何だよ』と突っ込んでみても、泣き笑いになってしまう。
「依織、」
「な、に……、ン…!」
瑛貴は、零れ落ちる涙を拭っている依織の手首を掴み、自分のほうへと引き寄せる。
うんと顔が近付いて、依織が戸惑う間もなく、唇が重なった。
初めての、瑛貴からのキス。
ビックリし過ぎて、依織の涙も止まった。
「まだ分かんない、けど……もっと好きになる……依織のこと」
全然うまいセリフでもない、不器用な告白の言葉。
依織は何度か瞬きをして、口元を緩ませた。そんなところが瑛貴らしくて、…だから好き。
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テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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COMMENT-FORM
柚子季 杏 ⇒ No title
不器用な告白!
うん、あっきーらしいですね~♪
情けないし鈍感だけど、あっきーの言動には嘘が無いから。
イオリンもちゃんと反省出来たし、あとは、らぶらぶ? ←期待w
うん、あっきーらしいですね~♪
情けないし鈍感だけど、あっきーの言動には嘘が無いから。
イオリンもちゃんと反省出来たし、あとは、らぶらぶ? ←期待w
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
アッキー、ホントに最後の最後まで…(笑)
いい子なんだけど、男としては、ホント情けない子ですよね。
でもその言葉にウソがないのは確かです。
この2人が幸せになってくれないと、真夕ちゃんも報われないんで(^_^;)、ぜひ幸せになっていただきたいところです。
コメントありがとうございました!
いい子なんだけど、男としては、ホント情けない子ですよね。
でもその言葉にウソがないのは確かです。
この2人が幸せになってくれないと、真夕ちゃんも報われないんで(^_^;)、ぜひ幸せになっていただきたいところです。
コメントありがとうございました!